戦場というものは。
人間の本性が最も出やすい場所だ。
恐怖。
焦り。
怒り。
諦め。
そして。
それでも前へ進もうとする意思。
ブラッドスタークは、それを遠くから眺めていた。
「いやぁ。」
「やっぱり面白いねぇ、人間って。」
ビルの屋上。
黒い装甲の男は、戦場を観察する。
そこでは。
立花響がノイズと戦っていた。
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動きはまだ未熟。
力の扱いも不完全。
シンフォギアとしての経験値は足りない。
普通なら。
戦力としては不安要素だらけ。
だが。
「それでも立つ。」
スタークは呟く。
倒れても。
怖くても。
自分が傷ついても。
誰かを守るために立ち上がる。
「効率だけ考えたら。」
「絶対に選ばない行動だよねぇ。」
かつてのエボルトなら。
その判断を理解しなかった。
勝率。
利益。
結果。
それだけを見ていた。
しかし。
今は違う。
「意味のない行動だからこそ。」
「そこから予想外の結果が生まれる。」
感情を得たことで。
エボルトは人間の非合理性を理解した。
そして。
理解したからこそ。
それを利用できる。
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「でも。」
スタークは少し笑う。
「まだ足りないねぇ。」
響は戦えている。
しかし。
自分がなぜ戦うのか。
そこまでは辿り着いていない。
力を持ったから戦う。
誰かに必要とされたから戦う。
それだけでは。
いつか折れる。
「さて。」
「どうする?」
まるで観客が舞台を見るように。
エボルトは問いかける。
もちろん。
響には届かない。
⸻
ノイズの攻撃。
響が吹き飛ばされる。
「……っ!」
痛み。
恐怖。
身体が動かない。
その瞬間。
スタークは静かに動いた。
「そろそろかな。」
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黒い影が戦場へ降りる。
「え?」
響が顔を上げる。
「あなたは……!」
「久しぶり。」
ブラッドスタークは軽く手を振る。
「元気そうで何より。」
「……敵?」
響は警戒する。
当然だ。
目の前の存在は。
味方には見えない。
「さぁ?」
スタークは笑う。
「どっちに見える?」
その言葉に。
響は戸惑う。
⸻
エボルトは知っている。
人間は。
答えを与えられると、その答えに縛られる。
だから。
選ばせる。
考えさせる。
自分自身で判断させる。
それが一番、その人間の本質を引き出す。
「俺が助けた。」
「そう思うなら、それでいい。」
「俺を信用しない。」
「それも正解。」
スタークは肩をすくめる。
「でもさ。」
「今は、目の前の敵をどうするか考えた方がいいんじゃない?」
⸻
ノイズが迫る。
響は迷う。
目の前の男は信用できない。
でも。
今は戦わなければならない。
その判断。
スタークは見ていた。
「そう。」
小さく呟く。
「それでいい。」
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スタークは直接ノイズを倒さない。
ただ。
ほんの少しだけ。
流れを変える。
攻撃のタイミング。
敵の動き。
響が気付ける程度の隙。
それだけ。
「え?」
響が気付く。
「今なら……!」
攻撃。
ノイズを撃破する。
⸻
戦闘終了。
響は息を切らす。
スタークを見る。
「あなた……。」
「何が目的なの?」
スタークは笑う。
「目的?」
少し考える。
「いやぁ。」
「まだ秘密かな。」
軽い口調。
しかし。
その奥には何も読ませない深さがある。
「ただ。」
一歩下がる。
「君がどこまで行けるのか。」
「ちょっと興味があるだけ。」
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その言葉に。
響は不思議な感覚を覚える。
敵意。
それはある。
でも。
殺意ではない。
まるで。
試されているようだった。
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その頃。
フィーネは報告を受けていた。
「ブラッドスターク……。」
資料を見る。
「シンフォギアとは異なる力。」
「しかし、装者に接触。」
「目的不明。」
警戒する。
「危険な存在ね。」
⸻
しかし。
フィーネはまだ知らない。
ブラッドスタークが。
単なる新たな敵ではないことを。
彼は。
敵味方という枠の外側から。
全てを観察している存在だということを。
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夜。
nascita。
石動惣一は店を閉める。
「いやぁ。」
「今日はなかなか楽しめたねぇ。」
コーヒーを飲みながら笑う。
「人間って。」
「ほんと、予想外の答えを出す。」
一瞬。
過去の記憶が浮かぶ。
自分の計算を超えた者たち。
しかし。
それ以上深く考えない。
今見るべきものは。
今の世界だ。
「さて。」
「次はどんな答えを見せてくれるかな。」
怪物は笑う。
壊すためではなく。
未知の可能性を楽しむために。
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