俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
15話 華日。
ジュリア(ゲムゥシャ)の拳が、先頭の敵兵を粉砕する。
ロキの魔法が、後方の陣列をまとめて焼き払う。
ジャンヌダルクの盾が、突撃してくる重装兵を軽々と弾き返す。
そして――アダムはというと……
「……オーラドール・アバターラ・スカーレット」
静かに唱えた瞬間、彼女の輪郭が、いくつもの影に分裂していく。
あっという間に、10体の分身を出したアダム。
どれもこれも、寸分違わぬ本人の生き写し。
同じ美貌、同じオーラ。
「ぶ、分身とかできたんすね……すごいっすね、相変わらず」
驚く俺をよそに、アダムの分身たちは、一斉に、空へと舞いあがった。
そして、両手を、十万の軍に向けて、
「「「「「「「「「「「――華日《はなび》・異次元砲《いじげんほう》」」」」」」」」」」」
本体合わせて11人の声が、綺麗に重なる。
次の瞬間、天が割れたかと思うほどの光の奔流《ほんりゅう》が、地上に降り注いだ。
えげつない光の柱が、戦場のあらゆる場所に、同時に突き刺さる。
地面が抉《えぐ》れ、大気が震え、視界が真っ白に染まった。
光が収まったあと、そこには、
――何もなかった。
10万の軍勢が、文字通り、この世から消し飛んでいた。
「……うわぁ……」
俺は、思わず、そう呟いていた。
普通にひいちゃった。
『アダム、えぐすぎっ』
『ガチ女神!』
『美しすぎて全俺が死んだ』
『10万人を一瞬で? は?』
『分身とか強すぎだろ』
『美しいのに、えげつない……ギャップやばい』
コメント欄が、これまで見たことのない勢いで加速していく。
同接が、天井知らずに伸び続ける。
――だが、俺の内心は、少しだけ複雑だった。
(まいったな……アダムが強すぎて、ジュリア(ゲムゥシャ)がまったく目立たない……)
アダムが強いのは、異世界軍から世界を確実に守れるという点では、非常にプラスの要素だ。
だが、このままだと、ジュリアが、すっかり日陰になってしまう。
せっかく、彼女の評価をあげる算段だったのに……
(……いや、まあ)
俺は、内心で、小さく息を吐いた。
(まあ、でも、普通に考えて、勝利することが一番大事だしなぁ……皆殺しにされたら、元も子もない。……アダムが強いのはマジで助かった。その現実を素直に喜ぼう)
欲を言えば、キリがない。
誰も死なずに、確実に勝つ。
それが、何よりも優先すべきことだ。
気づけば、同接は、8億を突破していた。
どうせなら、もっと増やそうと思い、俺は、
「アダムの凄さに震えているところ悪いけど……ここからが本番だ、全人類よ……まだ俺たちは敵の大将を倒していない。俺たちが勝つかどうかは……君たちの応援にかかっている。スパチャはしなくていい。とにかく、全員で見届けるんだ。この世界の結末を、人類の答えを」
芝居がかった声でメッセージを送る。
呼応するように、さらに同接が増えていった。
と、そこで、
敵軍勢の最後方から、玉座のような装飾を纏った戦車が出てきた。
その上に立つ、一際目立つ人影が、
「――すさまじい強さだな。私が出るしかないようだ」
整った顔立ち、しかし、その目には、傲慢さがにじんでいる。
その男は、堂々と、
「私は、この軍勢を率いる者!! 名はアルカイドである!! 私こそ、世界最強の神! 貴様らのような下等生物とは格が違う!」
アルカイドは、両手を広げ、自らのオーラを誇示するように吠える。
コメント欄が、少しだけ緊張した空気に染まった。
『こいつ、強そう』
『ここからが本番か?』
『アダム、大丈夫か……?』
視聴者の不安をよそに、アダムは、ただ、静かに、アルカイドを見据えていた。
よく見ると、なんだか切れているようにも見えた。
アダムは、
「世界最強の神は……主上様だけの、特等席」
驚くほど、冷たい声で、そう言った。
ぞくり、と、その場の空気そのものが凍りついたように感じた。
「足元にも及ばないゴミが……さえずるな」
彼女は、地面を蹴って、一直線に、アルカイドのもとへと突撃。
そのまま、雑なグーパンを一発。
――それだけで、アルカイドの体が、地雷でも踏んだみたいに、木っ端みじんに吹っ飛んだ。
紛れもないワンパン。
たったの、一撃で、敵の大将を消滅させてしまったアダム。
ボス戦と呼ぶには、あまりにもあっけない幕引き。
コメント欄が、しばらく、静まり返った。
――と思ったら、次の瞬間、爆発するように沸き立つ。
『えぇえええ!!』
『一撃……?!』
『ワンパンて!』
『アダム、マジで何者なんだよ!』
『ミスターZの一味、強すぎるだろ!』
『これが、地球防衛軍……!』
同接は、まだまだ止まるタイミングを忘れて伸び続けている。
俺は、仮面の下で、そっと息を吐いた。
「……勝った……」
俺は、誰にともなく、そう呟いた。
仮面の下で、少しだけ、笑みがこぼれる。
(……見せ場、全部持っていかれたけど……まあいいや)
などと思っていると、
また、世界の声が聞こえた。
《――Congratulations。異世界侵略軍を撃退したことで、砦トウシのダンジョン魔王としての格が『二つ星魔王』へと昇格しました》
《格が上がったことで、最上級配下のレベル上限が7000、上級配下のレベル上限が5000、ダンジョン配信者のレベル上限が3000に上昇しました》
《ダンジョンポイントで購入できる項目が追加されました》
《格が上がったことで、高級商品が少し安くなりました》
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・改造モンスターを創造する。
《1000万ポイント》
・超改造モンスターを創造する。
《3000万ポイント》
・好きなダンジョン配信者を強化する。
《1億ポイント》
・好きなダンジョン配信者に呪いを与える。
《1億ポイント》
・下級配下のレベルを底上げする。
《1億ポイント》
・配下のレベルをあげる。
《5億ポイント》
・ダンジョンを拡張する。
《5億ポイント》
・好きな配下にランダムなスキルを与える。
《5億ポイント》
・従順なNPCを創造する。
《50億ポイント》
・改造モンスターの格を上げる。
《50億ポイント》
・ダンジョンガチャを回す。
《50億ポイント》
・神器を創造する。
《70億ポイント》
・超神器を創造する。
《200億ポイント》
・固有スキル『名字を田中にする』を強化する。
《500億ポイント》
・従順な超高性能NPCを創造する。
《500億ポイント》
・九華十傑ガチャを回す。
《1000億ポイント》
・五聖命王ガチャを回す。
《1兆ポイント》
・三至天帝ガチャを回す。
《10兆ポイント》
・固有スキル『名字を田中にする』の真の力を解放する。
《99兆ポイント》
・全宇宙を演算している汎用量子計算機コスモゾーンにアクセスする。
《99兆ポイント》
・『ヨグ・ソトース』を召喚する。
《5京ポイント》
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殲滅ボーナスで『聖なる死神の剣翼』の指輪を獲得。