新作ロボゲー『ヴァンガードフレーム』で傭兵生活を始めます   作:ののじん

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14話 学生の本分

 隣の席でデト、もとい悠真が突っ伏していた。

 

「がっこうだりぃー」

 

 あの後悠真と模擬戦してたら一瞬で時間が溶けた。

 

 そのあとミッションを一つ受けたが、VFってスゲーな。

 

 対UFの戦闘が一気に楽になった。さすがに数が多いと被弾は避けられないけど、終始こっちのペースだった。

 

 模擬戦の結果は8勝12敗だったけど、近接戦にまだ慣れてないうちに負け越してただけだから、戦闘能力自体は結構拮抗してたと思う。負けたことは癪に障るが……仕方がない。

 

 近接戦への切り替えが結構ムズくて、近接武器を持ってなくてもキックはできるわけだし、間合いやタイミングがかなり重要な要素だった。

 

 悠真も距離の詰め方に戸惑ってたけど、近づかれたらペースを持っていかれないようにするのに苦労した。

 

 手札が少ないから、これから増やしていかないとな。

 

 装備が整えば今度は勝つ。絶対に負けん。

 

「月曜始まったばっかだろ?」

 

「日曜が終わったばっかなんだよぉ…」

 

「仕方ないだろ、学生なんだから」

 

「若いうちは遊んでおけって言うだろ?」

 

「勉強しろとも言うだろ」

 

 そんな会話をしているとがらりと教室の扉が開きごつい男性教師が入ってきた。

 

 体格が良く、分厚い筋肉を持った巌の様な風貌なのだが、体育会系の性格かと思いきや物静かでかなり温厚だ。怒ったところを見たことがない。

 

 そしてそんな体型なのに、数学教師だ。

 

「ホームルームを始めるから席についてくれ」

 

 椅子を正して前に向き直る。

 

 挨拶と出席確認が終わった後に告げた先生の言葉でクラスの空気がどんよりした。

 

「君たちに残念なお知らせがある。来週から中間試験だからしっかり勉強しておいてくれ」

 

「うっわぁ、だりぃ~」

 

 先生の言葉を聞いた悠真が再び突っ伏した。

 

「赤点とったら補習があるからな」

 

 悠真と違って、テスト前はさすがにゲームはできんな。

 

 勉強は嫌いじゃない。

 

 幼いころから父さんと遊びの一環として勉強をしていた。

 

 例えば、紙に漢字を書いてそれを物に貼り付ける。

 

 父さんに何々を取ってくるように言われて、正しいものを持っていくと頭を撫でて褒めてくれた。

 

 小学生に上がってからはテストで良い点数を取るとお小遣いをくれるようになった。

 

 具体的には、平均点を基準に10点単位で金額が上がっていく感じで、100点が満額だ。

 

 小学生の頃は1万円。中学生の頃は2万円。そして高校生に上がると3万円。

 

 小テストの時は80点以上で貰えたけど、さすがに少額だ。1教科100円とかだったかな、今は500円だ。

 

 高いように思えるが、うちではこれ以外にお小遣いをもらうことはほぼない。

 

 お金は自分で管理しろという教育方針らしい。

 

 まあ勉強したよね。もらえるお小遣いは多いに越したことはないし。

 

 お菓子を我慢してゲームソフト買ってたのはいい思い出かもしれない。

 

 悠真ともう一人、公園で仲良くなった男の子と三人でよく携帯ゲーム機で遊んだなー。

 

 その子はある日ぱったりと来なくなった。連絡先を聞いていたわけじゃなかったから、どうして来なくなったのかは分からない。元気にしてるといいんだけど。

 

「それじゃあ、一時間目は化学だ。移動教室だから遅れるなよ」

 

 ホームルームが終わり化学室に移動するときに悠真に声をかける。

 

「テストが終わるまでゲームはできないから、よろしくな」

 

「ああ、勉強はしっかりしてるもんなお前は」

 

「お前がしなさすぎるんだよ。今回もしないんだろテスト勉強」

 

「あーやんね」

 

 今に始まったことではないというか、こいつは昔からテスト勉強をしたことがない。

 

 というか、普段から宿題以外の勉強はしていない。宿題もたまに忘れるけど。

 

 それでいて成績はそこまで悪くない。少なくとも赤点を取ったことがない。

 

 まあ、いい成績というわけでもないのだが。

 

「テスト期間中ヴァンフレやってるんだろ?」

 

「やるな、今最高に面白いとこだし」

 

「じゃあ、金を稼いでおいてくれ。あればあるだけ良い。使い道は3つある」

 

「あー、まあミッションは受けるつもりだったし、自然に貯まるんじゃん?」

 

「一つ目は雇用費だ。最低1億1000万、これは絶対だ」

 

「エリンドの分はいらないんだっけ? 可哀そうに」

 

「2つ目はお前の装備代だ。側近のマルコはお前に譲るから装備を整えておけ」

 

「お、マジで!?」

 

「まあどのくらい強いか分からないから、リヴェラと共同になるかもしれないな」

 

「わかった!」

 

「俺は指揮官を狙う。そのあとは残りのVFにあたる」

 

「大丈夫なのか? 枚数不利だぞ?」

 

 悠真の言う通り、ただでさえVFの数で劣ってるからな、正直不安は残る。

 

「そこで3つ目だ。UFプレイヤーを雇う。成功報酬も含めて一人1500万から2000万くらいを考えてる。賞金の分配がない代わりに前金の割合を高くする。3分の2を前金、残りを成功報酬にしようかな」

 

「いいな、参加するだけ得なわけだから集まるだろ」

 

「ただ、初心者が来る可能性もあるからどうしようかな」

 

「そこはほら傭兵会館の美人おねーさんに経験のあるプレイヤーに絞ってもらえないか聞いておくよ」

 

 なるほど、実績に応じた仕事を斡旋することもあるんだったけか。

 

「わかった。そこらへんは、任せた」

 

 ヴァンフレのことは悠真に任せて、しばらくは勉強に集中するか。

 

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