俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。   作:閃幽零

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16話 戦利品がえぐすぎる。

 

 16話 戦利品がえぐすぎる。

 

 決戦の様子を配信したことで、世界的に色々と大混乱になっていた。

 

 スマホを見れば、どのSNSも同じ話題で持ちきり。

 

『世界が終わるって言ってたけどマジかな?』

『アダム、すごかった』

『あれ、映画じゃなくて、ガチなの?』

 

 ネットのトレンドも、上から下まで、昨日の決戦の話題で埋め尽くされている。

 

 混乱の様子をニュースで見ながら、俺は玉座の間で一人、ほくそ笑んでいた。

 今回の決戦は、想像以上にバズり、合計100億再生以上を達成した。

 ウィンドウに表示された数字を、何度も確認してしまう。

 

「ためておいた89億とあわせて、200億近くまで増えた! ありがてぇ!」

 

 思わず、両手を突き上げてガッツポーズをとる。

 

 まずは、素直に喜びたい。

 これだけあれば、色々と選択肢が広がる。

 これまで、指をくわえて見ているしかなかった項目にも、少しは手が届くかもしれない。

 

 ……次に、労いの言葉をかけようと、俺は、玉座のかたわらに控えるアダムに目を向けた。

 

「アダム……いや、すごかったよ、本当に……ちょっとすごすぎて、引いたぐらい」

 

「あなた様ほどの王に褒めていただき、光栄の至り」

 

 アダムは、両膝をつき、うやうやしく頭を下げる。

 その所作の一つ一つが、相変わらず、絵になりすぎている。

 

「俺ほどって……君と比べたら、俺なんて、鼻くそみたいなものだと思うんだけど……まあ、いいや」

 

 いちいち訂正するのも、もう疲れる。

 この手のやりとりも、慣れたものだ。

 

 そこで、俺は、戦利品を確かめることにした。

 

 まずは、殲滅ボーナスの指輪。

 小さな宝箱の中で、鈍く光を放っている。

 装飾だけは、無駄にきらびやかで高級感がある。

 

「これは、さすがに、使えるよねぇ。なんてったって、撃破ボーナスなんだから。アダムと同等のアイテムなんだから」

 

 期待を込めて、そっと指にはめてみる。

 

 ――が、

 毘沙門天の剣翼と、まったく同じ。

 うんともすんとも、反応しない。

 

 田中の王様を使ってみるも、結果は一緒。

 

「……おいおい……使えないオシャレ装備が増えただけじゃねぇか。……成り金じゃねぇんだから、じゃらじゃら、指輪ばっかりつけれるかよ……」

 

 深いためいきに溺れる。

 このまま指輪コレクションだけが増えていったらどうしよう……

 

 ……もういい。

 指輪のことは忘れよう。

 せっかくの戦勝ムードなんだし、気持ちをプラスに切り替えるんだ

 

「ポイントで購入できるものが増えたんだよなぁ……もう、多すぎて把握するのも大変だ……」

 

 ウィンドウを開き、一つ一つ、確認していく。

 ずらりと並んだ項目の中で、ひときわ、俺の目をひくもの……それは……

 

「このダンジョン拡張って、ずっと気になっていたんだよねぇ……これ、もしかしたら……」

 

 俺は、たまったポイントを使って『ダンジョン拡張』を行うことにした。

 格が上がった割引のおかげで、本来の価格から、5億にまで値が下がっている。

 

 手持ちを考えると、これぐらいなら、痛くもかゆくもない……こともないが、許容範囲内。

 ウィンドウの購入ボタンに、指を触れる。

 

 ――ダンジョン拡張をすると、脳内を『理解』が駆け巡った。

 

「お、おお……」

 

 色々と、脳内に情報がぶちこまれたが、まとめると以下の通り。

 

 ・ダンジョン内のあらゆる施設のグレードが上がる。

 ・異世界軍との決戦場にバリスタなどの迎撃武器が用意される。

 ・決戦場で世界接続系スキルが機能するようになる。

 

「世界接続系……ようするに、これ、異世界軍団との戦いで……田中玉を最大火力で使えるってことじゃないのか?」

 

 頭の中に流れ込んできた情報を精査したが、間違いなくその理解で正しいと断言できた。

 

「よっしゃぁああ! 勝ったぁああ! レベル530000がナンボのもんじゃない! こっちは、128万人以上の田中さん艦隊だ! 最強無敵の田中玉でワンパンしてくれるわ! ふはーはっはっはっは!」

 

 思わず、拳を握りしめて天高く掲げてしまう。

 

「もう、勝ったようなもんだけど……まだまだ、ポイントが残っているし……できる限りのことはしておくか……」

 

 俺は、ウィンドウの下の方に目をやる。

 『スキル付与』の項目も、割引で値が下がっているのに気づいた。

 

「これも試してみるか」

 

 試しに、ロキ、ジャンヌダルク、ゲムゥシャの上級配下3人に、ポイントを使ってスキルを付与してみる。

 

 光の粒子が、三人の体を包み込み、やがて、すっと消えていく。

 

 その結果、

 

「マジ? 3人とも『閃化』覚えたの?!」

 

 驚くべきことに、3人とも、アダムと同じ『閃化』を習得した。

 一時的とはいえ、レベルが10倍になるとんでもない覚醒技。

 これで、上級配下全員が、一時的に、レベル数万オーバーの化け物になれる。

 

「あ、もう、これは楽勝だねぇ。勝ったわ。風呂入ってくる」

 

 

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