俺の終わってるハズレスキル『名字が田中になる』が、ダンジョン配信で不本意にバズってる。   作:閃幽零

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最終話 舞い散る閃光。

 

 最終話 舞い散る閃光。

 

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

 

 叫び声が、喉の奥から、意志とは無関係に、勝手に溢れ出てきた。

 

 日本中から、レベルが集まってくる。

 

 北海道から沖縄まで。

 名字が『田中』になった一億以上の人々。

 その一人一人から、ほんのわずかずつ削り取られたエネルギーが、途方もない奔流《ほんりゅう》となって、この場所に、たった一点に向かって、収束していく。

 

 まるで、天から、無数の光の糸が垂れてくるような感覚。

 

 その膨大なエネルギーは、生命エネルギーに変換されて、俺のバラバラになった肉片を、一つ、また一つと、鮮やかにつなぎなおしていった。

 

 千切れた指先が、繋がる。

 砕けた骨が、組み上がる。

 消えかけていた輪郭が、光の粒子を纏いながら、もう一度、輪郭を取り戻していく。

 

 燃えるように……輝くように、俺の全身が、またたいた。

 

 ゾーコが、その光景を、信じられないものを見るような目で見つめて、

 

「……し、信じられん……こんな……バカな力《レベル》……1億……2000万……じゃとぉ? そんなアホな数字……」

 

 その声に、確かな怯えが滲んでいた。

 

「さすがに……このレベルだと……使えるみたいだな……」

 

 俺の意識は、もう、これまでの俺とは、明らかに違う場所にあった。

 怒りも、恐怖も、まだ、体の奥でくすぶっている。

 でも、その全部を、今は、ただ一つの目的のために、静かに使う。

 

「毘沙門天の剣翼、顕現《けんげん》!!」

 

 ガチャで当てたアイテムを使ってみた。

 

 すると、背中に、後光のような荒々しい剣の翼が顕現する。

 白銀の刃が、まるで生き物のように、幾重にも重なりながら羽ばたいた。

 

 さらに!

 

「聖なる死神の剣翼、顕現《けんげん》!!」

 

 背後に、禍々《まがまが》しい漆黒の剣が出現し、毘沙門天の剣翼と重なり合った。

 

 白銀と漆黒。

 光と影。

 相反するはずの二つの神器が、俺の背で、一つの威容として結晶していく。

 

 そんな俺の姿を目の当たりにして、ゾーコが、震える声で数字を呟いた。

 

「レベル……3億8200万……」

 

「悪いなゾーコ……あんた怖すぎるから、情け容赦はかけられねぇ。恨むんなら、自分の強さを恨め」

 

「ちょ、待――」

 

 もう、言葉を最後まで聞く気はなかった。

 

 

 

 

「――舞い散る閃光の煌《きら》めき――桜華閃拳《おうかせんけん》――」

 

 

 

 

 魂の奥から膨れ上がった衝動と圧力を、拳の一点に込める。

 

 これまでの、全部。

 バカにされた日々。

 道化を演じ続けた夜。

 守れなかった悔しさと、守りたいという願い。

 その全部が、今、たった一つの拳に、収束していく。

 

 そのまま、ゾーコの全てを、まっすぐに貫いた。

 

 

 

「ずぁあああああああああああああああああああ!!」

 

 

 

 跡形もなく、陰すら残さず、ゾーコの全てが、

 

「―――――――――っ」

 

 ――この世から消えた。

 

 

 

 辺りに、静寂が戻る。

 

 残された俺は、静かな空気を肺に入れながら、

 

「……か……った……」

 

 実感のない勝利の中で、しばらく、ただ、漂っていた。

 

 勝った、という言葉すら、まだ、うまく自分の中に馴染まない。

 体は軽い。

 でも、心のどこかは、まだ、あの、死にかけた瞬間の記憶にしがみついたままだった。

 

 気づけば、足元に、アダムたちが並んで平伏しており、

 

「比類なき武神の輝き、この上なく尊き命の王よ。あなた様こそ、真なる最強。この世で決して並ぶものがいない……荘厳な流星の結晶!! あなた様が微笑むだけで、季節が芽吹く! ああ、美しき神よ! 私の王よ!」

 

「……うん……もう……否定する気力もねぇ……」

 

 すでに、すべての力が消えている。

 今の俺は、ただのレベル5。

 

 あー……ほんと、疲れたよ……

 

 なんて思っていると、また、世界の声が聞こえた。

 

 

 

《――Congratulations。異世界侵略軍を撃退したことで、砦トウシのダンジョン魔王としての格が『三つ星魔王』へと昇格しました》

 

《格が上がったことで、最上級配下のレベル上限が9000、上級配下のレベル上限が7000、ダンジョン配信者のレベル上限が5000に上昇しました》

 

《ダンジョンポイントで購入できる項目が追加されました》

 

《格が上がったことで、高級商品が少し安くなりました》

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

・改造モンスターを創造する。

 《1000万ポイント》

 

・超改造モンスターを創造する。

 《3000万ポイント》

 

・好きなダンジョン配信者を強化する。

 《1億ポイント》

 

・好きなダンジョン配信者に呪いを与える。

 《1億ポイント》

 

・下級配下のレベルを底上げする。

 《1億ポイント》

 

・配下のレベルをあげる。

 《5億ポイント》

 

・ダンジョンを拡張する。

 《5億ポイント》

 

・好きな配下にランダムなスキルを与える。

 《5億ポイント》

 

・従順なNPCを創造する。

 《50億ポイント》

 

・改造モンスターの格を上げる。

 《50億ポイント》

 

・ダンジョンガチャを回す。

 《50億ポイント》

 

・殺した敵大将を配下として蘇生させる

 《50億ポイント》

 

・神器を創造する。

 《60億ポイント》

 

・超神器を創造する。

 《170億ポイント》

 

・固有スキル『名字を田中にする』を強化する。

 《390億ポイント》

 

・従順な超高性能NPCを創造する。

 《500億ポイント》

 

・九華十傑ガチャを回す。

 《950億ポイント》

 

・五聖命王ガチャを回す。

 《8000億ポイント》

 

・三至天帝ガチャを回す。

 《1兆ポイント》

 

・固有スキル『名字を田中にする』の真の力を解放する。

 《9兆ポイント》

 

・全宇宙を演算している汎用量子計算機コスモゾーンにアクセスする。

 《9兆ポイント》

 

・『ヨグ・ソトース』を召喚する。

 《1京ポイント》

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

《さらに、殲滅ボーナスとして、『5000億ポイント』が配布されます》

 

 

《さらに、『侵略モード』が解放されました。今後は、防衛戦だけではなく、異世界へ攻め入ることも可能となる》

 

 

 

 ……こうして、俺の防衛戦は終わった。

 でも、どうやら、まだ戦いは終わりそうにない。

 

 勘弁してくれ……と思いながら、

 俺は、眠りについた。

 

 




ここまで読んでくださり、本当に感謝します!!
個人的にはかなり好きな作品なんですが、
皆様的にはどうだったでしょうか!
ちょっとでも楽しんでいただけたなら幸いです!

この作品の裏面ともいうべき、
「センエース(クラス転移に巻き込まれなかった教師は首になるが、『タイムリープできる権利:100万円』を得る)」
という作品の連載をしておりますので、
よろしければ、そちらも読んでいただけたらと思っております!

トウシたちの担任が、実は裏で奮闘していた、
という物語です(*^▽^*)

ハズレスキル田中の方を楽しんでいただけたのであれば、センエースの方ではもっと楽しんでもらえると思っております!


リンクを貼っておきますので、よろしければチラ見だけでも<m(__)m>
https://syosetu.org/novel/423517/
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