話が詰まったため、息抜き程度にやりました。
まぁ、いずれやろうと思ってたやつのタイミングが今だったってだけです(汗)
僕は………誰だ……。
………寒いな………酷く冷える。
暗い………誰も、誰もいないのか?
僕は………僕は………!
□■□■
「………夢か」
日の光が未だ出ない朝早い時間、一人の男が目を覚ました。
ゆっくりと背を起こし、布団を片付けると洗面所で顔を洗い、眠気を覚ます。
寝巻きから深緑の着物に着替えると、タバコを吹かしながら外に出て散歩をするのが彼の日課である。
当たり前ではあるが、人がまったくいない。明かりも無いので真っ暗、先なんて殆ど見えない。しかし彼の目には暗闇など映らない。
淡い光が辺りから浮かび上がる。光の中心には不思議な姿をしたものがいる。
彼はコレの「実態」を知らない。だが人に害をもたらすような存在ではない事を知っている。
いつもの道を通り、いつもの光を辿り、いつもの時間に帰宅する。
これが彼の、【ギンジ】 の日常のいつもの始まりである。
■□■
時は早くもお昼時。人里では人々の往来が最も多い時間帯。
ここ、ギンジの自宅に一人の訪問者が訪れていた。
「あんたか。今日は何の用で?」
「常連さんが来たっていうのに、酷い言い草ですねー」
「生憎、ここは店じゃないんでな」
縁側でポァとお茶を飲みながら訪問者と会話するギンジ。
訪問者の風貌は黒髪ショートに赤い瞳、山伏風の帽子をかぶり、白い半袖シャツに黒いフリル付きのスカート。そして何より目につくのは背中から生えている鴉の様な黒い翼。『鴉天狗』と呼ばれる妖怪の少女、【射命丸文】である。
「それで、さっきも言ったがここには何の用で?」
「はい! 今日こそ取材させて頂く参上しました!」
懐から手帳と万年筆を取り出し、キラキラした目でギンジを見据える。
ギンジは残ったお茶を飲み干すとタバコに火をつけ、困ったように頭を掻いた。
「参ったな。前回の取材の時ぐらいしかネタになりそうな話は無いんだが………」
前回の取材。それは一月程前に里を騒がせていた『コガネフジキノコ』と呼ばれるものの対処方である。
太陽の光を摂取し増殖するコガネフジキノコ。魔法の森の光が差す場所にしか育たないものだが、胞子が人里まで飛んできて大量発生した。
人に寄生して生えてきたりで気味が悪く、焼いても抜いても生えてくる。
だが彼は『コガネフジキノコ』に当たる日光を遮り、塩水と何かの薬を塗りたくることで枯らせていった。もしものことも考え、スプレー状にして里中にかけて周ることでようやく事件は解決した。
ちなみにコレは魔法触媒としては高度の効果を発揮する。
「まさかぁ! いろいろと噂になってますよ? それに
「
「いーえ、あんなものではまだ満足出来ませんね。さぁ! キリキリと話して下さい! 」
ズイ! と迫るとさぁさぁさぁ! と急かしてくる。これといって何もないのでどうしようか悩みに悩む。
そしてギンジは少し思案した後、思いついたのか口を開く。
「………なら俺の昔話でも聞くか? 新聞のネタにはなりそうにもないと思うが」
「え? 昔話? ギンジさんのですか?………本当ですか!?」
何をそんなに興奮しているのか嬉々としてさらに迫ってくる。
それを手で制し、息を吐くと、
「そうだな………これは俺がまだ
───八意に出会った時の話だ───
いかがでしたが? 誤字脱字などがありましたらよろしくお願いします。