俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。   作:閃幽零

34 / 34
サイド 猛田視点1

 

 サイド 猛田視点1

 

 ボコられた翌日、協会から派遣してもらったイスに腰を掛けて、俺はテレビを見ていた。

 

「――単純に、あの猛田くんが負けたって聞いて、よっしゃって思いましたね」

「俺、猛田カルマくんのこと、正直、嫌いなんですよねぇ。なんか、言動の端々――」

 

 テレビの中の芸人は、ヘラヘラと笑いながら、好き放題に俺をディスっていく。

 さすがに、この瞬間だけは、砦よりも、この芸人にイラついた。

 

 俺は、

 

「こいつを殺せって要求したら、通るのか?」

 

 とイスに声をかける。

 二十代中盤の男。

 本当は女がよかったが、それはダメだと言われた。

 

 男ならいいのかよ、とも思ったが、まあ、それは言わないでおいた。

 

「それは……勇者にふさわしくない行いです」

 

 下から、そんな声がする。

 『イスがしゃべるなよ』……と、理不尽ボケをしてやろうと思ったけど、ダルいからいいや。

 

「人をイスにしてんだぜ? 勇者もくそもあるかよ」

 

 その後、コーナーが変わり、俺とあの濃紺《のうこん》色の髪の女の戦闘シーンの動画が流れ始めた。

 

 画面の中の俺は、ボコボコにやられている。

 個人的な感覚では、もうちょい派手にやられていたと思うが……

 こうしてみると、俺もかなり粘っている。

 やはり俺は強いし、何よりイケメンだ。

 目がカッケェ。

 芯のあるまっすぐな目をしている。

 これは、女が放っておかないのもわかるぜ。

 

 動画には、コメントの嵐が押し寄せていた。

 

『猛田ざまぁ』

『死んでねぇじゃん』

『猛田くん、がんばって!』

『傾国部隊、がんばれぇええ! ふれぇええ! ふれぇえええ! け・い・こ・く!』

 

 多くの悪意にさらされて、俺は、

 

「くく……」

 

 なぜだか笑えてきた。

 バカが!

 こいつら、なんもわかってねぇ。

 

 俺は今回、卑怯な手をくらい、たまたま敗北に似た何かになったが、

 真正面から戦えば俺が余裕で勝つ。

 

 その前提も大事だが……

 えげつないほど卑怯な手を使ったにせよ、

 ――あいつらはこの猛田カルマに勝った。

 これがどれだけ偉大で、そして危険なことか理解してねぇ。

 

 傾国部隊の連中はマジでえぐかった。

 あの女どもはやべぇ。

 俺以外なら勝てねぇだろう。

 

 そんなやべぇ連中が暴れまわっている。

 人類にとって、それは滅亡危機といってもいい本格的にやべぇことだ。

 それに気づいていない滑稽さが笑える。

 

 イスが苦しそうに、

 

「傾国部隊は……とてつもない強さですね。あなたですら……勝てない……とは……」

 

「勘違いすんな。俺は卑怯な手を使われただけだ。傾国部隊の連中は、とんでもない精度の『剣減領域』を使っていた。さすがの俺も、あれだけ徹底的にメタられちゃぁ、いくらなんでも厳しい」

 

「は……はぁ」

 

「剣減系の魔法使い……異世界じゃあまりいなかったんだが……こっちには、それなりにいるらしい。……魔法に対処できるようにならねぇとな……とはいえ、勝利の可能性はもうハッキリと見えているが」

 

「勝算があるというのですか? それは、いったいどんな?」

 

「俺は神に選ばれている。俺はこの物語の主役。最後には絶対に勝つようになっている。それを踏まえて考察するに……おそらく、俺の超スキルはまだ進化するんだろう。天才の俺は、誰よりも早く『超スキルⅡ』にたどりつく。そして、おそらく、俺の超スキルⅡは……デバフを受け付けない、必殺にして無敵の一撃」

 

 根拠皆無だと笑うバカがいるだろう。

 笑ってろ。

 いずれ、俺の足元にひざまずくことになる。

 

 わかっているんだ。

 

 だって、俺は、この物語の主役だから。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす(作者:オタリオン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

底辺Vtuberの根黒万太郎。▼十年前にやり込んでいたロボゲーの続編やったら動きが変態過ぎて大バズり!▼闘争を求めてやって来る強き変態たちに万太郎は更なるバズりを求める。▼果たして、万太郎は底辺を卒業しトップVtuberとなれるのか?▼(☆):他者視点有りのマークです。▼※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。


総合評価:1398/評価:7.72/連載:79話/更新日時:2026年07月28日(火) 19:59 小説情報

台座ごと聖剣で戦う偽勇者を、神々が実況するスレ(作者:匿名)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

村人A「よし、手になじむ。これで魔王軍をぶっ叩いてくる!」▼神々『──いやそれ剣の柄! 先端についてるの重さ5トンの神聖石(台座)だから!!』▼人間『おお……! なんという御力……! 真の勇者様が現れた!!』▼神々『──勇者じゃないんよ! ただの怪力なんよ!!www』▼聖剣が抜けないなら、刺さっている台座ごと床から引き抜けばいい。▼これは、圧倒的な質量(物理…


総合評価:1723/評価:8.08/連載:11話/更新日時:2026年03月20日(金) 17:07 小説情報

同人ゲーに転生したけど、肝心の主人公が死んだ(作者:自分探しの旅袋)(オリジナル現代/恋愛)

ハーレム♡スクールライフ▼ ▼有名な商業作品ではなく、個人の同人サークルから販売されていたエロゲ-▼特に、そこの同人サークルに詳しいわけでもないし、購入したのも社会人になる前だった。▼イラストが綺麗、評価が良い、エロい 多分当時の自分が買った時の理由は、そんなありふれた理由だった。▼ ▼何の因果か、そんな世界に転生した。▼※カクヨムでも掲載開始


総合評価:347/評価:6.27/連載:34話/更新日時:2026年06月27日(土) 19:19 小説情報

エロゲ転生〜やり込んだ知識でハーレム無双〜(なお特殊性癖)(作者:星野林(旧ゆっくり霊沙))(オリジナル現代/冒険・バトル)

やり込んだエロゲに転生してしまった主人公。▼抜きゲー世界であるが、バトルもあるので、死なない、詰まない様にしながらエロく生きたいと思います。▼なお初っ端から周回用アイテムを回収する模様。▼カクヨムとマルチ投稿▼諸事情により未完▼本当に申し訳ない。▼理由は活動報告にて


総合評価:5088/評価:8.25/未完:130話/更新日時:2026年06月01日(月) 18:00 小説情報

【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない(作者:月森朔)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ダンジョンが現れてから30年。▼俺は、黒歴史の自作小説キャラになれるという奇妙な能力を手に入れた。▼変身した姿は、▼紅い髪をなびかせるレベル500の魔女▼食いしん坊の女子高生ヒーラー▼希代の美少女魔道具師▼・・・▼かつて妄想で描いたキャラたちが、▼美貌も能力もそのままに、俺のアバターとして実体化する。▼そして能力は進化し、分身も加わり、アバターが連携を始める…


総合評価:1005/評価:7.94/連載:62話/更新日時:2026年07月09日(木) 21:58 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>