新作ロボゲー『ヴァンガードフレーム』で傭兵生活を始めます   作:ののじん

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5話 UF二機、出撃

「えーっと……多分ここら辺のはずなんだけど。あそこか?」

 

 オルプレのフレンドから悠真にチャットで連絡を取っていた。

 

 集合場所はBAR”Flying Sheep”。

 

 空飛ぶ羊か。なんか、アホ面の羊が飛んでそうなイメージだな。

 

 中に入ると、灰色のオオカミ獣人の女性がカウンター席に座っている。

 

 ケモミミがついてる人族じゃなくて二足歩行してるタイプのオオカミの方が近い。

 

 ケモナー歓喜な見た目だ。

 

 ……かわいいじゃねぇか。

 

 こいつ女アバターにしたのか。

 

 隣に座り店主に声をかける。

 

「マスター、隣のこいつにミルクを」

 

「はい、お代わりですね」

 

「お! やっと来たか。待ちくたびれたぜ」

 

 獣人の女、ディトゥアから放たれる声が女性になってるのが凄い違和感だ。

 

「すまんな。どのくらい待った?」

 

「5分だ」

 

「あんま待ってねぇじゃねぇか」

 

「いや街には40分前から入ってたんだけど広すぎてな、ビルを目指して歩くだけで20分ちょっとかかっちまって」

 

「何だ、お前列車乗らなかったのか?」

 

「列車? 何々、そんなのあんの? しらねぇぞ」

 

「あれ? お前案内役いなかったの?」

 

「案内役ってなんだよ」

 

「いや、最初の戦闘のVF倒したら案内してくれただろ? あーもしかして負けた? もしくはとどめ刺しちゃった?」

 

「いやいや、俺が戦ったVF、途中で見逃してやるとか言って逃げたぞ。こっちの方が優勢だったんだけど。……あのフェルガ*1のオッサン、ダサかったぞ」

 

「え? アミニスじゃなかったの? はじめから分岐するの?」

 

「何だよお前いきなりVFに勝っちまったのか? 羨ましいぞ。それで、案内役って」

 

「案内役の女性がさぁ」

 

「ちょぉぉぉっと、待てぇえいぃ!!! おまえ俺が、やたら偉そうにしてる、うるさい口だけのオッサンの相手してる時に、何イチャついてんだゴラァアア。詳しく教えてもらおうか」

 

「褐色肌の姉御系お姉さんで、めっさ美人でさぁ、連絡先交換したんだよね」

 

「お前マジ許さん」

 

 マジトーンで切れてる。くわばらくわばら。

 

「いや……ほらさ、倒したら気に入られちゃってさ。……そ、そんなことより稼ぎに行こうぜ」

 

「はぁ……、ま、じゃあ行くか」

 

「ディトゥアはもう傭兵登録したか?」

 

「当たり前だろ」

 

「てか、ディトゥア呼びにくいな」

 

「あー、呼びやすさまで考えてなかったな」

 

「じゃあ、略してデトでいいか」

 

「いいんじゃね。分かりやすいし」

 

「じゃ決まりで。いったん傭兵会館に行って仕事を受けないとな。おっとその前に部隊設定しないと」

 

 部隊にデトを追加したあと、二人で再び傭兵会館に入る。

 

 端末を操作するとミッションが出てくる。ミッション選択画面はデトにも見えているようだった。

 

「なんのミッションがいい?」

 

「やっぱ戦闘だろ」

 

 選べるミッションはVF向けとUF向けがあるがどちらでも受けることはできそうだ。

 

「お、このミッション報酬良いぞ? 桁が一個高い」

 

 デトが選んだのは武装集団の拠点の殲滅だった。また道中の敵対勢力を撃破するごとに追加で報酬が入るみたいだ。

 

 依頼主はハルトマン・コンソーシアム。報酬は3200万Cr(クレジット)

 

「お前それVF向けミッションじゃんかよ」

 

「1人じゃねぇんだから、いけるんじゃねえか? 情報見る限り、相手はUFだろ?」

 

 まぁ別に失敗してもお金がかからないんだから問題はないか。しかもこのミッション山分けではなく、参加人数に応じて報酬が上がるみたいだ。その分キツそうだが……。

 

「まいっか。面白そうだし」

 

「じゃあ決まりだな」

 

「一番近い格納庫は東だな」

 

 列車に乗って移動すれば、格納庫はすぐだった。

 

「本当に一瞬じゃないかよ……」

 

「まぁ早めに知れたんだからいいだろ」

 

 格納庫の中に入るとたくさんのUFやVFが並んでいた。

 

 作業員たちが点検や装備の入れ替えなどをしており、声が行き交い、中々に活気がある。

 

 隅の方に端末がずらりと並んでいる。

 

 近づき端末にアクセスすると項目が出てきた。

 

 UF支給、所有機体呼び出し、アッセンブル、メンテナンスの4項目だ。

 

 もちろんUF支給を押す。

 

 13番ドック、スタンバイと出る。部隊登録しているため2機用意されてるみたいだ。

 

 HUDに表示されたマーカーを頼りに13番ドックに向かう。

 

 用意されたUFは初めて乗った機体と装備は変わらなかった。まぁあのUFの肩装備は壊されていたから、こっちの方が戦力としてはまともだ。

 

 右手がアサルトライフル、左手がバズーカなのは同じだが、右肩が小型ミサイルポッド、左肩が飛んでくるミサイルのロックオンを外すフレアディスペンサーだ。

 

「よし準備はいいかぁ? 俺は左に乗る。お前右だ!」

 

「どっちも変わらねぇだろ」

 

 右の機体に乗る。

 

『ハローワンダー。傭兵ID、照会完了』

 

 右の機体に乗ると起動シークエンスが流れていく。

 

『UF起動開始。姿勢制御、正常。推進機関、待機。戦闘システム、スタンバイ。UF起動完了。通常モードオンライン』

 

 カメラが起動していくUFを角度を変え映していく。

 

『戦術通信リンク確立』

 

「お? 繋がったか?」

 

『ああ聞こえるぞ』

 

 そして画面は三人称へ戻る。

 

『出撃準備完了。ドックゲート開放』

 

 COMが最後のセリフを終えると、機体を動かせるようになっていた。

 

『よっし行きますかぁー』

 

 HUDにマーカーが出る。

 

「UF出撃ー!」

 

 意気揚々と二機が目標に向かって走り出していく。

 

 依頼にあった敵対勢力の撃破だが依頼を受けた段階でIFFコードや識別情報がミッションデータに登録されている。

 

 敵は自動的に赤く表示されるから、遠慮なく撃っていいらしい。

 

 つまり今しがた表示された二足歩行戦車集団は敵だという事だ。

 

『敵性反応を確認。戦闘モード移行』

 

「デト、お前は左を頼む」

 

『了解!』

 

 UFの機体が大きいのか戦車が小さく見える。所謂雑魚敵なのだろう、HPは少なく、すぐ倒せる。

 

 だが、当たってはないが一発が重そうな砲撃をしてくる。火力は戦車の名に恥じなさそうだ。

 

「はいドーン!」

 

 弾薬を温存するため、隙を見てキックで倒していく。サッカーボールみたいに飛んでいく姿がシュールだ。

 

「こっちは終わったぞー」

 

『こいつで最後ッ! こっちも今終わった』

 

「何体やった?」

 

『24体だな。そっちは?』

 

「22体だ」

 

『一体10万クレジットか……まあ分かり切ってたけど、VFはしばらく買えないな』

 

「VFがいくらか見たのか?」

 

『軽量機体は6000万から9000万、中量機体は1億1千万から1億4千万、重量機体は1億6千万から2億4千万くらいだな』

 

「重量機体組む奴ちょっと大変だな」

 

『一応廉価版もあるらしいけど、やっぱりいいやつ欲しいよな』

 

 全力ブースト(フルスラスト)で道中の敵を倒しながら進むこと15分、ようやく目標地域に到達する。

 

『チュートリアルの時も思ったけど、マップ広いよな。VF基準だから仕方ないのかもしれんが』

 

「あ~俺はリヴェラ姐さんに輸送機で送ってもらったからな~、気にならなかったな~、一瞬で着いちゃったもんな~」

 

『その喋り方やめろ』

 

「へいへい。だが輸送機も買えるんじゃねぇかな。いくらするかは知らんが」

 

『なるほどな、確かに自分の足だと不便だしな』

 

「この不便さも醍醐味なんだろうけど、少し人を選びそうだよな」

 

『そのうち快適になるタイプのゲームと見た』

 

 雑談しながらも、俺たちは物陰に隠れて敵の数の把握に努めていた。

 

『18機か……多いな』

 

「性能は俺たちが乗ってるのと同じ。当然普通に戦うとかなり不利だ」

 

『1人9機だな』

 

「ねぇ、話聞いてる? まぁ別にいいけど、お前が先にやられたらバカにするからな」

 

『ちょっ、ひどくね』

 

「俺はあの西の建物の上から攻撃するから少し待て」

 

『了解』

 

 迂回して持ち場に着くとデトに合図する。

 

 デトは勢いよく飛び出した。

 

『くらえ! バズーカ!』

 

 奇襲にはいい攻撃だ。大ダメージを先に与え一機を確実に落とす動きだ。

 

『な、何事だ!?』

 

 まだ事態の把握をできていないらしく、かなり混乱しているようだった。

 

 デトが視線を奪っている間に、俺は明らかに指揮官機ですって機体カラーしてる奴にバズーカを撃ち込む。

 

『てッ、敵襲ッ!』

 

 敵がようやく事態に気付いた時にはデトは1機落としていた。

 

 だが、こちらも負けていない。指揮官機を素早く仕留めていた。

 

『た、隊長機が!』

 

 ここで気づいたのだが、どうやら背後からだとダメージが高いようだ。

 

「デト、UFは背中が弱点みたいだ」

 

『マジか! 了解』

 

 だが敵もバカではない。背中を見せない。まあ、こちらを向いているので見えないが正しいかもしれない。

 

「作戦変更、二人で一機を囲んで速攻で落とす。これを16回だ」

 

『確かに、そっちの方が早そうだ、なッ!』

 

 デトはバズーカを敵機に撃ち込んだ。硬直している敵にフルスラストで突っ込む。

 

 キックをかますと、一度横へクイックスラストする。背後からの攻撃を避けるためだ。

 

『だ、誰かこいつらを! 引き剥――』

 

 バズーカをたたき込んで黙らせる。

 

「次ッ! 右の孤立したやつを片付ける。挟み撃ちだ! 接近時にはミサイルを使っていけ!」

 

 俺の動きに呼応してデトが大きく迂回する。

 

 先に俺が正面から注意を引く。デトがミサイルを撃ったのを確認するとバズーカを撃つ。

 

 相手は当然避けるが、ミサイルの方は避けきれなかった。

 

『クソッ! こいつら、俺を! うわぁあああッ!』

 

 二人で火力を合わせるとあっという間に沈む。

 

『気をつけろよ。俺たちも弱点は同じだ。敵の射線は意識しろよ』

 

「そっちのHPは? こっちは8割ちょいだ」

 

『こっちも似たようなもんだ』

 

 敵部隊は統率が乱れているようだった。隊長機をやられたからかもしれない。

 

 これはチャンスだ。敵は固まっていない。

 

 それからも連携を取りながら丁寧に一体ずつ確実に倒していく。

 

 敵の連携が崩れているのでそこまで難しくはなかった。

 

『よっしゃぁあああッ! 最後の一機ッ!』

 

 デトが最後の一機にバズーカを放った。

 

『主要目標の達成を確認。任務完了お疲れさまでした』

 

 俺たちは無事ミッションをクリアしたみたいだ。

 

「意外とイケたな」

 

『だろ? この調子ならVFまで一気に近づくぜぇ』

 

「さ、帰るぞ……ん?」

 

『救難信号を受信』

 

 COMがそう告げる。

 

「救難信号だと。どうするよ」

 

『あー、もう報酬は貰ってるんだから、行くだけ行ってみてもいいんじゃね?』

 

 確かに。一理ある。じゃあ行っちゃうか。

 

「でも場所は?」

 

 その言葉に反応したのはCOMだった。

 

『発信源を特定。戦術マップに表示』

 

 COMって言葉理解するのかな?

 

「案内できるか?」

 

『HUDにマーカーを表示』

 

 すっげぇ。COMにもAI積んでるのか。

 

 俺たちは救難信号先へ向かった。

 

 マーカーに沿ってSOS先に向かうとVFとUFが戦闘していた。

 

『ん? 逃げてるのVFの方じゃないか?』

 

「あれ? 本当だ」

 

『IFF送受信。データ取得、対象1機を確認。PMCワイルドベル所属。パイロット、エリンド。増援情報を送信。戦術通信リンク確立』

 

『助けてぇえええええッ!』

 

 全力の叫びが機内に響いた。

 

 

*1
近接特化の獣人

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