俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
6話 猛田、炎上。
――なんか、知らんところで、猛田が23億ポイントぐらい稼いでくれた。
炎上って、回るんだねぇ。
想像以上だった。
まあ、『必死になってバズらせた芸術』と『猛田の舌打ち』が結果的にほぼ同等ってのは、正直、ちょっと納得いかないところがあるけど。
うん、まあ、でも、稼げたから文句はない。
★
翌日、俺は、ダンジョン配信前に、猛田に声をかけた。
「なんか、めっちゃ燃えてたけど、大丈夫?」
「知らん。興味ねぇ」
すごいな……マジで、こたえてなさそうな顔をしている。
内心はわからないけど、表面上は、無傷っぽい。
あれだけ炎上して、この顔ができるやつは……まあ、少ないだろうね。
「悪いのは俺じゃねぇ。どう考えたって、120円を投げる方がおかしいだろ」
俺の倫理観では、120円でもありがたい、というのが通説なんだけど、
そんなことをこいつに言っても無駄なので、テキトーにスルーしておく。
「殺害予告とか、明らかな名誉棄損が1万件以上あったからな。順次、訴えているところだ。どうあがいても逃げられないやつらだけで1万件だからな。一人から20万とったとして……2億ってところか。大した額じゃないが、まあ、勝手に沸いた金と考えれば、普通に儲けものだ」
イカれてんねぇ……
まあ、でも、マジでありがたい。
おかげで、もうひと稼ぎできそうだ。
アンチの皆さん、安心してください。
皆様のストレス解消は、この俺にお任せを!
……ここまで燃えてくれれば、あとは、もう簡単だ。
特に凝った演出なんか必要ない。
さあ、ご登場いただきましょう!
傾国部隊の皆さんです!
拍手!!
「よう……クソバカ。なんか、盛大に燃えてんなぁ、お前」
田中クレオパトラが、そういうと、
横一列に並ぶメンバーのみんなが、くすくすと、アホをあざ笑う。
「金を恵んでもらっておいて、足りないと舌打ちするとは……お前、マジモンのアホか?」
そんなクレオパトラの言葉に、
コメント欄が大いに沸いた。
『よく言ってくれた!』
『そこのアホに正義の鉄槌を!!』
『KILL! KILL!!』
『傾国部隊が100パーセント正しい!』
『カルマー! 負けるなー!』
『愚かなファンよ、教えてくれ。おまえら、猛田の何を応援してんの?』
確認してみると、
同接が5700万人を超えている。
おまけに、まだまだ増えていく。
こうなってしまえば、プロデューサーとして、俺も動かないわけにはいかないね。
「猛田、加勢するよ。支援は任せてくれ。大丈夫。力を合わせて、あの強大な敵を打ち砕こう」
「絶対に手ぇだすな、ぼけぇ……かかわってきたら殺すぞ」
はい、ありがとうございます。
その言葉が聞きたかった!
「そこまで言われちゃ仕方ない! みんな、ここは、猛田の『勇者としての誇り』を、ぜひとも立ててあげよう!」
そう言いながら、クラスメイトたちを下がらせる。
さあ、猛田。
お前のオンステージは出来上がったぞ。
同接も8000万をこえた。
すげぇよ、猛田。
俺が、必死こいて、ない頭を絞りつくして、ようやくはじき出した数字を、
お前は、その舌を一つ打つだけでたたき出した。
やっぱり、お前は稀代のエンターテイナーだ。
敗北を認めよう。
お前がナンバーワンだ。