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『戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT』
第1話 前編
――滅びた世界、知らない王――
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世界は終わった。
それは比喩ではない。
本当に。
世界というものが。
一つの歴史が。
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終わった。
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崩壊した街。
焼け落ちた大地。
黒く染まった空。
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かつて人々が暮らしていた場所には。
もう何も残っていない。
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ただ。
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一人の存在だけが。
静かに立っていた。
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エボルト。
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星を喰らう生命体。
数多の星を渡り歩き。
文明を利用し。
生命の可能性を弄んできた存在。
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その視線の先には。
滅びた世界が広がっていた。
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「……」
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エボルトは何も言わない。
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勝利したはずだった。
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この世界に存在した戦力。
シンフォギア装者。
各国の組織。
錬金術師たち。
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全て。
最後には自分の前に倒れた。
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だが。
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この世界の人間たちは。
最後まで諦めなかった。
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それが。
妙に印象に残っている。
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「立花響」
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誰かを救うためなら。
自分が傷つくことすら選ぶ少女。
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「風鳴翼」
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背負ったものを抱えながら。
剣を振り続けた少女。
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「雪音クリス」
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世界を憎みながら。
本当は誰よりも優しかった少女。
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そして。
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フィーネ。
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数千年もの時間を越えて。
執念だけで動き続けた存在。
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全て。
この世界で出会った者たち。
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「……」
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エボルトは空を見る。
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「面白い世界だったねぇ」
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かつて。
仮面ライダービルドの世界でも。
似たような経験をした。
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桐生戦兎。
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自分の罪を背負いながら。
最後まで人間であろうとした男。
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万丈。
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最初はただの実験対象だった。
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だが。
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いつの間にか。
自分に真正面から牙を剥く存在になっていた。
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「戦兎も」
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「万丈も」
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「本当にしつこかったよねぇ」
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エボルトは笑う。
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昔なら。
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ただの不快な抵抗だった。
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だが。
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今は違う。
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理解できないものほど。
興味が湧く。
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それが。
人間という存在だった。
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その時。
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世界が停止した。
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「……?」
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エボルトが眉を動かす。
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空中に舞っていた灰が止まる。
崩れた建物の破片が静止する。
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時間そのものが。
何者かによって固定された。
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「へぇ」
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エボルトは周囲を見る。
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「これはまた」
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「随分と変わった能力だねぇ」
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空間が裂ける。
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そこから。
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一人の男が現れた。
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黒い装甲。
圧倒的な存在感。
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しかし。
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エボルトは知らない。
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この存在を。
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少なくとも。
記憶の中にはない。
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「誰だい?」
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エボルトが問いかける。
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男は答える。
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「私はオーマジオウ」
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「時の王だ」
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「……」
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エボルトは少し目を細める。
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「オーマジオウ?」
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「聞いたことない名前だねぇ」
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これは本心だった。
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エボルトは戦兎たちとの戦い。
キルバスとの死闘。
そして自分が経験してきた全てを覚えている。
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しかし。
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この黒い王だけは知らない。
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初めて見る存在だった。
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オーマジオウは淡々と告げる。
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「君の存在を確認した」
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「君は複数の世界へ干渉する可能性を持つ」
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「特に」
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「仮面ライダーが関わる世界群へ」
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「過剰な影響を与える危険性がある」
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エボルトは笑う。
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「なるほどねぇ」
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「俺が嫌いだから消すって話じゃない」
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「危険だから処理する」
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「そういうこと?」
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「そうだ」
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エボルトは肩をすくめる。
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「随分と事務的だねぇ」
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「もう少し楽しもうとは思わないの?」
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「必要ない」
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光が走る。
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エボルトの身体が崩れていく。
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「……」
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消滅。
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完全な消去。
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普通なら。
ここで終わる。
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だが。
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エボルトは。
最後の瞬間。
笑っていた。
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「まあ」
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「俺を倒したと思ったなら」
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「それはそれで面白いけどねぇ」
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ほんの僅か。
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細胞。
記憶。
存在情報。
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それだけを切り離す。
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分体。
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エボルトという存在の。
最後の可能性。
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「この世界は」
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「もう終わった」
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「なら」
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「次を見るだけだ」
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その欠片は。
時間の狭間へ消えた。
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オーマジオウはそれを見る。
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「残存存在情報」
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「しかし」
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「影響は限定的」
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「処理終了」
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黒い王は消えた。
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エボルトは。
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初めて会った存在に。
初めて敗北した。
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――時空の狭間――
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何もない。
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時間も。
空間も。
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存在すら曖昧な場所。
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そこに。
一つの意識が漂っていた。
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「……」
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エボルト。
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正確には。
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一度目のシンフォギア世界から逃れた分体。
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「いやぁ」
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「まさか」
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「最後に知らない奴から消されるとはねぇ」
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しかし。
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すぐに気付く。
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何かがある。
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歌。
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生命。
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懐かしい波動。
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「……」
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目の前に現れる世界。
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そこは。
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かつて自分が滅ぼした世界。
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シンフォギアの世界。
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だが。
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違う。
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時間が違う。
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まだ。
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何も始まっていない。
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一度目の世界より。
遥か昔。
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立花響はまだ。
戦士ではない。
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風鳴翼は。
まだ戦いの中にいる。
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雪音クリスは。
まだフィーネの手の中。
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歴史は。
再び始まろうとしていた。
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「……」
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エボルトは笑う。
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「なるほどねぇ」
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「二度目ってわけか」
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これはやり直しではない。
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一度目の世界が滅びた後に。
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新しく始まる世界。
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二度目のシンフォギア世界。
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「一回目は」
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「全部壊した」
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「でも」
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「今回はどうしようかな」
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問題はある。
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力がない。
身体もない。
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「まずは」
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「器だねぇ」
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――石動惣一という仮面――
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夜。
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一人の男が歩いていた。
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その影が揺れる。
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黒い液体のような存在が。
静かに近づく。
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「悪いねぇ」
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「ちょっと借りるよ」
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エボルトの分体が入り込む。
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肉体情報を解析する。
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この世界で生きるための姿へ。
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顔。
声。
身体。
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全てを作り変える。
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そして。
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鏡に映った姿。
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石動惣一。
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それは本来の姿ではない。
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エボルトが選んだ。
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二度目の世界で活動するための仮面。
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「悪くない」
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エボルトは笑う。
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「これなら」
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「人間として入り込める」
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まだ。
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ブラッドスタークの力は戻っていない。
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まだ。
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表舞台に出る必要もない。
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今は。
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観察する時間。
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一度目の世界を知っている者として。
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未来を変えるのか。
変えないのか。
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決めるために。
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「せっかく二回目なんだ」
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「楽しまないともったいないよねぇ」
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一度目の世界で滅び。
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オーマジオウに消され。
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それでも残った蛇は。
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二度目の世界へ入り込んだ。
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誰も知らない。
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この世界が。
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一度終わったことを。
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そして。
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その終わりを知る唯一の存在が。
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今度は。
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別の結末を求めて。
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再び物語へ手を伸ばし始めたことを。
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第1話 前編
――滅びた世界、知らない王――
終