綾小路の目から見た高度育成高等学校だが、確かに普通の学校じゃないことが分かった。監視カメラの多さ、先生の立ち振る舞いにどこか違和感を覚えたのだ。
それに初日に10万ポイントも配るか? と疑問に思った俺は綾小路に言っておいた。
『甘い話にはしっぺ返しがあるもんだ』
綾小路自身があまり浪費する奴じゃないことが幸いだろう。
それで今、綾小路は堀北鈴音と部活動紹介を見聞きするために、第一体育館を訪れていた。
俺から見た堀北鈴音は今のところ棘のある少女。それでいて自分を正しいと思っている。それ以外に特に言うことはないが、あの様子じゃ友達は出来にくいだろうな。ただ、会話することは出来るらしい。現に綾小路と会話してるし。根は悪い奴じゃないんだろう。
「っ!」
「どうした?」
おっと、ここで堀北に異変が出たみたいだ。
『綾小路、堀北はどうしたんだ?』
『分からない。正直、表情が複雑すぎる。もう一声掛けてみるか』
「堀北。どうしたんだ?」
「……」
『ここまで集中する誰かが映ったんだろう』
『そうだな。声を掛けるのはここまでにするよ』
綾小路と堀北と共に部活動紹介を見ていた。そして、その男は現れた。
『ほう……』
男は何も発しなかった。1年生のカンペなど発言を受けてなお黙っていた。次第にそれは支配を生み出して1年生全員が静かになった。見事な力だと評価すべきだろう。
「私は生徒会長の堀北学と言います」
『『堀北?』』
堀北学の言葉は続いていく。生徒会に入るためには部活との掛け持ちは原則受け付けていないらしい。
「それから——私達は甘い考えによる立候補を望まない。我が校の生徒会には、規律を変えるだけの権利と使命があり、学校側に認められ、期待されている。そのことを理解出来る者のみ、歓迎しよう」
そう言って堀北学生徒会長は舞台を降りて体育館を出ていった。のんびりした司会者のおかげで張り詰めた空気は徐々に消えていく。
『空気を支配して、自分だけのフィールドを作る。凄いな……』
素直に感心するわ。
その後は須藤、池、山内の3人が綾小路の前に現れる。その3人と会話して、綾小路はグループチャットに入ることが出来たのだった。
堀北は1人で人混みの中、去って行ったが。
綾小路に憑依して、入学してから1週間が経過した。いやぁ、やっぱりご飯は美味いことを実感する。特に綾小路が作る料理は美味しい。今日の夕飯も作って貰おう。片付ける時は分離すれば良いし。
『なぁ綾小路。弁当箱買って』
『何故だ?』
『昼も綾小路のご飯が食べたいんだ!』
『ほんと飯の話になると容赦ないな。本当に地球の飯が好きなんだな』
『愛着が湧きやすいからな。で弁当箱を……』
『分かった、考えとくよ。ただ、毎日は流石に無理だ』
良し、交渉という名のゴリ押しが出来た。
その時、遅刻寸前で登校し続けていた池と山内がやってきた。須藤も混ざって、いざ話を聞いていると水泳、女子の水着姿が見れることに興奮しているとのことだった。
『池は彼女欲しいんだよな? あれじゃ引かれるだけだぞ』
『……そういうものなのか?』
『そういうもんだ』
更に太目の生徒、『博士』まで加わり話はヒートアップする。その内容に正直俺は引いていた。ただ綾小路は視線を池達から離さない。
『もしかして会話に加わりたいのか? だとしたらやめておけ』
『? 何故だ? 友達の輪に入る絶好の機会だと思うが……』
『綾小路は女子達から冷ややかな視線を受けても大丈夫か?』
『……それは、ちょっと困るな』
「おーい、綾小路~」
すると池から声が掛かった。無視するわけにもいかず、綾小路は池達がいる方向へと歩みを進めた。
「な、なんだ?」
「実は今、女子の胸の大きさで賭けようってことになっているんだけどさ」
「オッズ表もあるやで」
俺は盛大に溜め息を吐いた。こいつら女子がいる教室でやるとは……。最優先は綾小路の安全の確保だが。
「これはやっても良いことなのか?」
「何言ってるんだよ。やっても良いに決まっているだろ。遊びなんだしさ」
池の何気ない一言が男子達を動かしたのか、徐々に集まっていく。女子からは物凄く冷たい視線が飛んでくる。
『どうする? 俺は綾小路がどんな選択をしようと尊重するが……』
『流石に、この先ずっと狭い思いをするのは嫌なんだが。男子としてこれは普通なのか?』
『普通か……確かに男子の欲望という面を見れば普通だ。ただここは教室。女子達もいるわけで、現在女子達は傷付いているわけだ』
『……確かに女子達にとっては嫌な話か。傷付けるようなことはオレの本意ではない。だが断り方も、止め方も分からない』
『綾小路、そこはこれから学んでいけば良い話だ。俺なりになるが、断ってみるか』
『……良いのか?』
綾小路は期待している風に聞いてきた。
『まぁ、期待されたら応えたくなるだろう。俺に任せとけ』
『……ああ、任せた』
『それじゃあ、ちょっと借りるぞ』
綾小路が体を貸してくれた。
「おーい綾小路、返事を聞いていないんだけど」
「悪いな。それで返事は断らせてもらうよ。ついでに言えば……女子を使った賭け事はやめないか?」
俺が言葉にした瞬間、教室中の空気が凍った。男子は俺のことを異物として見るようになったが、問題は無い。
「な、なんでだよ。友達なのにノリ悪いなぁ」
「そうだぞ。遊びなんだから良いだろ」
「いいや、良くないね。それにこれは友達だから、お前達のために言っているんだぞ」
「「えっ?」」
反論する池と山内、内心そう思っている男子達が固まった。俺は今この状況を利用する。
「お前達の欲望を否定するつもりはない。ただこういうのは己の胸に仕舞って、こっそりやるものだ。教室で、しかも女子達がいるのに話すことじゃない」
俺は自らの胸を指さして言葉にした。
「で、でもよ……」
「それにこんな話をされた女子達は傷付いているんだ。こんな賭け事で女子達の信頼を失って良いのか? 俺は嫌だね」
「「……」」
男子達は完全に言葉を失った。最後に博士に何か言っておくか。
「博士、お前は今日体調が悪いんだよな?」
「えっ?」
「別にそれで見学するのは良いが……変なことするなよ? 分かったか」
「っ……はい……」
良し、これで言い終わるとしよう。男子達も反省……していると良いが、まぁ散っているから良いか。俺の目的は断りつつ、この賭け事を止めることだからな。
意外そうな女子達の視線だけが気になるが、目立っちまったかな。取りあえず、いくらか平気ですよって顔をして席へと戻った。
『終わったぞ、綾小路』
『そうだな。少々目立ち過ぎた気がするが、見事だった』
『じゃあ戻すぞ』
俺は綾小路に体を返した。見れば男子達は散っており、賭け事もしないことが分かるだろう。
まぁ一件落着だけど、女子の水着姿はお預けだろうな。
事実、水泳の時間になると女子は見学に回った者が多く、池と山内の嘆きと単純さには頭を抱えるのだった。
綾小路と出会ってから、入学してから3週間が経過した。
俺はこの学校とDクラスの生徒達が嫌いだ。何故かと言えば先生方の放任主義みたいなやり方、生徒達の自由を履き違えた無法地帯にはうんざりしているのである。綾小路はこれが普通かと聞いてきたから、そんなことはないと言っておいた。
いくら前世でもここまで放任主義を極めた学校は見たことないし、生徒達が授業中にも関わらず私語が多いのは真面目に授業を受けている生徒に失礼だ。
そんな放任主義と無法地帯で混沌を極めていたこの教室では、現在みんな真面目に小テストを受けていた。
成績表には反映されないらしい。逆に言えばそれ以外には反映されるみたいな言い方だ。まぁ綾小路も分かっていると思う。
それで綾小路の答案を見ているわけだが、高難易度の問題は解けてるのに基礎の問題が解けてない異常事態が発生していた。
集中している綾小路には悪いが、声を掛ける。
『何やってんだ?』
『小テストだが』
『いや違う。答案だよ。なんでこんなにぎくしゃくしているんだ?』
『50点を狙っているんだ。平均らしい点数だろ』
『あのなぁ……』
俺は別に真面目にやれとは言わない。綾小路にも理由があるだろうから。だけど、お節介だが言葉にした。
『50点を狙うならなんで基礎問題を間違えて、高難易度問題を解けてるんだよ。それで50点取ったら何がなんでも怪しく見えるぞ』
『!?』
『それに普通は狙っても、自然でも50点を取るのは相当難しいんだ。普通の人間でも綾小路みたいに手を抜くにしても、50点にするのは悪手だと思うけどな』
『なん……だと……』
『ほら、時間が無いぞ』
『言われなくても!』
綾小路は全力で高難易度問題の答案を消して、基礎問題をある程度解いた。しかしそこでタイムアップ。答案はそこで回収された。
『これでなんとか……』
『まぁ、なんで高難易度問題を消されてるんだっていう疑問は残るけどな』
『ぐはっ!?』
こうして小テストは終えた。
5月1日。支給されたポイントは0だった。
・評価関係なく続けられたら続ける、感じです。
・次回を投稿した時にアンケートは締め切ります。
仮面ライダービルド本編の登場人物を出しても良いですか?(最短第一巻の途中)
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出すべき!
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出さない方が良い……
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作者に任せる!