俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
8話 毘沙門天、やば……
決戦場で、『田中の王様』を使用し、
レベルを6002まで上げたうえで、
毘沙門天の剣翼を使ってみた……
しかし……
「えぇ……うそぉん……使えねぇの? レベル6002で? うそだろぉ……」
レベル6002の爆裂なMPでも使えない……
この指輪、どんだけの激重コストなんだよ……
人類に使わせる気ねぇじゃん……
「うざぁ……えぇ、じゃあ、実質ハズレじゃねぇかよ……」
一応、ためしに、エグゾギアを使って、
レベルを8002にした状態でも試したが、
うんともすんともいわなかった。
ナメやがって……
「最悪だ……豪快にハズレを引いた! 名前だけはイカついけど、使えないなら意味ねぇ! 俺の50億ぅう! 返せよ!! 俺の50億を返してくれよぉぉお! 後生だからよぉおお!」
あぶく銭だろうと何だろうと、懐から金が消えれば絶望の底に沈むもの。
……ちなみに、泣き喚いたあとで、
閃化したアダムにも使わせてみたけど、うんともすんともいわなかった。
……レベル12000で使えないアイテムってどういうことだよ!
ただの飾りか、これぇ!
中坊じゃねぇんだからよぉ!
指にシルバーまいて、オシャレしている場合じゃねぇんだよ!
何が毘沙門天の剣翼だ!
ただの飾りに大層な名前をつけてんじゃねぇええ!
★
一通り喚き散らかしたあとで、
俺は冷静に、この先のことを考える。
「ガチャはやっぱりだめだ……ハズレを引いた時の精神的ダメージがでかすぎる……」
とはいえ、『レベル530000の敵』をどうにかする手段は浮かばないんだよなぁ……
「そもそも、あと数日で38億稼げるのかって話もある……もう、バズらせるネタねぇよ……」
猛田を追い込んでジュリアに救わせるのも、いい加減、限界だ。
もちろん、まだまだ再生数は取れるけど、さすがに、もう爆発的なバズは見込めない。
2億か3億ほど回って終わりだろう……
……それじゃあ話にならねぇ。
「なにか……もっと、決定的にバズれる何か……」
俺は必死に悩んだ末に、
「やるか……禁断の……あれを……あれだけは……やりたくなかったが……」
そこで、それまで黙っていたロキが、
「いったい、何をなさるので?」
「……今回は、お前たち上級配下にも、一肌脱いでもらおうと思っている」
「なんでもお申し付けください。私はあなた様の妻。どんな命令であろうと、必ずやご満足いただけますよう、注力させていただきます」
★
というわけで、坂田をたきつけて、日本一の高級スパリゾートにやってきた。
さすがに俺から切り出すのは無理だったので、坂田に、水着になる前に一肌脱いでもらった。
一泊18万という、庶民を完全に無視したこの施設を、
協会の力で貸し切りにしてもらった。
これで、堂々と配信ができる。
今回はお馴染の傾国部隊だけではなく、ロキとジャンヌダルクとゲムゥシャにもきてもらった。
もちろん、彼女たちに対して周囲のメンツも『え? 誰?』となっているが、
『海外から最高級コンパニオンを、坂田が呼んだ』ということで通した。
「え、どういうこと?」
と、坂田が何かほざいていたが、無視する。
この世界の危機なんだから、黙ってろ。
こいつらが水着にならないと世界がやばいんだよ。
……そんな世界は滅んでしまえ、とも思ったが、
俺は理性を振り絞って、今回の水着回を成功させようと思う。
ここに集まっているのは、世界屈指の美女たち。
その彼女たちのお色気回だ。
数字が回らないはずがない。
彼女たちだけじゃない。
猛田を筆頭に、レベル100超えの男たちは、みんな、バッキバキのいい体をしているから、女性人気も獲得できるはずだ。
俺にもプライドがあるから、この禁じ手だけは避けたかったが……
なんせ、俺の体だけもやしなんでね……
俺だけレベル5なもんで……
もうハッキリ言ってしまうが、今回に関してはオチもヤマもへったくれもない。
ただただ、美しいみんなの体で再生回数を回そうというゲスい魂胆だ。
バカにしたけりゃすればいい。
こっちは世界の命運がかかっとるんじゃい。
この狂気的な華やかさをお届けしたところ、
コメント欄は沸きに沸いた。
『えぐいだろ、マジか』
『美人しかいないんだが』
『カルマ、お腹、バッキバキ……ジュル』
『傾国部隊の水着がただ見られるなんて……これはせめてもの赤スパです!』
『……傾国部隊の面々に匹敵するヤバい美女が何人もいるんだけど……どこの人? どこかのモデル?』
同接は余裕の1億超え。
最終的には、8億まで伸びた。
総再生数は39億。
ジュリアの水着だぞ……もっと回れよ。
まあ、ともかく、これで52億……
さて……ガチャ……どうしよう……
最後に一回だけ……いや、でも……
次は当たるかも……
いや……でも!