とある付与師の帰還録   作:さくさくの森

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今回の話を執筆をするために9巻~11巻を読み直したところ、バズーカ砲の人が出た瞬間に吹き出しました。完全に自業自得です。

また、普段は原作知らなくてもギリ読めるかな?くらいの説明を心掛けてるのですが、今回の話だけ諦めてます…ご了承ください。9月2日以降はかなりダイジェストです。



41.その頃の幻影旅団

 

――9月1日

 

 ヨークシンの地下競売の商品を狙ったA級賞金首集団、幻影旅団であるが、商品が保管されている筈の金庫は何故か空。目的を果たせずに気球で逃亡していた。

 自分たちの中に背信者(ユダ)がいるのかと疑うが、その割には相手方の対応が中途半端であることに疑惑は残る。少なくとも誰かしらの情報提供者がいると仮定して、自分たちを狩に来るであろう、マフィア最強の実行部隊、全十人で構成される『陰獣』を逆に狩るために、ゴルドー砂漠に気球を着陸させて誘い出す方針となった。

 

 マフィア上層部が下手人を捕えたものへの莫大な報酬を約束したことで、哀れな末端マフィアはゴルドー砂漠に集結して商品を盗んだ下手人を捕えようと躍起になる。

 

 実は上層部の指示により、商品が事前に移されていたことなど露知らず、加えてこれから敵対する相手が幻影旅団であることも知らずに集結してしまった男達。全ては莫大な報酬を得ようとする功名心と、彼らのプライド故にである。

 

 集まった末端マフィア…という名の有象無象は、旅団屈指の肉体の強さを誇るウボォーギンによって蹂躙され、ただただ無残に死体が積みあがっていく。彼の肉体の強度はライフルの狙撃の直撃ですら効果が薄く、逆に狙撃手が唯の投石で殺されていく始末…まるで勝負にもなっていなかった訳であるが…そこに待ったをかける一人の漢が存在した。

 

「そこまでだバケモンが! これは戦車も一発でオシャカにしちまうスーパーバズーカ砲だぜ!! コナゴナになれや!!」

 

 一(・)風(・)変(・)わ(・)っ(・)た(・)バ(・)ン(・)ダ(・)ナ(・)を巻いたスキンヘッドの男が、ジャキィとバズーカ砲を構えてそう宣言する。彼こそが、この場に集った有象無象の中での最高火力であることは間違いがない。

 

「悲しいぜ。俺はたかが戦車と同じ評価かよ」

 

「死ねィ!!!」

 

 戦車と同列の評価を不満として、ただただ無造作に片手を向けるウボォーギンに対し、殺意を乗せた掛け声と同時にバズーカ砲を発射。

 発射された弾頭が着弾し、言葉通りに戦車をオシャカにする程の爆炎が上がる。

 

「「「やったか!!」」」

 

「更にもう一発!」

 

「「「!?」」」

 

「もっ発もっ発もっ発もっ発もっ発ゥーーーーーー!!」

 

「「「!???」」」

 

「俺の魂が尽きるまで連発してやるぜぇーーーー!!!」

 

 敵の主戦力である陰獣が来るまではただの退屈な蹂躙劇と、物見遊山気分で眺めていた他の団員も、これには驚いて個別に反応する。鋼鉄の肉体を誇る、強化系を極めたと自称する筋肉馬鹿(ウボォーギン)が、バズーカ砲の一発や二発でくたばるとは誰も思ってはいない。

 ……しかしそれが、五(・)発(・)や(・)十(・)発(・)と(・)も(・)な(・)る(・)と(・)話(・)が(・)違(・)っ(・)て(・)く(・)る(・)。

 

「え…? これヤバくね? 陰獣?」

「有象無象の中に念能力者混ざてるね」

「弾数無限て奴…? 現実でそれ再現する奴いたんだ…」

 

▽ ▽ ▽

 

『無限バンダナ(弾数無限)』具現系能力

具現化したバズーカ砲に対してのみ発動。

バンダナを装着している間、弾数の制限を撤廃し、次弾が自動的に装填される。

ただし1発使用する度に、明日以降の一切の能力発動を封じる。

(使用不能日数は1:1換算)

※リールベルト戦敗北後に開発

 

▽ ▽ ▽

 

 継続する爆発音にモブマフィアすら困惑するが、バズーカ砲の発射は止まらない。

 

 この男はマフィアに雇われた用心棒的な立場であり、自身もまた念能力者であるからこそ、彼我の戦力差を本能的に理解していた。

 

 目の前の野獣のような男に…果たして己が信じるバズーカ砲は通じているのか…? そんな不安を押し殺すように、唯只管にバズーカ砲を発射し続ける。

 彼のスーパーバズーカ砲の威力は、並の念能力者であれば一発で確殺出来る威力なのは間違いない。それでも、並(・)で(・)な(・)い(・)念能力者であれば何らかの形で対処してくるというのは、既に天空闘技場で味わった苦い記憶として男を蝕み続けていた。

 

「俺の…俺のバズーカ砲が負ける訳がねぇえええええ!!」

 

 

 ――打ち込んだ数が二十を超えた辺りで、異変に気付く。

 

 爆炎が…徐々に近づいてきているのだ。

 

「お前…強えじゃねえか…地獄に落ちたら再戦しようぜ?」

 

「バケモンが人様相手に喋ってんじゃねえ!」

 

「俺以外なら死んでたぜ! ぬぅううん!!」

 

『超破壊拳(ビッグバンインパクト)』!!

 

 

▽ ▽ ▽

 

 

「おめーらも割と強かったな! 陰獣てのは全員こんくれー強いのか?」

 

 バズーカ砲の男を始末した後、追加で集まった四人の陰獣を蹴散らしたウボォーギンがそう吠える。

 

 バズーカ砲の連撃による全身の熱傷と刺創、顔面への打撃による皮下出血、拳には細かい穴が空き、左肩と左足の肉は一部が食いちぎられ、身体は毒により首から下が動かない。肩の傷からは大量のマダライトヒルが植えつけられる等…ウボォーでなければ十回は死んでいそうな酷い集団リンチであったが…それでも彼は生き残った。

 

 動きを封じる毒は兎も角、生物であるマダライトヒルは、シズクの掃除機でも吸い出せない。対処のためにはシャルナークのアドバイス通りに尿内のアンモニア濃度を下げることで孵化を封じて無害化する必要がある。

 

 ということで大量のビールを飲んで排尿を促そうとしていたその矢先、ウボォーの身体に突如鎖が巻き付きそのまま攫われてしまった。

 

 咄嗟にマチが糸が繋がった針をウボォーの左ふくらはぎに刺すことで追跡を可能とするが、マフィアから奪った車での追跡中に、残りの陰獣、六人全員が集まって旅団を強襲。

 

(あれ? 二人多くね? バズーカ砲と鎖の使い手は?)

 

 という疑問を他所に戦闘は開始され、彼らの追跡は失敗してしまった。

 

 

▽ ▽ ▽

 

 

――9月2日

 

 ウボォーを捕えたクラピカを擁するノストラードファミリーであるが、旅団側の工作により、ウボォーの身柄の引き渡しに失敗。コミュニティの人間に成りすまし、変装していた旅団員に気付かなかったことで不意打ちを受け、まずはリーダーであるダルツォルネが殺害された。

 

 シズクにより毒が吸い出され、拘束が解け自由になったウボォーの怒りの咆哮により他の組員は全員逃がしてしまったが、己を拘束してみせた鎖野郎と決着(ケリ)をつけるまでは戻らないと宣言するウボォーギン。

 

 排尿を促すビールを飲みつつ、シャルナークが『狩人の酒場』を駆使することで入手した情報を虱潰しに裏取りしていき、相手方に予知の能力者がいること、幻影旅団に背信者(ユダ)はいないこと、鎖野郎が宿泊しているホテルの部屋番号までを特定する。

 

 ウボォーが単身向かったところ、鎖野郎は部屋で待ち構えていたため、互いに交戦の意志ありとして死に場所を選ばせる。人がいない荒野に移動する頃には、マダライトヒルの脅威は去っており、激痛死の危機は免れた。

 

(…これで心置きなく、俺を捕えてみせた鎖野郎をぶち殺せるぜ)

 

 そう思って戦い始めたところ、相手は対旅団に特化した発を開発していたクルタ族。捕えたものを強制絶にするその鎖は、怪力無双を誇る肉体でも破壊することが出来ず…そのままウボォーギンは返り討ちにあってしまった。

 

 

――9月3日 朝~夕方

 

 普段から時間にうるさい筈のウボォーが明け方まで戻って来なかった事から、鎖野郎に返り討ちにされた可能性を考える幻影旅団団長、クロロ=ルシルフル。その真偽を確かめるべく、二人一組での鎖野郎の捜索を指示する。

 

 しかし待てど探せど鎖野郎は見つからず…その痕跡すら見つからない。

 

 二重尾行の策すら無駄に終わり、夕方時点までの旅団側の収穫はゼロに終わる。

 

――9月3日 夕方~夜

 

 鎖野郎がノストラードファミリーの一員であることは既に割れているため、ボディーガードの顔写真を元に情報を洗っていく方針に切り替えることにした幻影旅団。

 

 その一方で一人別行動を取るクロロは、ノストラードファミリーの組長の娘を捕捉。百発百中の占い能力を持つことを聞き出した上で、実際に能力の発動を目視したことにより、『盗む』ための条件の大半が成立。

 その後に手刀で気絶させ、首尾よくその娘の能力を奪った。

 

 予知に匹敵するその占いにより、ウボォーの死を確信したクロロは、各地に散った団員に改めて指令を出す。

 

『セメタリービルで暴れるから来い』

『派手に殺れ!!』と。

 

 己を尾行していた手練れのナイフ使いを、手札の中でも強力な能力を使用できる密室に誘導してから始末したクロロは、指示通りに集まり、武装したマフィアを相手に蹂躙を続ける旅団員達が引き起こす戦闘音と断末魔を鎮魂歌として、亡きウボォーに捧げることで弔いとした。

 

(あとは十老頭が雇ったゾルディック家の人間が俺を殺すのが早いか、俺が雇ったゾルディック家の人間が十老頭を殺すのが早いかの勝負だな…)

 

 ――結果的にクロロはこの勝負に勝ち、幻影旅団は表向き壊滅したことにして、自分たちの死を偽装することに成功する。

 

 ウボォーというかけがえのないメンバーこそ失ったが、地下競売の商品を全て手に入れるという当初の目的は達した。後はオークションを再開させて、コルトピの能力でコピーした偽物を売り捌けば計画は完了である。

 

 

 

――9月4日

 

 お宝は手に入れたので今夜ここを立つと宣言するクロロに対し、ウボォーを殺した鎖野郎を殺してからだと反発するノブナガ。

 

 そんなノブナガに対し、クロロはつい先日盗んだ百発百中の占いを行使、その結果は…ウボォー以外にも三人の旅団員を失うことになるという内容だった。占いのためには生年月日と血液型と氏名が必要であるため、全員を占うことまでは出来なかったが…それでも来週までに死ぬ人間を完全に特定することに成功した。

 

 死ぬことになるのは――シズク、パクノダ、シャルナーク。特にシズクとパクノダの能力はレアであり、旅団の今後の活動にも欠かせない存在である。能力的にはよくある範囲のシャルナークもまた、旅団の頭脳役兼、情報収集役の立ち位置であり、クロロを除く唯一のプロハンターでもある。そう簡単に失う訳にはいかない。

 

 ノブナガやウボォーは、ある意味で特攻役として他のメンバーの代わりに死ぬこともまた仕事の一つ。特攻役が一人死んだことを引きずって、旅団全体の生命線たる情報・処理部隊を失うなど、あって良い話ではない。

 

 旅団の立場を忘れてダダをこねているのは己であると、ノブナガがそう自覚することで、幻影旅団は完全にヨークシンシティから撤退することとなった。……その行動を被害を最小限に抑えたと取るか、尻尾を巻いて逃げ出したと取るかは、今後の彼らの活動次第であろう。

 

 

▽ ▽ ▽ 

 

 クラピカは一人、己の怨敵の頭とその配下五人が、ゾルディック家とマフィアの手によって殺されたことを、ただ静かに受け入れるしか無かった。

 





バズーカ砲の人…南無。
王位継承戦には絶対に出してはいけない恐ろしい人でした。

一瞬とはいえ鎖野郎や陰獣と同列に語られるのは大出世
最強議論でもそこそこの位置に入る筈

あとここのクラピカは旅団員の能力を一切知らないので、
倒せるのは五人⇒三人に減ってます。
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