——火をつけた。燃え残ったもの、その全てに。
——ならば、その先は?

突如としてゲヘナに落下した人型兵器とそのパイロット。
しかし、その存在はやがてキヴォトスを揺るがしていく。
加速する戦い、その意思。最後の選択は—

n番煎じですが、書きたかったので

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Lost Cinder

 

 

 

 

 ——ら、ゲへ——————、———明機へ、現在の高————、——を明ら————。貴機は——————制空———————。

 

 

 ノイズ混じりの声が聞こえる。

 あの時聞こえた赤い声は、何を言っていたのだろうか。

 

 “脳深部コーラル管理デバイスの起動を確認”

 “強化人間C4-621の覚醒を確認しました”

 

 聞き慣れた声が聞こえる。

 脳の奥で啼く声ではない。あれはもう聞こえない。

 

 

 —————管制室、所属不明——、—————を停止し、現在の高度を————。

 

 

 軋むフレーム、唸りをあげるジェネレーター、赤熱するブースター。

 もはや隣に並ぶものはない。撃墜した。それだけだった。

 

 

 ————機! 今すぐ————めろ! 市街地上空だぞ! 

 

 

 “現在降下中 高度5000”

 “AP残り10%”

 

 降下速度軽減のため逆噴射最大、着陸地点の選定、進路調節、ACSをオートバランサーに連携、降着姿勢。

 状況はいつもぼんやりとした思考を追い抜いていく。まるで幻想のように。

 

 

 ——不明機! 上昇しろってんだよ! 聞こえてんのか! 

 

 

 “降下中 高度3000”

 

 それが、とても、こわいのだ。

 

 

 ——ロストした! ああくそったれ、空域内の全機は高度を維持して待機だ! 

 

 

 

 

 

 “目標地点に着陸”

 “AP残り4%。保護モードへ移行”

 

 

 

 


 

 

 

 

 “ひさしぶりだね、ヒナ”

「先生、久しぶり」

 

 旧体育館——正確にはだったもの——の脇に止めた風紀委員会の護送車から降りてきた先生は、変わらなそうで少し安心する。

 

「今日はその……せっかく来てもらったのに仕事が入ってしまってごめんなさい」

 “ヒナのせいじゃないよ、気にしないで。“

 

 そう。今日は先生がゲヘナに来てくれる日なのだ。内容のすり合わせはすでに終わっているので書類に不備がないか確認して、午後はちょっとお出かけできたらいいな、のはずだったのだが。

 

 “高高度からの落下物、だっけ?”

「ええ。自由落下ではなかったらしいし、人工物だろうとは思うのだけれど……」

 

 初報は訓練中の防空小隊から、続けてゲヘナ航空管制室より、異常な速度で降下する飛翔体が観測されたとのことだった。

 これだけであればまだ良かったのだが、外回りの風紀委員から隕石の目撃情報と旧第6体育館の倒壊、おまけで火事場泥棒の撃退が報告され、内部に人工物らしきものが落着していた、となれば委員長案件である。

 

「エデン条約のこともあって、今はよそとの関係悪化は避けたいから。先生が入ってくれるとその、申し訳ないけど結構助かる」

 “それはまかせて!”

 

 疑いたくはないが他校との関係に気を使いたい時期ではある。このことを知れば伏魔殿は勝手に動くだろうし、そうなる前にシャーレ預かりにして制御してしまいたい気持ちがあるのも確かだ。先生の負担は、本当に申し訳ないのだけれど。

 

 

 

 


 

 

 

 

 薄暗い体育館の中の“それ“は、自身が突き破った屋根の下、数条の工事用照明に照らされ、うずくまるようにして停止していた。

 

「お疲れ様、アコ。状況お願い」

「ヒナ委員長! と先生も。お疲れ様です。現在周辺の交通封鎖と避難がほぼ完了してて、工兵技能訓練済みの班を二つ招集中です。ミレニアムとトリニティは軽く攫いましたが、情報がないから動きたくないような感じでした」

 

 初報が入った段階で飛んでいってくれただけのことはある。ご破産になってしまったけれど午後休のことも合わせてあとでお礼をしないと。

 

「さすがね、ありがとう」

「いえ! この程度は! それと落着物は表面の損傷がかなり激しく、マーキングなど確認できていません。あまり既存の兵器とも似ていませんし……」

 

 確かに人工物とわかる、平面と局面を組み合わせた形状。だが7、8mはあろうかという大きさに、各部の稼働しそうな構造は確かに兵器らしくない。これはまるで人を模したような。

 

 “すごいかっこいい人型ロボットだね!”

「人型ロボット? こんなに大きいのにですか?」

 “人間サイズじゃなくて、カイテンジャーロボみたいな大型のロボットのこと! すごいなあ、カッコいいなあ! ”

 

 アコが端末を叩き始めた。先生は目をキラキラさせている。楽しそうだけど、それはそれとして。

 

「アコ、ミレニアム含め、人型に限らずこの大きさのロボットを製造してるところはある?」

「可能性がないとは言えませんが、現在流出している情報からだと合致するものはなさそうです。そんなわかりやすいものをわざわざ高高度から落とす理由も見当たりませんし……」

 

 先生はロボットを色んな方向から矯めつ眇めつしている。じゃなくて、実際目的が謎ではあるのだ。出した被害は旧体育館一つの倒壊と現場の混乱。陽動にしては手が混みすぎているし、本命にしてはリスクの高さに結果が見合っていない。

 本当にめんどうくさい案件のようだ。先生にお願いしておいて良かったかも。

 

 

 -Pi.

 人工音がなる。機体のランプがついている。重低音。ジェネレーターの始動音か。まずい。

 

「先生!」

 

 割って入る。目を離している隙に先生が機体の近くまで行っていた。

 

「先生、危ないから離れて。……先生?」

 “大丈夫だよ、ヒナ”

 

 先生の気配が違う。何かわかったのだろうか。

 

「先生、これは……」

 

 “外部環境を確認 ハッチ解放”

 “解除条件をクリア メッセージを再生します”

 

 ガゴン、と音が響いて前面が開く。先生は押しても下がってくれない。

 

「先生! 下がって!」

「委員長! 先生! 下がってくだ……うっ」

 

 降りてきたラダーに載っているのは、ケーブルに繋がれた、包帯で巻かれた、血がこびりついた、ひとかかえほどの何かで、つまり。

 

「アコ! 救急医療部に連絡! セナを回してもらって!」

 “アロナ、ウタハとミネに連絡。機械化技術に詳しい人員を回してもらえるようお願いして。”

 

 先生が近づいてその人を抱き抱えると、ひとりでにケーブルたちが抜けていく。屋根から差し込む光に照らされたそれは、冒涜的で、美しくて。

 だからこそ近づいて、一緒に支えた。その人の脈がみょうに一定で、少し安心した。生きていて良かったと、心から思った。

 

 

 

 

 

 ——これからのお前の選択が

 ——お前自身の可能性を広げることを祈る

 

 

 

 


 

 

 

 

 ——火をつけた。燃え残ったもの、その全てに。

 ——ならば、その先は? 

 

 突如としてゲヘナに落下した人型兵器とそのパイロット。

 

「脳の深部まで機械化されてる。キヴォトスなら逆立ちしたって倫理委員会通らないよ。悔しいけどこれを取り除く技術はない」

「救護!」

「わたしは……わたしはレイヴン」

 “君が、自分の意思で選んでいいんだよ”

 

「かつての主に与えられた揺籃から、嚮導者たる先生によって取り上げられ、神秘宿す聖徒らに祝福された。そのコンテクストが重要なのですよ」

 

 しかし、その存在はやがてキヴォトスを揺るがしていく。

 

「リスクは排除する必要がある。それだけよ」

「キキキ、被った被害の分は働いてもらわねばな」

「レイヴンちゃん、良かったらアビドス来ない?」

「ゲヘナの動きに対しては我々も常に対応しなければなりません」

 

 加速する戦い、その意思。最後の選択は—

 

 

 有料DLC

 -Blue Archive- : Another Character Lost Raven

 Coming Soon

 

 

 

 




つまりこの先に続きはない、おお続きはない

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