新作ロボゲー『ヴァンガードフレーム』で傭兵生活を始めます 作:ののじん
「由衣さま。朝食の時間です」
「はい今行きます」
布団の片づけを家政婦に任せて部屋を出る。
洗面室で顔を洗ってから茶の間に入る。
「来たか由衣。おはよう」
初めに挨拶を交わしたのは母の
「おはようございます。お母様」
「由衣さん、おはようございます」
私をさん付けで呼ぶのは父の
「はい、お父様もおはようございます」
漆塗りの盆には麦ごはんに秋刀魚の塩焼き、あさりのお味噌汁、だし巻き卵と小鉢がきれいに並んでいる。
「いただきます」
お味噌汁を一口飲むとホッとして落ち着く。
お母様がこめかみを抑える。
「お母様。また二日酔いですか?」
「……ああ少しな」
お母様はお酒が好きだから、家でも外でもよく飲んでいる。
護衛の人がいるし大丈夫だと思うけど、少し心配になる。
会社の幹部の方たちもお酒を飲む人が多いのでよく一緒に飲みに行くみたいだ。
視線を料理に戻す。
秋刀魚の頭側から身をほぐして食べ始める。脂がのっていて非常においしい。
「そういえば由衣」
ふと思い出したようにお母様がこちらを見る。
「好きな男がいるらしいな」
「……っ!」
秋刀魚の身が箸先から落ちる。
どうして!?
誰にも言ったこと無いのに!
行動だって誰にもばれないようにしてた……はず。
「なんだ、本当にいたのか」
は、はめられたぁ……
「そうですか……由衣さんにもそういう年が来てしまいましたか」
ちらりとお母様の方を見たお父様の眉尻が下がる。
「相手はどんな子だ?」
「ひ、秘密です」
「……そうか、今のうちに遊んでおくのは悪くない。異性との付き合い方も学ぶべきだ」
「でも、他の異性はその……怖いというか」
「
中学生くらいから異性を怖く感じるようになった。
成長して体つきが変わっていくにつれて、男子の視線が――痛い。
中にはぐいぐい来る人もいて立ちすくんでしまうこともあった。
でも困ったときは
だけど、一人だったらと思うと怖い。
雅奈ちゃんは代々続く武術の名家の生まれで、苗字を
藤代家初代当主は武術に秀でた武士だったが
そこを助けたのが一ノ瀬の軍勢。
恩義を感じた藤代は一ノ瀬家に仕えるようになった。
その後一ノ瀬家の武術指南を任されるようになり、3代目である藤代
藤代家では今でも、一部の技術を
雅奈ちゃんも幼いころから柳転流を学んできた。
同い年で、同性という事もあって中学から護衛として一緒に学校に通っている。
「それに、あの件もあったしな」
お母様の言葉に沈黙する。
「由衣さんはその好きな人とどこまで関係を築けましたか?」
「えっと……その、まだ全然……」
「はぁ……由衣は誠一君に似ているからな」
「そうですね、僕なら一生告白などできないでしょうからね」
私も想いを伝えられるか分からない。
そもそも気軽に話せる間柄になれてない。
「何か話せるようになるといいんですけど……お母様たちはどう知り合ったのですか?」
「ん? ああ、部活が同じだったんだ。剣道部でな」
「懐かしいですね。巴さんが入部したときの男子の熱気はすごかったですからね~」
「ふふ、当時主将だった誠一君との初戦で負けたことが悔しくて躍起になっていたが、ついぞ勝てなかったな」
「由衣さん、共通の話題などあれば仲良くなれるかもしれないですね」
共通の話題、かぁ。
やっぱり――
「……ゲームが好きみたいです」
「ふーん、良いじゃないか。由衣もゲーム好きだろ?」
「はい」
「最初の一言を切り出すのはとても大変だと思います。そういう時は話す前に
柳息は
静の呼吸と動の呼吸。そして瞬間的に二つをつなぐ転の呼吸。
「普段やっていることを繰り返すだけで大丈夫です。深呼吸より効果あると思いますよ」
「やってみます」
「それから……仲良くなったら、遊びにつれて来てください。父親として話しておきたいので」
「わ、わかりました」
「そういえば、そろそろテストなのだろう? 勉強の方はどうだ」
「多分、大丈夫です」
「まあ僕は勉強は最低限でもいいと思っています。将来やりたい職業があれば別ですが、働かなくとも一生養える自信がありますからね」
「社会に出て働きたいのなら私の会社に入るという選択肢もある。今のうちに考えておくことだ」
「はい」
「少し話が長引いてしまったな。ご飯も食べ終わったことだし、各々支度をしよう」
部屋に戻り、制服の袖に腕を通す。
「スゥ……フゥゥー……」
心機一転、渡会君と仲良くなるぞぉおおお。