ブラッドスターク。
その名が。
少しずつ広がり始めていた。
ただし。
それは恐怖の象徴としてではない。
理解不能な存在として。
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特異災害対策機動部。
通称、2課。
会議室。
机の上には、いくつもの資料が並べられていた。
「ノイズとは異なる戦闘能力。」
「シンフォギアとの関連性は不明。」
「しかし、装者である立花響に接触。」
報告を読む声が響く。
「敵性存在と判断するべきでは?」
その意見に。
別の声が返る。
「だが、現時点で直接的な被害報告はない。」
「むしろ、装者の戦闘を補助した形跡がある。」
結論は出ない。
敵なのか。
味方なのか。
それすら分からない。
「……。」
その全てを。
別の場所から聞いている存在がいた。
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「いやぁ。」
石動惣一。
カフェnascitaの店主。
その姿で。
何気なくニュースを見ている。
「話題になっちゃったねぇ。」
もちろん。
偶然ではない。
ブラッドスタークが残した痕跡。
あえて消しきらなかった情報。
人間が疑問を持つ程度の手掛かり。
それが今。
2課を動かしている。
「情報っていうのは。」
「多すぎても駄目。」
「少なすぎても駄目。」
笑う。
「相手が考える余地を残すくらいが、一番面白いんだよねぇ。」
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夜。
ブラッドスタークは再び響の前に現れる。
「また会ったね。」
突然の登場。
響は構える。
「あなた……!」
「そんな警戒しなくてもいいじゃない。」
スタークは笑う。
「一応、前回は助けた側だよ?」
「でも、あなたが何者なのか分からない。」
響の言葉。
真っ直ぐな疑問。
エボルトは少し楽しそうに笑う。
「そういうところ。」
「嫌いじゃないねぇ。」
「え?」
「いや。」
スタークは誤魔化す。
「気にしないで。」
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エボルトは理解していた。
響は疑っている。
当然だ。
自分のような存在を。
簡単に信用する方がおかしい。
だから。
無理に信じさせる必要はない。
信頼は。
与えるものではなく。
積み重ねで生まれるものだ。
「君さ。」
スタークが問いかける。
「俺が悪い奴だったら、どうする?」
響は迷う。
しかし。
「その時は……。」
「止めます。」
答える。
「誰かを傷つけるなら。」
「私は戦います。」
その答え。
エボルトは少し黙る。
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かつて。
自分に向かってきた者たちも。
似たようなことを言った。
力の差。
状況。
勝率。
そんなものを無視して。
自分の答えを選んだ。
だが。
今。
エボルトはそれを懐かしむだけで終わらせる。
目の前にいるのは。
立花響。
この世界の少女だ。
「そっか。」
スタークは笑う。
「なら。」
「その答え、最後まで貫いてみなよ。」
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その時。
遠くで異変が起きる。
ノイズ。
響が振り向く。
「行かなきゃ!」
走り出す。
スタークはその背中を見る。
「迷わないか。」
小さく呟く。
「普通なら。」
「一度くらい、自分の安全を考えるところなのに。」
しかし。
響は迷わない。
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戦場。
響は苦戦する。
まだ未熟。
経験不足。
だが。
前回より動きが変わっている。
自分で考えている。
敵を見る。
仲間を見る。
周囲を見る。
「成長が早いねぇ。」
スタークは遠くから観察する。
そして。
ほんの少しだけ。
楽しそうに笑う。
「いいねぇ。」
「やっぱり、ゲームはこうじゃないと。」
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戦闘終了。
響は疲れ果てながらも立つ。
その姿を見て。
エボルトは考える。
もし。
この少女が。
もっと力を得たら。
もっと仲間を得たら。
どこまで行くのか。
それを見てみたい。
「……。」
一瞬。
自分でも気付く。
以前なら。
そんな理由で誰かを見ることはなかった。
利用価値。
危険度。
それだけだった。
だが。
今は。
面白いから見る。
変化する姿が興味深いから見る。
それもまた。
感情なのだろう。
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nascita。
閉店後。
石動惣一はカウンターに座る。
「いやぁ。」
「困ったねぇ。」
口元は笑っている。
「面白いものを見ると。」
「つい長く遊びたくなる。」
コーヒーを飲む。
「昔なら。」
そこで少し止まる。
「……。」
しかし。
続きを言わない。
過去は過去。
今は。
この世界の物語だ。
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その頃。
フィーネもまた動き始めていた。
ブラッドスターク。
未知の存在。
計画外の変数。
「排除すべきか。」
「利用すべきか。」
判断を迫られる。
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だが。
彼女は知らない。
自分が盤面を動かしているつもりでも。
その盤面そのものを眺めている存在がいることを。
ブラッドスターク。
エボルト。
かつて世界を滅ぼした怪物。
しかし今は。
感情を知ったことで。
別の楽しみ方を覚えた存在。
「さて。」
暗闇の中。
エボルトは笑う。
「次は誰が、どんな答えを出してくれるかな。」
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