新作ロボゲー『ヴァンガードフレーム』で傭兵生活を始めます   作:ののじん

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10話 訳あり武器

「という訳でデト、500万貸してくれ」

 

「は?」

 

「という訳でデト、500万――」

 

「聞こえてるっつうのッ!」

 

「武器の1つや2つ、買っとかないと稼げないだろ」

 

 エリオに通信IDを教えた後、俺たちはレックピッカーに来ていた。

 

「おら早く出せって。飛べ、ほらぴょんぴょん、ぴょんぴょん」

 

「それが人にものを頼む態度かッ!」

 

 コイツ、ジャンプしながらキレるなんて器用な真似してるな。

 

「あとで倍にして返すよ。マフィアぶっ飛ばした報酬から取ってけよ」

 

「なぁ勝手にマフィアつぶして稼げるのか?」

 

「多分、金はため込んでるだろう。そいつが報酬だ。だが今のままじゃ不利だ。だから、ほかの傭兵を雇う金を稼ぎたい」

 

「当てはあるのか?」

 

「ああ二人な、一人はお前も知ってるだろ?」

 

「あいつヘタレだろ? 行けるのか?」

 

 エリンドは確かにヘタレだが、俺たちの後ろから撃ってるだけで仕事になる。当て感も避け感も悪くはない落ち着いていれば十分戦力だ。

 

「俺たちが前に出る。エリンドは後ろだ、前回と同じでいい」

 

「もう一人ってもしかして」

 

「ああ想像の通りだ」

 

 もちろんリヴェラの事だ。初めて倒した傭兵だ。あの時は装備を消耗していたから勝てたがフル装備ならいい戦力になってくれるに違いない。

 

「じゃあ装備を選ぼう」

 

「はぁ~、500万貸してやるから大事に使えよ!」

 

「ん、さんきゅー」

 

 生返事だなぁという声を横に武器を選ぶ。

 

 1000万Crだと廉価版一つか、ジャンク二つかだな、どっちにするかな。

 

「お前何買うの?」

 

「俺は中距離を埋める武器とミサイルが欲しかったんだけど、お前に500万取られたし、片方はジャンクだな」

 

 ミサイルは確かに欲しいな。しかし、ライフル系は絶対欲しいんだよな。うーんどうしようか。

 

「ん? ジャンク品でもスペック見れるのか」

 

 アサルトライフルから見ていく。

 

 どこに問題があるかが分かりやすくまとめてある。ジャム*1が起こったり、不発したり、装弾数が少なかったり、結構いろんな種類があった。しかも個体ごとに細かい数値が微妙に違っている。

 

「ジャッカル、か」

 

 それはアサルトライフルの名前だった。

 

 ほかのジャンク品よりまともな性能をしていた。発射レートがやや遅いが許容範囲内だ。精度、弾数、作動不良などの問題はない。600万Crと高いけどメイン武器だししょうがない。

 

 400万Crだとミサイルは買える種類が一気に少ない。ライフルを買う前に先に見ておくことにした。

 

 結果として、いいものはなかった。ローカストという4連装なのに3発しか射出されないミサイルで妥協することにした。弾を節約できると思うことにする。

 

「デト、そっちはどうだ? いい武器見つかったか?」

 

「悪くはないな。ウッドペッカーっていうショートカービンの廉価版とマルチロックできない6連装のマルチミサイルにする」

 

 マルチロックは戦闘ヘリや戦車など、数の多い雑魚敵をまとめて相手にするときには便利だが、UF相手ではあまり使わなかったしVFでも同じだろう。これからVFを相手にしていくことを考えれば、いい選択だと思う。

 

「買うもん買ったしまた稼がないとな。なんのミッションする?」

 

「まずはこの装備でどこまでやれるか知りたいな……何か簡単なミッションでも受けるか」

 

「傭兵会館近くに傭兵向けのシミュレーター使えるとこあるぞ」

 

「え、マジで?」

 

 シミュレーターか、盲点だった。考えてみれば、練習できるとこがあっても不思議じゃない。

 

「よし、そこ行くか」

 

「あーちょいまち、そろそろいい時間じゃん? 飯や風呂済ませておこうぜ」

 

 言われて時計をみれば、現実の時刻はすでに6時を過ぎていた。

 

「そうか、じゃあ7時半にフライングシープで合流しよう」

 

「おーけー」

 

 一度ログアウトしてオルプレの電源を落とす。

 

 椅子から立ち上がり、大きく背伸びをする。そこでようやく疲れていることを知る。

 

「思ったより集中してたな」

 

 少し休憩してから、階段を下りる。

 

「まずは風呂支度から始めるか」

 

 浴槽を軽く掃除してから、お湯を張っていく。

 

 さて、夜ごはんはどうするかっと……

 

「コンビニ行くかなぁ」

 

 よし、パパッと行ってこよう。自転車で片道5分の距離だ。

 

 財布と携帯をもって家を出る。

 

 目的地にはすぐ着いたのだが、珍しいことに、コンビニの入口付近に犬が座っていた。ポールにリードが繋がれている。

 

「黒柴か。かわいいな」

 

 俺はゆっくり近づいてから屈む。

 

 黒柴は賢そうでおとなしい。

 

 俺も動物を飼いたいのだが、家には俺と父さんしかいないし、帰ってくるのも遅い。当然、俺も学校あるから昼間は面倒見れないしなぁ。

 

 エサやり機とかあれば飼えるか? ああでもバイトもあるし、犬は散歩もあるし、あまり構ってやれないかもなぁ。

 

 猫ならいけるか? 今度父さんに聞いてみるか。

 

 そんなことを考えてると、コンビニから出てきた女子が近づいてくる。

 

「あ、一ノ瀬さん」

 

 反射的にそちらを見ると同じクラスの女子、一ノ瀬由衣だった。

 

「わ、渡会くん!?」

 

 あれ俺、名前覚えられてたんだ。

 

 一ノ瀬由衣。優しく穏やかで、整った顔立ち、まさに学年のアイドルだ。

 

 あまり話したことはなかったと思うけど……

 

「買い物?」

 

「はい、散歩のついでに」

 

「じゃあこの子、一ノ瀬さんの家族なんだ」

 

「はい、ユキマルって言うんです」

 

 ユキマルか、雪となんか関係あるのかな?

 

「かわいいね」

 

「……っ!」

 

「ん? どうかした?」

 

「な、なんでも……ない、です」

 

「そう、じゃあ俺はこの辺で。またね、一ノ瀬さん」

 

「は、はい、また」

 

 さて何を買おうか。

 

「飲み物はいつものにするとして……」

 

 ドリンクコーナーに向かうとレモンティーを2つかごに入れる。昔からレモンティーは外せないんだよな。

 

 そして今日のご飯は……お? 大盛カツカレー。おいしそうだし、これにするか。

 

 そうだ、ポテチも買っとこう。小さい奴。大きいと食べ過ぎるんだよな。

 

 よしこんなものだろう。帰って飯食って風呂入ったら早めにインできるかな?

 

 そんなことを考えながら会計を済ませてコンビニを出る。

 

 とにもかくにも軍資金を稼がないとな。だがジャンク武器2つだけでどの程度やれるかまだ分からないから、しっかり性能を把握しておかないとな。

 

 しかし、いよいよVF乗りだ。UFでVF向けミッションはきつかったからな。ま、楽しかったけど。

 

 あれがスタンダードになっていくのだろうが、VFってどれほど強いのだろうか? 楽しみだな。

 

 機体性能は丸い、だが弱いとは思わない。

 

 特化構成というのは分かりやすく強いと思う。ただ、どんなコンセプトの構成でも使いこなせる方が強い。

 

 なんでもできる構成を器用貧乏と呼ぶ人はいるかもしれない、でも使いこなせば、それは万能なんだ。

 

 今のパーツより性能がいいものはあるし、これから組み替えていくだろう。結果として性能が多少偏ることはあるだろう。だがバランスを大きく変えるつもりはない。

 

 結局、こいつを弱くするのも強くするのも俺次第だ。燃えるね。

 

 少し考えすぎたみたいだ。気が付けば家についていた。

 

 さあゲームに備えて、ご飯と風呂を済ませるか。

 

 俺は鍵を開け家に入った。

*1
弾詰まりのこと

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