頭文字S 公道最速の六連星   作:ペンギン太郎

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ACT.10 AE86 vs FD & GC8 後編

 

 『もしもし…こちら第1中継地点、スケートリンクのストレート。聞こえるか?』

 

 「こちらスタート地点…。どうした?」

 

 『えらいことだぜ!!今三台が通過したけど、啓介がハチロクに煽られてるぞォ!!何がなんだか分かんねーけど異常だぜ!!秋名代表のハチロクめちゃっぱや』

 

 「!!」

 

 「う、嘘だろ…。啓介さんがハチロク相手に煽られてるだと…!?」

 

 「どうやら拓海の腕は本物みてぇだな。馬力の劣るハチロクでFDを煽るなんざ、どう考えたって普通じゃねぇからな…」

 

 

 中継地点からFDがハチロクに煽られてると聞いた両チームは動揺するも、そこから中継先からの報告を受ける。

 

 

 『インパクトあるぜ凄えショック!!啓介のFDがコーナーであそこまで追いまわされることなんて今まで一度もなかったからサァ…』

 

 『この長いストレートでまた突き放したけど…。この先タイトなヘアピン続くからちょっとヤバいかも…』

 

 

 そこで中継地点からの報告が終わるや史浩は涼介に顔を向ける。

 

 

 「聞いたか?涼介…」

 

 「誤算だったな…。秋名にこれほどの凄腕がいるとは…!!」

 

 

 涼介はハチロクの腕が自分の予想を遥かに上回っていること内心驚きを見せ。

 バトルはいよいよ大詰めとなり、後半セクションへと入っていくのだった。

 

 

 

 

 

 バトルは後半に入るもハチロクは前を走るFDにストレートで差を広げながらも、コーナーをドリフトで抜けては再び差を縮め。接戦を繰り返す。

 

 

 「スゲー突っ込み!!」

 

 「あいつ…突っ込み重視のとんでもねぇ神風走法だァ。下りの恐怖ってもんを感じる感覚欠けてんじゃねーのか、あのドライバー」

 

 「この難しい秋名の下りを…。あんなに速く走る奴ら見たことねーぜ」

 

 「ちょーウルトラ格好いいぜ!!痺れたぁ!!」

 

 「やっぱハチロクはドリフトが似合うぜ!!」

 

 

 ギャラリーはハチロクのドリフトに魅了されては興奮し、そんなギャラリーの歓声を掻き消すかの如く、インプレッサもハチロクに続けて、その場でドリフトをして走り去る。

 

 

 「お、おい見たかよ、あのインプレッサ…。ハチロクに負けじとコーナーをドリフトで抜けていったぞ…!!」

 

 「ああ、まるでWRCのワンシーンを見てるような気がしたぜ…!!」

 

 「何なんだあのインプレッサは…。あんなに速え車、群馬にいたのかァ!?」

 

 

 インプレッサはハチロクの後ろにつくや、前を走っているFDをどう攻略していくのか見ていきながら走り続ける。

 

 

 「もう、そろそろ終盤だし…、何か仕掛けなければハチロクはFDに勝てないかもしれないな」

 

 「え、仕掛けるって?」

 

 「この先は秋名の難所である魔の5連続ヘアピンだから、そこをどう攻略するかで勝負は決まるってことなんだよ」

 

 「ヘアピン?髪留めをどう使うわけなのよ?」

 

 「あのなぁ…ヘアピンっていうのは、U字状に曲がりくねったカーブのことを言うんだよ」

 

 「そういうことね。そこを抜けた先はもうゴール地点だから、そこで勝負を仕掛けるというんだね」

 

 「そうだ。…っと言っても、あそこは下手にスピードを出し過ぎると事故る可能性が高いから、拓海がそこをどう攻めていくかが問題だな」

 

 

 光は次の5連続ヘアピンで勝負が決まると予測し、自分達の前を行く拓海も同じような事を考えていた。

 

 

 「(前よりスキが無くなってる…。随分上手くなったな、このドライバー…。抜かねーとやっぱ勝ったとは認めてくれねぇだろうしなあのクソ親父…。しょーがねーあれ(・・)やるか。仕掛ける先はこの先の5連続ヘアピンカーブ!!)」

 

 

 拓海は何か秘策があるからか光が言うように5連続ヘアピンで勝負を仕掛けようと考えるのだった。

 

 

 

 

 

 「こちら頂上。第2中継地点聞こえるか?もうすぐ三台がそこを通る。実況中継してくれるか、なるたけ状況を克明にな…」

 

 

 スタート地点から涼介が無線を通じて連絡をとり、中継地点に待機してるメンバーに実況するよう指示を送る。

 

 

 『OK、すぐそこまで来てるぞ。もうスキール音が聞こえてるんだ。もうすぐ5連ヘアピンに突っ込んでくるぜ!!』

 

 

 中継地点にいるメンバーがその場で実況を開始し。

 FDとハチロクは熾烈なドッグファイトを繰り広げておりその後ろには光が駆るインプレッサが後を追い続ける。

 

 

 「(直線では俺の方が速いんだ!!それなのに食い付かれてるってことはコーナーワークで負けてるってことかよ!?そんな事は死んでも認めたくないぜ!!パワーの劣る車にコーナーで追い込まれるなんて走り屋にとって最大の屈辱だぜ!!)」

 

 「どうしたんだ今日に限ってFDがやけに鈍く感じる!!セカンダリータービン止まってんじゃねーのか!!」

 

 

 啓介は漸くハチロクに追いつかれる理由を知っては更にアクセルを踏んでは加速させようとするも走り具合が悪く感じたのか愚痴をこぼしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 秋名山 頂上スタート地点

 

 

 『こちら第2中継地点来たぞ!!なんだぁ思ったほど差がついてねーぞ!!』

 

 『おわ〜っ!!』

 

 「どうしたんだ?黙るなよ」

 

 『悪い…ちょっとびっくりしたんだ…』

 

 

 中継地点にいるメンバーは一旦落ち着くと、再び状況を開始する。

 

 

 『凄いぜあのハチロク何者だァ!?下りのブレーキングドリフト完璧だよ啓介が突っ込みで負けてる!!立ち上がりもうめーっ!!うわっ、ガードレールギリギリすげーな!!インプレッサもそれに近づいては中々な走りをしてるぞ!!』

 

 

 

 

 

 場所は再び第二中継地点へ移り変わる。

 

 

 「2個目のヘアピンに入るぞ!!もう差が全然ねぇ!!おおっ!!何でかなー立ち上がりは互角(タメ)だぜ!!」

 

 「全力で三台が立ち上がってくる!!次のヘアピンに備えてFDとインプレッサが寄ってく…。ハチロクは…」

 

 

 ハチロクは前に出てはFDを抜かしていきそのまま全速で3個目のヘアピンへ向かって行く。

 

 

 「(ヘアピンなのに減速(ブレーキング)しねぇ…!?何考えてやがる!?)」

 

 「ちょっ!?拓海君はこのまま突き進むつもりなの!?」

 

 「……」

 

 

 啓介と同じ様に真菜はハチロクがヘアピンを抜けて行こうとするのに驚くのに対し、光は拓海がそこをどう抜けていくのか確かめようと口籠る。

 

 

 「ハチロクがとんでもねぇオーバースピードで突っ込んでく!!ブレーキいかれたかぁっ!?」

 

 

 オーバースピードと思えるほどの速さでコーナーに侵入する拓海。誰もが自殺行為にしか見えないと映らないその瞬間…。

 

 

 ガリッ

 

 

 一瞬、鈍い音がすると、ハチロクがヘアピンを曲がり、FDの前に出るのだった。

 

 

 「(なんだーあ!?今のは!!)」

 

 「な、何が一体どうなって…!?」

 

 「拓海の奴、やってくれたな…」

 

 「え?何が起きたのか、光は分かったの?」

 

 「その詳細は後で伝えるよ。今言えるとするならば、この勝負は拓海の勝ちで決まりだな」

 

 

 啓介と真菜は何が起きたのか理解できていなかったが、後ろからハチロクの走りを目の当たりにした光は拓海がどうヘアピンを抜けていったか即座に理解したのだ。

 

 

 

 

 

 『ああ〜っ』

 

 「叫んでないで状況を言えっ。イライラするよ事故ったのか!?」

 

 『ぬ…抜かれた…』

 

 「なに…?」

 

 『抜かれちまったぁ…。啓介がぁ…。呆気なくインからスパーンと…』

 

 「「「……」」」

 

 

 中継地点から啓介が拓海に抜かれたと報告が上がるや、その場にいた全員が静まり返る…。

 

 

 「そんなバカな…。いくら何でも…抜くのは無理だろこんな狭い峠道で…。ちゃんと説明しろよ…」

 

 『無理だよ…。分かんねーんだ…。見てる俺達にも…何がどうなってんのか…』

 

 「拓海の野郎。あの5連続ヘアピンで一体何しやがったんだ…?」

 

 

 

 

 

 「(俺にはわかった…。あのハチロクが何をしたのか…。バカバカしい事だがあんな事は誰にも絶対真似できねぇ…。しかもこの秋名でしかあり得ないことだ…)」

 

 

 5連続ヘアピンでバトルを観戦するギャラリーも、ハチロクに何が起こったか分かっておらず困惑していたが、ナイトキッズのリーダーの中里は、その場でハチロクがどうヘアピンを抜けていったのか見破っていたのだ。

 

 

 「(とんでもねぇバカが世の中にはいる…。楽しみがまた一つ増えたぜ。秋名の下りのスペシャリスト。あいつを仕留めるのは俺だ)」

 

 「帰っちゃうんですか毅さん。まだ上りのアタック終わってないけど」

 

 「興味ねぇな…上りは。あんな凄いもん見せられた後じゃあな…。上りはレッドサンズが勝つだろうがそれでも一勝1敗の引き分けだとは思わねぇな…。車のパワーで勝てる上りだけ速くてもそんなもん俺は認めねぇ。峠(やま)の走り屋は下りが速くなきゃ本物じゃねーよ。今日の交流戦はレッドサンズの負けだ」

 

 

 中里はレッドサンズが負けたと断言し、後ろに停めてあるR32に乗り込むと、エンジンを始動させると、その場を立ち去るのであった。

 

 

 

 

 

 『もしもし。こちらゴール地点、聞こえるか涼介。えらいことだァ!!』

 

 

 ゴール地点にて待機してたメンバーから頂上にいる涼介達に結果を報告する。

 

 

 『啓介が負けたぞォッ。先にゴールインしたのはスピードスターズのハチロクだ!!しかも7秒も差をつけられてたぞ…7秒だぞ!!』

 

 「(7秒…!?文句なしにぶっちぎりだな…)」

 

 

 7秒もの大差をつけ、弟の啓介を打ち負かした結果を聞いた涼介は、ハチロクの走りを認めるしかなかった。

 

 

 「ハチロクのドライバーはどうした?そこにいるのか?」

 

 『いや…。ゴールしたそのままの勢いで止まりもしねーで帰っちゃったよ…。カーンとかいい音させて…』

 

 「!!」

 

 「勝っちゃいましたよォ〜!!池谷先輩〜!!あのボケた拓海がぁーっ!!」

 

 「っしゃあ見たかよレッドサンズ!!相手を甘く見たのが仇になったな!!」

 

 

 拓海が勝ったこととの連絡を聞いたスピードスターズはそので大はしゃぎしては喜びに浸り。和樹もイツキと抱き合っては感激する。

 

 

 「凄すぎるぜー血の気が引いたァ…鳥肌立ったぁ…。頭が変になりそーだァ」

 

 「やったなぁー池谷泣いてんじゃねーよォバーカ」

 

 「なんか知んねーけど嬉しくて嬉しくて…」

 

 「あいつに色々教えて貰おうな今度から…。ドリフトのコントロールとかライン取りとかさ…」

 

 「あいつのハチロクに勝手にスピードスターズのステッカー貼っちまえっ!!」

 

 「あっその役俺やりますよー池谷先輩!!」

 

 「かぁ〜。まじで堪んないっすよ。あのレッドサンズの高橋啓介がハチロクに負けるなんて、ざまあみろとしか言いようがないっすよぉ!!」

 

 

 スピードスターズのメンバーと和樹が拓海の勝利に喜んでいる一方、レッドサンズは啓介が旧世代の車であるハチロクに負けたことが余程ショックだったか、暗い雰囲気に包まれていた。

 

 

 「負けは負けだ…。潔く認めよう。秋名を舐めていたな…あれほどの腕の持ち主がこんなマイナーな峠(やま)にいたとはな…」

 

 

 レッドサンズの広報部長である史浩は、啓介が負けたことに悔しそうにするが、涼介に対し、今後のことについて言う。

 

 

 「これだけギャラリーが出てる中で負けたのは痛かったぜ…。明日になれば群馬中の走り屋仲間にこの噂は一斉に広がるぞ。負け知らずだったレッドサンズが秋名のハチロクにやられたってな…」

 

 「自分達を売り出す為に集めたギャラリーが裏目に出たな…。まぁいいこの落とし前は近いうちにつける…。俺のFCでな!!」

 

 

 涼介は自らの手でハチロクを打ち負かそうと決意を改める一方で、もう一台の車を思い出す。

 

 

 「彼が駆るあのインプレッサ…。今回はハチロクを見る為に走っていたみたいだがそいつがどれほどのもんだったか、後で啓介から聞いて置かないとな」

 

 

 

 

 

 秋名山 5連続ヘアピン

 

 

 ギャラリーが去っては鎮まり返った秋名の5連続ヘアピンにて、高橋兄弟がハチロクに抜かれたポイントに車を停めるや、バトルで起きた状況について啓介が話す。

 

 

 「この右だよ兄貴…。どうしてもわからねぇ…。インベタのハチロクが俺のFDよりも速いスピードで曲がれるなんて…。思い出してもゾッとするよ…あいつは本物の幽霊かもしれねーぜ兄貴…」

 

 

 自分が何故ここでハチロクに抜かれてしまったか、わからずにいた啓介は、ハチロクが幽霊ではないかと涼介に投げかけるも、涼介はヘアピンのある箇所に注目していっては啓介に言う。

 

 

 「啓介。わかったぜ謎が…」

 

 「なんだと?」

 

 「お前が何故抜かれたか…。そのわけを教えてやろうか」

 

 

 ハチロクがどんな仕掛けをしてきたか、涼介は道路の側溝を足で指しながら説明する。

 

 

 「これを使ったんだ。ハチロクのドライバーは」

 

 「?」

 

 「分かんねーか?溝だよ溝…」

 

 

 啓介は理解できないからかきょとんとしては頭に?マークを浮かべるも、涼介はそこから溝を使ってどうヘアピンを抜けたか説明をする。

 

 

 

 

 

 「溝落とし?」

 

 「何だその技は?」

 

 「言葉通りの意味さ。拓海はハチロクのフロントタイヤを道路脇にある排水用の側溝に落として、あのヘアピンを曲がり切ったんだよ。そうすることで、タイヤのグリップ以上のコーナリングを可能にして、あのヘアピンを抜けきったってわけだ」

 

 「た、タイヤを溝に落としたって…」

 

 「流石は文太の息子だね。まさか、ドリフトの技術(テクニック)だけに留まらず、溝落としまで継承するとは。僕も昔、あいつと赤城でバトルした時に、その技であいつに何度やられたことか…」

 

 

 交流戦を終えた後、高崎に帰ってきた光は拓海が5連続ヘアピンで溝落としをして高橋啓介に勝ったと真菜達に説明をしていき。

 中津社長も光達に混ざって話を聞きながら、溝落としには苦い思いがあると懐かしむように語るのである。

 

 

 「でも光、溝落としって…そう簡単にできるものなの?」

 

 「そりゃあ、俺だってやろうと思えば…」

 

 「できるわけ無いだろ。お前が溝落としなんかしたら、即座に車をぶっ壊してしまうだけだ」

 

 「なんだとぉー!!」

 

 「まぁまぁ和樹君落ち着いて…。光君、どうしてそう言い切れるか説明してくれるかい?」

 

 「あの技をやるにはかなりの練習をしないといけない上、タイミングを間違えでもしたら、足回りがイカれてしまうんだ。拓海があそこで決めることができたのも、秋名の下りを頻繁に走り込んで身に着けたとしか考えようがないからな」

 

 「なるほどな、初めて会った時のあいつはそんな感じを見せなかったくせに、走るとなると人が変わる奴なんだな…」

 

 「本当よね。ハチロクという車をまるで自分の手足の様に操るなんて、どう考えたって普通じゃないわ」

 

 「そりゃあ、拓海君は父親の文太が鍛えたんだからそれぐらいのことはできて当然だよ。おそらく彼が君達の乗る車に乗り換えでもしたら、最早無敵そのものになるかもしれないしね」

 

 「え?…それってどういう意味なのパパ?」

 

 「要するに、拓海はハチロクに乗ってあれだけの走りができるってことは、俺の乗るインプレッサや和樹のランエボに乗ってしまえば誰にも敵わない程最強のドライバーと車が誕生するってことなんだよ」

 

 「そういうことね。確かに光達と拓海君が同じ車で勝負したら結果はもう見えてるし」

 

 「待て真菜。俺と光は車を五分に持ち込まれたら拓海には敵わないとでも言いたいのか?」

 

 「だって、拓海君はそれだけの実力を持ってるんでしょう?だったら尚更比べるだけ無駄じゃない」

 

 「くっ…言ってくれるじゃねぇか!!」

 

 「まぁ…真菜の言ってることは最もだしぐうの音もでないな…」

 

 「でも光や和樹の車に拓海君が乗る姿なんて想像がつかないから、やっぱ拓海君にはハチロクがお似合いかなぁ…」

 

 「ふんっ、だったらよ。秋名に行った際俺のランエボで拓海に勝負を挑んでやろうじゃんか。いくらハチロクといえどラリーに勝つ為に生み出されたランエボなら拓海と対等に渡り合えるかもしれんしな」

 

 「お前、拓海の走りを直に見ていない癖に、よくそんな事が言えるな…。あれだけの走りを見せられたら、まともに敵わねぇって思うくらい、あいつの走りは凄かったんだぞ…」

 

 「なんだよ、随分弱腰じゃねぇか光…。お前がそこまで言うってことは、そんなに拓海の走りはヤバかったのかよ…」

 

 「いや、あれはどう見たってヤバいって言葉だけじゃ済まないぞ…。ガードレール擦れ擦れのコーナリングは勿論、ハチロクでFDを煽っていたんだ。性能差を覆す程の走りができるってことは、並大抵の走り屋のレベルを超えてるとしか、言いようがないんだよ…」

 

 「そうよねぇ。あたしも助手席で見てたけど、あれは本当普通では考えられないくらいのもんだったし…」

 

 「ははっ、まぁ光君も拓海君に敵わないとはいえ、充分腕が立つけどね…」

 

 

 光が拓海の凄さを語る傍ら、中津も光の腕は拓海と張り合えるかもしれないと言うのであった。

 

 

 

 

 

 「クソッタレがぁっ!!」

 

 

 一方その頃、自分が負けたのか理由を聞かされた啓介は、ガードレールに蹴りを入れて八つ当たりをするが、涼介は静かに闘志を燃やしながら口を開く。

 

 

 「こんなことが起こるから峠は面白いぜつくづく…。久々に俺が熱くなれる標的(ターゲット)に出会えた気がするな。来週予定してた妙義山遠征は延期だ。まず秋名に完全勝利するまでその先はない。あのハチロクは俺がやる!!」

 

 

 涼介はいずれ近い内に、ハチロクにバトルを仕掛けるかのように言っていくと。啓介にあることを話す。

 

 

 「啓介。お前とハチロクが走っている後ろで、インプレッサが追っていたのに気付いていたか?」

 

 「あぁ…。あいつは、俺とハチロクの走りを見通すように見ていやがったからな…!!今思い出しても腹立たしいぜ!!」

 

 

 啓介は後ろを走っていたインプレッサを思い出すや、ハチロクに抜かれた時以上に怒りを露わにする。

 

 

 「地元の走り屋じゃないとはいえ、ハチロクと互角に渡り合えるくらいの走りをあのインプレッサはしていたからな…!!俺が見る限りじゃ、あいつはその気になれば俺とハチロクを抜かせるにも関わらず、見ていやがったからな…!!今思い出しても腹立たしいぜ…!!」

 

 「そうか…。それでどうするつもりだ啓介。お前はここ(秋名)で奴にリベンジを挑もうとしてるんだろ?」

 

 「当然だ。今度会った時にはぶちかましてやりたいくらいあのインプレッサには苦い思いをしてきたからな…!!」

 

 「ふっ。お前ならそう言うと思ったよ…。なら、彼が来るであろう車屋に行ってバトルを申し込むことだな」

 

 「何だと…!?兄貴はあいつがどこに現れるのか知ってるのか!?」

 

 「ああ、あの矢島と一緒に来ていた篠塚という若者が教えてくれたよ。高崎にある『中津モータース』という店で車を借りてきたってな」

 

 「そうか。ならそこへ行ってはリベンジを仕掛けてみようじゃねぇか…!!」

 

 「(まさかあの若者があいつ(・・・)の父親が経営する店で車を借りていたとはな。どういう因果かわからんがおそらく啓介が奴に勝てるかどうかは判断がつかないかもしれんな)」

 

 

 啓介も涼介と同じく早速行動に移し、光へリベンジを果たそうと決意するだった。




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