俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。   作:閃幽零

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サイド 猛田視点2

 

 サイド 猛田視点2

 

「おい、もう帰っていいぞ。お前に座るの飽きた。人は座りにくい。反省しろ」

 

 そう言いながら、軽く蹴っておく。

 お前らみたいなパンピーのカスからすればご褒美だろ。

 

「は、はい、申し訳ありませんでした……で、では……失礼します」

 

 そう言いながら、立ち上がってそそくさと去ろうとする。

 その背中に、

 

「次は女つれてこい。あの傾国部隊にいたような女……もしくはジュリアに似た女……もしくは琥珀に似た女だ」

 

「……そ、それは……」

 

「ダメだって?」

 

「……」

 

「おい、聞いてんだぜ」

 

「それは勇者のふるまいではない。あなたは……紛れもなく人類の救世主であり、だから……」

 

「はっ。……ずいぶんと、分別のある良い大人じゃねぇか。少なくとも綾大路よりはな。……じゃあよぉ……砦ならいいのか?」

 

「え」

 

「この部屋に呼んでくれ。今すぐに」

 

「……それならば問題は何もございません。承知しました。すぐに手配いたします」

 

 ★

 

 5分後、

 チャイムが鳴った。

 

 数秒待つと、ドアの開く音がした。

 

 足音がする。

 顔を上げて、ツラを見てやった。

 相変わらず、この世界で一番キモい顔をしていやがる。

 

「よう、砦」

 

「なんか用?」

 

「動くなよぉ」

 

 そう言って、顔面をロックオン。

 俺は、そのままぶん殴ってやる。

 砦は、痛がるそぶりもみせず、俺をにらんできた。

 

「なんで殴られたのかな? 俺、何も悪いことはしてないはずだけど」

 

「砦」

 

「なに?」

 

「ケンカしようぜ。対等なケンカをな」

 

「……」

 

「先手はくれてやるよ。ほら、こい」

 

「……はぁ……じゃあ……」

 

 そういうと、砦が俺の顔面を殴ってきた。

 ヘドが出るほど弱いパンチだった。

 

「今の全力か?」

 

「……薬指の中手骨が折れた……」

 

「脆《もろ》いねぇ。……じゃあ、次は俺な」

 

 俺はいつもより強めに砦の顔面を殴った。

 

 いつもはもちろん、手加減している。

 当然だ。

 ちょっとでも力を籠めたらこいつの頭は破裂する。

 

 ……俺の一撃で、砦はぴくぴくしていた。

 

「あぁ……」

 

 脳の中から、大量の分泌液があふれている。

 

 生まれた意味すら感じるほどの……

 

「生きてるかぁ?」

 

 返事がない。

 ただの屍《しかばね》のようだ。

 やったぜ。

 

 俺は死体に背を向けて、テレビの続きを見る。

 すでに番組は終わっていた。

 

 テキトーにだらだらしていると、

 砦がぴくぴくしながら起き上がった。

 

 ……ちっ、死んでなかったか……

 

「じゃあ……俺……帰るから」

 

「おい」

 

「……なに」

 

「土下座しろ」

 

「なんで?」

 

「勝手に部屋入っただろ」

 

「……呼ばれたから来たんだけど――」

 

「はやく土下座しろよ、殺すぞ。あと、地面をなめながら、クソを漏らせ。絶対に部屋は汚さずになぁ。あとダブルピースでアヘ顔しながら、てめぇのケツの穴を世界中に配信して――」

 

 

 

「田中玉」

 

 

 

 そう言いながら、砦は俺に右手を向けてきた。

 相変わらず……ダセェ技だぜ。

 

 エネルギーの玉が俺に向かってきた。

 

 俺は吹っ飛んで壁に頭から激突、そのまま意識を失った。

 

 

 

 ★

 

 

 目が覚めた時、外は暗くなっていて、

 砦はいなくなっていた。

 

「……んー……」

 

 俺は起き上がり、

 

「あの威力だと、B級を殺すのが限度ってところか。……傾国部隊が相手じゃ何の足しにもならねぇな」

 

 そうつぶやいてから、あくびを一つはさんで、

 

「メシつくるか……」

 

 テキトーにメシをつくって、

 クソして、歯ぁ磨いて、

 

 そのまま眠りについた。

 

 とりあえず、砦は殺す。

 

 けど、まずは傾国部隊を殺さないとな……

 

 俺に恥をかかせたやつは全員殺す。

 

 

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