俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。   作:閃幽零

49 / 49
サイド 綾大路視点2

 

 サイド 綾大路視点2

 

「我々は偉大なる王の命令でここにきた!」

 

 絶望する私に構うことなく、クレオパトラと名乗るリーダー格の女は、円卓の真ん中まで悠然と歩いてくると、こちらを見下ろして言った。

 

「とりあえず、まずは金をよこせ」

 

「え……か……かつあげ……?」

 

「ナメたことぬかすな。正当な報酬をもらいにきただけだ」

「おたくら、儂《わし》らを広告塔にして、死ぬほど稼いだようじゃないの、このゲロ虫ども」

「ヒック……よこせ。酒代にする」

「…………断ってくれていい。罰として八つ裂きにする」

「だめよ、ダッキったらぁ。殺しはNGって、王にいわれているでしょぉ」

 

「いや、広告塔には……べつに……た、たしかに、君たちが関わっている動画では収益をあげているが――」

 

「さえずんな、カス。誰か喋っていいっていったか、あぁん?!」

 

 その一言だけで、抗弁の気力が根こそぎ削がれる。

 

「広告収益は、クリエイターが55パーセントってのが通例らしいな」

「儂らで稼いだ分が使えるクレジットカードをよこしなさい、このゴキブリのなりそこないども」

「あと、酒、あるだけもってこい、ヒック」

「…………誰か逆らえ。おとなしくすんな。暴れたい」

「あぁ、あと、秘密の会員権もよこしてねぇん」

 

 こんなもの……当然、私の一存で決められる金額ではない。

 

 私は、振り返って、今回の議長である蛇尾正義《へびおまさよし》様に視線を向ける。

 

「ど、どうしましょうか……蛇尾様」

 

 蛇尾様はしばらく黙ったあとで、

 

「……了解した」

 

 と、あっさり傾国部隊の要求をのんだ。

 意外……でもないな。

 この状況で傾国部隊に逆らっても意味がない。

 

 それに、彼女たちは、

 『自分たちで稼いだ金をよこせ』と言っている……

 彼女たち自身が配信しているわけじゃないから、

 その理屈が通るかというと微妙なところだが……

 筋がまったく通ってないわけでもない。

 

 

 すぐさま用意されたのは、900億円ほど使えるクレジットカード。

 そして、以前、砦がへし折ったのと同じランクの最高位会員権。

 

 私は、それを差し出しながら、

 

「あの……差し支えなければ、その会員権を、どうするおつもりで?」

 

 恐る恐る尋ねると、クレオパトラは、にやりと笑って、

 

「やばそうな店は、片っ端からぶっ潰していくんだよ」

「…………で、それを配信する」

「バズるぜぇ、ヒック」

 

 何がやりたいかは分かった。

 あの会員権は店がフリーパスになるだけではなく、刻まれた専用コードを使えば、普通には決してたどり着けない裏サイトにアクセスでき、世界中の『秘密の店』の場所を一括で調べ上げられる。

 

 それはそうと……一つ、気になることがあった。

 

「配信……ですか」

 

「ああ、そうだ。余らもチャンネルをつくった。名前はそのまま傾国部隊チャンネルだ」

「儂らはだいぶ過激なことをしていくけれど、BANはしないでねぇ」

「酒、いつもってくんだ、ごらぁあああ! 殺すぞぉお!」

「…………カグヤ、殺すの? 妾《わらわ》も手伝う」

「カグヤと、ダッキ……ちょっと静かにぃ……」

 

 そこで、フジコが、私に、

 

「あ、一つだけ言っておくけどぉ、何があろうと、私たちのチャンネルをBANしたらダメよぉ。私たちの苦労を水の泡なんかにしたら……許さないからねぇ。わかったかしらぁん」

 

「あ……はい……了解しました」

 

 ――私は、これから世界中で何が起きるのかを、うっすらと悟った。

 いくつかの悪徳経営者が、首をくくることになるだろうな……

 

 まあ、その辺は自業自得だ。

 正直、上級店の中には、目を覆いたくなるようなものもいくつかある。

 アイドルが働いている風俗店も、本人が納得して働いているものもあるのだが、

 中には、枕営業の延長で無理やり働かされているものもある。

 

 そういうものを、彼女たちがぶっ潰してくれるというのであれば……

 それは、確かに、一視聴者としてぜひ見たいと思った。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

同人ゲーに転生したけど、肝心の主人公が死んだ(作者:自分探しの旅袋)(オリジナル現代/恋愛)

ハーレム♡スクールライフ▼ ▼有名な商業作品ではなく、個人の同人サークルから販売されていたエロゲ-▼特に、そこの同人サークルに詳しいわけでもないし、購入したのも社会人になる前だった。▼イラストが綺麗、評価が良い、エロい 多分当時の自分が買った時の理由は、そんなありふれた理由だった。▼ ▼何の因果か、そんな世界に転生した。▼※カクヨムでも掲載開始


総合評価:340/評価:6.13/連載:34話/更新日時:2026年06月27日(土) 19:19 小説情報

底辺Vtuber昔やり込んだロボゲーの続編でバズり散らかす(作者:オタリオン)(オリジナル現代/冒険・バトル)

底辺Vtuberの根黒万太郎。▼十年前にやり込んでいたロボゲーの続編やったら動きが変態過ぎて大バズり!▼闘争を求めてやって来る強き変態たちに万太郎は更なるバズりを求める。▼果たして、万太郎は底辺を卒業しトップVtuberとなれるのか?▼(☆):他者視点有りのマークです。▼※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。


総合評価:1413/評価:7.72/連載:79話/更新日時:2026年07月28日(火) 19:59 小説情報

ブラック企業にすり減らされた社畜が主人公になれるアプリを手にしたらどうなるか→(作者:ぱちぱち)(オリジナル現代/冒険・バトル)

タイトル変更しました▼【旧題:最安10円レンタルチート ブラック労働で過労死数歩前だった俺の心の癒しだった動画アプリがマジモンの神アプリだった 】▼山里一也は金がない。時間も無ければ彼女もない。健康診断結果も20代とは思えない。▼唯一の娯楽は通勤退勤時にスマホのアニメ視聴。このまま会社の社畜として緩やかに死に向かって進んでいくだけだった一也の人生は主人公をレ…


総合評価:3420/評価:8.63/連載:104話/更新日時:2026年08月08日(土) 07:43 小説情報

【本編完結】レッドキャップ:ヴィランにTS転生した話(作者:WhatSoon)(原作:MARVEL)

マーベルコミックの世界に転生してしまったスパイディオタクな元男の話。▼悪役(ヴィラン)になってしまった元男の少女がスパイダーマンを追っかけたり、ピーター・パーカーと仲良くなったり、曇ったり、曇らせたり、死にかけたり、殺したり……。▼各実写映画版や原作コミックとは関係のない平行宇宙の話として書いています。▼主にスパイダーマン関係が主軸です。▼※原作未視聴/未読…


総合評価:45137/評価:9.22/完結:149話/更新日時:2026年08月04日(火) 19:15 小説情報

【TSして最強】世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない(作者:月森朔)(オリジナル現代/冒険・バトル)

ダンジョンが現れてから30年。▼俺は、黒歴史の自作小説キャラになれるという奇妙な能力を手に入れた。▼変身した姿は、▼紅い髪をなびかせるレベル500の魔女▼食いしん坊の女子高生ヒーラー▼希代の美少女魔道具師▼・・・▼かつて妄想で描いたキャラたちが、▼美貌も能力もそのままに、俺のアバターとして実体化する。▼そして能力は進化し、分身も加わり、アバターが連携を始める…


総合評価:1034/評価:7.97/連載:65話/更新日時:2026年08月07日(金) 23:31 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>