ブルーロック 凡人憑依の大魔王 作:サッカーの魔王
(…………納豆、もう無理)
俺は後悔していた。あんな変な奴の口車に乗ってしまった事に。そもそも、あの時の俺はおかしくなっていた。絵心の演説……いや、あれはもはや洗脳だな。あんな怪しい奴の話を聞いただけで300人中の300人が全員参加するなんて、おかしいに決まっている。詐欺による話術って奴に引っかってしまったのかなぁ。
(……本当、思い返してみると、ここはめちゃくちゃだ)
寮に入ったらよく分からない基準で、299位と言われ。
そんで、後出しの説明で日本代表とかの話になって。
で、すぐにサッカー人生を賭けた"オニごっこ"が始まり。
よく分からない状況で、テンションとかが上がっていたのかなぁ。
気づけば、
……俺、テンションに身を任せて行動するクセでもあるのか?
……
こんな話をしているが、
トレーニングを終え、おかずが納豆しかない現状に現実逃避をしている俺であった。
「いいなぁ、納豆。俺なんてずっと、たくあんだぜ。」
コイツは五十嵐栗夢。みんなからは略してイガグリと呼ばれている。"オニごっこ"の時にしつこく邪魔してきたが俺は別に気にしていない。おかずがたくあんだけという、俺以上に悲惨な状況に同情しているが。コイツも言わば、絵心の口車に騙された被害者の一人である。
「良いよなぁ、ランキング上位者は…。見ろよ、アイツなんか餃子だぜ?」
……ずっと気になっていたんだが、何でアイツ箸使わずに素手で食ったんだ?
「そりゃあ、宗教上の問題か、熊に育てられたかの、どっちかだな」
何だその極端の二択。素手で食うマイナーな宗教か、漫画でしか見たことのない展開の二つとか。……あっ、漫画の世界だったわ、ここ。
◾️
(……寝れねぇ)
3日目の夜。トレーニングは相変わらずキツイが体が慣れてきた為、気絶するように眠ることが出来なくなった俺は眠れずにいた。
トレーニングはキツイし、納豆だけで力でないし、イガグリは寝相が悪くて邪魔だし。
……水でも飲も。……ん? 蜂楽か。 ……
最新ランキング?
◾️
「あ! 潔!」
俺と蜂楽が部屋に戻ったらチームのみんなが、ランキング欄を見ていた。
「見て見て、俺! ランキング300位からめっちゃ上がってんだけど!? ほら275位!」
えーーと。元が300位から275位だから25位も上がっているな。俺のは274位。…… 蜂楽は290位から265位。全員同じだな。
「言われてみれば…」
「やあやあ お疲れ、才能の原石共よ。青い監獄ブルーロック生活、楽しんでるかーい?」
(絵心甚八!)
絵心はモニターから手を振りながら、俺たちの様子を観察するような目で
そんで「B」〜「Z」の全チームは"オニごっこ"で、既に1人ずつ脱落している。
つまり、突発的な
そしてランキング順はそのまま、チームの構成になっている。1位〜11位が「B」で12位〜22位が「C」の上位層。そこから「D」「E」と続き、最後のチーム「Z」の俺らは下位層のさらに底辺層。つまり俺らは最弱のチームで構成された最も勝ちにくいチームで出来ている。
……が。俺には何となく、"違和感"がある。まず初めに思ったことがランキングのアルファベット。普通は「A」から始まるのに「B」順番である。まぁこれは、後から「実は極秘に進めていたチーム「A」が存在する」とかの展開があるのかも知れない。
もう一つ、何故ランキング上位者にも"オニごっこ"をさせたのか。今の絵心の説明的にトップランキングは扱いからして違うのに、何故そこだけ俺らと同じなのか。
他にも違和感があるな。
◾️
時は
「コイツは、こっち。コイツもこっち。コイツはこっち」
「…えっと、すみません。絵心さん」
「ん」
アンリの質問に、絵心は「取り敢えず聞いているよ」の生返事をした。
「このランキングですけど、どーゆー基準で決めているのですか?」
実際、帝襟アンリの目からみれば絵心甚八のランキングの選定はかなり雑に見えた。いや、別に適当な訳では無い。糸師凛や士道龍聖などの有望株にはランキングトップの順位きっちりと与えている。……だが、中から低ランキングにはかなり適当である。
「まぁ、実際のところこのランキング自体は嘘だからね」
「…それは知っています。壱、弐、参、肆、伍の5つ棟があり、壱号棟をトップにし、そこからランキングによって構成された5つチームをそれぞれの棟に配置する。けど実際は全てが伍号棟であり、その理由は世界一の
「あぁ、そうだ。
ちなみに最低限のチャンスとは、得点王が生き残るルール以外に、もう一つ存在する。実のところチームXからZまでの総合力には、決定的な差がある訳では無い。全てのチームに粒揃いを配置しており、これにより最低限の勝率を担保している。
「はい。ですけど、すでに実力のある選手にはチームXに入れると言ってました。なのに絵心さんが良いと言った何名かはチームZ。それも最下位の最底辺の順位にしてますよね」
実際、絵心はアンリがストライカー適正なしと判断した潔をわざわざ選んだのにチームZの299位に設定した。アンリとしてはどうにも納得がいかない。
「それね? 言っていなかったけど、チームZには最下位であると同時にある役目が存在するんだ」
「…? ある役目とは」
「その前に質問。
「えっ? 世界一のストライカーを育成する為にって」
「そう。その為にこの環境を作り出した。外とは隔絶させ、飢餓精神《ハングリーせえしん》を養わせる為に。では
「えーーと。お腹を空かせること?」
「……アンリちゃん、少しは文字の意味を調べた方がいいよ。……正確にはぬるまゆの日本では味わえない、圧倒的なストレス、負荷、絶望。そしてその状況を変える為の飢え、現状に満足せず、ただ真っ直ぐに、頂点を目指す精神状態のこと。これが
「……あっ」
「これも言わば実験だ。適正あるものが最も過酷な環境でどう適応できるか? 僕が欲しいのは適切に管理されて見た目だけが良いクズ野菜では無い。……それは誰も見たことのない、神か悪魔か。それとも想像がすらできない禁断の果実か」