俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
14話 猛田並みに腹立つ協会の連中。
俺の名前は砦トウシ。
猛田やジュリアたちと一緒に異世界に飛んだクラスメイトの一人。
うちのクラスは、みんな異常に優秀だけど、
その中でも特に目立っている実力者が2人いる。
最強の剣士『猛田』。
無敵姫騎士『ジュリア』。
二人と比べ、俺は異世界だとマジで何の役にも立たなかった。
だから、クラスメイトからは基本的に嫌われている。
その証拠に、俺はみんなから頻繁に怒られる。
やれ『卑屈すぎる』だの、
やれ『自覚が足りない』だの、
やれ『いい加減にしろ』だの……
ゴミの自覚はあるんだけどねぇ……
クラスメイトたちの中でも、特に俺を嫌っているのが、
猛田と琥珀の二人。
どっちも、よく俺に罵声《ばせい》をあびせてくる。
琥珀の方は、シンプルに、『俺のことが生理的に無理』・『我慢できないほどイラつく』って感じなだけだから、実害的なものはないけど、猛田は普通に殴ってくるから害悪でしかない。
「はじめてきたけど……あれだな……すげぇ金のかかった施設だな……」
俺は今、琥珀に命じられて、『ダンジョン対策協会』の日本支部にきていた。
ダンジョンの入り口から駅3つ分のところ。
ガラス張りの外壁が夕日を照り返していて、正直、庁舎というより高級ホテルにしか見えない。
受付で名前を言うと、ハイテクなカードキーを渡されてエレベーターに案内された。
そのまま地下に向かう。
めっちゃ高層な建物なのに、地下にいくんかい、と思った。
★
地下の待合室みたいなところで結構またされた。
呼ばれたから来たんだけど……
ナメやがって……
30分ほど待って、ようやく通されたのは、
重厚な扉の奥に広がる、薄暗く、やけに厳《おごそ》かな会議室だった。
中央の円卓を囲むように、何人もの幹部が等間隔で腰かけていて、こっちを一斉に見てくる。
その円卓の一番奥、一段高い席に座っていたのが、
「私はダンジョン対策協会日本支部の支部長、綾大路《あやのおおじ》だ。本来であれば、君のような一介の高校生が出会える人間ではない」
隙のない黒いスーツに、銀縁のサングラス。
両手の指を組み合わせ、口元の前で組んだ、いかにもな姿勢。
「……はぁ、そうすか」
「君のことは、正直、これまでノーマークだった」
ものすごく偉そう。
この世界を支配しているのは自分だ……とでも言わんばかりの態度。
「君は何の役にも立たない荷物持ちだと思っていたが……指揮官としてはなかなかだと評価している」
「そうすか」
「まあ、この……田中玉? くく……これに関しては、さすがに冗談が過ぎるとは思っているがね」
高そうなタブレットで動画を見ながら半笑い。
周囲の連中も笑っている。
楽しんでもらえたようで何よりだよ。
せっかくだし、くらってみるかい?
「――だから、特別に、君にも教えようと思う。この世界の真実を」
「……はぁ、真実っすか」
その後、
長々と話を聞かされた。
古文書のこと。
すでに琥珀から聞いているんだけどねぇ……
ちなみに、古文書の文章は極めて曖昧で、
・ダンジョンをどう成長させればいいのか。
・どうすれば世界が終わるのか。
その辺はまったく詳しく書かれていない。
『配信して成長させないとやばいよぉ』ぐらいのもの。
「我々は、ノストラダムスの予言における恐怖の大王とは、このことを指しているのではないかと予想している。必要な再生数を稼げなかったとき、あのダンジョンは、恐怖の大魔王となり、人類を死滅させるのではないか……と。おそらく、この予想は、外れていないだろう」
全然違うけど……まあ、いいや。
好きに妄想しててくれ。
本当の対処は、こっちで全部やっておくから。
「君たち時空ヶ丘2年B組には期待をしている」
「そりゃどうも」
「君のレベルでは本来ありえないが……特別に『B級ダンジョン配信者』の称号を与えよう。感謝は必要ない。これは期待の表れだと思ってほしい」
Bかい……
まあ、本来、レベル20以上じゃないと与えられない称号だから、レベル5の俺がB認定をもらうのは、特別なことではあるけれども……
クラスメイト全員がSSなのに、
俺だけBかい……
ヘコむわぁ……