ナズナのアトリエ ~悩める錬金術師とまほろばの神~   作:匿名設定

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あとがき

 まずは最後までお読み頂きありがとうございます。

 プロでもないド素人なのに自分からあとがきなんぞおこがましいですが、言い訳も含めてわかりにくい部分を説明させていただければと思います。

 

 まず文体ですが、ハーメルンで主流の形式をとってはおりません。

 そのため、この作品を一目見て読むのをやめた方も多かったでしょう。

 ほかの方の文章は、ひと段落一セリフごとに行間を空けてます。これは明らかにスマホで“眺める”ことを前提にしています。それっぽいシチュエーションで、聞いた風なセリフを言わせる、脳内でアニメに変換し雰囲気を楽しむための形式です。二次創作の形式としては合理的な書き方かもしれませんが、私は書きたいテーマがあり、そのための舞台を創り出しました。

 だからこの作品は“眺める”のではなく小説として“読んで”いただければ幸いです。

 ちなみに42×34文字という文学コンテストによくある文庫見開きフォーマットで執筆しましたが、全部で217ページです。文庫本なら434ページなので、挿絵とかを入れれば大体、書店で売っている普通の文庫並みの厚みになりますね。このボリュームで大体そのくらいなので、プロを目指す方はちょっと参考にしてみてください。

 

 物語のテーマは、二人の少女が協力しあい、人が神に縋らなくても生きてゆける“神さまのいらない世界”を目指す物語です。

 ということは当然、物語の舞台では人は神に縋って必死に生きています。だから人は容赦なく死に、また理不尽に殺されてゆきます。でもそれを諦め肯定するのではなく、「おかしいものはおかしい」と声をあげて、より良い世界を目指そうとする人々の物語でもあります。

 私は、「昔はモラルが違うのだから仕方がない」と歴史マニアがのたまう言葉が嫌いです。じゃあ貴方が江戸時代にタイムスリップし、侍にいきなり切り殺されても納得できるんですか、と。実際にはそんなに切り捨て御免なんて無かった、なんてのを“ボクの考えた”屁理屈満載で反論する人がいますが、『江戸時代を通じてただの一人も侍に殺された一般人なんていなかった』というのが証明されない限り、私はそれを「おかしいものはおかしい」と感じます。そして、そう思い行動してきた人々のおかげで、今の平和な日本があるのだとも思います。

 何が言いたいかというと、これはゲームの『アトリエシリーズ』にはなり得ません(笑)

 盗賊団ですら“良いことをするために”つくられたような『アトリエシリーズ』は、“神さまのいらない世界”が実現したあとの優しい世界です。それが『アトリエシリーズ』の持ち味であり、ユーザーがそれを望むのであれば、仮に宝くじに当たる確率でこの作品がプロデューサーの目に留まり、天文学的な確率で気に入られたとしても、絶対にゲーム化というのはあり得ません。

 ただ、この話にある一要素を、もし仮にどなたかが気に入ってくれて自作品に取り入れる場合、著作権は全てコーエーテクモホールディングスに帰属しますので、同社のガイドラインに従ってください。私が有しているのはあくまで『最初にナズナを主人公にした話をまとまって作った』という権利だけですので、コーエーがこの話を切り貼りしようが、「パクった」と私を訴えようが、作品の消去を要求してこようが、全てコーエーテクモの自由です。私は他人のふんどしで相撲を取ったことを理解しているし、二次創作は自分の脳内おままごとを他人にひけらかす意味不明な行為だと思っているので、権利を主張しようとは思いません。

 

 物語の舞台は山梨県か長野県のどこか山の中を想定していました。というのも、作中の飢饉というのは天明の大飢饉を想定していたため(作中の描写は当時の記録から借用したものです)、東北を舞台にすると飢饉で壊滅していると思ったからです。そして生贄をやめるひとつのきっかけとして天領を持ち出しましたが、調べてみたら山梨辺りは本当に幕府の天領だったようです。ある意味、奇跡ですね。神さまに「書け!」と言われているような気がしました。

 同社の『零』という和風ホラーゲームは私の好きなゲームのひとつですが、この作品の生贄云々というのはそこからとったものではありません。

 学生時代に『非正規共同体構成員説』というのを唱えていた日本近世史の教授の授業を受けたことがありまして、日本の村落には元の村から離散してしまった浮浪者(マレビト)を捕らえ、苦役の際には村人の代わりに差し出す風習があったとのことです。権之助が即身仏について語っていたことは私の創作ですが、あり得ない話ではないのかな、と思って書きました。

 ちなみにまほろばの表記が里と村で揺れているのは誤記ではなく、意図的なものです。主には日本の文化的な色合いを出したかったので『里』と記していますが、幻宗斎などは行政区分の用語として『村』の言葉を使っています。里と村は同じものであり、他を村と呼んでいるのに、まほろばだけ里と呼ぶのは彼の立場としておかしいと思ったからです。もし他の部分でそういう表記ゆれが出てしまっている場合、それは単純に私のチェック漏れです。

 また、本作で幻宗斎が変身するムジナは一般的には狸かアナグマになりますが、本作では巨大な熊を想像していただければと思います。日本は古来から動物分類学が未発達で、イヌ科の動物は全部山犬と称していたので、ニホンオオカミの生態が文献からはよくわからない、なんて話もあります。狸とアナグマも同種と思われていたようだし(時に同じ巣穴を利用するから)、昔話の人喰いムジナも熊の勘違いでは? と思います。

 キャルロットの錬金杖は、完全に私のミスです。「錬金術のアイテムに使用制限があるのは何でだ?」というのを元に閉鎖式と開放式というギミックを考えたのですが、何の気なしに書いてしまった錬金杖が、実現の難しい開放式であることに、野盗との決戦の際に気づきました。「やべェ!」と思って急遽『内部の無属性マナを外部の微量なマナで属性変換させる』半開放式のギミックを考えましたが、まあほぼご都合主義で無理があります。テキトーに勢いで書いているとこういうミスが起きるんだと、いい勉強になりました。

 ナズナの名前ですが、最初は違う名前の予定でした。和製ファンタジーで美少女となると、どうしても木花咲耶姫とかに引きずられてしまいます。ただサクナとかだと既に別のゲームで有名なのがあるし、どうしようかと悩んでいるときに、ポン! と頭に浮かんできました。

 気づいた方がいらっしゃるかはわかりませんが、「実はナズナはとっくに○○されているんじゃないか」という描写をところどころにちりばめてあります。「自分を○○した人々を許し、彼らの幸せのために〇だけで力を尽くしたとしたら泣けるじゃん」と思っただけなのですが、後でナズナの花言葉を調べてびっくりです。これも天領の件とあわせて、神さまに「書け!」と言われているような気がします。気になる方は調べてみてください。

 まあ私の公式(?)ではナズナは「生きています」としか言いようがありません。そこは自由に解釈していただければと思います。

 

『ナズナのアトリエ ~悩める錬金術師とまほろばの神~』は神(?)シリーズの第一弾で、ライザの向こうを張って三部作を予定しております。「無から有は生み出せない」というセリフも、アンペルを意識して作ったものです。

 私が最初にプレイしたアトリエがライザ三部作であり、あのえちむch……、神々しく美しいおみ足とセクハラ全開の変態的カメラワークでにわかファンになった私としては、同一主人公で三部作というのは自然な流れです。というか、ナズナが結婚して子供を産んでいる姿が思い浮かびません。

 第二部の『~迷える錬金術師と偽りの神~』ではまほろばの里を飛び出し、全国を飛び回って“真なる神”の誕生を阻止します。そしてキャルロットもまた、自らの悲しい運命と対峙し、迷うことになります。そして第三部の『~決意の錬金術師といらない神~』では再びまほろばの里に戻り、ついに“神さまのいらない世界”を目指して突き進んでゆくことになりますが、これまで仲良くしてきた神が一斉に反発します。そしてアズマ全土を覆いつくそうとする闇と、ナズナたちは対峙することになります。

 ネタバレになりますが、テーマは『神と人が愛し合う優しい世界』です。ラストの場面はもう決まっていまして、今回の権之助や幻宗斎のセリフにも伏線がちらりと張ってあります。国産土命はイザナギ神と大国主命がくっついたような神さまですが、大国主はアマテラスに降伏した際、“なぜ出雲に社を建てるよう交換条件を出したのか”という疑問を私なりに解釈したラストにする予定です。

 

 本作は非正規の三年縛りでこの夏に無職になった元派遣社員のプーな私が、それまでに書き溜めていたものに加えて、第六章辺りから暇に任せて一気に書き上げたものです。正直疲れ果てたし、しばらくは再就職や資格取得に専念しなければなりません。それでもまだまだナズナと遊びたい思いはありますし、一番最後に三百年後のエピローグまで書き終えてはじめてナズナの物語が完結すると思っているので、いつになるかはわかりませんが、気が向いたらお付き合いいただけますと嬉しいです。

 

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