あの後ゆっくりとした時間の流れのまま家につきワカモを招き入れた
「いらっしゃいワカモ」
「お邪魔いたします」
「荷物持って貰って、ありがとうワカモ助かったよ」
「これくらいであれば、何時でもお申し付けください貴方様」
「ありがとうワカモ。その時はお願いするよ」
ワカモから荷物を受けとり御茶を出した後少し休んだ
「では貴方様私はキッチンお借りしますね。少しお待ち下さい」
「うん、楽しみにしてる」
ワカモが料理をしてる間に少し日用品の片づけ、ふと外を見ると、逢魔時にしとしと雨が降っており、静かに優しい雨音を聞きながら懐かしい記憶を思い出しながらワカモに呼ばれるまで聞きていた。
「ご馳走様でした。とても美味しかった」
「お粗末様です。お口に合って良かったです」
ワカモが作ってくれたのは和食で肉じゃが、味噌汁に、卵焼きどれも美味しく箸が止まらなかった。
すっかり胃袋を掴まされてしまった。
「でも短い時間で良く出来たね」
「ふふ、時短になる方法もありますから、良ければレシピ教えますよ?」
「うん、それはありがたいよワカモ」
「その〜…また作りに来ても宜しいですか?貴方様に食べて欲しくて私は頑張りましたから」
「何時でも来て欲しいかな。迷惑で無ければ毎日でも食べたい位美味しかった。まぁワカモが良ければだけ」
照れながら言うのは反則では?可愛い
「はぅ…毎日…迷惑だなんてとんでもありません。嬉しです。本当に良いのですか?」
顔が熱いワカモの顔を直視出来ない恥ずかしい
「うん、ワカモさえ良ければね」
「すぐには無理ですが、何時か毎日でもお作りしますね」
「その日を楽しみにしないと…あ、今思い出した。前に先生がお土産でくれたプリンがあったんだ」
ちょっととわざとらしいが、熱くなった顔を冷ます為にそそくさとプリンを取りに行く
「あったあった。…しかし毎日食べたいとか言うくせにヘタレてこれか情けないと言うか何と言うか…まぁ今は良いかまだ」
限定プリンを持って戻る
「ワカモ、これが言ってたプリンだけど」
明るい月夜にしとしと雨が降ってるのを窓から眺めていたワカモに近づきプリンを渡す
「ありがとうございます貴方様、何時の間にか雨が降っていたのですね」
「みたいだね…」
「貴方様、もし良ければ連絡が途絶えた時のことを聞かせてもらえますか?」
「良いよ、ただ、ロマンチックな事はないけどね」
「まぁ、フフフ…それでもかまいません。少しでも、その…一緒に居たいと思ってしまって」
「解った。それなら、今日は一緒に居ようか、デザートには合わない話になるけど…」
「はい、ありがとうございます」
「月明りはあるけど、もう遅いし雨も降ってるから泊まっていって欲しいかな」
「…貴方様がお望みなら私は何時でも良いですよ」
「今日は寝かせないからね」
「えっち」
「なんでさ!」
くすくすと笑うワカモにまだ冷たい容器を当てて、デザートのつまみには血なまぐさい話と空白期間を埋める様に昔の思い出を話し、夜も更け深夜に差し掛かる。本来なら嫌でも来る明日に備え眠るだけ、しかし隣には寝支度を済ましたワカモが居た。
「貴方様?」
「あぁ~その一緒にベッドで寝る事になるとは思って無かったから」
最初はソファーで寝ようとしたがワカモの一緒が良いの一言で同じベッドで寝る事になった。
「お嫌でしたか」
「嫌ではないよ。正直嬉しいけど、一緒なのが小さい頃以来だからさ。どうしてもね」
あの頃とは違い互いに大人になりつつあるが故に、反応するのである
「確かにまだ小さい頃だけでしたね。少し大きくなってからは別々に寝ていましたから」
嫌で無いと聞いたワカモは少しだけ体を寄せる
「ワカモ…」
「…私は今日は漸く貴方様に会える事、嬉しく思いました。ですが同時に怖くなりました。あの頃とは互いに違う、私の知っている貴方様では無いのではないかと、貴方様の知る私では無い、嫌われたらどうしようかと不安でした」
「ワカモ、確かにお互いに成長してあの頃とは違う、だけ変わってないよ、久し振り会うワカモは綺麗になってドキっとしたけど、何も変わらない。照れ屋で矯正局に入る位不器用な所もある可愛いワカモだよ」
緊張しているのか震える体を抱きしめる
「だから嫌う事なんて無いよ、逆にワカモに嫌われないか不安だったかな」
「いいえ、貴方様を嫌う事はありません。あの頃同じく優しく包みこんでくれる貴方様を嫌う事はありません」
「ワカモもう一度言うね、僕とずっと一緒に居て欲しい。約束だ」
「はい、約束です。幾久しく貴方様とずっと一緒に」
優しくキスをして抱きしめる
「ワカモ」
「貴方様、私は覚悟は決めておりますから、その」
「エッチ」
「お嫌でしたか?」
「嫌じゃ無いよ凄く嬉しいよ」
夜が更け月夜のしとしと雨は優しく降り続けた。
月夜の天気雨、狐の婿入りなり