はやてが機動六課から姿を消して数時間が経過した。八神はやてを探索する隊員たちは焦燥感にかられながら四方八方に顔を動かして血眼になって彼女を捜すが手掛かりが見つからない、バイクに跨るティアナは警告音を耳にしてメーターに視線を向けるとガス欠が近いことを確認する
「………ふぅ」
店員に給油を頼むと彼女はヘルメットを脱いでスタンド奥の自販機に向かった。運転しながらの捜索は普段の任務以上に疲労を伴うので休憩することにした
「(間違えちゃったかな)」
走ってきた道路ではなく進路のことで彼女の夢は執務官になることで任務中に亡くなった兄の夢を引き継いだ、腐れ縁であるスバルと共に設立された機動六課で経験を積むことで夢への最短距離を突き進もうとしたが現実はアニメや漫画のように優しくなかった
「だからマジで落ちてくる女の子を助けたんだって!」
「ラピュタでも見てたか?」
ジープを運転しているシャマルに連絡しようした矢先、近くテーブルに座るライダーたちの会話が耳に入ってきた。どうやら誰かが廃ビルから身投げした女性を救助したみたいだ
「(……まさか?)」
その女性と自分たちが捜す隊長と結ぶのは早計だが、ティアナの目からしても八神はやての心身はボロボロに果てていたことが分かる
鏡台の前に座ったことない学生のような化粧は現場で働く隊員たちの中で話題になっていた。それが目の下に深く刻まれた隈を隠すためというのは副隊長たちが話しているのを立ち聞きしていた
「それってどこで見ましたか?」
「ここから西に18キロちょっとぐらいかな、スラム街との境にある―――」
少し食い入るように地図を広げて尋ねると目的の場所は六課から少し離れた場所にあった。隊舎にいるテスタロッサ兄妹から通信が届かないことを鑑みると手掛かりになる情報が入っていないことが想像できる
彼女はライダーたちに礼を述べると、バイクに跨って人気の無い場所で通信を繋いで仕入れた情報を伝えた。フェイトたちは狼狽していて瞳孔が開いたままだったが近辺にいる隊員に向かうように伝えた
「(クロノ隊長は凄いけど…)」
直属の上司だった隊長が再起不能になり急遽加入してきたクロノ・ハラオウンは執務官としての実績を十分に持ち合わせている。上司だった高町なのはのことを悪く言うつもりはないが比べてしまうと彼の方が指導者として向いていた。俯瞰し大局を見据える観察眼や作戦考案で必要な情報の取捨選択は座学では得られないことの連続で目から鱗が落ちるようだった
「(異動届けを出してみようかな)」
だが最近では機動六課にいることがマイナスに感じるようになってきた。魔導士として強くなったことを実感してきたが執務官を目指す経験が積めていないのが現状である。今のままでは組織にとって都合の良い人員になってしまうのではないかと考え込んでしまう。同室で腐れ縁のスバルに相談すれば話に尾びれが付いて確実にややこしいことが起きるのは自明の理であり、答えを見つけ出すことができない日々が続く
「…クロノ」
「いや、まだ決まった訳じゃない」
連絡を受けた2人は落ち着こうとするがコーヒーの入ったカップが震えている。現場に1番近いのはシグナムであり彼女からの連絡を待ちたいが、本音としては自分たちが今すぐに飛んでいきたいのが心情だ
「周辺に監視カメラは無いの?」
「本局が地上の防衛費を削ったことでスラム街に設置はされていない」
削った予算で次元航行部隊は新型艦船の製造に着手しクロノの同期が艦長と選任された。夜遅くまでアドバイスを求められ話し合っていたが家庭内が冷えてしまう結果を作り出してしまった
「近くの病院に連絡してみない」
「なんて尋ねる?機動六課の隊長が運び込まれたましたか?って馬鹿正直に言うのか」
「…ごめん」
余裕がなくて強い口調になってしまう。顔を俯かせるフェイトに彼は謝罪の言葉を述べることすらできなかった。カップの中身を飲み干して大きな音を立てて机の上に置くと自身の端末に緊急コールが鳴り響いた
『古代遺物管理部機動六課のクロノ・ハラオウンさんでお間違いないでしょうか?』
「あなたは?」
『こちらはクラナガン総合病院で事務を担当しています。ミヤコ・サイトウと申します』
「緊急コールで何の用ですか!」
平静を装っているが背中に冷たい汗が流れるのを感じた。そこは治療中の高町なのはが入院している病院であり、もしかしたら嫌な知らせなのかもしれないと思ってしまう
『機動六課隊長の八神はやてさんが来院されまして、随伴の男性から"彼女の着替えを持ってこい!"という通達を受けまして』
「………はっ?」
乾いて気の抜けた声をあげてしまい彼は持っていた端末を落としてしまい現実逃避しようとしていた。はやてが見つかったことは嬉しいことだが隠していたことが露呈してたことで六課の存続が危ぶまれる事態になる
クロノからフェイトに交代し事務員の口から言われた内容をメモ書きすると、捜索に出ている隊員たちに帰還命令を下した
「私が行ってくるから!」
世の中の95%は金で解決する。状態がヤバい受け入れたくない患者でも札束を肘の高さまで積めば病院は豪華な個室を用意してくれる
ゼストたちと別れてレンタカーを借りたミドラは毛布に包まって支離滅裂な言動で震えている八神はやてを病院に運んだ、強引な方法で入院させると看護師に頼んで機動六課へ連絡するように伝えた
「(返してもらえるか?)」
ロストロギアの売買を行う彼の稼ぎからすれば今回積んだ額は大きくはないが金は返してほしいものである。一応はお尋ね者の身なので相手が律儀に払ってくれるとは思えない、飲み物を買いに個室を出て売店に向かおうとすると
「…ミドラ君!」
「…っん?」
振り向くとそこには高町美由希が立っていた。送り届けた日から変わらず凛とした表情で身体に芯の通った強さを醸し出している
「あら、お久しぶりです」
「どうして君がここに?」
ヴィータの攻撃を受けて無傷だった人物が病院にいるのはおかしいと思うのは当然である。逆に彼はドゥーエから与えられた情報を記憶の底から掘り起こし、ここが高町なのはが入院している場所だと思い出した
「仕事の都合で立ち寄っただけで」
「…そうなんだ」
世間話をするような親しい間柄ではない、ほんの数時間だけ一緒に歩いて彼女を六課に送り届けただけなのに会話を交わしてから昔のことがフラッシュバックするようになった
「待って!」
足早に立ち去ろうとするミドラの手を握った美由希だが二の句が継げなかった。フェイトから彼の生い立ちについて聞いている。妹の友達が引き起こしてしまったことで家族を失い孤独の身となった彼に自分はどんな言葉を紡げば分からないが、口よりも先に体が反応していた
「なんのつもりですか?」
「君の時間を少しだけ私にちょうだい」
「何を話すつもりで?」
「なんでもいい、君のことを知りたくて」
妹は対話と称して拳を握り人を傷つける。他者からの伝聞では当人のフィルターが掛かってしまい真意を見失ってしまう。だから彼のことを知るにはサシで話し合わなければならない
「構いませんよ」
断るつもりだったのに真逆の言葉が出てしまった。彼女と話してから周囲を意識するようになり孤独に生きていたはずなのに自分は1人ではないことに気付かされた
もしかしたら今までと違う未来が訪れるかもしれない、根無し草で流れ雲のような生き方に変化が起きる兆しが近付いていると思い誘いにのった
八神隊長は無事に医療機関へ移送されましたが、クロノは頭を抱えることになり円形脱毛症寸前になってます。なのは作品なのに戦闘描写が少なく思いますな
感想ありがとうございます(おまちしてます)
お気に入り登録もありがとうございます
誤字訂正もありがとうございます
高町美由希の戦闘力は?
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ナンバーズに勝てる
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ギリギリ善戦出来る