暗闇の中。
一人の少女が立っていた。
雪音クリス。
その手には。
古びた杖。
ソロモンの杖。
フィーネから渡されたもの。
「……。」
クリスはそれを見る。
この力があれば。
世界を変えられる。
争いを止められる。
そう信じようとしていた。
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フィーネの声が蘇る。
『あなたの力なら可能です』
『この杖は、ノイズを呼び寄せる』
『圧倒的な力を示せば、人は争うことをやめる』
『世界は平和へ向かう』
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クリスは目を閉じる。
本当に正しいのか。
その疑問を。
無理やり押し込める。
「私は……。」
「やるしかない。」
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ソロモンの杖が輝く。
空間が歪む。
そこから現れる。
無数のノイズ。
人々を襲うための存在。
⸻
街。
突然現れたノイズ。
悲鳴。
混乱。
そして。
その情報は第二課へ届く。
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「ノイズ出現!」
弦十郎の声が響く。
「場所は市街地!」
「装者を向かわせる!」
⸻
響はガングニールを纏う。
「翼さん!」
「ああ。」
翼も天羽々斬を展開する。
「行くぞ、立花響。」
「はい!」
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二人は戦場へ向かう。
しかし。
そこには。
クリスがいた。
⸻
「クリスちゃん……。」
響が呟く。
クリスはソロモンの杖を握る。
「またお前か。」
「バカが。」
「クリスちゃん!」
「何で……!」
響の表情が曇る。
「何でノイズを……。」
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クリスの目が揺れる。
だが。
答えない。
「私は必要なことをしているだけだ。」
「世界を変えるために。」
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翼が前へ出る。
「雪音クリス。」
「貴様がノイズを操っているのか。」
「……。」
クリスは沈黙。
肯定も否定もしない。
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翼は刀を構える。
「答えろ。」
「その力で何を成すつもりだ。」
「……。」
クリスは言わない。
本当の目的。
フィーネの言葉。
誰にも。
理解されないと思っているから。
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その時。
「いやぁ。」
「相変わらず盛大だねぇ。」
声。
三人が振り向く。
ブラッドスターク。
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「貴様……。」
翼が警戒する。
「また現れたか。」
「いやぁ。」
スタークは笑う。
「呼ばれてないのに来るって。」
「結構勇気いるんだよ?」
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響が叫ぶ。
「あなたは何なんですか!」
「クリスちゃんを惑わせたり!」
「翼さんたちを試したり!」
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「俺?」
スタークは笑う。
「ただの通りすがり。」
「……。」
「まあ。」
「面白いものを見てるだけだけどねぇ。」
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翼が斬り込む。
スタークは軽くかわす。
「危ない危ない。」
「いきなり斬るなんて。」
「怖いねぇ。」
⸻
響も構える。
「どうして戦わないんですか。」
「力があるなら。」
「どうして!」
「倒さないんですか!」
⸻
スタークは笑う。
「さぁ?」
「だって。」
「まだ面白くなりそうだから。」
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クリスを見る。
「ねぇ。」
「君。」
「本当に自分の意思で、その杖を使ってる?」
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クリスの表情が変わる。
「……。」
「何を言っている。」
「私は世界を平和にする。」
「そのために必要なことをしているだけだ。」
⸻
スタークは笑う。
「そっか。」
「なら。」
「その答えを最後まで信じられるといいねぇ。」
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ノイズが襲い掛かる。
響と翼が迎撃する。
「翼さん!」
「分かっている!」
二人は連携して戦う。
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クリスはその姿を見る。
響。
翼。
互いを信じて戦う姿。
一瞬。
迷いが生まれる。
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「……。」
「バカ。」
小さく呟く。
「そんなやり方で。」
「本当に世界を変えられると思ってるのかよ。」
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しかし。
ソロモンの杖を握り直す。
まだ。
自分の答えを疑うわけにはいかない。
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遠く。
フィーネはその様子を見ていた。
「……。」
「順調です。」
クリスは強力な駒。
装者同士をぶつけるための存在。
⸻
しかし。
ブラッドスターク。
彼だけは予定外だった。
「彼は……。」
「何を見ている。」
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スタークは戦場から離れる。
「いやぁ。」
「いいねぇ。」
「信じたいもののために。」
「自分を騙してる顔。」
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一瞬。
過去に見た人間たちを思い出す。
自分の計算を超えて。
最後まで諦めなかった者たち。
だが。
すぐに現在へ戻る。
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「まあ。」
「この世界の答えは。」
「まだ途中ってところかな。」
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ブラッドスタークは笑う。
盤上の駒たちが。
どんな未来を選ぶのか。
それを楽しむように。
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