月に二度か三度。怪物や野生動物、屍者を討伐して武器を整備し、自由都市に赴いては、小麦を売って商品を仕入れ、ポレシャ市に帰還して火縄銃やら資材を顧客に売りさばき、蒸留酒や医療品、甘味に香辛料、手鏡や高価な食器、書籍などは屋台で販売する。
行商人――行商団としては、安定した商売を営んでいる。徒弟たちも、スポンジを用いた浄水器やら鼠取りの罠箱、それにシケモクを用いての紙巻煙草などを売って、それなりに稼いでいる。最近は、料理の本を買ってきて欲しいとの料理番リリーの要望に応えて、レシピ集やら料理本も探してるが、手頃な価格の本は中々に見つからない。居候のジゼルも、蒸留器の部品が足りないと文句を言ってくる。「偉そうだな」と皮肉ったら、義足を抱えて「あああ!おのれの足があれば探しに行けるのに!失ったばかりにこんな惨めな立場に零落れようとは!しかし、甘んじて罵倒を受けるしかない!」などと言い出すので、「分かった、分かったから、小芝居はやめろ。後で必要な品をメモに書いて渡して来い」と告げた
仲間たちも寝起きするのに誰もが厚い毛布を二枚も、三枚も用いるようになった。生活の快適さと引き換えに、一人頭の洗濯代も増えたが、都市で仕入れた洗剤と引き換えで洗濯屋に頼んでいる。リリーだけでは手が回らない。と言うか、全員で洗濯の時間を作っても、水の量やら時間が馬鹿にならない。数人の同居と十人を越えての共同生活では、トイレや生ごみの処理ひとつとっても色々と違ってくる。
七月の中頃。グレイ氏の息女、キャスリーンが訪問してきた。先日からマギーは、針仕事を頼んでいる。商品を繕ったり、自分たちの痛みの激しい衣類の修繕を頼んでいる。割のいい仕事だとは思っている。引き換えには現金と、都市で仕入れた上等の布やらで、キャスリーンに支払っていた。キャスリーンの伝手は上流階級や市民階級が多いので、マギーが屋台で売るよりも良い値で売れる――かも知れない。キャスリーン自身に人脈と商売上の価値があると、マギーは見込んでいた。これは対等の契約で、あとは、キャスリーン・グレイの頑張り次第だ。
まだ、始まったばかりの試みだから、どうなるかは正直、分からない。キャスリーンにも緊張が漂っているが、なぜか傍らには、隻腕のローラが付いてきていた。
屍者に噛まれた腕をマギーが切り落とした旅人の娘だ。集合住宅の庭先で、箒に寄り掛かって暇していたのを荷物持ちに連れて来たそうだ。マギーと知り合いのようなので丁度いいと思ったらしい。
「大きなミシンが欲しいな」マギーが言い「足踏み式ミシンがあったんですけどね。この間、なんとか、実家に取りに行ったら、もう盗まれてました。あれ大事なものだったのに」
キャスリーン・グレイがため息を洩らしている傍で、ローラは土嚢に囲まれた砦みたいな家を見回していた。「ひえっ」厩舎に物置。燧石銃《フリントロック》を携えて三、四人が見張りを行っている拠点は、かなり物々しい。行商人の家――武装行商団の拠点としても、相当な規模には違いない。
「まあ、かなり大物よね。マギーさんは」とキャスリーン・グレイは頷いた。昔の
ローラはただただ「はえっー」と、感心したように見回していた。「行商人って言うから、もっとこう……」壁に張られているポレシャ市とズール都間の地図やら、仕入先のリスト。値段表なんかにも目を止めていた。見られても困らない程度の図ではあるが。観察しながら、困惑したように眉を顰めると「あー。新しい。土嚢も、木材も、銃も。備品も。地図も。うーむ?」ローラは意外と鋭い観察力を発揮してきた。
「五年前は、マギーは
「へあー」ただ口をポカンと開いていたローラは、ただの馬鹿のように見えて、目には観察している気配が漂っていた。馬鹿に見せるのは単なる韜晦か。それとも本性を偽る性分なのか。同じように見えて、微妙に違う。前者ならただ人間関係を潤滑にする為だけの振舞いだが、後者にはその裏に何かしらの思惑が秘められている。
なので、マギーは間合いを詰め、ローラの顔を掴んで、じっと覗き込んだ。「馬鹿に見えて、観察している気配がある」と尋ねてみる。「馬鹿を装うのは何故?人間関係を潤滑にするため?それとも何かしら思惑があるのかな?」直截的に尋ねると、理解してないようにポカンと「前者です。ただの馬鹿でーす、と言っても納得してくれないでしょうから、前者と言うしかない。本当はそれも買い被りで、ただの馬鹿だと私自身は思ってますが」丁寧語で喋ってきた。
「なんで、じっと見つめるの。美形に見つめられると……いやん、恥ずかしい」頬を染めたローラはふざけたつもりかも知れない。マギーはローラの顔を手放した。「まあ、いいです。わたしも別に密偵が来るほどの大物でもないし」
「猜疑心強いですねぇ、あの人。恐いですよ。お嬢さん」ローラが世慣れた感じで穏やかに笑いながら、キャスリーン・グレイに語り掛けた。
「マギー……隊長。そうね。マギー隊長は、猜疑心が強いわね。かと言って、それで試してくる訳でもないからバランスは取れているし、味方だと先のことを色々と考えてくれるから、心強いけれど」そう言ってキャスリーン・グレイは、「それにいい所もある。昔の付き合いなのに、今も私に針仕事を廻してくれる。助かっています」マギーに頷きかけて、丁寧に礼を言ってきた。マギーも――否、マギーの方は、戸惑ったように、困った表情を浮かべて、キャスリーンに対して沈黙しながら、幾度か頷いていた。没落した農場主の娘に対して、未だに態度を決めかねている部分があるようだ。
馬蹄の音が響いてきた。駿馬にライフルのホルスターを付けた女性。キャシディ・エヴァンス保安官が、幾人かの騎兵と共にやってきた。
「マギー、頼みたいことが!」馬から飛び降りながら歩み寄ってきて、立ち止まった。「……キャスリーン・グレイ嬢?」
「キャシディ・エヴァンス保安官」目を瞬いたキャスリーンが、いち早く我に返り、優雅に一礼して「お先に失礼します。保安官。それとマギー隊長。縫い物は一週間頂けたら、お届けします」マギーに対しても言葉を掛けてから、軽やかな足取りでローラと共に帰っていった。
「なにしに来たんだ……いや、彼女、生きていたのか。久しぶりに見たな。元気そうでよかった」見送ったキャシディは、低く呟いていた。浅い付き合いだったらしい。生きていたことを喜びはすれども、近況を聞く訳でもなくキャシディ・エヴァンスがマギーに向き直って、「ええと、羽毛の枕。仕入れられます?最近、寝つきが悪くって」頼み込んできた。
マギーはキャシディ・エヴァンスに焼き林檎パイと本物の珈琲を出した。普段、キャシディが飲んでる珈琲は、さらに高価な豆かも知れないが、少なくとも本物の珈琲だから、悪いもてなしではあるまい。
「そう、ローランズ副保安官。凄い美人の娘と親しげに。でも、廃墟民だと思うんだよね。わたしの睨むところ。ローランズ副保安官はさ。家柄が良いんだよ。外の隊商と取引している商人兼農場主の係累が、廃墟民はね。せめて相手が正規の居住者だったら。流石に身分が違い過ぎて。でも、本人たちは好き合っているみたいだし、愛し合っているなら、私は……」キャシディはおばちゃんみたいに噂話を垂れ流していた。真面目な仕事の同僚とは、こんな話は気軽に出来ないのだろう。マギーはTRPG仲間だし、保安官補と言ってもパートタイム。口も堅く、十年近い付き合いの友人なので、噂話をするに絶好の相手だ。
マギーは、ローランズ副保安官に人として好感を抱いている。それに人格的にも落ち着いている大人の人物で、善意の人だ。甘くはないが。情人の女性がいるとして、まあ、悪い扱いはするまい。それは必ずしも結婚は出来ないだろうが、生活に不自由はさせないだろう。道徳的には眉を顰める人もいるだろうが。いや、次男か、三男だったはずだ。なら、実質、結婚してもいいのでは?それとも、ローランズ家ほどの家柄の直系ともなると、次男以降でも廃墟生活者との結婚は許せないものなのか
マギーは正直に疑問をキャシディにぶつけてみた。「そこら辺、ポレシャ市の市民エヴァンス家の娘としてはどうなんですか?」キャシディ・エヴァンス保安官は深刻な表情で苦しげに表情を歪めてから「結婚したいよぅ」泣きそうな顔で弱音を吐露した。
※※※※
七月も半ばを過ぎた。マギーちゃんは元々、廃市街の怪物退治を定期的に行っていたが、今はそれに報奨金を貰えるようになった。今日の仕事は、自治区を脅かしている屍者の群れの討伐だ。
屍者は常に侮れない脅威だ。特に歩屍者《ウォーカー》だけでなく、小走屍《ジョガー》や走屍《ランナー》が混ざっていると、それだけで危険度が跳ね上がる。映画でしか見たことがないが疾走屍《スプリンター》や跳躍屍《パルクールゾンビ》ばかりで構成される死の河など最悪、極まる。ドローン以後の軍事技術なら、数百万が都市部に籠っていようが、ゲームのように一方的に殲滅できたともいうが、死の河やドローン技術――空を飛ぶ小さな機械が一国だけで年に何十万、何百万台も作られて、遠隔操作で屍者を殺し続けたなど、実際に存在していたのか。フィクションなのかさえ、黄昏の時代の庶民などには分からない。
現実のマギーたちは、今、マスケット銃だけで、小走屍《ジョガー》や走屍《ランナー》を含んだ数匹の屍者たちを相手取らないといけない。
屍者どもが出没すると言われてる一帯近くに見張りを置きながら、待ち伏せに適した目ぼしい建物内を捜索。元から安全と思われていたが、確実に内部に屍者がいないことを確認してから、窓にバリケードを構築。扉も縄と板で補強する。壁も抜かれない程度には頑丈な筈だが、数十匹の圧力なら兎も角、数匹の体当たりなら耐えられるだろう。多分。
出来るだけ音を立てないよう、元から組み立てていた木柵と木戸を其の儘運んで来て、一気に街路を封鎖。後は喇叭なり、物音なり、騎兵なりで兎も角も、おびき寄せる。遠慮も無しに建物の壁やら窓は補強して、銃眼だけ開けておいた。二階からも撃ち降ろす。マスケット――燧石銃《フリントロック》や鋼輪式銃《ホイールロック》 が七丁、いや八丁。奴隷娘のイオが自分も連れて行ってくれと懇願してきた。
今までの討伐で妙な動きは見せなかったが、楽な討伐ばかりではあった。マギーは、まだ裏切りを僅かに恐れていたが、これまで怪しい動きは見せなかった。イオも裏切っても利益がない筈ではあるが。イオが裏切った場合、誰かしらが殺される可能性はある。最悪、味方を失うことを想定した上で、多分、信じられると思い、組み込んだ。
騎兵が逃げてきた。顔色は蒼白だ。追いつかれるはずもないが、「あと三十秒叫んでから」屋上の見張りが伏せた。馬から降りた騎兵が、馬と共に狭い木戸を通り抜ける。興奮している馬を入れようとするも、嘶いている。馬鹿馬め。「あと二十秒!」必死になだめている。曲がり角を越えた。木柵のこちら側の人間や馬が目撃されてしまった。糞。予定では、身を隠していた筈なのに。いきなり作戦が狂った。
屍者たちが殺到してくる。このままだと、木柵にへばりつくだろう。いっそ、馬はその場で暴れて囮になってくれと思うも、急に聞き分けが良くなって、木戸を潜り抜けた。最悪だ。街路を挟んだ家々からの射角だと木柵に命中してしまう。本来、人間は姿を見せない。そして、街路を挟んだ両側の家々の二階から、街路に佇む屍者たちを撃ち降ろす予定だったのに。
已むを得ない。木柵は突破されるかも。一階に降りて、銃眼から屍者たちへ発砲する。八人の射手がいれば、どうとでもなるだろう。
銃眼から発砲し始める。木柵の後ろに隠れている誰かが悲鳴を上げた。
「嘘だろ」マギーは罵った。何故、逃げてない?作戦前に退避するように命じておいたのに。作戦書を見直す。この状況《パターン》になった場合、両側の家屋からの火力で屍者たちを殲滅するので退避するよう間違いなく命じていた。
とは言え、マスケットでも二十メートルから三十メートルで頭部に命中させられる射手が四名。トリス、ジーナ・
伏せながら、二階へ移動。急げ。部屋の奥に匍匐前進して、階段を駆け上がる。下の階でバリケードを叩く音。侵入されるかもしれない。さらに発砲する音がする。
二階の窓に駆け寄って、全員が二階に移動してきたのを確認すると、対面の建物に向かって合図を送る。対面の建物の班が、窓のバリケードの向こう側から発砲を開始。屍者たちが崩れ落ちていったが、地面に転がったのを数える。「……足りない気がする」マギーは呟いた。建物内に入り込んだか?
木柵の向こう側では、馬鹿どもが歓声を上げている。怒りで唇が震えた。
窓から身を乗り出したマギーは、声を上げずに、作戦図を見ろと指差して、振り回す。すると、なにを勘違いしたか。馬鹿にしているのか。一人が片手を胸に当て、もう片手を横に伸ばした姿勢で恭しく、一礼してきた。マギーの額に血管が浮かんだ。
下の階には、屍者が入り込んでいるかも知れない。最悪だ。再び、マスケットを装填し腕に多めに布を巻いて斧を手に取った。
今一緒にいるのは、奴隷のイオ。セシリア。猫耳ココ。「最悪、階下に複数いるかも知れない」説明すると、頷いてきた。誰か一人でも噛まれたら、連中を殺してやりたい。しかし、マギーちゃんは冷静になった。
いや、素直に階下の部屋に降りる必要は無かった。窓を見て、バリケードが健在な窓の上から縄を降ろした。縄が二本。こっからさっと降りて、反対側の家へと逃げ込む。対面の家へと縄を見せると肯いて、扉を少しだけ開いた。馬鹿どもには期待するまい。
階段を見張りながら、奴隷のイオとセシリアを先に降ろした。それから猫耳ココ。マギーは最後まで、階段を見張りながら、一瞬で窓の外に飛び出し、縄を握りながら、そっと降りると、窓や扉から降りてこないか。周囲に転がった屍者たちに『死んだふり』がないかと脅えながら、一気に対面の家へと走り込んだ。扉を閉めて、ようやく息を吐いた。しかし、無能な味方連中がこれほど足を引っ張るとは思わなかった。何時も、雇い主を選んでいたからの弊害か。
「総員、無事だな。装填済みか?」全員から、確認の声が返ってくる。「リジィと私、ジーナが前衛で、木戸を空けさせてから一気に駆け込むぞ」指示を出して、二階から「木戸を空けろ」と命じ、猫耳ココとニナが殆んど音も立てずに一気に突っ切って、木戸の開閉を確保。木戸と木柵の背後から、屍者が入り込んだ『かも知れない』廃屋の出口に向けて銃口を狙い定める。
その後、此方の廃屋の扉は開けっ放しで、逃げ込めるようにしつつセシリアと徒弟のトリスを送り込んだ。できるだけ音を立てずに小走りで先行。この時は、マギーの手勢は全員、銃眼からマスケットを構えていた。四人目の娘が街路を塞いでいる木戸へと潜り込んでから、最後に奴隷のイオ。その背後を守るように大人三人が白兵の構えで援護の陣形を取りながら、足音を立てて一気に木戸へと駆けこんだ。マギーが滑り込んで、木戸を閉め、ようやくに安堵の吐息を洩らした。
「……向かって右手の廃屋、怪物が潜り込んだ可能性がある。バリケードが破壊されてる」マギーは木戸の後ろの狩人連中へと語り掛けた。
「……それが?」
「作戦書を見てないのか」額に青筋を浮かべたモヒカンの若者は、作戦書を丸めて地面に投げ捨てた。
「俺たちごと、撃ちやがったな」言いながら、モヒカンの若者がリボルバー拳銃を抜いて、マギーに向けた。と、マギーの部下たちが一斉に銃を構えた。
すると、モヒカンの若者の仲間たちも銃を引き抜いて、向けてきた。
いや、セシリアだけは戸惑い、それから銃を構えた。
「イオ、まだ撃つなよ」マギーはモヒカンから目をそらさずに、名指しで元蛮族の少女に釘を刺した。
それから手袋を嵌めた片腕で木柵を押してみた。ミシミシと軋んでいる。
「十体の屍者に押されて、どのくらい持つ?分かるか?連中は、私より力が強い」言って聞かせるが、「いくら力が強かろうが、撃たれりゃあ終いさ」モヒカンがせせら笑い、撃鉄を引いた。マギーの言ってることを何一つ、理解してないらしい。
木戸の後ろの賞金稼ぎらの全員が同調している訳でもない。人夫やら、賞金稼ぎの一部は、丸めた作戦書を拾い上げて「ああ、確かに状況想定して、避難しろって書かれてる」と呟いてる者もいる。
「……マジで?」此方を睨みつけながら、モヒカンの仲間のサングラスが呟いた。別口の集団の一人が作戦書を開き、額に汗を浮かべながら近寄ってきて見せた。
「ほら、ここ」
「……ホントだ」サングラスは言った。危なそうなモヒカンだが、周囲の連中はモヒカンの仲間を含めて、破滅を割けようとしてる気配が漂っていた。いや、一部は、モヒカンに同調している。
「あんた!どっちの味方だい!?」パンクの娘が、宥めようとした仲間を罵った。
「書いてあるぜ、ジャンヌ。木柵に取り付いた場合、突破される恐れがある為、木柵後方の総員は避難すること。この場合、突破される前に両翼の建物から、取り付いた屍者たちを射撃する。突破された場合、居住区へ突入される可能性があるので、その前に火力を持って殲滅しなければならない、と」サングラスが、サングラスを上に上げて読み上げた。意外と円らな瞳だ。
「確かか?」とモヒカンの仲間――黒い革服の屈強な男が尋ねて「読めよ」サングラスが命令書を差し出してゴツイ黒革も唸りを上げる。ため息を吐いて黒革の男がモヒカンのリボルバーの前に立ちはだかり、銃口をゆっくりと降ろさせた。モヒカンも一目置いてるのか。舌打ちして、ホルスターに銃を仕舞い込んだ。
マギーも銃を降ろすよう「銃を降ろせ」部下たちに片手を振るった。イオがいるので態々、口に出した。それでもモヒカンは鋭い目でマギーを睨んでいたが、マギーもその目を忘れるつもりはない。(……馬鹿な真似はしてくれるなよ)思いつつ、脳裏で潜在的な敵の一人として記憶しておいた。
さて、廃屋内に屍者が入り込んでいて、それが小走屍《ジョガー》か、走屍《ランナー》だと面倒だ。今日は此処に銃を持った複数名の見張りを付け、翌日以降に盾と鉄の鎧兜を付けた騎士でも呼んだ方がいい。全身装甲の騎士は、少数の怪物との白兵戦では最良の兵種だ。例え、剛力の屍者たちと狭い室内で戦うことになっても、それが変異獣でも、同数以上の屈強の騎士たちは、早々、後れを取らない。後は、別の専門家たちの仕事だ。
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