綾小路「優しく、器が広く、オレに常識と心を教えてくれた存在」
エボルト(オリ主)「俺は仮面ライダービルド本編のエボルトとは違う! と思う」
DクラスからAクラスを目指す。青春物語。
「エボルトオオオオォ!!」
俺は宇宙にいた。月に立って見た地球は青かった。
「ようやく地球か。いやぁ、長かったなぁ」
赤黒い体をしたコブラのような怪人である俺は、地球を眺めていた。
やっと着いたよ。前世の記憶を思い出した時からの悲願。もう一度地球に住んでみたいと頑張って宇宙に出た甲斐があったもんだ。
「おおっ、宇宙から日本も見るけどこんな感じなのか! 今は明かりが少ないから深夜辺りか? まぁ、見てようが関係ない。俺は流星になる!」
俺は月の大地から離れて地球、日本の海に向かう。大気圏に突入してただひたすらに降下していった。
だから言っただろ、流星になるって。
俺は日本の東京近くの海に着水するのだった。
着水して数時間くらいだろうか、俺は近くの陸地に上がることが出来た。あの怪人の姿のままじゃ大騒ぎするだろうから、今は赤黒のスライム態になっている。
さて、今の俺は前世の姿とテレビに映っていた姿に擬態出来るが必要なものが無い状態だ。それのスライム態のままで行動するのは窮屈だ。まずは衣食住、そして協力出来る人間を確保するか。
ある程度回ってみたが、学校を中心に色々なものがあった。ショッピングモールまであるからここは1つ街かそれに似た何かだろう。
外の様子を見ていると、生徒が姿を現した。まだ時間は昼前だというのに。桜が散っていることから4月辺りだろうが。一先ず人目の付かないように茂みを駆使して移動しよう。
移動して数分後、俺はとあるコンビニの出来事を静観していた。
「1年だからって舐めんな!」
そこにはいかにも不良っぽい赤髪の少年と絡んでいる上級生達。そしてその騒動に巻き込まれた無表情な少年がいた。
おいおい、不良っぽい少年も口こそ悪いが絡んでくる上級生もタチ悪いな。だが今は出られない。仕方ない、静観するほかないか。
不良っぽい少年と上級生達は言い争いをした後、どっちも去ってしまった。残ったのは無表情な少年と散乱したカップ麺の具材。
これは可哀想だな。少年は散らかった具材を片付けなきゃいけないわけだ。……監視カメラの無いところで擬態するか。
俺は人目のないところと監視カメラが無い近くの場所で『石動惣一』に擬態する。
「あっ、ああ……行くか」
俺はコンビニの近くにある物置小屋に向かう。そこには無表情な少年がいた。声を掛ける。
「よっ」
「? アンタは?」
「そうだな、親切なイケおじってところだ。災難だったな。助けられなかった代わりに手伝いをさせて欲しい」
「……ありがとうございます」
なんとか少年の協力出来て、俺と少年はコンビニに散らかっていた具材を片付けてゴミ箱へと捨てた。
今は石動惣一の姿で少年の隣を歩いていた。
「……イケおじさんはいつまで付いて来るつもりですか?」
「ゴミを片付けた仲じゃないか。それに、俺には居場所が無いからな」
「……アンタ、本当に何者だ」
少年は止まって俺を見つめてくる。無表情だが、その瞳には強い警戒心が露わになっていた。
流石にふざけすぎたか。地球に来て、どこか浮かれていたかもしれない。
「すまないな」
「違う、オレは知りたいんだ。アンタが何者なのか」
「と、言うと?」
「アンタはオレと須藤に起こったことを知っている風だった。だが、オレが見た範囲にアンタの姿は無かった。隠れられる場所も無かったはずだ。……だから、最初から不思議だったんだ」
「ほう。よく見ているんだな」
で、俺の正体についてか。……不安半分と期待半分を背負ってやってみるか。
俺は少年に近付く。少年はいつでも動けるように身構えている風であった。
「俺の正体。それは……お前の中で教えてやるよ」
「!?」
素早い動きで人差し指を少年の胸に当てる。瞬間、俺は擬態を解いてスライム態になり、少年の中に入り込んだ。
「消えた!? いや……」
『そうだ。俺はお前の中にいる。言っておくが、別に乗っ取りとか考えてないからな』
「……その言い方だと出来るみたいな言い方だな。はぁ……最悪だ」
『悪いな。だが一先ず普通に話したい。何処か良い場所は無いか? ちなみに念話も出来るぞ』
『……伝わっているか。ならオレの部屋に行くぞ』
少年が部屋へと向かって動き出した。
部屋に着いて中まで入っていく。
『着いたぞ』
『あいよ』
俺は少年の体から出て赤黒いスライム態から前世の姿へと擬態する。
「さて、これでまともな会話が出来るな」
「さっきとは姿が違う。どういうことなんだ?」
「この姿も、さっきの姿も数ある擬態に過ぎないんだ。まぁ、この姿で話す時は大体素だ。他はなりきっている」
これは本当の話だ。
「自己紹介しよう。俺の名はエボルト。地球外生命体だ」
「綾小路清隆」
「よろしくな、綾小路」
俺は右手を綾小路に向けて出す。綾小路は渋々右手で握手してくれた。まぁ警戒されるのは無理ないか。
「さて、俺の目的を話そう。別に大層なものじゃない。俺は地球に住みたい。これでも地球には愛着があるんだ。色んな人と話して、場所を巡って、美味しいご飯を食べる。それが俺の目的だ」
「……確かに大層な目的じゃないな。だが、良い目的だと思う」
「ありがとうな。ただ、俺には必要なものが全く無い。だから単刀直入に言わせて貰うと協力して欲しいんだ」
「……具体的には?」
「お前の体に居候させて欲しい。視覚と感覚は共有する形になる。俺はお前の体を借りて目的を達成する」
綾小路は無表情だが目を大きくさせた。ここは乗っ取るつもりはないことを伝えておこう。
「別に乗っ取りはしないさ。ただ、時々体を貸して欲しい。特にご飯を食べる時なんかは!」
「おっ、おお。……条件がある」
「なんだ?」
「オレの過去を詮索しないで欲しい」
「訳アリだって言っているもんだぞ」
「……実際そうだ」
綾小路が暗い表情をした。少年がして良い表情じゃないね。ただ過去を詮索しなければ良いだけの話なんだろうが、少しお節介をしよう。
「分かった、お前の過去は詮索しない。ただし、一人で背負おうとするな。もし一人で背負いきれない、それか俺を心の底から信頼出来るようになったらいつでも言え」
「どうしてそこまで言える? 初対面の人間だぞ、オレは」
「縁ってやつだよ。それにな、お前の助けになりたい俺のエゴみたいなもんだ。助けが必要ならいつでも言えよ。なんでもは解決出来ないが、一緒に悩むことくらいは出来る」
「……ありがとう。来い、エボルト」
「契約完了だな」
俺は擬態を解いて赤黒いスライム態へなり、綾小路へ憑依する。
『これで俺達は一心同体だ。何処か違和感は無いか?』
「いや、問題無い。ただ今日は色々とあった。エボルト、話し相手になってくれ」
『分かったよ綾小路』
ベッドへとダイブする綾小路。そのまま、東京都高度育成高等学校の話を聞くのであった。