俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
7話 頑張れ、傾国部隊!!
「いくぞ、おらぁあああ! 爆王剣!!」
猛田の超スキルⅡはなかなかの威力。
それは認める。
天才ばかりのウチのクラスの中でも、間違いなく、トップクラスの天才だ。
けど、傾国部隊の面々のレベルは、そういう次元じゃないんでね。
「おらっ」
あっさりと回避されて、猛田は、思いっきり殴られた。
コメント欄が沸く。
アンチの歓喜が跳ねる。
気づけば、俺も両手のこぶしを握り締めていた。
まるで、プリ〇ュアに釘付けの女子小学生みたいに……
いけー、がんばえー、クレオパトラぁ!
「ぐっ……くそがぁあああ!!」
必死になってクレオパトラに抗い続ける猛田。
フルボッコで、顔面が真っ赤に腫れてきたけど、それでも手を止めない。
「ぐぇ……おぇ……くそ……」
動きが鈍くなって、腕が上がらなくなって、
しかし、それでも、
「爆……王……剣……」
手を出し続ける。
不思議なもので、その様子を配信し続けると、
コメント欄で、ファンが息を吹き返す。
アンチの勢いも、心なしか減ってきている。
人間ってのは本当に不思議なもので……
判官贔屓《ほうがんびいき》って言葉もあるけど、
弱い方、負けている方を応援したくなるんだよね。
俺は、いっさい、猛田を応援する気はないけど。
「は……はっ……」
意識を失って倒れた時には、
コメント欄のファンとアンチの割合は、ぴったり半々になっていた。
『殺せ! 傾国部隊! 殺してくれ! 頼むから! 後生だから!』
『カルマ、起きてぇ! まだいける!』
『頭! 頭踏んで!! つぶしてぇええ! もう、そいつのニヤけ面はみたくないぃ!』
『猛田くんのアンチ、キモすぎ! 死ね!』
『よし、もう俺が行く! とどめをさしてやる!!』
同接が2億を超えた。
戦い……というか、猛田の公開処刑が始まったと同時、
一気に、倍以上に視聴者の数が増えた。
みんな、現金だね。
とりあえず、もう猛田も動けなくなっているし、
今日のところは、こんなもんかな。
『頼むぅう! トドメをぉお! あと一歩なんだ!! それで、そのクズを殺せるんだ!!』
熱量すごいな……
アンチの中でも最高位になると、もはや、熱狂的なファンがドン引きするレベルの暑苦しさになるんだよね。
★
最終的に28億まで伸びてくれた。
炎上動画と合わせて、猛田一人で51億もかせいでくれたことになる。
現在の合計が63億!!
猛田、ありがとぉおお!
君の貢献には心から感謝させてもらうよぉ!
特にお返しとかはしないけどねぇ!
……さ、というわけで、ガチャを回そうか。
猛田が稼いでくれたあぶく銭だから、気楽にまわせるわぁ。
お金でもなんでもそうだけど、
『必死に稼いだもの』と、
『降ってわいたようなもの』だと、
……やっぱり、全然重みが違うよね。
「頼むぞぉ……レベルが100万ぐらい上がるアイテム、来い!!」
と無茶なお願いをしつつガチャを回してみた。
すると、
「ん? また指輪か……『指輪しか出ない』とかじゃないよな……」
エグゾギアの時と同じように、
頭の中に情報がインストールされていく。
……名前は……毘沙門天の剣翼の指輪。
また、ごつい名前だな。
とりあえず、
「毘沙門天《びしゃもんてん》の剣翼《けんよく》……顕現《けんげん》!!」
顕現させようとしたのだが、
やはり、そのためのMPが全く足りなかった……
だろうな、そうだろうと思っていたよ。
ああ、めんどうくさい……
俺はまた、いつものメンバーを集合させた。