寝ている間に無自覚無双 ~怠惰に生きたい転生貴族、楽するために開発したオートスキルで知らないうちに国を救っていたようです~ 作:片沼ほとり
教室に行くと、クラス分けが発表されていた。
クラスはA組とB組の二つで、一つのクラスにつき三十人の生徒がいるらしい。
付き人として登録しているので、僕とフィオナは同じA組。ついでに言えば、先ほどのシエルも同じクラスだった。
それから教室に担任の先生がやってきて、ホームルームでは学園の説明があった。
一年生のうちは全員同じ授業で基礎を固め、その後は各分野の専門的な授業に分かれていく。この辺りは前世でいうところの大学に近い。
ホームルームはつつがなく進んでいったものの……一つ気になったのは、同じクラスメイトも、果ては先生までも、僕のことをちょっと警戒するように見ていたことだろうか。あとシエルからは軽い敵対心も感じた。
入学式から堂々と居眠りするのがそんなに異常に映ったのか。
あるいは前世でも、山田くんにはこんな景色が見えてたのか。
どちらにしろ、前世とは違う、新鮮で面白い学園生活だ。
*
「初日からさっそく授業があるんだね」
「一つだけですけどね。やはり魔術学は本校の根幹とも言える授業ですから」
ホームルームの後はさっそくの移動教室だった。
魔術学の授業は二クラス合同で、大きな教室で行うらしい。
座席は自由だったので、迷わず後ろの方を確保し、フィオナと一緒に座る。
後ろから見ると生徒たちの動向がよくわかる。真ん中から後ろにかけてくらいが順々に埋まっていき、真面目な生徒は前の方に座る。
ちなみにシエルは当然のように最前列の真ん中にいた。まるで前世の僕だ。
大学を思い出す。不真面目な生徒は後ろの方に座って、気分次第で授業を抜け出してたっけ。
とにかく、学校の授業というシチュエーションを、二度目の人生で初めて迎えるのだ。
「実は僕にはね、学校の授業でずっとやってみたかったことがあるんだ」
「何でしょうか?」
「もちろん、居眠りだよ」
僕は噛みしめるように、フィオナの問いに答えた。
さっきはフライングで入学式に居眠りしてしまったけれど、やっぱり王道なのは授業中だ。どんな授業でも居眠りしている、これこそ怠惰な生徒と言えるだろう。
あとは、授業中に他のことをやったりね。前世では内職って呼んでたけど、あれは全国共通の言葉だったんだろうか。
「やはりお疲れのようですね。ですが、繰り返すと評価が下がりすぎてしまいませんか?」
「大丈夫だよ。ああいう先生ならいける」
僕は教壇近くで授業の準備をしている先生を見ながら言う。
その先生は、白髪混じりのおじいさんだ。穏やかな表情で、グループで固まっておしゃべりする生徒たちも気に留めず、黙々と準備をしている。
僕は前世の経験で知っている。ああいうタイプの先生は、生徒の居眠りなどに寛容なのだ。
だけど、授業中に当てられる可能性もあるし、そこだけ対策はしておこう。
僕は自らに書き込んだオートスキルに、一文を書き加えた。
――先生に当てられた場合は、問いに答え、起きているように振る舞え――
うん、これで完璧だ。もし先生に当てられても普通に答えて「あ、起きてたんだ」となるだけ。オートスキルのことはバレない。
ちなみに事前に教科書には目を通したけれど、全部もう習得している内容だった。
入学前課題が解けたんだし、これくらいなら対応できるだろう。
「じゃあ、おやすみ。授業が終わったら起こしてね」
「承知しました」
そうして僕は、憧れだった、あの体勢を取る。前世で一度も実現できなかったこと。
両腕を机に載せ、そこに額を乗せる形で――ぐてっと顔を突っ伏した。