5月1日、茶柱先生は生徒達をどん底に叩き落とした。
「ポイントは振り込まれた。このクラスだけ忘れたという幻想、可能性はない」
生徒達は困惑するが、意外にもこの状況を打ち破った生徒がいた。
『水泳の時も凄かったけど、誰だっけ?』
『高円寺六助』
高円寺はこの謎解きが分かったみたいだった。ズバリ、Dクラスには1ポイントも支給されなかった。10万ポイント支給されるとは初日から聞いていないと言った。実際、その通りなのだろう。高円寺の推理を茶柱先生は肯定した。
「……先生、質問良いですか? 振り込まれなかった理由を教えて下さい。でなければ僕達は納得出来ません」
平田が茶柱先生に質問する。茶柱先生は機械的な発言で、私語、携帯をいじった回数や遅刻欠席の回数を打ち明ける。更にこの学校ではクラスの成績がポイントに反映される。実力を測ると言っていたらしい。
まぁ、ここまでやらかしたんだ。綾小路含めて悪いと思うが、自業自得だ。
『エボルトの言う通りになったな。甘い話にはしっぺ返しがあるって』
『自業自得だな。連帯責任なのは、クラスで格差を作らないためか。それともこれも実力って言葉に引っ張られているのか』
俺と綾小路が話していると平田は茶柱先生に押されていた。説明されなきゃ納得出来ないと言うが、義務教育で散々悪だと言われてきたはずだと反論された。そしてポイントの増減については教えられず、社会と同じだと言う。その代わりに1つ良いことを教えてくれるらしい。
「仮に今月マイナスを0に抑えたとしても、減ることはないが増えることもない。つまり来月のポイントも0。だからどれだけ遅刻や欠席をしても関係ない、という話だ。どうだ、覚えておいて損はないぞ?」
この話が終わるとチャイムが鳴った。茶柱先生としてはここからが本題だった。
Aクラス 940
Bクラス 650
Cクラス 490
Dクラス 0
各クラスの成績表みたいなのが貼られた。綾小路も隣にいる堀北とそう解釈したらしい。
クラスは困惑と疑問に満ちる。平田がそのことを代弁すると、茶柱先生は口を開いた。
「段々と分かってきたか、お前達がDクラスに選ばれたわけが」
茶柱先生は困惑する生徒に答える。
「この学校では、優秀な生徒達の順でクラス分けされるようになっている。最も優秀な生徒はAクラスへ、最もダメな生徒はDクラスへ、とな。つまりここDクラスは落ちこぼれが集まる最後の砦というわけだ。お前達は最悪の不良品ということだ。実に不良品らしい結果だな」
茶柱先生はポイントを1ヶ月で全てのポイントを吐き出したのは初めてだと逆に感心していた。拍手付きである。
だけどこれで分かったこと、というか持論になる。
『なるほど。茶柱先生も不良品の一員なんだろう』
『どういうことだ?』
『茶柱先生は先生としての責任を放棄している。ただ生徒達をどん底に落としているだけに過ぎない。先生なら、今の状況を受け止めて、それでも真摯に説明すべきだと思うんだけどな。今やっていることは命綱無しで崖から落としているみたいなもんだ』
『そうか』
『茶柱先生の問題を学校側も把握してるだろうな。茶柱先生も何かしら欠点を持っている……それはお前にも、堀北にも言えることだけどな』
『オレにも、か。手厳しいな』
『人間、何かしら欠点を持っているのは当たり前だ。完璧な人間なんていないと思ってる。……それでも変わりたいと思うなら、いつでも協力するぜ』
『……考えとく』
茶柱先生の説明は続いた。クラスのポイントは金と連動しているだけじゃなくて、そのままクラスのランクに反映されるとのこと。
テストで1教科でも赤点を取れば、退学になること。小テストで赤点を取った生徒が意外といたこと。
そして——
「この学校に将来の望みを叶えて貰いたければ、Aクラスに上がるしか方法は無い。それ以外の生徒には、この学校は何一つ保証することはないだろう」
Aクラスを巡るクラスの競争が確定してしまった。
「中間テストまで後3週間。じっくりと熟考して退学を回避してくれ。お前らが赤点を取らずに乗り切れる方法はあると確信している。出来ることなら、実力者に相応しい振る舞いをもって挑んでくれ」
こうして茶柱先生は退室するのだった。生徒達は皆、俯ていた。
『1年Dクラスの綾小路清隆くん。担任の茶柱先生がお呼びです。職員室まで来て下さい』
綾小路が茶柱に呼ばれた。どうにも厄介事の匂いがする。しかし行かないわけにはいかず、職員室へと到着した。
そこで星之宮知恵と出会い、茶柱先生の知り合いでその会話も聞いたが、どこか違和感のある内容だった。まぁ、過去に何があっても今は気にする余裕は無いから。
その星之宮先生は一之瀬と呼ばれる生徒と一緒に離れた。綾小路は茶柱先生と共に指導室に入った。そして時間が少し経つと、綾小路を給湯室へと強引に入れた。静かにしなかったら退学らしい。
『いやぁ、怖いねぇ。先生のすることじゃない』
『はぁ……いったい何が目的なんだ?』
聞いていると堀北が来た。堀北と茶柱先生は会話をする。堀北はDクラスに配属されたことが不服であり、自分が正しい自信があるみたいだ。茶柱先生はそんな堀北に学校側の評価は正当なものであると主張した。今ある常識が駄目な日本を作ったとも言った。
『常識ねぇ……』
地球に来てまだ1ヶ月くらいだが、前世が日本人だったから常識については知っている。そして前世の地球とは違うかもしれない。
『確かに常識には穴があるものもある。人間が作ったのだから不完全だ。だがそういった常識っていうのは本来、人々が豊かで平和に暮らすためにあるんじゃないのか』
『エボルト……』
『人が違えば、善悪だって違う。結局常識だって扱う人間次第だ』
俺は自分の考えを綾小路に提示した。茶柱先生のような考え方もあれば、俺のような考えもあるって知って欲しかった。
堀北は茶柱先生とは話にならないと判断したのか改めて学校側に聞くことにすると言った。茶柱先生は堀北がAクラスに上がりたいことを知っていた。
しかし、なんで綾小路を呼んだんだ?
「ああ、そうだった。もう一人指導室に呼んでいたんだったな」
このタイミングで!?
「出てこい綾小路。……出なかったら退学にする」
ひっど。先生が退学を武器にするか。
綾小路は呆れた風に給湯室から出てくる。堀北は退室しようとするが、茶柱先生はAクラスに上がるヒントになるかもしれないと呼び止めた。
「さて、お前は面白い生徒だな綾小路」
「そこまで面白い生徒じゃないっすよ」
綾小路はあくまで普通だと言うが、茶柱先生はそうじゃないと言い切るように試験、テストの点数を暴露した。小テスト以外は全部50点を取っていた。それもかなり不自然な形で。
『何やっとんねん』
『急な関西弁やめろ』
「お前、意図的にやっているだろ」
「偶然ですよ。みんなの普通とは違います」
「どうだか。小テストも高難易度問題を解いていたじゃないか。あの消した答案で合っていた。……ここまで不自然なことが偶然で片付けられると思っているのか?」
ここまで目を付けられていたか。俺の想像以上の行動をしてくれる。
堀北も目を付け始めた。綾小路が言い訳をすると茶柱先生がそれを塞ぐような言葉を呟く。
『はぁ。綾小路、開き直るぞ。俺に貸せ』
『まじでか? ……本当は嫌だが、分かった。好きにやってみてくれ』
体の主導権を手にした俺は早速開き直ることにした。
「茶柱先生の言いたいことは分かりました。……はぁ、確かに俺は堀北、いや高円寺を除けば誰よりもDクラスで頭が良いかもしれませんね」
「!?」
「ほう、認めるのか」
堀北は分かりやすく驚いていた。茶柱先生も少なからず動揺している。
「ただし、茶柱先生の仮説は間違えている。真実は、本気でやってそれでも間違えた。それだけです」
「なに?」
本当は常識知らなくて50点で揃えたなんて言えないからな。茶柱先生にはちょっと悪いが、嘘で通らせてもらう。
「俺は本当に本気でやったんですよ。難しかった問題が解けて慢心したんでしょうね。猿も木から落ちるとはこのことです。小テストは本当に後悔してますよ」
「それだけだと? 本気で通ると思っているのか」
「通る、通らないの問題じゃない。50点を取った事実から考えた妄想に過ぎないんですよ。良い迷惑です、茶柱先生」
今度は茶柱先生も動揺した。最後は時間で誤魔化すとするか。
「こんな誰も得しない話をするほど茶柱先生も暇じゃないでしょ。俺と堀北は失礼します」
「……そうだな。私もそろそろ職員会議の時間だ。2人ともここから出ろ」
俺と堀北は茶柱先生に背中を押されて指導室から出る。
本当に茶柱先生には悪いことをしたよ。巻き込んでしまった堀北にもな。
「取りあえず……帰るか」
「待って」
「なんだ?」
「貴方が言ったことは本当なの?」
「……さぁな。本当かハッタリか、それを決める自由くらいはあるだろ。それにしても、堀北は随分とAクラスに執着しているみたいだが」
「……いけない? 就職や進学を有利に進めることが」
これは俺の勝手な考えだが綾小路にも共有しておこう。
『なんか、それ以外の理由がある気がするな』
『そうか……そろそろ体を返して欲しい』
『悪かった。ほら、返すよ』
綾小路に体を返す。ただタイミングが悪くて、堀北が勝手に協力してくれると解釈してしまった。
哀れ、綾小路。
仮面ライダービルド本編の登場人物を出しても良いですか?(最短第一巻の途中)
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出すべき!
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出さない方が良い……
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作者に任せる!