ケロロ軍曹ぷらすいち! 空兵参上であります! 作:性癖大爆発
「あーそっちそっち、ナルル殿そこから拡げていって欲しいであります」
『はい、了解です。タママ二等兵、岩盤の破壊を』
「お任せですぅ!タママインパクトォ!」
『ったくなんで俺様が操縦してんだヨ……ギロロ先輩、発破頼むぜぇ』
「つべこべ文句を言うな。ナルル空准尉は一人なんだ、地下道を分岐させるなら当然こうなる。離れていろ」
ケロロ小隊の前線基地作成任務は順調です。今は指令室となる場所を掘り終えそこから分岐する形となる武器庫、格納庫方面と通信室及びラボの二方向に分かれて掘り進んでいるところです。というわけで私が今乗っているのはマグマスイマーという掘削機兼地底探索車です。まぁ、一人で複数台のメカを操るのは別に造作もないことですが今必要かと言われればそうでもないですしやるとクルルがさぼるのでこれでいいです。
前面のドリルで地面を掘り進む画期的な地底探索車……なんとカーステレオと冷暖房、カーナビ、レーダーまで標準搭載という代物なのです。冷暖房はともかくカーステレオは不要だと思うのは私だけでしょうか。ちなみに今クルルが乗っているのはケロン軍の標準式ですが私のは長期任務に備えて水生成システムとシャワー、食糧庫及びベッドなどなどが増設されています。なお乗員スペースが犠牲となり私一人しか乗れません。
マグマスイマーでも岩盤の破壊は可能ですが時間がかかるのとそれなりの広さの掘削が必要なので身一つで岩盤を破壊できるタママ二等兵と爆発物のエキスパートであるギロロ伍長による広域岩盤爆破のおかげですこぶる進みがいいです。掘った穴は掘ると同時にマグマスイマーにクルルが即興で増設した壁敷設装置により通ると同時に基地が建設されています。
ケロロ隊長は総指揮ということで完成した指令室に通信設備を搬入しつつ工事の指揮をとっておられます。一定程度オールマイティに何でもやれるよう教育されるのがケロン軍ですがそれをやりつついろんな方向に特化した人物が集まったのがケロロ小隊です、なので大規模な基地建設をこんな少人数で行えるというわけですね。
「よーし今日はここまで!各自日向家に悟られぬよう通常任務に戻るべし!なお、明日も日向家が寝静まってから工事を行うものとする!各員空いた時間に仮眠をとり夜に備えよ!」
「「「「了解!」」」」
ケロロ隊長の号令にそれぞれ敬礼を返して安全を確保しそれぞれ自室へ戻ります。こういう時に便利なのが超空間移動というわけですが空間の揺らぎは隠せないので科学技術が進歩した星では使わないのがセオリーです。
「あ、ナルル空准尉。明日ちょっと時間が欲しいですぅ、モモッチがナルル空准尉と話したいということですぅ」
「桃華様が?了解しました。お伺いするとお伝えください」
「わっかりましたですぅ~~。明日西澤邸に来てくれたらだいじょうぶですぅ」
超空間で移動する前にタママ二等兵が私に桃華様からの伝言を伝えてきました。なんなのでしょうね……ケロロ隊長ではなく私個人へときましたか。はてさて何の御用なのでしょうか。どちらにしろ後ろでクックックと笑っているカレー色についてこられると面倒なので上手いこと黙らせていきましょう。
「あっ、ナルルさん!待っていました!こちらへどうぞ」
「この前は挨拶もそこそこに申し訳ありませんでした。ポール森山です。以後お見知りおきを」
「いえいえ、見事な尾行でした。ナルル空准尉です、よしなに。先日はスナイパーの配置も上空からの警護も過剰気味ではありましたが緊急事態にも対応できる完成された布陣でした。惜しむらくは私の同僚がご迷惑をおかけしたことですが……」
「なんと……気づかれておいでとは私もまだまだですな。お茶のご用意ができております。お好みの銘柄はございますかな?」
「暖かいコーヒーを。ミルクと砂糖はなしでお願いします。さて、桃華様。私に何用でしょうか?」
とりあえず翌日クルルをマグマスイマーのコックピットに口枷を着けて縛り付けてきました。操縦以外何もできないようにしたので抜けるにしろ会話分の時間は稼げるでしょう。というわけでアンチバリアの条件をちょっと緩めて西澤邸にやってきた私をとても広い玄関先で桃華様とポール様がお出迎えしてくださいました。
わざわざ私の背の高さに合わせた椅子を用意していただいているのでそこに座らせていただきポール様のご提案をありがたく頂戴することにしました。いい香りです、そういえばタママ二等兵はいずこへ……?トレーニング中?それは感心です。
「あ、あの!日向君を射止めるのに、協力して欲しくて……」
「それは別に構いませんが、なぜ私に?」
「えっと、ナルルさんは冷静ですし、日向君のお母さんやお姉さんに協力を頼むにはバレそうでこわいですし……タマちゃんやケロロさんなんかに頼んだらその、ひどいことになりそうで……それに」
「それに?」
「ナルルさんが一番マトモそうにみえたから」
今心の中のクルルが「お前がマトモなわけねぇだろ~~」と言っていましたがとりあえずそれを黙らせて考えます。現在私は日中はママ様とお仕事をし夜間は基地の建設をして合間合間で睡眠をとっています。これ以上仕事を詰める余裕はぶっちゃけな……いやあります!青少年の健全な恋です!応援せずして女ですか!
「とりあえずお聞かせください、協力したいとは思っていますがさすがの私も物理法則上できないことはできないので」
「そ、そんな大それた協力をしてほしいわけではないんですけど……えっと、ですね」
そこから話されたのは桃華様プロデュースの冬樹君ラブラブ大作戦と銘打たれた作戦の内容でした。まず、冬樹様を西澤家が買い上げたリゾート化した無人島に招待し、そこで様々な体験を二人で楽しみ行くところまで行ってしまおうというアバウトですが目的意識だけははっきりしている作戦でした。えーと、まずですが。
「冬樹様だけ誘うのは難しいかと。まずママ様が許可するとは思えませんので家族全員を誘った上で上手いこと桃華様と冬樹様を二人きりにした方が自然です」
「な、なるほど……でもそうしたら一番いいところで邪魔が入っちゃうんじゃ……いつもそうですし」
「その後懸念は理解できますが私はこのなりでも成年です。表立った保護者もなく子供だけでホテルで泊まる、というのは賛成しがたいです。それに行くとこまで行くと申しますがどこまで行きたいのでしょう?」
「そ、それは……その……ふ、冬樹君次第と言いますか私はどこまででも……」
「大人びた考えをしていらっしゃるのはよいですが、御立場も考えるべきです。お付き合いもしていないのなら接吻、あるいは密着程度で意識だけさせるのがいいでしょう」
「そ、そうですか……?」
「そうです」
(む、むぅ……!私たち西澤家に仕えるものが決して言えないことをズバズバと……!さすが星が違うとはいえ若くして*1尉官に上り詰めただけはある……!このポール、感服いたしました)
桃華様はどうやら恋に突き動かされていらっしゃるがゆえに見境が少々なくなっておりますね。冷静ではありませんし、何でもできる財力をお持ちでなおかつ逆らうものがいない。この環境がどうも悪いように働いてしまっています。想い合う仲になりたい、というよりも冬樹様を手に入れたい、という独占欲が強く出ているように思えます。これはいけません。
「桃華様、桃華様は冬樹様と恋仲になりたいというだけで独占し飼い殺したい、というわけではないのでしょう?」
「と、当然です!冬樹君とその、恋人になっていろいろしたいというのは事実ですけど……」
「結構、それならば協力しましょう。その南の島でのバカンスの際私があれやこれやをして桃華様と冬樹様を二人きりにしてチャンスを作ります」
「ほ、本当ですか!?ありがとうございます!」
ガタン、と椅子から立ち上がりながら桃華様が頭を下げます。タママ二等兵のような二面性があるとはいえ基本的には子供……少々権力を持ちすぎた上でそれを振り回してるきらいはありますが他人に迷惑をかけないよう自制できるので全くもって問題ありません、いい子の範疇です。
問題は冬樹様……ニブいんですよね、いろんな意味で。ですがこれは年齢上しょうがないことなのです。むしろ同じくらいの年代でこれほどまでにいろいろ意識している桃華様のほうが少々進みすぎなのです。ケロン星ですとまだ男女混じって遊ぶ年齢でしょうに。*2
「と、いうわけですので今から日向家を誘いに行きましょう。夏の終わりの思い出作りということで行けばママ様も許可をくださるはずです」
「は、はいっ!ポール!車を回して!あの、ナルルさん。日向君へのメールの文面を一緒に……」
「かまいませんが、既にお友達同士でしょう。桃華様がかんがえるのが大事ですよ」
「そ、それでもです!失敗したくないので!」
「わかりました」
失敗したくない……いや、可愛らしくて思わず笑いそうになってしまいました。実にほほえましいですね。とりあえずタママ二等兵は余計なこと言いそうですが連れていかないわけにもいきません、クルルはまあ出不精なので自分から居残るでしょう。ケロロ隊長は多分同行しますね、ギロロ伍長はどうでしょう、夏美様目当てに来るでしょうか。
「ゲロォッ!?南の島でバカンス、でありますか!?こ、これは……」
「はい、これは大変なチャンスです。この機を逃さず一気に」
「我々ケロロ小隊もバカンスするであります~~~!」
「日向家の皆様がいないうちに基地を完成させましょう……知ってました。ケロロ隊長がそういうお方なのは」
しょもん、とちょっと落ち込みます。私真面目過ぎるんでしょうか、ちょうど日向家の皆様が今桃華様とお話合いをしているのですがバカンスの期間日向家は無人になります。そうすれば一気に前線基地を完成させる……ことができるのですが……ケロロ隊長のやる気を引き出すにはどうしたらよいのでしょうか?ちょっと涙出てきそうです、ナル。
「おいケロロ、お前そのうちナルル空准尉から見放されるぞ。俺たちならまだいいがナルル空准尉は研修不可判断をしたらケロン星に戻るんだからな?」
「ゲ、ゲロ……確かに彼女はここ100年で唯一見つかった隊長の器*3……あれこれ見放されたら吾輩もヤバイんじゃね?」
「クックック~~。ケロン星が超少子化状態で子供自体が貴重なのは知っての通りだが隊長の素質持ちはもっと貴重だぁ。ケロン軍本部も動向を注意してるだろうよ。それにあんたなら身に染みて知ってるだろぉ~~?」
「そりゃあもう。クローン用意されたりとかマジでやばかったこともあったでありますなあ」
「と、とにかくあのアバズ、じゃなかったナルル空准尉の言う通りモモッチ達がバカンス行っている間にもちょくちょく戻って工事進めるのがいいですぅ」
「その方がいいぜぇ~。アイツ気はかなり長いが見切りをつけたらもう迷わねぇからなあ。精々気張るこったぜ隊長~~」
別に、別にバカンスをするなとは言ってないのです。優先順位をちゃんと侵略作戦に向けてほしいだけなのです。ケロロ隊長はなんだかんだやればできる軍人なのは行動を共にしていれば理解できます。クルルのようにやれるけどやらないとかやる気そのものが存在しないとかじゃないんです。ちゃんとやれば成果がでるんです、ナルルはそれをわかっています。
ああ、大佐……私はこのままケロロ隊長についていってもいいものでしょうか?最近空兵としての任務もやっていないので腕が落ちていないか心配です。日向家の皆様のことは好きですが侵略先です。非情な判断をしたくないのです。
「あ~~ごほん!ナルル空准尉、バカンスというが実際はローテーションを組み逐一日向家地下の前線基地作成の工事を続ける。ついてはクルル曹長、基地に常駐して進捗管理をせよ」
「了解。ちょっと高くつくけどなぁ~?」
「ゲロ……承知。吾輩、ナルル殿、タママ二等、ギロロ伍長は日向家と同行し逐次隙を見て超空間で戻り作業を続ける。異論は?」
「ありません、ケロロ隊長」
「同じく」
「同じくですぅ」
あぁ、よかったケロロ隊長。私の思い違いだったのですね……!これなら基地完成のめどが立ちます。基地が完成すれば本格的な侵略作戦を開始することができます!よし、ナルルも頑張ります!
悲報 ケロロの威厳、ハリボテなのが気づかれかける。そろそろヤバイがギリ持っている。このままだとナルルがプラモデルの箱に入った何も残っていないランナーを見るような目でケロロを見る未来があるかもしれない。