立花響がシンフォギア装者となった。
その事実は。
彼女自身にとっても。
そして周囲の人間にとっても。
大きな変化だった。
しかし。
その変化を最も冷静に見ていた存在がいた。
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「いやぁ。」
カフェnascita。
石動惣一は新聞を読みながら、いつものようにコーヒーを飲んでいた。
「最近の若い子は大変だねぇ。」
テレビには、先日の事件に関するニュース。
表向きには原因不明の事故。
一般人は知らない。
あの場所で何が起きていたのか。
そして。
一人の少女が。
世界を守る側へ踏み込んだことを。
「……。」
石動は画面を見る。
そこに映る情報を拾う。
だが。
ただの情報収集ではない。
響という人間の行動。
心理。
戦い方。
それらを分析している。
「正義感。」
「自己犠牲。」
「仲間意識。」
小さく呟く。
「分かりやすいタイプだねぇ。」
しかし。
その声には馬鹿にする響きはない。
むしろ。
興味が混じっていた。
「分かりやすいからって。」
「簡単に動かせるとは限らない。」
エボルトは理解している。
人間は単純な生き物ではない。
感情には法則がある。
しかし。
法則通りに動かない瞬間こそが。
人間の面白さだ。
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夜。
ブラッドスターク。
人気のないビルの屋上。
眼下の街を眺める。
「さて。」
「そろそろ、各勢力も動き始める頃かな。」
フィーネ。
特異災害対策機動部。
そして。
これから戦いへ巻き込まれていく装者たち。
一度目の世界では。
全てが決められた流れのように進んだ。
しかし。
今回は違う。
エボルトがいる。
ただし。
今すぐ全てを壊す気はない。
「最初から全部ひっくり返すのは。」
「ゲームとして面白くないからねぇ。」
プレイヤーではなく。
時には観客。
時には役者。
それが今のエボルトの立ち位置だった。
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その頃。
響は戸惑っていた。
自分が手にした力。
自分が背負うことになった役割。
昨日まで普通の学生だった少女が。
突然。
戦う存在になったのだ。
「私……。」
「本当にできるのかな。」
その迷い。
エボルトは遠くから感じ取っていた。
「やっぱり。」
「そこだよねぇ。」
ブラッドスタークは呟く。
力を持った人間が最初にぶつかる壁。
恐怖。
責任。
自分自身への疑問。
それをどう乗り越えるか。
そこが重要だ。
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数日後。
響の前に新たな戦いが訪れる。
ノイズ。
人間を襲う異形。
彼女は迷う。
怖い。
逃げたい。
でも。
「助けたい。」
その気持ちが勝つ。
変身。
ガングニール。
不完全ながらも。
響は戦場へ立つ。
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その様子を。
ブラッドスタークは見ていた。
「……。」
無茶な動き。
荒削りな戦闘。
だが。
判断は間違っていない。
誰かを守る。
その一点だけは揺らがない。
「なるほどねぇ。」
スタークは笑う。
「強さってのは。」
「単純に力の量じゃないってことか。」
以前なら。
そんな考えは理解できなかった。
強い力。
それが全て。
そう考えていた。
しかし。
今は違う。
力を持つ者が。
何を選ぶか。
そこに価値があると知っている。
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戦闘後。
響は傷つきながらも立ち上がる。
周囲の人間を守れた。
それだけで笑う。
「……。」
スタークは少し黙る。
そして。
「悪くないねぇ。」
小さく呟いた。
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その夜。
フィーネの元へ。
再び情報が届く。
謎の存在。
ブラッドスターク。
シンフォギアとは違う力を持つ者。
フィーネは警戒する。
「何者なの……。」
答えはない。
ただ。
彼女の計画に。
新しい不確定要素が加わった。
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同じ頃。
nascita。
石動惣一は閉店作業をしていた。
「いやぁ。」
「思ったより面白い世界だねぇ。」
独り言。
「前とは違う楽しみ方ができそうだ。」
カップを置く。
その表情は。
いつもの気さくなマスター。
しかし。
その奥には。
全てを計算する怪物がいる。
「さて。」
「次は誰が動くかな。」
エボルトは笑う。
この世界を支配するためではない。
まだ。
もっと面白くするために。
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