黄昏のガンダルヴァ   作:猫弾正

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03_94 The Watch of Maggy

「金が欲しいんだよ」浮浪者《ホーボー》のトニーは椅子に腰かけながら、夏の青空を眺めていた。入道雲が彼方に白亜の山脈のように聳えていた。

「大金じゃなくていいんだ。ポケットに数枚の紙幣。体調崩しても、どこぞの廃屋の奥に毛布を敷いて転がって、粥を喰える。それくらいの金が何時も欲しい」

 

 自宅の机で書きものをしていたマギーは、帳簿を付ける手を休めると、ポケットから数枚の銅貨を取り出して机に置いた。

「定職を世話できるほどの伝手はない」言いながら銅貨を押しやると、トニーはそれを受け取った。掌で包んで感触を楽しんでいる。

「まあ、気長に探すよ。そっちはね」とトニー。

 マギーは、トニーから受けた報告を纏めたメモをファイルに挟んだ。【対象、D。水キャラバンと日雇い仕事。土木。接触者。友人らしき女。何ごとも特になし。前回と同じ。】とだけ記されている。

「こんな仕事で金を貰っていいのかな。

 連中に変わりはないよ。正直、外れなんじゃないかね、と思うくらいだ」

 ポケットに銅貨を入れたトニーだが、貨幣が音を立てたのを嫌そうな顔をして「他の連中に、小銭持ってると悟られちまうぜ。たかられちまう」と愚痴った。

 

 マギーは静かに頷いた。

「外れなら外れでいい。それが教えてくれることもある。見た範囲で変わりがないと言うなら、それで結構なことだ」

 トニーは頬を掻きながら、目を細めた。別にそれほど劣ってる人物でもない。時々、鋭いものの見方をする。黄昏の時代。曠野には中世のように欠乏と貧困が蔓延っている。運に恵まれなかっただけの男女も少なくない。戦乱や飢饉、疫病に屍者や変異獣、略奪者《レイダー》の襲撃で故郷や財産、田畑を喪う話は有り触れている。

 

「此の侭、それとなく監視を続けろ。尾行は危険だ。へばりつかず、近くに寝起きして、連れだって出かけたり、誰かと出会った時を見逃すな」マギーが告げる。

「アイサー、保安官補」おざなりな敬礼をすると、浮浪者《ホーボー》トニーは修繕されたコートを羽織って出ていった。暇な浮浪者《ホーボー》に小遣いを渡して怪しい人物や地点を見張らせる。信頼できる人数はそれほど多くない。資金も無尽ではない。だから、これと見込んだ基点に絞って張り付かせている。

 

 

 トニーの姿が路地に消えてから、マギーは目尻を揉んだ。壁の内側、外から見えない位置だと確認してから、囁くように「……保護対象。捜索対象か」呟いた。自宅を盗聴されていたら、保安官補マギーがガルダ人の保護に動いていると悟られてしまうかも知れないが、そこまで出来る奴が相手では、どのみち普段の話し合いすら把握されている。用心に越したことはないとしても、手遅れだろう。

 

 容疑者や捜索対象がマギーの自宅や自警団詰め所。夜警の辻番に見張りや監視を置いているかも知れない。常時ではない、多分。行政やかなりの集団のマンパワーが必要になる。機械もない、多分。ラジオは短波を検知してないし、より高等な監視装置は貴重だからだ。多分と多分の積み重ねだが、マギーは自宅の近くに警戒線を敷いていた。自宅を見張れる場所を見張れる位置に時々、人員を配置させる。

 

 とは言え、マンパワーが絶対的に足りないので、来訪者が来る時に尾行されてないか確かめるくらいしか出来ないが。当然に一定以上の組織を相手取ってしまえば、手も足も出ないだろう。田舎町の保安官補が伝手と少人数でなんとか防諜ごっこをしているだけだ。

 

 使っている密偵に合わせて、マギーは会う場所を変えている。行商とは酒場や路傍で立ち話することもあれば、牛飼いや牧者とは、郊外の田園で落ち合う。夜警や自警団員とは詰め所や辻番の建物で情報交換を行う。トニーは浮浪者《ホーボー》だが、日雇い仕事に就いている日も多いので、保安官補マギーの自宅に顔を見せても全くおかしくはない。自警団員や民兵、衛兵や他の保安官助手にとっては、マギーもまた情報網の一端なのだろう。

 

 そして恐らく参事のパオロ・ジャッコーニ爺さんは、マギー以外にもガルダ人亡命者の保護を誰かしらに依頼しているに違いない。マギーも、それが誰かは知らないでいる。一人が買収されたり、脅迫されて口を割っても、爺さんの手の内は割れない訳だ。もっとも、横の繋がりが連携を欠くだけに、誰かが怪しい動きをしても、同じ任務を持った人間が察知できないと言うデメリットもある訳だが。

 

 

 

 

 八月の町外れ、表通りの方からは子供たちのはしゃぐ声が賑やかに響いてくる。犬や猫、鵞鳥の鳴き声も混じっているのは、屍者や野生動物を寄せつけない大型居留地ならではの特権だろう。地区の裕福な家族には、犬や猫を飼う家も増えてきている。街の人々の纏う空気にも心なしか余裕が感じられる。それでも季節は晩夏。じきに秋の気配が訪れることになる。庶民や貧しい者たちが働き、蓄えを作れる最後の季節。そのすぐ後には、冬が迫ってくる。自前の小屋を持ち、防寒服を持つ商人のマギーたちでも、厳寒期の一、二月には簡易宿泊所に移らざるを得ないだろう。

 

 路地に複数の人影が見えた。荷車や頭陀袋に瓦礫を積み、鶴嘴《ピッケル》やシャベルを担いだ一団が敷地の前を通り過ぎていった。クロスボウを担いだ付き添いの自警団員がマギーに向けて手を振った。マギーも手を振り返す。防壁の修繕か、新築の仕事だろう。古い防壁の近くとなると、屍者や変異獣、野犬や巨大蟻と遭遇する可能性が付き纏うが、地区の近隣一帯はかなりマシになっている筈だった。後で仕事に空きがないか、浮浪者《ホーボー》トニーの為に聞いてやろうとメモに書いておく。冬が来る前に、誰もが蓄えを欲していた。

 

 マギーが再び机に向かって帳簿を付けていると、路地の向こう側から今度は年頃の少女が顔を出した。最近、よく顔を出すガルダ人亡命者のセシリアだ。徒弟のトリスや猫耳ココとつるんでいるのを見かけるが、今日は珍しく、なにか言いたげにマギーをちらちらと見てくる。

 大事な用件なら、すぐに聞くと伝えてあるので、上役からの伝言ではあるまい。恐らくは私的な話に違いない。内容にもおおよその見当は付いたが、帳簿が一区切りつくまで待たせて置いた。料理番であるリリーだの、意外なことに用心棒のリジィなどが少女に構ってやってた。

 

 麦は公売価格で買ってる。農民や牧者に貸しがある為か、乳や野菜など、量的にも値段的にもある程度は安く仕入れられる。隻眼のリリーがそれに買ってきた野菜や芋、米を煮込み料理にしている。普通の徒党よりも随分と食費を抑えているが最近の悩みは、自宅のトイレの汲み取り費だ。頼むたびに結構な金が掛かって馬鹿にならない支出となっている。地区の公衆便所は余りにも汚いから、そちらを使えとも言いたくないし、金の掛かる水洗便所のような贅沢を使ってたら、金が幾らあっても足りない。トイレットペーパーも仕入れるたびに消えてしまう。

 

 野菜も傷んだ部分を切り落とし、良い部分を食べている。リリーの腕と手間で随分と安く抑えている訳だが、つまりまともな食事を購うとなると金は幾らでも掛かる。怪物を退治する際にも、黒色火薬と鉛の円弾だけで50都市通貨とか100都市通貨とか吹っ飛んでいく。百都市通貨は、小さな町の労働者の日当一週間分だ。独身者でも、貯めるのに2か月くらい掛かる。それが商人の私兵ごときの怪物討伐で、一戦で消し飛んでしまう。稼いでいる金額の方が多いが、武装とは、途轍もない金食い虫だ。どんぶり勘定ではないが、収支《キャッシュフロー》は常に綱渡りで、しかし、単に生きているだけ以上の暮らしを求めるのであれば、戦える力は、必要不可欠な支出に思えてくる。

 

 油を用いた銃の整備にも、若干の金は掛かる。武器商人としての信頼、地区の名士の名声、徒党の練度を買っていると思えば、必要経費の範囲内には留まるが軽くはない。稼ぎが増えるにつれて、抑えていた必要経費もより重要性が増してくる。最低の家屋や武装、背嚢や靴などの装備に備品が揃い、貯蓄が明確に増え始めたのはごく最近だ。一部の同業者は羨望の眼差しを向けてくるが、実際には生活と商いの基盤がようやく整ったばかりなのだ。

 

「マギー。ラジオ付けていいかね?」用心棒のリジィが尋ねてきた。

「次に電池、仕入れられるか分からんからな。最近、品薄ぎみで」商品台帳を確認してぼやき半分に告げたマギーだが、落胆しているリジィを見「まあ、いいさ。卸したばかりだ。まだ予備も一本ある」と告げた。ラジオから音楽が流れ始める。すると近所の子供や老人。それに近くの廃屋から浮浪者《ホーボー》や乞食までが表れ、影に隠れながら耳を傾け始める。今のところ、固定された顔ぶれ。かつ、盗みを試みる不届きものなどもいないので、放置している。

 金を持っている連中のラジオやテレビ、レコードやオーディオで音楽を聴くのは、黄昏の時代(トワイライトエイジ)の貧しい連中のささやかな楽しみだ。マギーだって金のない隊商員や渡り人(オーキー)の頃、金持ちの家の壁に寄り掛かって様々な音楽を聴いた経験があった。ポスアカだもの。

 

 木箱に板を置き、机代わりとしてジーナ・E(エクルストン)やニナと書類仕事を続ける。古い書類を要点だけまとめ上げた新しい書類に見やすく纏め、処分する。何枚かはそのまま取っておく。当時の書式や財政状況を把握する為。或いは、当時に気づいたものや工夫が掛かれているものと、平凡な書類もだ。この処理を行った回数も、書類の上に一度、と日時を記しておいた。

 

 

 

 仕事に一段落をつけたマギーは、「さて、何の要件かな?」腕を入念に廻しながら、セシリアに向き直った。一時間ほど待たせてしまったが、音楽を聴きながらリジィたちと話していたので、それほど退屈はしてないだろう。

 マギーは椅子を勧めながら、亡命者の少女の表情を観察する。視線は微かに暗く、落ち着きがない。おそらくは不安を抱いている。ただし、それはマギーに対してではない。椅子に座れ、茶を出されてホッとしている。或いは、苦情を言いたてに来たか。亡命者たちから見れば、マギーは滅多に様子を見にこない。年齢の近い徒弟たちを差し向けて、セシリアとただ遊ばせているだけに見えるかも知れない。

 

 

 頑丈な建物ではなく天幕に居住して、護衛がいない生活が不安なのかもしれないが、マギーにもそれなりの考えはある。参事や保安官助手が無闇やたらに接触しない方がいいと言うのが、ポレシャ側の考えだ。不安を解消してやるべきか。マギーの飼ってる浮浪者や渡り人(オーキー)に毛布や登録証を与えて、隣接した建物に配置済みだとか。買収されるかも知れないが、誰が息が掛かっているかは、他の住人たちも知らないとか。少なくともジルカ一味が動き出す予兆は、把握できるだろうとマギーは考えている。だが、口に出して教えてしまえば、効果は半減する。

 

 今のところ、相手が動くのを待つしかない。動いてからしか、動けない。自由居留地圏の法執行官とは、そう言うものだ。

 姫君には不満が残るかも知れないが、別に居留地の危機でもなんでもない。所詮は亡命者たちの保護に過ぎず、担当のマギーも一保安官補に過ぎない。他の保安官たちは、偽札や覚せい剤、阿片の密輸など、より重要な犯罪や事件を追っている。いや、大勢の人員を投入すれば、相手を追い詰められる性質の事件でもないが。

 

 一日、一日、積み上げるしかない。最終的には、積み上げたものが勝負を決っする。どちらが勝つにせよ、積み上げたものが大きく左右する、とマギーは考えている。だが、もしかしたら、どちらかがあっさりと出し抜いて決着するかも知れない。『赤泥のジルカ』がどう動いているか、マギーにも分からない。市内のどこかで息を潜めている。マギーは対峙し、思考を探ろうと考え続けていた。それでもセシリアや年若い兵士たちは町に馴染んできている。これは良い兆候だろう。

 

 監視網の一部が買収される可能性。高度戦力に初動で一撃突破される可能性とて軽視している訳ではない。しかし、手持ちの資源と人員で最も安全、かつ妥当な作戦方針となると、街に溶け込ませる以外に考え付かなかった。制約下でもっとも妥当、かつ合理的な解の一つだとマギーは結論していた。

 

 

 

 ※※※※

 

 

 

 郊外に季節労働者や渡り人(オーキー)、少年少女が集まって苺の収穫作業を行っていた。雇い主の使用人を含めて、全員が質素な動きやすい服を着ている。

 苺はかなりの高級品なので比較的に信頼できる働き手が集められたのだが、それでも少年少女の中には、或いは、大人の中にも一粒、二粒を失敬してしまうものもいる。

 

 ガルダ人亡命者の少女セシリアは、徒弟トリスや猫耳ココと一緒に働きに来ていた。トリスたちは親方から賃金を貰っているが、それとは別に働きに出ることもあるらしい。色々な経験を積みなさい、と言うのが親方の方針だそうで、ここ数日のうちに収穫しなければならない苺の収穫作業にも応募したのだ。

 

 苺は足が速い。あっという間に傷んでしまう。暑い時期に取れるベリーも水分を多めに含んでいる。蜂蜜漬けや砂糖漬けにされるのが主な使い道で、トリスの話では、中々の高級品として相当の外貨を稼いでいるそうだ。色々教えてくれるのがトリスばかりなのは、猫耳ココは普段は、うにゃとか、ふにゃあ、などとしか鳴かず、意味が分かるのがトリスだけだからだ。

 

「なんか全然、頼りにならないんだけど……」

 苺を積みながら、セシリアは愚痴った。

「はっきり言うね」隣にいた徒弟トリスが苦笑した。

「雰囲気だけは切れ者そうだけどさ。なんにもしてないんだよ。マギーさん」言ったら怒るかも知れないと思いつつ、セシリアは正直な気持ちをぶちまけた。

「……呑気そうに大丈夫大丈夫と言うだけで、私にはトリスと遊んでやってくれとか言うし」

「いやいやいや。親方は有能ですって」と徒弟トリスは擁護した。

「どこがぁ」セシリアが唸った。

「うにゃふにゃ」真面目に苺を積んでいる振りをしている猫耳ココが、喉を鳴らして何かを嚥下した。ココはさっきから盛んに手を動かしてるのに、なぜか篭にはあまり入ってない。

 

「さっきお昼ごろに珍しく顔を見せたと思ったら、なんか後ろの建物を修繕する資材持ってきて、若い夫婦が引っ越してきますとか挨拶してきて。

 大工のミルカさんを働かせてる後ろで、算盤を弾きながら、儲かるわいとかグフグフ笑ってるし。牧者たちを部屋に案内して、間取りの自慢とかしてるし。不動産屋なのかしらん」セシリアはかなり真剣に憤っていた。

「実は、親方が遊んでなさいと言うのは、信頼を築きつつ、いざと言う時、連絡とこ協力関係を潤滑にするための深謀遠慮で」トリスが力説した。

 セシリアが胡散臭そうに「別に遊ばないでも、当たり前にやりますよ。それくらい」

「あ、うん」

「けぷっ」黒猫ココが小さくゲップをしてから舌なめずりしたが、吐息からは甘い香りが漂っていた。

 

 

 

 ※※※※

 

 

 

「親あぁいなるポレシィアの諸君!残念ながら夏至祭にはまぁに合わなかったが、花火職人のタリオン氏がポレシャアにきぃてくれたぁ!」

 夕刻に差し掛かった市民街区の中央広場。巻き舌で演説をしているのは肉屋のハートマン氏だ。市の参事の一人で、金を掛けて花火師を呼んだ。立派な腹を震わせて「今夜の花火ぃは、すぅばるぁしぃぃものになるだろう!期待して待ぁっていてくれ!」と聴衆に語り掛けていた。普段は落ち着いて喋るが、イベントの時は異様に饒舌になるのだ。前近代から近代タイプの政治家だが、市民たちからは相当に人気を博している。

 

「商店街はよぃみがぇるぅうう!ポレシィアは、不滅だぁああ!諸君!」腕を振ってるハートマン氏を眺めながら「元気な人だよ、全く」と若き市の参事スタンフィールド氏は呆れたように言った。ここ数年、巨大蟻の襲撃に拠る家畜減少で青色吐息だったが、経済的に持ち直した途端、花火師を呼ぶのに金を注いだのだ。

 

 スタンフィールド氏の背後には、武装した秘書のメリッサが立っており、右隣には杖を突いた老ジャッコーニ参事。そのさらに隣には眼帯を付けた壮年の女性参事が座っている。

 参事らの座っている席だが群集――多くは市民や正規居住者であり、ひっきりなしに近づいてきては挨拶を交わしたり、若干の世間話をしては離れていった。

「喉が渇いたねぇ」スタンフィールド氏が手を上げて、水売りの娘を呼んだ。紙幣を出して、コップに温い水を注いでもらう。

「最近、友達が出来たらしいね。コリン君はどうですか?」壮年の女性参事が世間話のついでのように話しかけた。

「真面目な青年です。働き者で真面目で、廃市街にはいないタイプです」水売りの娘は、女性参事と視線も合わせずに淡々と語った。

「貧しい水売りの娘に真剣に対応してくれます」と娘の言葉に「好みですか?」と隻眼の女性参事が尋ねた。

「はい。とても」娘が真剣な声音で告げた。

「この町に根付いてくれたら嬉しいですね」女性参事の口元が微笑みを形作って「全てが終わったら、あらためて紹介してください」そう告げた。

 

 水売りの若い娘が立ち去った後、スタンフィールド氏が老パオロ・ジャッコーニにそっと囁いた。

「あの子、前にアイリスにいなかった?農村から売られてきた子に似ている」

「お主、娼館など行くのか?」老パオロが片眉を顰めると「誰が通っているかは調べさせてるよ」

「よく似ているけど、人違いよ。キャロル坊や」と女性参事が囁き「よく分かった。人違いだね。覚えておこう」と苦笑した。

 

「そう言えば、ベンソンのジュディスに友だちが出来たそうだ。名前はイブリン。ジュディスが言うには、いい子だそうだ。裏表もないと」スタンフィールド氏は前を眺めながら呟いた。

「マギーのところのトリスも、ガルダ人の子と遊んでおったな。何も考えてない、見た目通りの田舎娘だとマギーは言ってた」パオロ爺さんがため息を漏らした。

「イブリンとコリン、セシリア。皆、いい子たちみたいね(現時点では、暫定的に白)」女性参事が微笑んだ。

「お姫さまはいい家来を持ってるね。流石に封建領域の臣下は忠誠心が強い。ただ、俺たちは家臣じゃないのに、あれこれと文句をつけてくるのは困りものだ」とスタンフィールド氏。

「姫さまはもどかしいでしょうね。でも、もう少し我慢して貰わないと」女性参事がそっと囁いた。

「当たり前の話だけれど、私たちだって、新しい友人たちの誰をどれだけ信じていいのか分からないのだから」

 

 

 

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八月中旬_22217都市通貨

 

 

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