黄昏のガンダルヴァ   作:猫弾正

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03_121A 変異獣

「これが照門サイトです。中央に空いている穴から、銃口の先端、照星フロント・サイトを合わせて……覗いてください。延長線上の物体に弾が当たります」マギーの説明にマスケットを構えた徒弟トリスが身動きせずに呟きを返した。

「はい、親方」

「20メートル先、30メートル先の標的。50メートル先の標的を狙えるようになっています。これは、かなり原始的なサイトです。有効射程が短いので弾道は考えてません。固定式です」傍らでマギーが説明している中、トリスがゆっくりと引き金を引いた。火蓋式のマスケットは、常に遅発する。火蓋に込めた黒色火薬が燃えて火孔を通り、銃口内の火薬を発火させるまで、0.3から0.5秒のラグが生じる。

 

 トリスが鼻から息を吸って、吐いた。「どうですか?」マギーが尋ねると、目を閉じて「いい感じです。四十メートルで風船に当たりました」と頷いた。

 人間の頭大の標的――若干だが揺れている40メートル先の風船に当てた。とは言え、単眼のトリスは、マギーの行商団で最良の射手である。サイトを付けたからと言って、他の射手にも同じ腕前は期待しない方がいい。トリスは、単眼だけどギリシア神話のサイクロプスのように大きな目を持っている。或いは多分、射撃用に調整された戦闘種の子孫かもしれない。マギーもそれほど詳しいことを知っている訳ではない。まあ、どうでもいいことだ。と思考を打ち切った。

 

 ついで、木製のゾンビ型ターゲットを狙い、五発中、三発が頭に命中する。

「初めて使ったマスケットなのに、全然、悪くないです。標的までの距離感を一発で掴めました」トリスは少し興奮したように訴えながら、マスケットの銃身を撫でている。

「うん」双眼鏡を覗いていたマギーに「銃の癖を掴めばもっと当たると思います」トリスははしゃいでいる。

「トリスは才能が有ります。しかし、サイトを付ければ、他の者たちももう少し当たると思います」マギーは双眼鏡を降ろしながら、「このサイトを作る機械を購入するのに出資を求められています」

 ルガリエ地区の工房の試供品で、マギーはさほど考えずに頷いた。

「千ですが。まあ、いいでしょう。他者に転売する時は、削りますけどね。モンキーモデルです。いや、後付けの着脱式でもいいかな」とは言え、千通貨を今すぐには用意できない。いや、五千から八千程度は常に手元にあるが、商売の仕入れやら消耗品の購入に充てる為の現金で、一千をいきなり抜くと少し余剰が無くなる。だから、一か月ほど先になるだろう。工房の親方も、返事はその程度は待つと言っていた。

 

「たかがマスケットですが、工夫すれば中々のものです。とは言え、装填速度か。ここらが限界ですね。それに既に似たような工夫をしたり、マスケットでも腕を磨いている者もいるでしょう」マギーの呟きにトリスは頷いていた。そして中には、悪党だっているに違いない。世の中の良い考えやら工夫やらなんてものは大抵、他の誰かも既に考えついて実行しているものだ。

 

 

 

 街の外れでの試射を済ませたマギーたちが帰宅すると、見慣れぬ人物が一人。自治区の夜警が、所在無げに佇んでいた。マギーたちが歩み寄ると慌てて敬礼し、数枚の書類を差し出してくる。胡散臭そうに受け取ったマギーが内容を一瞥すると、市の参事パオロ・ジャッコーニからの変異獣の討伐依頼書だった。マギーたちは最近、月に二度ほど怪物の退治を請け負っている。恐らくは旧商業地区奪還計画の一環だ。と言っても、討伐対象の大半は巨大蟻やら野犬、巨大鼠などの数ばかりは多いが、殆んど害獣駆除の延長上の仕事だった。

 

 とは言え、ソウドオフショットガンやらリボルバー・ライフル。連発式拳銃。それをロングバレルとストックを付けたサブマシンガン仕様など、それなりの火器を携えたはずの一応のハンター連中でさえ、しばしばその程度の相手に不覚を取るのだから、解せない話だ。仮にも経験を積んで、そこそこの火器を持ってる連中が遅れを取る理由……連中の依頼書なり、仕事内容を一度、見てみたいものだ。果たして、時間や金銭的制約か。それとも、世の中にはハンターでさえ、想像以上の馬鹿が混じっているものか。なにかしらの理由はあると思うが。

 

 それにしても流石に変異獣。それも中型を含む群れ討伐となると初めてだ。

「マスケットで相手のテリトリーに踏み込んで変異獣と戦える訳ない。爺さん、ぼけたか?それとも他に考えがあるのかな?」マギーの辛辣な物言いに、若い夜警は怯みつつも「大規模討伐です。特にマギーさんは、いざと言う時、騎士たちが前衛を務めるので、後方から射撃を、と」

 受け取った書類を捲りながら「と言うより、傍らに待機させておけるのかな」呟いてマギーは考え込んだ。仲間たちが横合いから書類を覗き込んでくる。

 

 俊敏で知能の高い中型変異獣は本来、マスケットで戦いたい相手ではない。相性が悪すぎるのだが、大規模討伐となると、かなりの人数が動員される。多分、他にもハンターやら猟師、銃士に浮浪傭兵やらを十数名も動員するに違いないが、となると、前衛の肉壁には困らない。勿論、他の連中に肉壁やら、最悪、囮にされる恐れもあるのだが、数の上での主力は間違いなく武装した流れ者たちとなるだろう。

 

 勿論、民兵隊やら保安官やらも動員されるだろうが、あくまで後部からの監督役。登録住人からなる自警団員は愚か、多分、自治区の夜警団さえも前には出さずに温存するに違いない。自治区は、市の行政区画に属しておらず、勝手に周辺の土地に住み着いたのが始まりではあるが、それでもまあ比較的にまともな連中。つまり、税収や地代、防衛力の問題だ。

 

 紙面で想定されてる作戦期間は三日間にも及ぶ。地区紙幣を――麦兌換紙幣ですらない、なんの裏付けもない通貨をばら撒いて、一山幾らの武装した流れ者を変異獣らに充てる訳だ。マギーの報酬には、都市通貨で百五十と弾薬代に諸経費。他の面々にも三十から成果に応じて報酬が約束されている。

 いまだ参加するともしないとも約束せずに、マギーは考え込んだ。割に合うとは言えないが、訓練中の奴隷イオとガルダから亡命者である少女セシリアを含めて、射手が八人。そろそろ試してみるべきかも知れない。それに中型変異獣たちは、確かに自治区の脅威で度々、廃墟生活者や流れ者、家畜を襲って被害を出している。顔見知りの孤児院も襲いかねない以上、いずれは片付けておきたかった。

 

「トリス、サイト付きのマスケットは使わないように。そして次回はサイト付きで戦います」親方の指示を受けたトリスは、意図を察しつつも首を傾げる。

「比べるのですか?でも、余裕を見せ過ぎでは?」

「実際に余裕のある状況です。そして、そう言う状況は意外と少ない」マギーの言に「了解しました」と頷いた。

 

 と言っても、すぐに討伐作戦が始まる訳でもない。マギーとしても、簡素でも良いので地図を製作し、作戦を詰める時間も欲しかったし、戦力を集める時間も必要だ。

 何時も遊びに来る小姓のセシリアは二つ返事で応じた。とは言え、本来の主君であるアーシア姫さまのところでも働いているので、時間調整は必要だったが。

 その他の面々に関しては、まず依頼内容と作戦の意図。そして目的――これは依頼者だけでなく、作戦を利用してのマギーの思惑も含めてだ――を説明し、報酬についても約束してから参加者を募ると、全員が賛同してきた。とは言え、書面だけでは不安なので、あとで正規の書類にして報酬を詰めておく相手によっては口約束のまま進めると、払いを渋ったりする。そこら辺、商人のマギーは基本、抜かりない。

 

 

 

 ※※※※

 

 

 

 変異獣とは中々に手強い相手で、時に厳重に警戒した牧者衆すら苦しめられる害獣と見做されている。言葉と文字を持たず、蓄積できない為、人間に対して知性には劣るものの、知能においては殆んど匹敵すると言う研究もある。実際に家畜や小集落を襲撃する際、偵察からの囮と陽動、本命の弱い家畜を襲う狡猾さを見せる変異獣は少なくないし、銃の弾切れを理解し、或いは伝令を襲撃して、援軍を遮断する変異獣の群れすらもいると言われている。もっとも、そんなに頭のいい中型、乃至、大型の変異獣は滅多にいないとも言われているが。

 

 それでも中型、大型の変異獣が二十から四十も集まれば、時として農場やら、小さな農村くらいは滅ぼされてしまう。掛かっている賞金は、なのに意外と小さかった。何故なら、他の狼や熊、コヨーテに巨大蟻などとも争うし、盗賊傭兵団や盗賊団、略奪者《レイダー》なども牽制してくれるからか。いずれにしても、荒野の旅で獲物を探す小型、中型の二、三匹と偶々遭遇するのと、十数匹から二、三十匹の中型、大型を含む群れとやり合うのは、全く状況が異なっている。

 

 中型から大型を含む、五匹から八匹。或いはそれ以上の群れとなると、マギーちゃんも避けるようにしている。出来れば、小型変異獣だって相手したくない。というのも、真正面から襲って来るなら幾らでも手の打ちようがあるけれども――なんなら、マギーは、中型変異獣すら素手で縊り殺した――迂闊に廃墟に巣食っていた場合など、地理を把握した暗がりや穴の中から神出鬼没に襲って来るので、サブマシンガンやライフルで武装した旅人の二、三人でも不覚を取りかねないからだ。

 

 あまり効率が良くないと知りながらも、マギーたちが他の旅人たちと同行して、盗賊どもの出やすい街道筋を利用する理由であった。変異獣の群れに遭遇しかねない荒野を少人数で進むよりは、盗賊が出る街道を集団で進む方が、時に通行料や身代金を取られたとしても、まだ安全の範疇には含まれているだろう。マスケットの四人やそこら辺では、どうしたって対抗しようのない連中が街道筋には出没している。それでも追いはぎや蛮族、少数の略奪者や盗賊、変異獣であれば、なんとか対抗できない事もないのだ。

 

 

 午後になって、牧者衆のイザベル・ミラーがやってきた。コンクリート・ブロックの買い付けである。下層地区の商人としては珍しく、マギーはかなりの在庫を抱えていた。仕入れるものが特に見当たらない時、一つ、二つと小まめに驢馬で運んできたが、買い手がつかないので敷地に積み上げていた。需要自体は存在している。ただ、値が折り合わないのだ。それでも砦の防備に使えるのでそれほど困らない。

 

 イザベルの持ち込んだ袋から、地区の通貨やら水兌換紙幣。自治区や農村など雑多な私鋳銭で、雑にまとめておよそ五百相当の支払いを受ける。都市通貨にして多分、三百ほど。利益は百に満たない。それでも悪い取引ではない。私鋳銭やら、自治区のビタ銭やらは食材や水、日用品や薪の仕入れに使えるし、十人で暮らすとそれも馬鹿にならない量となる。糞尿の処理を頼むだけでも、相当な費用が掛かっていた。衣服に毛布類の洗濯や修繕やらでも、外注すると百都市通貨とか飛ぶ月もあるのだ。

 

「おお!本物のコンクリートブロック」なんか騒いでいる牧者がいる。

 一応は取引相手のイザベル・ミラー。疲れ切った表情を浮かべて座り込んだので、料理番リリーの作ったパウンドケーキをテーブルに出してやる。巻き毛のルーが運んでくる。

 牧者のイザベル・ミラーは礼を言って受け取ったが、山羊娘のルーをまじまじと見ていた。可愛い子だから気に入ったのか。「あげませんよ?」マギーが言うと、「飢えた蛮族……山羊の獣人……捕虜」なにかを呟きながら首を振った。碌でもない事を思い浮かべてしまった顔だった。

「こいつ、今ろくでもないこと考えましたね!イザベル」マギーが怒ると「いや、私は考えなかった。思い出しただけですよ!」変な言い訳をする。

 

 イザベル・ミラー。とにかく疲れて、そして乾いていたようで、出された水を遠慮もなく2パウンドか3パウンドほども飲み干した。

「遠慮なく飲みますね。別にいいですけど」マギーのやや呆れたような物言いに「銃撃戦をした後なので。見逃して欲しいな」疲労困憊の様子で事情を説明する。

「この間、頼んだ爺さんが焼き煉瓦持ってきてさ。ちゃんと契約書交わしたのにどういう……しかも、高値で仕入れたとか言い出して」

 

「現地の牧者に聞いてみたら嘘じゃないんだ。なんで、ある程度、割り引いたけど買い取って。酷い目にあった」イザベルの言葉だが「それがどうして銃撃戦に?」

「長い付き合いだから、ぼけ老人でも切れないぞな、もし。得意でない業種に頼んだのが良くなかった。爺さん、仕入先の商人に言いくるめられたらしい。最初に自信がないと言ってた時に、無理して頼まなきゃよかった」愚痴りながらイザベル・ミラー。

 

「流石に仕入れ先に怒鳴り込んで、用心棒と撃ち合いになった。逃げ帰って、五十人で押し寄せたら、今度は震え上がって降参した。その時にルノの保安官負傷させたけど。あー。もう、賞金掛けられたぞな。賞金首イザベル・ミラー。スージ市の通貨で500ぞな。兎も角、日干し煉瓦と焼き煉瓦を取り換えさせた。それでも赤字。まあ、使えない訳ではないけれど。熊には不安で」 

 なにやら、相当に面白い冒険と交易をしてきたらしい。悩み多き青春である。ジーナ・C(クレイ)やら、ガイ少年。それに馬借たちも何人か参加してたようだ。ポレシャ市の馬借団と牧者衆は仲がいい。町の雰囲気や既得権益の住み分けもあるのだろうが、他所の土地だとバチバチにやり合ってるところもある。

 

 マギーがくつくつと笑うと「……笑い事じゃないぞな」イザベル・ミラーは吐き捨てた。

「ああ、失礼。でも、ルノは、スージ市の勢力圏ですものね。

 戦時保護条例を適用してもらえるよう働きかけてみます。元から、スージの牧者衆と抗争してますしね」マギーの言にイザベル・ミラーはあからさまにホッとした。流石に年若い娘なので、賞金掛かっても悠然とはしてられないようだ。

「わたしの伝手だけでは無理かもしれませんからね、イザベル。貴方からも、お爺さんや長老に働き掛けておいてくださいよ」マギーは釘を刺しておいた。

 

 戦時で敵側に肩入れする徒党などに、勢力が賞金を懸けた場合、相手側勢力が戦時保護条例を発布することもある。つまりは、公的に保護された人物を賞金が掛かったからと言って殺害した場合、報復するぞ。と宣告するだけの話ではあるが、しないよりはする方がいい。中立勢に対しては『人を傷つけましたが、犯罪ではなく、勢力争いの一環です』といい訳も立つからだ。これを利用して、都市などに利用価値を見出された犯罪者が罪状から逃れる場合もあれば、多用し過ぎて胡散臭く見られる勢力も存在している。ポレシャ市の宣言ならば、それなりに通用するだろう。少なくとも表立ってイザベル・ミラーを狙う人間は減る筈だ。

 

 中空のコンクリートブロックを土嚢の中に固定して、試射する。何故か、牧者たちが好むドライゼ銃を構えて発砲していた――ほぼ同年代のシャスポー銃は、部品として使うゴムの希少性から品薄なのだが――どちらにしろ、年代物のドライゼ銃を騙し騙し使っている。

 

 コンクリートブロックは、ほぼドライゼ銃の弾を弾いていた。歴史上のそれよりは威力が弱いとは言え大したものだ。黄昏の時代に、弾が弱装弾になりがちなのも、弾の値段を抑えると共に、貧弱な冶金技術で品質の劣る銃身(バレル)や撃針の損耗を先延ばしにする為だ。ドライゼ銃は他所の土地から時々、持ち込まれて流通がそれなりにあり、普仏戦争時代の代物なので腕のいい鍛冶屋でも互換部品を製作しやすいのも、都市や大きな町と契約している牧者衆に好まれている理由だろう。

 

 売りつけた中空コンクリートブロックを持ち上げたり、叩いたりしながら、「……で、荒野ですか?そんで、何処に使うんです?」イザベル・ミラーに尋ねかけた。

「かなり北東の建物に。新しい牧草地探しに行った時に見つけて」イザベル・ミラーの言に、マギーは脳裏に地図を思い浮かべた。それから怪物や野生動物の分布図も重ねて、言い淀んだ。

「あー。うん。あそこら辺は、熊でない?」

「だから、砦を作るぞな」イザベル・ミラーは言い張った。

 

 マギーは、むぅ、と唸ってから「黒熊や屍熊、変異熊くらいなら兎も角、グリズリーの屍熊とか、変異熊とか出ると、不味くないかな?」

「かも知れない」イザベル・ミラーは素直に懸念と不安を認めた。

 灰色熊《グリズリー》の変異熊とか、マギーも手持ちの装備では逃げるしかない怪物だ。と言うか、遭遇した時点で終わりだろう。ポレシャ警備隊だの保安官事務所でもどうなるか分からない。戦術とか云々の話ではなく、仕留めるには、純粋に火力が足りない。

 小口径弾やら弱装弾では、黒熊の変異体を倒すだけでも百発近い銃弾を浴びせなければ倒せない。まして、それが灰色熊ともなれば――――コンクリートブロックで補修した建物に籠っても、万が一があるかも知れない。本物のボルト・アクションライフル。金属薬莢のライフル弾で、800メートルからを当てられるようなキャシディやスタンフィールド氏並みの射手が数人籠っていれば、なんとかできるかも知れないが。逆に言えば、ポレシャの市民軍でもなければ、手に負えない怪物だ。

 

 牧者衆は馬鹿ではないので当然、危険を承知で今のうちに土地を押さえたいのだろうが。世で無謀と言われる失敗談の殆んどは、実際には成就する可能性も五分五分にはあった上で、運に恵まれなかった事例が多い。上手くいくかもしれない。ただ、少なくともマギーなら乗りたい賭けだとは思わなかった。運任せの立場に追い込まれるのが恐いからこそ、普段から必死で蓄積している訳だが。平和な時に危機感を維持できない人間が、世の中には意外なほど多いのだ。

 

 しかし、現地行った牧者たちが、マギーにも分かる危険を考えない筈はない。

「抗争、そんなに拙いんですか?」抗争で追い詰められてるのかマギーは聞いた。

「いや、まだ余裕はあるし、優勢だけど、油断できない。だから、今のうちに土地を確保しておきたい」イザベル・ミラーはメモほどの地図を開いて、そっとマギーに見せた。

 ふむん。水場と牧草地を見張れる丘の上の建物。確かに、良い砦になりそうだ。写真まで取ってきている。イザベル・ミラーがやるなら、きっと相当な成算はあるのだろう。

「最悪、失敗しても取り返しつく。誰かに先遣隊やってもらうしかない」イザベル・ミラーは断固として言ったが、そこは自分でやらないのか、ともマギーは思った。

 想い人を取ったジーナ・C(クレイ)とか現地に送ったりしないだろうな。と懸念する。イザベル・ミラーがそうした意趣返しをするとは思い辛いが、しかし、友人と言えるほどに人柄を知ってる訳でもない。そして、ジーナ・C(クレイ)は、マギーの友人でもあった。寡黙だし、引っ込み思案だが、誠実で優しい人格をしている。気に入ってるのだ。

 

 考え込んでいるイザベル・ミラーを前に、少しそこら辺の事情を聞いてみたいと思ったマギー。イザベルとよくつるんでる褐色娘エジプシャンをチラと見たが、牧者衆の猫耳チシャ猫と一緒になって、うちの猫耳のココにウザからみしてた。

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

1D100_100 ファンブル

70以下で成功。

 

 うっそだろ、お前。

 ホラー映画の怪物みたいなグリズリーに襲われて壊滅。

 犠牲者も数人出た。馬で逃げ帰った。

 

 とは言え、100回に一度の失敗と言っても、全滅級ではない。

 前準備もしていたし、逃げる準備もしていた。定期連絡もあった。

 

 写真に取られてて、数千の賞金とか掛かりそう。

 

 地域の開拓史の本で、最初に砦を築こうとしたのはポレシャのイザベル・ミラーである。

 みたいな。

 

 

7月上旬_52025都市通貨

 

鋼輪式銃《ホイールロック》 3丁

 

驢馬 1匹 ネム

 

家 6メートル×9メートル 54㎡

 

 

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