戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT   作:どーべんうるふ

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第二話 「歌う戦士の始まり」中編

 

 

 立花響がシンフォギア装者となった。

 

 その事実は。

 

 彼女自身にとっても。

 

 そして周囲の人間にとっても。

 

 大きな変化だった。

 

 しかし。

 

 その変化を最も冷静に見ていた存在がいた。

 

 

「いやぁ。」

 

 カフェnascita。

 

 石動惣一は新聞を読みながら、いつものようにコーヒーを飲んでいた。

 

「最近の若い子は大変だねぇ。」

 

 テレビには、先日の事件に関するニュース。

 

 表向きには原因不明の事故。

 

 一般人は知らない。

 

 あの場所で何が起きていたのか。

 

 そして。

 

 一人の少女が。

 

 世界を守る側へ踏み込んだことを。

 

「……。」

 

 石動は画面を見る。

 

 そこに映る情報を拾う。

 

 だが。

 

 ただの情報収集ではない。

 

 響という人間の行動。

 

 心理。

 

 戦い方。

 

 それらを分析している。

 

「正義感。」

 

「自己犠牲。」

 

「仲間意識。」

 

 小さく呟く。

 

「分かりやすいタイプだねぇ。」

 

 しかし。

 

 その声には馬鹿にする響きはない。

 

 むしろ。

 

 興味が混じっていた。

 

「分かりやすいからって。」

 

「簡単に動かせるとは限らない。」

 

 エボルトは理解している。

 

 人間は単純な生き物ではない。

 

 感情には法則がある。

 

 しかし。

 

 法則通りに動かない瞬間こそが。

 

 人間の面白さだ。

 

 

 夜。

 

 ブラッドスターク。

 

 人気のないビルの屋上。

 

 眼下の街を眺める。

 

「さて。」

 

「そろそろ、各勢力も動き始める頃かな。」

 

 フィーネ。

 

 特異災害対策機動部。

 

 そして。

 

 これから戦いへ巻き込まれていく装者たち。

 

 一度目の世界では。

 

 全てが決められた流れのように進んだ。

 

 しかし。

 

 今回は違う。

 

 エボルトがいる。

 

 ただし。

 

 今すぐ全てを壊す気はない。

 

「最初から全部ひっくり返すのは。」

 

「ゲームとして面白くないからねぇ。」

 

 プレイヤーではなく。

 

 時には観客。

 

 時には役者。

 

 それが今のエボルトの立ち位置だった。

 

 

 その頃。

 

 響は戸惑っていた。

 

 自分が手にした力。

 

 自分が背負うことになった役割。

 

 昨日まで普通の学生だった少女が。

 

 突然。

 

 戦う存在になったのだ。

 

「私……。」

 

「本当にできるのかな。」

 

 その迷い。

 

 エボルトは遠くから感じ取っていた。

 

「やっぱり。」

 

「そこだよねぇ。」

 

 ブラッドスタークは呟く。

 

 力を持った人間が最初にぶつかる壁。

 

 恐怖。

 

 責任。

 

 自分自身への疑問。

 

 それをどう乗り越えるか。

 

 そこが重要だ。

 

 

 数日後。

 

 響の前に新たな戦いが訪れる。

 

 ノイズ。

 

 人間を襲う異形。

 

 彼女は迷う。

 

 怖い。

 

 逃げたい。

 

 でも。

 

「助けたい。」

 

 その気持ちが勝つ。

 

 変身。

 

 ガングニール。

 

 不完全ながらも。

 

 響は戦場へ立つ。

 

 

 その様子を。

 

 ブラッドスタークは見ていた。

 

「……。」

 

 無茶な動き。

 

 荒削りな戦闘。

 

 だが。

 

 判断は間違っていない。

 

 誰かを守る。

 

 その一点だけは揺らがない。

 

「なるほどねぇ。」

 

 スタークは笑う。

 

「強さってのは。」

 

「単純に力の量じゃないってことか。」

 

 以前なら。

 

 そんな考えは理解できなかった。

 

 強い力。

 

 それが全て。

 

 そう考えていた。

 

 しかし。

 

 今は違う。

 

 力を持つ者が。

 

 何を選ぶか。

 

 そこに価値があると知っている。

 

 

 戦闘後。

 

 響は傷つきながらも立ち上がる。

 

 周囲の人間を守れた。

 

 それだけで笑う。

 

「……。」

 

 スタークは少し黙る。

 

 そして。

 

「悪くないねぇ。」

 

 小さく呟いた。

 

 

 その夜。

 

 フィーネの元へ。

 

 再び情報が届く。

 

 謎の存在。

 

 ブラッドスターク。

 

 シンフォギアとは違う力を持つ者。

 

 フィーネは警戒する。

 

「何者なの……。」

 

 答えはない。

 

 ただ。

 

 彼女の計画に。

 

 新しい不確定要素が加わった。

 

 

 同じ頃。

 

 nascita。

 

 石動惣一は閉店作業をしていた。

 

「いやぁ。」

 

「思ったより面白い世界だねぇ。」

 

 独り言。

 

「前とは違う楽しみ方ができそうだ。」

 

 カップを置く。

 

 その表情は。

 

 いつもの気さくなマスター。

 

 しかし。

 

 その奥には。

 

 全てを計算する怪物がいる。

 

「さて。」

 

「次は誰が動くかな。」

 

 エボルトは笑う。

 

 この世界を支配するためではない。

 

 まだ。

 

 もっと面白くするために。

 

 

 

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