夜の街。
鳴り響く警報。
逃げ惑う人々。
そして。
その中心に立つ少女。
雪音クリス。
身に纏うのは。
ネフシュタンの鎧。
かつて人類が求めた絶大な力。
クリスはその力を使い、ノイズを操る。
破壊のため。
――そう見える。
だが。
彼女自身の中にある目的は。
それだけではなかった。
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少し前。
フィーネの言葉。
『争いを止めるには、圧倒的な力が必要なのです』
『誰も逆らえない力を持てば、人は争うことをやめる』
『あなたのその力なら、世界を平和へ導ける』
その言葉。
クリスは完全には信じていない。
しかし。
否定することもできなかった。
力があれば。
奪われなかった。
力があれば。
守れた。
力があれば。
世界から争いを消せる。
そう思い込もうとしていた。
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ビルの屋上。
ブラッドスタークは街を見下ろす。
「いやぁ。」
「随分と大義名分を背負わされちゃったねぇ。」
笑う。
「世界平和のための絶対的な力。」
「分かりやすい話だ。」
「……。」
「でも。」
目を細める。
「本人は本当にそう思ってるのかな?」
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地上。
風鳴翼が立つ。
「雪音クリス。」
「その力を止めろ。」
クリスは睨む。
「……またお前か。」
「その力で何をするつもりだ。」
「決まってるだろ。」
クリスは銃を構える。
「争いをなくす。」
翼の表情が変わる。
「……何?」
「私がこの力を使えば。」
「誰も逆らえない。」
「誰も戦争なんかできなくなる。」
しかし。
クリスはそれ以上を語らない。
フィーネの言葉を。
自分の本当の願いを。
誰にも明かさない。
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「それが平和だと言うのか。」
翼は刀を握る。
「力で押さえつけた世界など。」
「真の平和ではない。」
「綺麗事だな。」
クリスは吐き捨てる。
「力がない奴は。」
「そうやって理想を語る。」
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激突。
翼の刃。
クリスの銃撃。
ノイズの群れ。
その戦場に。
「おっと。」
軽い声。
「熱いねぇ。」
ブラッドスタークが現れる。
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「貴様……。」
翼が警戒する。
「また現れたか。」
「いやぁ。」
スタークは笑う。
「人気者は困るねぇ。」
「みんな俺を気にしすぎじゃない?」
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翼が斬り込む。
一閃。
しかし。
スタークは軽く身体をずらす。
「危ない危ない。」
「いきなり斬るなんて。」
「最近の子は怖いねぇ。」
「ふざけるな!」
翼は続ける。
しかし。
全て避けられる。
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「へぇ。」
スタークは翼を見る。
「君。」
「本当に真面目だねぇ。」
「でもさ。」
「正しいと思うことを守るために。」
「自分まで壊しそうだ。」
翼の動きが止まる。
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「余計なことを。」
「そう?」
スタークは笑う。
「まあ。」
「似たようなタイプは見たことあるからねぇ。」
それ以上は言わない。
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そこへ。
銃撃。
「邪魔すんな!」
クリス。
スタークは弾丸を避ける。
「おっと。」
「君も怒ってるねぇ。」
「私のことを知ったように言うな!」
「いやいや。」
スタークは笑う。
「結構分かりやすいよ。」
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クリスへ近づく。
しかし。
攻撃範囲には入らない。
「世界平和。」
「絶対的な力。」
「悪くない響きだよねぇ。」
クリスの表情が変わる。
「……。」
「でもさ。」
スタークは続ける。
「本当に世界のためだけなら。」
「なんでそんな苦しそうな顔してるの?」
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「黙れ。」
クリスは銃を向ける。
「私は……。」
一瞬。
言葉が詰まる。
「私は世界を平和にする。」
「そのために必要なことをしてるだけだ。」
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スタークは笑う。
「そっか。」
「なら。」
「誰にも言わないんだ?」
「その理由。」
クリスの手が止まる。
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その時。
「クリスちゃん!」
響が現れる。
ガングニール。
「またお前か……。」
クリスは顔をしかめる。
「バカが。」
「何で来た。」
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「クリスちゃんを止めるため。」
響は真っ直ぐ答える。
「だって。」
「そんな顔で戦ってる人を放っておけないから。」
「……。」
「本当にバカだな。」
クリスは吐き捨てる。
「何も知らないくせに。」
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スタークは響を見る。
「いやぁ。」
「相変わらず真っ直ぐだねぇ。」
「あなたも何なんですか!」
響が叫ぶ。
「何をしたいんですか!」
「俺?」
スタークは笑う。
「俺はただ見てるだけ。」
「君たちが。」
「どんな答えを選ぶのかね。」
⸻
響とクリス。
翼とクリス。
それぞれの信念。
スタークは眺める。
「力で平和を作るか。」
「誰かと繋がって変えるか。」
「一人で背負い続けるか。」
「面白いねぇ。」
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遠く。
フィーネはスタークを見ていた。
「ブラッドスターク。」
「余計な存在……。」
彼は。
装者の心に触れる。
しかし。
目的が読めない。
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スタークは煙を残す。
「今日はここまで。」
「まだ答えが出てないからねぇ。」
「途中で壊したら。」
「つまらないでしょ?」
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夜。
nascita。
石動惣一はコーヒーを飲む。
「いやぁ。」
「若い子って面白いねぇ。」
「翼ちゃんは不器用。」
「響ちゃんは真っ直ぐ。」
「クリスちゃんは……。」
少し笑う。
「自分で決めたと思ってる答えに、必死にしがみついてる。」
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エボルトは笑う。
今すぐ崩すこともできる。
しかし。
それでは面白くない。
人間が。
自分自身の答えを見つける瞬間。
それを見ることが。
今の彼にとっての楽しみだった。
「さて。」
「次はどう転ぶかな。」
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