世界を救え?できらぁ! 作:星5すり抜けとNTRは悪い文明
「ヘリコプターが落ちてた、ねぇ…どうやら思った以上にややこしい特異点に迷い込んだな」
ある意味予想通り、というべきなのか。この特異点の異常性はなんとなく理解できているものの、だからといって憶測として話すには度を越えている内容だ。
(問題はハンマーのほう)
敵味方関係なくハンマーでダメージを出せるとは思えない。それこそヘリコプターがひとりでに落ちるくらいには難しいことだろうと予測をつける。
『風香。とりあえずいろんな状況が混雑しているけれど安全な場所を確保しなさい』
「…了解」
気を遣ってくれた所長の言葉に従うように結界を貼り、ついでに魔術でヘリコプターが落ちていった方向を探る。何もない。
「フーくん、ヘリの人って…」
「いない。というかヘリが落ちた跡も見当たらないから特異点の特徴だろうな。土地の変化も含めて機械とかそこらへんに関係するサーヴァントが主犯、と見るべきか」
コツコツと鳴る鋼の地面。本来ならばヘリコプターが激突した以上は爆発しなければおかしい。
「立香ー、ちょっとここ壊すね?」
「えっ」
「えいやっ!」
結界で安全を確保してから手元に作り出した斧で地面に一撃。当たったけれど何も手応えがなく、寧ろ斧が止まった。
『いきなり斧を振り回すバカがどこにいるのよ!?寸前で止まったみたいでよかったけれど、次からは気をつけなさい!』
「…結構考えたんだけどこれくらいしかなくってさ。立香、もしかしたらヘリの人は無事かもしんない」
「本当!?」
「ヘリコプターは壊れてるかもしれないけど、逆に言えばその程度くらいで済んでるかもしれない」
地面に対しての衝撃は限りなく近いゼロになるようだ。炎が上がらなかったしヘリコプターも最初に故障したやつだけで済んでいるだろう。
(空中で故障する理由も確認したいし、まぁ一緒に確認しにいくかぁ)
結界を解除して万が一のためにショットガンを取り出す。今回の敵は一撃の重さより手数のほうがよさそうな気がするし。
「あ、立香もクラッカーとかいる?」
「クラッカーってあのパーティーとかで使うやつだよね…?」
顔を引きつらせている立香だが、普通に受け取ってくれた。
「至近距離で銃とか狙うよりこっちのほうがいいでしょ。誕生日のときに立香の家で使ってたし」
『なんで?なんでクラッカーを装備として扱おうとしてるの?』
「でも魔王だって弾け飛ばせた気がするし…うん、フーくんの言う通りもっておくよ!」
『多分それ嘘よね?嘘と言ってちょうだい?』
別に某大乱闘の話だから嘘ではないし、何より所長が困っている姿を見るのはとても面白いからオッケー(クズ)
そんなこんなでヘリコプターの場所が見えた。立香は見えないくらいであるそんくらいの遠い距離で視認できた。
「…ロマニさんや、迂回して向かってもいい?」
『うん。何か見かけたのかい?』
「というより有毒ガスかなんか出てそうだからだね。可能な限りゆっくり歩きたい」
少し見ただけでもフレームが見えたのだ。燃えてないところから踏まえるに、別の化学反応の可能性がある。
酸で溶けたりとか…まぁ、まだはっきりとはしてないけれどリスクは避けるのが無難だろう。
(初手で斧を叩きつけたやつが思うセリフじゃないかもな…)
どんな特異点かわからないなら突撃が普通だ。立香がいなかったら聖杯に向かって突撃して黒幕ボコして終わらせてる。
「まぁこの機械になってる草原からは離れないくらいでいいから歩こうか。もし眩しいなら日傘作るし」
「うん。せっかくだしフーくんと相合傘したいな」
カチャッと袋の中で変更したパラソルを外に広げる。緑色の水玉模様で視界が少しだけ光を通すが、日傘としてUVカットもしているし、いざとなれば武器としても震える優れモノの日傘だ。
「はい。もうちょい近づかないと入らないからしっかり近づいて」
「うん…わぁ、綺麗」
中から見る景色が綺麗なようで何よりだった。もともと使っていた武器のときは血まみれで透明さとは無縁になってたし。
「手は繋げないけどゆっくり散歩しようか。仮に何かあったら対処できるから景色を楽しむといいよ」
静かな何もいない草原。一歩を踏み出し続けるときの音がやけに間延びして響いていた。