世界は終わった。
いや。
正確には。
エボルトによって終わらされた。
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崩壊した大地。
焼け落ちた街。
そこに立つ一人の存在。
エボルト。
「……。」
静寂。
かつて自分に挑んできた者たちは、もういない。
シンフォギア装者。
人類。
この世界に存在した希望。
全て。
喰らい尽くした。
「いやぁ。」
エボルトは笑う。
「結構楽しませてもらったよ。」
目の前に広がる光景を見る。
「最後まで諦めない。」
「仲間のために戦う。」
「自分より他人を優先する。」
「ほんっと、人間って面白いよねぇ。」
一瞬。
別の記憶が蘇る。
桐生戦兎。
万丈龍我。
かつて自分に抗った仮面ライダーたち。
「……。」
「またかよ。」
小さく笑う。
「どこの世界にもいるんだな。」
「そういう面倒な奴らって。」
以前なら。
そんな存在はただの障害だった。
だが。
今のエボルトは違う。
感情を知っている。
だからこそ。
理解できないものを楽しめる。
⸻
その時。
世界が停止した。
「……?」
エボルトが空を見る。
時間が止まる。
空間が歪む。
「おいおい。」
「まさかここでイベント発生?」
現れたのは。
黒い王。
「私はオーマジオウ。」
「2068年の時の王だ。」
エボルトは笑う。
「へぇ。」
「王様ねぇ。」
「随分と派手な登場じゃない。」
しかし。
オーマジオウはエボルトの挑発には反応しない。
「確認した。」
「君の存在による歴史への干渉。」
「その規模は、ライダー世界群の維持へ影響を及ぼす。」
「故に。」
一拍。
「排除する。」
エボルトは目を細める。
「……。」
「なるほど。」
「俺が悪いから倒すんじゃない。」
「邪魔だから消す。」
「そういうこと?」
「そうだ。」
淡々とした返答。
そこに怒りも憎しみもない。
ただ処理。
エボルトは笑う。
「冷たいねぇ。」
「もう少し楽しもうとか思わないわけ?」
「必要ない。」
「君は歴史に対して過剰な影響を与えた。」
「それだけだ。」
⸻
光が走る。
エボルトの身体が崩れていく。
「……。」
消滅。
完全な終わり。
その直前。
エボルトは笑った。
「まったく。」
「最後まで予定外のことしてくれるねぇ。」
ほんの僅か。
細胞。
記憶。
存在情報。
それらを切り離す。
「でもさ。」
「俺を誰だと思ってる?」
「しぶとさだけは自信あるんだよねぇ。」
分体。
小さな可能性。
それだけを。
次元の狭間へ放つ。
オーマジオウはそれを見る。
「……。」
「残存した存在情報。」
「しかし、影響は限定的。」
追わない。
「処理を終了する。」
⸻
――そして。
何もない場所を漂う。
時間も。
空間も。
存在しない場所。
そこに。
小さな意識があった。
「……。」
声すら出ない。
身体もない。
力もない。
あるのは。
自分がエボルトであるという記憶だけ。
「……。」
まずい。
このままでは消える。
エボルトは理解する。
「参ったねぇ。」
「まさか、ここまで追い込まれるとは。」
だが。
諦めるという選択肢はない。
なぜなら。
自分はエボルトだからだ。
⸻
そして。
奇妙なことが起きる。
漂流していた分体が。
一つの世界へ引き寄せられる。
歌。
音。
生命力。
そして。
未知のエネルギー。
「……。」
エボルトは感じ取る。
「へぇ。」
「まだこんな世界が残ってたのか。」
そこは。
かつて自分が滅ぼした世界。
しかし。
時間は巻き戻っている。
まだ何も始まっていない。
響たちが戦う前。
全てが始まる前。
「……。」
エボルトは笑う。
「なるほどねぇ。」
「もう一回やれってことか。」
しかし。
今の自分には力がない。
身体もない。
なら。
まず必要なのは。
「器ってわけだ。」
⸻
夜。
一人の人間が歩いていた。
その足元。
黒い液体のようなものが蠢く。
「……?」
人間が振り返る。
次の瞬間。
影が伸びる。
触れる。
侵入する。
「悪いねぇ。」
声が響く。
「ちょっと身体、借りるよ。」
人間の意識が揺らぐ。
そして。
鏡に映った顔。
そこには。
人間の姿を借りた何かがいた。
「……。」
まだ完全ではない。
力も戻っていない。
だが。
存在している。
「いやぁ。」
新しい身体を確認する。
「やっぱり肉体があるって便利だねぇ。」
口元が笑う。
「さて。」
「ここからどう料理していこうかな。」
一度目は。
力で全部奪った。
二度目は。
違う。
まずは。
観察だ。
駒を動かす。
敵を利用する。
必要なら自分で戦う。
「せっかく二周目なんだ。」
「楽しまないともったいないよねぇ。」
怪物は。
まだ小さな姿のまま。
再び世界へ入り込んだ。
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