戦姫絶唱シンフォギア RE:EVOLT   作:どーべんうるふ

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第三話 「怪物が見る可能性」前編

 

 

 戦いが始まった。

 

 立花響がシンフォギア装者となってから。

 

 世界は少しずつ変化していた。

 

 今まで知らなかった脅威。

 

 ノイズ。

 

 聖遺物。

 

 そして。

 

 その力を巡って動く者たち。

 

 だが。

 

 その全てを少し離れた場所から見ている存在がいた。

 

 

「いやぁ。」

 

 カフェnascita。

 

 石動惣一はコーヒーを淹れながら、ニュースを眺めていた。

 

「最近、物騒になってきたねぇ。」

 

 表情は穏やか。

 

 声も軽い。

 

 どこにでもいる普通の店主。

 

 しかし。

 

 その頭の中では。

 

 膨大な情報が整理されている。

 

 ノイズの出現。

 

 シンフォギア装者の動向。

 

 フィーネの計画。

 

 そして。

 

 自分が介入した場合の可能性。

 

「選択肢は多い方が面白い。」

 

 小さく笑う。

 

 エボルトにとって。

 

 未来を知っていることは絶対的なアドバンテージだった。

 

 しかし。

 

「未来を知ってるからって。」

 

「全部予定通りに進めるのは、つまらないよねぇ。」

 

 一度目の世界。

 

 彼は全てを掌握した。

 

 勝利した。

 

 だが。

 

 最後には予想外の存在によって盤面を崩された。

 

 だからこそ。

 

 今回は違う。

 

「少しずつ。」

 

「相手がどう変わるか見ながら楽しませてもらうよ。」

 

 

 その日の夜。

 

 ブラッドスタークは街を歩いていた。

 

「さて。」

 

「今日は誰のところへ行こうかな。」

 

 独り言。

 

 まるで散歩でもするような軽さ。

 

 しかし。

 

 その足取りに迷いはない。

 

 向かう先は。

 

 特異災害対策機動部。

 

 2課。

 

 

 もちろん。

 

 真正面から乗り込むつもりはない。

 

 そんなことをすれば警戒される。

 

 エボルトが得意なのは。

 

 相手が自分から動くよう仕向けること。

 

「情報っていうのはさ。」

 

「渡し方が大事なんだよねぇ。」

 

 小さな端末を取り出す。

 

 そこには。

 

 ノイズに関する断片的な情報。

 

 しかし。

 

 全てではない。

 

 あえて不完全。

 

 受け取った側が考える余地を残す。

 

「答えを全部渡したら。」

 

「相手は成長しないからねぇ。」

 

 

 一方。

 

 響は新しい力との向き合い方に悩んでいた。

 

 変身できる。

 

 戦える。

 

 でも。

 

 本当に自分にできるのか。

 

 その迷いは消えない。

 

「私が……。」

 

「戦う意味って何なんだろう。」

 

 その様子を。

 

 遠くからスタークは見ていた。

 

「悩んでるねぇ。」

 

 しかし。

 

 その表情には嘲笑はない。

 

 むしろ。

 

 興味。

 

 人間が答えを探す過程。

 

 それ自体を楽しんでいる。

 

「力を持った瞬間に。」

 

「答えまで手に入るわけじゃない。」

 

「そこを間違える奴は多いんだよねぇ。」

 

 過去の経験。

 

 力を得た者たち。

 

 その多くは。

 

 力に振り回された。

 

 だが。

 

 響は違う可能性がある。

 

 

 ノイズ出現。

 

 響は現場へ向かう。

 

 まだ迷いはある。

 

 それでも。

 

 足は止まらない。

 

「助けたい。」

 

 その気持ちだけは変わらない。

 

 スタークはそれを見る。

 

「……。」

 

 そして。

 

 少しだけ目を細める。

 

 この瞬間。

 

 響の選択が。

 

 彼女自身を形作る。

 

「なるほど。」

 

「そういう答えを選ぶんだ。」

 

 

 スタークは姿を消す。

 

 まだ。

 

 直接手を出す時ではない。

 

 今は。

 

 この世界がどう動くのか。

 

 見る時間。

 

「焦る必要はない。」

 

 エボルトは笑う。

 

「ゲームってのは。」

 

「序盤の仕込みが一番楽しいんだからねぇ。」

 

 

 

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