戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT   作:どーべんうるふ

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第五話 「交差する旋律」前編

 

 

 夜。

 

 街には戦いの痕跡が残っていた。

 

 ノイズによる被害。

 

 ネフシュタンの鎧を纏った少女。

 

 そして。

 

 その場に現れた謎の存在。

 

 ブラッドスターク。

 

 彼の存在は。

 

 装者たちに新たな警戒を生んでいた。

 

 

 特異災害対策機動部。

 

 第二課。

 

 会議室。

 

 大型モニターには、先日の戦闘映像が映し出されている。

 

「ネフシュタンの鎧。」

 

 風鳴弦十郎は腕を組む。

 

「それに、こいつだな。」

 

 画面に映るブラッドスターク。

 

 戦場で翼や響、クリスの攻撃を軽々とかわす姿。

 

「敵なのか味方なのか。」

 

 緒川慎次が答える。

 

「現状では判断できません。」

 

「ノイズと共闘した記録はありません。」

 

「しかし、装者への接触を繰り返しています。」

 

 

 翼は映像を静かに見る。

 

 あの男。

 

 ブラッドスターク。

 

 力はある。

 

 だが。

 

 戦う意思がない。

 

 まるで。

 

 全てを観察しているようだった。

 

「……信用できない。」

 

 翼が呟く。

 

 

「翼さん。」

 

 響が声をかける。

 

「大丈夫ですか?」

 

 翼は少し驚いたように振り向く。

 

「……問題ない。」

 

 いつものように冷静な返答。

 

 しかし。

 

 響には分かった。

 

 翼がブラッドスタークを警戒していること。

 

 そして。

 

 何かを一人で背負おうとしていること。

 

 

「翼さん。」

 

「私、あの人……ブラッドスタークさんのことも気になりますけど。」

 

「クリスちゃんのことも気になります。」

 

 翼の表情が変わる。

 

「立花響。」

 

「彼女は敵だ。」

 

「でも……。」

 

 響は拳を握る。

 

「クリスちゃん、苦しそうだったんです。」

 

「戦いたい人の顔じゃなかった。」

 

 

 翼は黙る。

 

 響の言葉は。

 

 時に無謀だ。

 

 だが。

 

 人の本質を見ようとしている。

 

「……。」

 

「貴様は。」

 

「なぜそこまで他者を信じられる。」

 

 響は少し困ったように笑う。

 

「分かりません。」

 

「でも。」

 

「困ってる人がいたら助けたいって思うから。」

 

 

 一方。

 

 街の片隅。

 

 クリスは一人歩いていた。

 

 ネフシュタンの鎧。

 

 その力。

 

 絶対的な力。

 

 誰も逆らえない力。

 

 フィーネの言葉が蘇る。

 

『圧倒的な力があれば、人は争うことをやめる』

 

『あなたなら世界を変えられる』

 

 

「……。」

 

 クリスは拳を握る。

 

「私は……間違ってない。」

 

「この力があれば。」

 

「争いはなくせる。」

 

 

 しかし。

 

 響の顔が浮かぶ。

 

『クリスちゃん』

 

『そんな顔で戦わないで』

 

「……バカ。」

 

 小さく吐き捨てる。

 

「何も知らないくせに。」

 

 

 その時。

 

「いやぁ。」

 

「難しい顔してるねぇ。」

 

 クリスは即座に振り向く。

 

「……またか。」

 

 ブラッドスターク。

 

 

「そんな警戒しなくてもいいじゃない。」

 

 スタークは笑う。

 

「俺はただ話をしに来ただけ。」

 

「信用できると思うか。」

 

「まあ。」

 

「普通は無理だよねぇ。」

 

 

 クリスは銃を構える。

 

「何の目的だ。」

 

「目的?」

 

 スタークは肩をすくめる。

 

「君が面白いから。」

 

「……ふざけるな。」

 

「いやいや。」

 

「結構本気だよ?」

 

 

 スタークはクリスを見る。

 

「世界平和。」

 

「争いをなくすための力。」

 

「立派な考えだねぇ。」

 

 クリスの目が細くなる。

 

「……。」

 

「でもさ。」

 

 スタークは続ける。

 

「その話。」

 

「誰にもしてないでしょ?」

 

 

 クリスの手が止まる。

 

「何を……。」

 

「だって。」

 

 スタークは笑う。

 

「本当に正しいと思ってるなら。」

 

「もっと堂々と言えるはずじゃない?」

 

 

 クリスは銃を握る。

 

「私は……。」

 

 言葉が止まる。

 

「私は世界を変える。」

 

「それだけだ。」

 

 

「そっか。」

 

 スタークは笑う。

 

「じゃあ。」

 

「その答えを最後まで貫けるか。」

 

「見ものだねぇ。」

 

 

 その頃。

 

 nascita。

 

 石動惣一はカウンターを磨いていた。

 

「いやぁ。」

 

「最近は物騒な話ばっかりだねぇ。」

 

 客に向ける穏やかな笑顔。

 

 誰も疑わない。

 

 ただの喫茶店のマスター。

 

 

 しかし。

 

 その裏側。

 

 エボルトは世界を見ていた。

 

 かつてなら。

 

 利用して終わらせていた。

 

 だが。

 

 今は違う。

 

 人間が。

 

 自分の意思で選ぶ瞬間。

 

 それを見ることを楽しんでいる。

 

 

「響。」

 

「翼。」

 

「クリス。」

 

「フィーネ。」

 

 盤上の駒たち。

 

 しかし。

 

 彼らはただの駒ではない。

 

 予想外の答えを出す存在。

 

 

「さて。」

 

 ブラッドスタークとして。

 

 エボルトは笑う。

 

「次はどんな面白いものを見せてくれるかな。」

 

 

 

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