ピッコロ大魔王が去った後俺は倒れている悟空を叩き起こし、意識を覚醒させた。一瞬心臓が止まっていた様だが、勝手に再起動して起き上がった。これほどボロボロなのに、勝手に死に際から復活出来るとは、尋常では無い生命力だと思う。
「………ち、ちきしょう。手も足も出なかった」
「そりゃそうだ。ありゃぁ正真正銘のバケモンだ。おれも次に相手をしても斬らせてはもらえねぇな」
そもそも俺は人斬りでは無く、斬れない物を切断する事に重きを置いている。純粋に相手に刀を当てる技術は必要最低限しか磨いていないのだ。ピッコロ大魔王と次に戦ったとしても警戒され近づかせては貰えないだろう。
「それで?どうすんだ悟空。あいつを追いかけるにしても、おめぇのケガをなんとかしねぇと元も子もないぞ」
「うーん、………おめぇカリン塔って知ってっか?」
「カリン塔?」
「ああ、場所は教えるから送って貰えねぇか?」
「まぁいいぜ、ここまで来たら一連托生だ」
俺は懐からポイポイカプセルを投げ、飛行できる自動車を取り出した。悟空に教えてもらった場所はそこそこ遠く、1日程移動に掛かるだろう。
「それで?カリン塔って所には何があんだ?」
「塔のてっぺんにカリン様っていう仙人が住んでんだ、カリン様ならピッコロ大魔王をなんとかする方法を知ってるかもしれねぇ」
「ほぉ、仙人か……仙人には会ったことねぇな」
「ところでオメェかなり強いけどよ、今までどうやって鍛えてきたんだ?」
悟空は俺がピッコロ大魔王に傷を付けられる程の実力を持っている理由が気になった様だ。
「俺はガキの頃から物を斬るのが好きだったんだよ」
俺は子供の頃の思い出を悟空に語った。
親の仕事の木こりの手伝いを始め、斧で木を切り倒しながら小遣いを貰って過ごしていた時に俺は行商人の売り物の中の刀に一目惚れした。俺が今まで貯めてきた小遣いを全部使って俺はその刀を手に入れて毎日の様に振りまくった。
やがて刀を仕事に使う様になって、木を一刀で切り倒せる様になってからは親の稼ぎを超える様になったんで、独り立ちする事にした。
独り立ちしたあとは旅をしながらより硬くて斬りずらい物を斬る為に世界中を渡り歩いて、斬った素材を売ったり、用心棒をしたりして金を稼いでた。
硬い素材を売るのはかなり需要があったので、俺にはより硬くて採集が難しい素材を取ってきて欲しいという依頼が来る様になった。
稀に俺には斬れない様な素材を取ってくる依頼もあったが、その素材切れる様に修行して来た。
「まぁその末に今の俺がいるって事だ」
「へぇ、そうなのか。なんか次に斬りたい物とかあんのか?」
「そうだな、現状地球にある物質で俺に斬れない物は殆ど無い。だから次に斬るとすれば………
「空?」
「ああ、最近俺は結構伸び悩んでいてな、空間を切断できる様になれば次のステージに進める様な気がするんだ」
俺がそんな事を話していると、急に空が暗くなった。
「!誰かがドラゴンボールを使ったんだ!」
「まぁ、おそらくピッコロ大魔王だろうな」
「あんな強え奴が一体どんな願いを叶えるって言うんだ?」
「さあね、碌でも無い事になるなのは確かだ」
空の色が元に戻った頃ようやく俺たちはカリン塔のふもとに到着した。
悟空の友人のウパというカリン塔の麓の集落で暮らす少年とその父親に挨拶をして目的地であるカリン塔を見上げその大きさに圧倒されていると悟空が口を開いた。
「この塔の頂上が目的地だ」
「へぇ、エレベーターでもあんの?」
「いや、じぶんの手で登んなきゃなんねぇ、オラもうボロボロで上れねぇからヤジロベーが背負ってくれ」
「は?」
悟空は当然の様に非常識な話を頼んで来た。
「あー、この塔ってどんぐらい高いんだ?」
「ん?雲よりは高かった気がする」
「ふざけんな、明らかに5000m以上あんだろ」
この悟空という少年は少々サイコパスなのでは?と内心思っていると悟空は口を開いた。
「オラだって登れたんだ、あれだけ動けるヤジロベーなら出来るさ」
「………はぁ、別に出来ないとは言わないが」
「だろ?」
俺は悟空を背負い塔の麓に立つ。
上を見上げても頂上は見えない。目算では5000メートル以上、それより上は雲で隠れていて目視できない。登攀するなら確実に1日は掛かるだろう。時間を掛けるのも面倒だ。
俺はクラウチングスタートの姿勢を取り、息を整えてから走り出した。塔の側面に足を着けると同時にそのまま
これは俺の数少ない剣技以外の特技、どんな場所であろうと剣を振るう事が可能な様に忍者の里で訓練した壁面歩行の技術だ。
壁を登攀するなら何時間も掛かるだろうが、走って登るならどれだけ高かろうと1時間程で頂上まで到着出来るだろう。
ヤジロベーはどんな場所でも剣を振れる様に壁面歩行、水面歩行が可能。ただ空中を移動する手段は持っていない。