俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。 作:閃幽零
24話 俺は強すぎ……え?
「がっはぁあああああああ!!」
全身に……異常なほど力がみなぎっていく。
ありえないほどの波動。
とんでもない『元気(レベル)』で、脳が加速していく。
俺の覚醒をうけて、ゾーコの目が丸くなる。
「な……なにが……」
彼女の恐怖が伝わってくる。
俺のセンサーが異常なほど過敏になっている。
感じるよ、ゾーコ。
あんたは、これから死ぬ。
今の俺は強すぎる。
「感謝するぜ、ゾーコ……あんたが認めてくれたから……俺は少しだけ高く飛べる」
「なんじゃ……なぜ、そんな……レベル128万? な、なぜ……」
「あんたの危機感は間違っていなかった……確かに、あんた視点じゃ、絶対に俺を殺さないといけなかった……そうじゃなきゃ……あんた自身が死ぬから」
そう言いながら、俺は、ゾーコの顔面にこぶしをつきたてる。
「がっはぁああ!!」
ぶっ飛んでいくゾーコを見ながら、
俺は、
「はぁぁ……」
多幸感に浸っていた。
暴力的な爆発的進化。
命の答えに触れたような気がした。
「ゾーコ様ぁあ!!」
ボンドが真っ青な顔で、
「き、貴様ぁあ! エグゾギア起動!!」
と、エグゾギアを身にまとって、向かってきた。
……お前も使えるんかい……
これ、異世界では流行ってんの?
とかおもいつつ、俺は、
ボンドの腹部に前蹴りを入れた。
別にそこまでしっかり殺す気はなかったが、
「が……は……」
腹部を貫いてしまい、そのままボンドは死んでしまった。
ちょっと、今の俺……マジで、強すぎるな……
と思っていると、ゾーコが、
「ぐ……ぐ……」
と、うめきながらも、なんとか立ち上がり、
「これは……驚いたのう。まさか、これほどの力を隠しておったとは……」
「逃げるなら追わないよ。俺はもう、あんたに負けることはない。こっちのボンドは……まあ、事故ってことにしてくれたらうれしいよ」
「どうやら、朕も本気を出すしかないようじゃな」
その言葉に、俺の心がザワっとする。
「……え、ちょっと待って……まさか、第二形態があるとか言わな――」
「……ゾーコ専用エグゾギア……起動っ!!」
宣言した直後、
ゾーコの全身を、凶悪なフォルムのエグゾギアが包み込む。
比べると俺のエグゾギアがおもちゃみたい……
「稼働限界時間は短いが……今の朕の強さは、レベル2000万以上に匹敵する」
「……え、ちょ……にせ……いや、ふざけ――」
「死ね、狂気的な力を持つ王よ……霊魂撃!!」
信じられない火力の右ストレートで、
――俺の全身がバラバラに吹っ飛んだ。
まるで、一般人が最高速度の電車にはねられたみたいに……
圧倒的すぎる力で……俺の体は粉砕された。
(これは……反則だろ……)
死んだと理解するまでにコンマ数秒。
いや。
理解、なんて言葉は、生ぬるい。
体という輪郭を失って、それでもまだ「俺」という何かが、バラバラになった破片の隙間で、確かに存在していた。
(いくらなんでも……理不尽すぎる……無理無理無理)
時間がどこまでも引き延ばされていく。
このまま過去にいっちゃうんじゃないかってぐらい。
真っ白な、何もない場所。
痛みすらも、もう、俺のものじゃない気がする。
(ふざけんなよ……)
最初に生まれたのは、怒りだった。
燃えるような、灼けつくような、真っ黒な怒り。
(せっかく覚醒したのに……2000万って……そんなもん何したって無理じゃねぇか)
どこにぶつければいいのかもわからない怒りが、行き場を失って、ただただ、内側で渦を巻く。