戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT   作:どーべんうるふ

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第五話 「交差する旋律」後編

 

 

 市街地。

 

 夜の闇を裂くように。

 

 無数のノイズが現れる。

 

 人々の悲鳴。

 

 混乱。

 

 逃げ惑う足音。

 

 その中心。

 

 一人の少女が立っていた。

 

 雪音クリス。

 

 手には。

 

 ソロモンの杖。

 

⸻

 

「……。」

 

 クリスは街を見る。

 

 この光景を。

 

 本当は望んでいるわけではない。

 

 しかし。

 

 必要なのだ。

 

 世界を変えるためには。

 

 力を示さなければならない。

 

⸻

 

 その時。

 

 記憶の中の声。

 

『あなたは迷える子羊ではありません』

 

『あなたには、世界を変えるための力が与えられているのです』

 

『その力を恐れる必要などありません』

 

 フィーネ。

 

⸻

 

 クリスは目を閉じる。

 

「私は……。」

 

「やるしかない。」

 

⸻

 

 第二課。

 

 警報。

 

「ノイズ反応!」

 

 弦十郎が叫ぶ。

 

「市街地だ!」

 

⸻

 

「響!」

 

 翼が呼ぶ。

 

「はい!」

 

「翼さん!」

 

 響はガングニールを纏う。

 

 翼も天羽々斬を展開する。

 

⸻

 

 二人は戦場へ向かう。

 

 そこで待っていたもの。

 

 ノイズ。

 

 そして。

 

 クリス。

 

⸻

 

「クリスちゃん……。」

 

 響の声が震える。

 

「どうして……。」

 

「またノイズを……。」

 

⸻

 

 クリスは振り返る。

 

「来るな。」

 

「バカ。」

 

「これは私がやることだ。」

 

⸻

 

「やることって……。」

 

 響は悲しそうな顔をする。

 

「クリスちゃん。」

 

「本当にこれが望んでることなの?」

 

⸻

 

「……。」

 

 クリスは答えない。

 

⸻

 

 翼が前へ出る。

 

「雪音クリス。」

 

「その杖。」

 

「貴様がノイズを呼び寄せているのか。」

 

⸻

 

 クリスは沈黙。

 

 肯定も。

 

 否定もしない。

 

⸻

 

「答えろ。」

 

「その力で何を成す。」

 

⸻

 

 クリスは視線を逸らす。

 

「……。」

 

「私は。」

 

「必要なことをしているだけだ。」

 

⸻

 

 その時。

 

「いやぁ。」

 

「盛大な話になってるねぇ。」

 

 ブラッドスターク。

 

⸻

 

「貴様……。」

 

 翼が警戒する。

 

「また現れたか。」

 

「まあまあ。」

 

 スタークは笑う。

 

「そんな怖い顔しないでよ。」

 

⸻

 

 響が叫ぶ。

 

「あなたは何を考えてるんですか!」

 

「クリスちゃんにも!」

 

「翼さんにも!」

 

「ずっと試すようなことをして!」

 

⸻

 

 スタークは笑う。

 

「試す?」

 

「違う違う。」

 

「見てるだけ。」

 

⸻

 

「人間ってさ。」

 

「追い詰められた時に。」

 

「本当の答えが出るからねぇ。」

 

⸻

 

 クリスを見る。

 

「君もそう。」

 

⸻

 

 クリスは睨む。

 

「何が言いたい。」

 

⸻

 

「別に。」

 

「ただ。」

 

「誰かに与えられた答えを。」

 

「自分で選んだ答えだと思い込むのは。」

 

「少し危ないかなって。」

 

⸻

 

 クリスの表情が変わる。

 

⸻

 

 その瞬間。

 

 遠く。

 

 高層ビルの上。

 

 フィーネは静かに戦場を見下ろしていた。

 

⸻

 

「……ブラッドスターク。」

 

「不可解な存在ですね。」

 

⸻

 

 その声には怒りではなく。

 

 興味。

 

⸻

 

「雪音クリス。」

 

「あなたはもう十分に苦しみました。」

 

「故に。」

 

「あなたには力を扱う資格がある。」

 

⸻

 

「世界は。」

 

「力なき者の願いだけでは変わりません。」

 

「強大な力を持つ者が。」

 

「正しい方向へ導いてこそ。」

 

⸻

 

 フィーネは微笑む。

 

「そうでしょう?」

 

⸻

 

 クリスの耳元。

 

 通信。

 

『クリス』

 

『迷う必要はありません』

 

『あなたの行いは、決して無意味ではないのです』

 

⸻

 

 クリスは杖を握る。

 

「……。」

 

⸻

 

 響が叫ぶ。

 

「クリスちゃん!」

 

「お願い!」

 

「一人で決めないで!」

 

⸻

 

「……バカ。」

 

 クリスは呟く。

 

「お前は何も知らない。」

 

⸻

 

「私が。」

 

「どれだけ……。」

 

 言葉を止める。

 

⸻

 

 言えない。

 

 過去も。

 

 恐怖も。

 

 フィーネの言葉にすがっていることも。

 

⸻

 

 戦闘。

 

 響と翼がノイズを迎撃する。

 

⸻

 

 スタークはその光景を見る。

 

「いやぁ。」

 

「面白いねぇ。」

 

⸻

 

 力を信じる少女。

 

 誰かを信じようとする少女。

 

 孤独を背負う少女。

 

⸻

 

 かつて。

 

 自分の想像を超えた人間たちを思い出す。

 

 だが。

 

 今は深く考えない。

 

⸻

 

「まあ。」

 

「答えを出すのは本人だからねぇ。」

 

⸻

 

 スタークは戦場から離れる。

 

⸻

 

 戦いの後。

 

 クリスは一人。

 

 ソロモンの杖を見る。

 

⸻

 

『あなたは間違っていません』

 

『あなたの力は、世界を救うためにあるのです』

 

⸻

 

 フィーネの声。

 

 優しい。

 

 だからこそ。

 

 危険だった。

 

⸻

 

 nascita。

 

 閉店後。

 

 石動惣一はカウンターを拭いている。

 

「いやぁ。」

 

「若い子ってのは大変だねぇ。」

 

⸻

 

 その笑顔の奥。

 

 エボルトは静かに笑う。

 

「力を与える奴。」

 

「力を拒む奴。」

 

「力と向き合う奴。」

 

⸻

 

「さて。」

 

「この世界の人間は。」

 

「どんな答えを出すのかねぇ。」

 

⸻

 

 

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