「はあああああああ?!?!?!?!AC?!?!?!」
なんでこんなとこにACがあんだよ?!砂漠だぞ?砂漠の辺境みたいな場所に工場が建っていて、中にACが…………???
いや、待つんだ。一回落ち着こう……。
「いや無理だろこれは?!」
夢にまで見たACが……現実に……?
なんでこんなところに……工場みたいな見た目なのはこういうことだったのか。工場にしては大きいなと思っていたのも納得できる。
工場の中を見渡すと、ACの部品を運んだり付け替えたりするために使われるであろう機械が所々に置いてある。しかも、見たことがある足の部品、腕の部品が鋼鉄の地面に掘られた大きな四角い穴の中に乱雑に放り込まれていた。頭の部品も所々見られるが数は少ない。
「なんだぁここは……なんでこんな所にACが……。死んだと思ったら知らない砂漠にいるし、なぜか現実にACが居るし……まさか?!」
「俺は…
転生…したのか…?
いやいやいや、そんなわけない。これも何か…そう!ただの夢だ!ただの夢!ほっぺを引っ張っても痛くなー…痛?!……マジ?」
幾度となく情報が流れ込み混乱していたが、何とか落ち着いて情報を整理した。傍から見たら急に叫んででけえ独り言を饒舌に話す変人である。だが今は人はいないので、そんなことはどうでもいい。
今の状況としては
電車に轢かれて死んだと思ったら謎の鉄の建築物で目覚める。
その建築物から出ると、砂漠だった。
近くに工場があったので行ってみたら、そこにACがあった。
となる。
……疑問しか浮かばないなぁ。
ともかく、今のこの状況を鑑みてみると一つ思い当たる節がある。
『転生』だ。
俺は死んだはずなのに生きているし、死ぬ前にいた場所とは全く違う見当もつかない場所で目覚めた。それに、転生系ではよくあるチート能力を獲得的な流れ────今ここにあるACがとても当てはまる。
……本当は喜ぶべきなんだろうけど……正直、あまり信じたくない。
AC────正式名称を「
だがまあ、ここまでなら全然良いのだ。俺はアーマードコアの大ファンだからな。憧れのかっこいいロボットに乗れるなんて、嬉しすぎて死ねるくらいだ。
では、なぜ信じたくないのか。
アーマードコアの世界では、人がよく死ぬ。つまり、命が軽いのだ。
このゲームの大まかなストーリーはシリーズを通して、「主人公が傭兵となり、アーマードコアに乗って巨大な兵器や敵のアーマードコアと戦う」というものなのだが……まあ、人がたくさん死ぬのは想像に難くないだろう。それに加えて、兵器が頻繁に出てくるゲームということで操縦する人間に対しての負担がデカすぎてほぼ特攻兵器みたいなのも普通にあるし、傭兵が任務を達成するために現場に向かうと、実はターゲットは傭兵を誘い殺すための真っ赤な嘘でしたーなんていう話も普通にある。
アーマードコアの世界の命というのは……あまりにも軽すぎる。
ということはつまり、俺の命もそうやって呆気なく失う可能性があるということ。せっかく第二の命を授かったのに、すぐ死ぬのなんてまっぴらごめんだ。だから、俺は転生という事実をあまり受け入れたくはない。
残念ながら、簡単に人を信じれるような世界でもない。頼れる人なんて数少ないし、甘い嘘に誘われてそのまま駒にされるなんてこともザラにある。助けを求めれば逆に命が危ない。
万事休すである。
────と、ここまで語ってきたが、正直言うとこの世界がアーマードコアの世界だと確信を持てるかと言われると答えはノーだ。
不可解なものが二つある。
工場に来るまでに見つけた、青い空に浮いている謎の丸い線。
そして、砂漠の地平線にうっすらと見えていただけであまり確証はないが……細長い塔のようなもの。
この二つについて、アーマードコアの世界で見覚えが無いのだ。
俺の知る限り、アーマードコアの世界で青い空に丸い線というのはAC6の……トゥルーエンド?のエンディングでしか見たことがない。だが、もしそのエンディングの世界なら砂漠なんてものはなく、水没した世界になっているはずだ。
それに、あの塔はなんだ?ACVDにはタワーという建造物があったが、それのようにゴツゴツして鉄臭いような建物でもなかった。
この世界はなんなんだ?
前の世界で見たことがあるような無いような、そんな気がする。なんだっけ……確か、友達が似たようなゲームをお勧めしてくれたっけ。ブルー……なんちゃらみたいな名前だったような?アーマードコアにしか興味無かったから覚えてねぇ……。
そいつは確か、「簡単に言うなら、美少女版GTAだな!ワハハ!!」って言ってた覚えがあるな。
………結局やばくない?
いやもちろん、アーマードコアの世界じゃないならまだマシだが。銃なんて撃たれたら2度目の死だぞ……洒落にならん。もしかしたら神様はそんな治安の悪い世界を生きていく為にACを用意してくれたのか?そうだとしたら、本当に感謝しかない。
────────
ある程度考えがまとまった所で、そろそろこのACの構成を確認しよう。
確認する端末がどこかにあるのではないかと思い、機体の近くに目をやると
(……あれか?)
そこには、地面に繋がった謎の端末が佇んでいた。
(多分あれだわ。あんな感じなんだな)
近づいて端末を観察する。地面から一本の柱が伸びており、そこに融解するような形でタブレット端末ほどの大きさのモニターがこちらを向いて鎮座していた。
(……画面を押してみるか。)
軽くタップしてみた。すると、ボワンという電子音と同時にタブレットが画面を映し出した。そこには置いてある機体と同じ見た目のロボットが映っていて、頭、胴体、腕、足、エンジンやブースターなど内装類の部品の名前などが記録されていた。
(ビンゴ!こいつでアセンを確認するんだな。結構近未来的だな。さてさて、お待ちかねのアセン確認だー!)
…………身体を構築するすべての部品がジャンク品だとぉ?!こういうときって大抵ピカピカの最強機体が置いてあるべきではないのか?!入った時から嫌な予感はしてたけどさぁ……。
いやまあ文句は言えないし、言ったところでどうにもできんからどうしようもないんだよな。組み立てる機械とか使い方わからんし。
とりあえず武装を見ていこう。
右腕はマシンガン。使いやすくていい感じだね。
左腕はチェンソー。確かに強いが、当てにくいのが弱点かな。
右肩には6連装ミサイル。単体狙いも複数狙いも行けちゃうちょうどいい数。
左肩は拡散バズーカ。普通に強い。
中身はまあ…良いか悪いかで言ったら悪い方だが、使えないことはない。
……なんか、意外としっかり使えそうだな。懸念点としてはジャンク部品だから装甲が脆いことくらいか。
…………こいつに乗って外に出てみるか?この世界が何なのかを知りたい。ただ、アーマードコアの世界の場合野良の傭兵に相まみえるのがとても恐怖である。ちゃんと死ぬ。ブルーなんたらというゲームの世界の場合もあるけど……その場合、こんなでっかい兵器を見て仲良くしてくれる人がいるなんて保証が…………いやでもこっちのほうが可能性が高いし、アーマードコアの人達より数億倍話が通じるだろうし…………ああもう迷ってても仕方ねえ!!というか俺はACに乗りたいんだ!外に出るぞおおお!!
決意を固めて、ACの周りを見渡す。そして、ACを支える足場へ向かうための梯子を見つけた。これに登れば、ついに俺はAC乗りとなってこの謎の世界に羽ばたくことができる。そう思うと、恐怖と興奮が同時に湧き上がってきた。
梯子を上った先にはコアへと続く鉄の足場が伸びていて、コアを見るとコックピットの扉が開いていることが分かった。まるで誘われているようであったが、そんなことはお構いなしに乗り込む。
「ぬおー!!すげぇ!……って思ったけど意外とシンプルなんだな。」
中に入ってまず目につくのは、両手がくる位置にあるたくさんのトリガースイッチが付いたレバー?のような二つの操縦桿。このたくさんのトリガーそれぞれが、ACの動きに連動しているのであろう。そして、コックピットの前方にはモニターがコックピット内前方の壁全面に張り付いている。
今は自分の顔を反射しているが、起動したら頭部のカメラが外の状況を映し出すという感じだろう。椅子の背凭れには脊髄ら辺に謎の接続パーツが。これでACと繋がる事ができるのか。だが俺は強化人間ではないので、正直要らない。
モニターや椅子の周りには、幾つかの小さいスイッチやレバーが。おそらく、起動用のエネルギー循環用の物や、スキャン機能用の物だろう。無いとは思うけど、説明書的なのないかなぁ……あった。
…………あったぁ?!?!?!?!
なんと、操縦席の近くに手書きで書かれた説明書が。ACに説明書があるなんてゲームの方では何も語られてなかったよな……?
困惑しながら、それでいてわくわくしながらページを開いた。だが、残念ながら中身はほとんど焼け焦げていた。唯一読み取れたのは、レバーのトリガーがどこに連動しているのかということと数個のスイッチ類がそれぞれどういう機能を持っているかということだった。使い方の分からないスイッチは……最終手段みたいな感じで、来るべき時が来た時に試しに押してみるくらいに留めておこう。少なくとも、今試すものではない。
何はともあれ、説明書を書いてくれた人には感謝してもしきれないな。
薄いとも厚いとも言えない説明書をめくっていくと、ついに最後のページに辿り着いた。そこには、この説明書を書いた人からのメッセージのようなものが記されていた。
『ジャンク品だけど、機体性能は保証するよ! ─カーラ─ 』
誰が書いたのだろう。名前の部分だけ、隠されるように滲んでいた。……誰かに送るための機体だったのだろうか。
「……ありがたく使わせてもらいます」
この機体を作った人への感謝を呟く。そして椅子に座り、起動用スイッチを押した。
コックピットの中のありとあらゆるLEDが発光し、モニターに電力が送られた。ウィーンという電子音と共にモニターが工場内を映し出し、そして────
【メインシステム戦闘モード起動】
機械音声が流れた。
「ぬおおおおおおおおお!!?」
聞き覚えのある起動音!そしてモニターが映ってる!!すげえええええ!!!!
「動かし方は……よいしょ」
右手に握っていた操縦桿を前に倒す。
すると、右手の操縦桿に連動して右足がゆっくりと上に上がり、少し前側に着地した。ガシャンという音と共に、コックピット内に振動が伝わる。
「動いた!よし…このままあのシャッターの所に行こう!」
ゆっくり……慎重に……真っ直ぐに……
右、左、右、左、とリズミカルに操縦桿を押し引きし、正面にある巨大なシャッターの前まで進んだ。
「よし!後はシャッターを上げるだけだ!」
モニターにはシャッターの中央辺りにアクセスができることを表すポインターが表示されていた。操縦幹の近くにあるボタンを押してアクセスを開始すると、少しの電子音の後、アクセスが終わるのと同時にモーターの音を鳴らしながらシャッターが巻かれていった。長い間使われなかったのか、砂埃を落としながらゆっくりと上に上がっていく。
その時間は永遠にも思えて、身体がうずうずし始めた。
シャッターが上がり切り、光の入らなかった工場の中に熱気と日光がなだれ込む。開ききったことを確認し、右腕の操縦桿を前に動かして砂漠に錆びた鉄の足を踏み入れた。工場の中を歩いている時に鳴っていた硬い足音とは違い、砂特有のサクサクとした足音に変わった。
「よし。とりあえず外に出られたな。ここからどうしたものか……とりあえず、まずは動作確認だな。」
ある程度歩き、工場からほんの少し離れた場所に来た。そして動作確認として、まずは右手の人差し指のトリガーボタンを引いてみた。すると、説明書に書かれていた通り右腕からサブマシンガンが発砲された。人間が使用する銃器の銃声とは少し異なる、低めの破裂音が砂漠に響く。
「これがリアルのACの武器……最高だぜぇ…………うへへへ」
次に、左手の人差し指のトリガーボタンを引いてみた。右手がそうだったように、次は左手の武器───チェンソーが、ギュイーンという音を鳴り響かせて凶悪な刃をぶん回した。当たったらひとたまりもないだろう。
その後も動作確認を続け、右肩、左肩、スキャンの動作を確認することができた。それぞれ何の問題もなく動き、戦える状態であることは保証することができた。
……と言ったところで、少し問題が。
「……ブーストはどこだ?」
『ブースト』
ACは足を人間のように上下させて動くのではなく、身体の各部位にあるブースターから推進力を得て滑るように動くことで人の何倍も大きい巨体からえげつない機動力を生み出すのだが……そのやり方が全く分からない。説明書の焼け焦げた部分に書いてあったのだろう。
「どうしたものか……。まあ、仕方ないか」
一旦諦めることにした。今ここでいろいろ試して自爆でもしたら終わりだ。
「よし……行こう!!」
気を取り直して進もうと、威勢よく操縦幹を押し出した。両手で。
「うわあ?!」
するとなんと、何かが燃焼する音が聞こえたと思ったら急にとんでもない速度で加速し始めた。Gを感じてからコンマ数秒で理解した。ブースターが起動したんだと。
「ブースター起動した!?……なるほど、操縦桿同時に押すのか。てことは止めるには?」
両手の操縦桿を後ろに引いた。
するとやはりブースターは止まり、歩くモードに移行した。
何という運の良さなのだろうか。間違えたと思ったらそれがブーストモードに移行するコマンドだったとは……。何はともあれ、これである程度はこの機体を操れる。
もう一度、ブースターを起動した。ある程度身体をGに慣れさせうようと試みた行動だった。────だが、これもまた予想外の結果となった。
違和感。視界の速さと身体で感じた速さが噛み合っていない気がする。おそらくジェットコースターよりもGを感じるであろう加速度であるはずなのに、今さっき感じたGは車の急加速程度のGだった。
疑問に思って少し考えに耽ると、『転生』という言葉に引っかかりを覚えた。そうだ、俺は転生したんだ。なら、チート能力的なものを貰っていても何ら不思議ではない。それに何か関係があるのだろう。
今はそう思うことにした。考えていてもキリがない。
ブースト状態でもう一度操縦桿を押すと、次はもっと速くなった。アサルトブーストが起動したのだ。この状態で操縦桿を後ろに倒すと空中に飛び、左右に傾けると左や右に機体が移動していくのが分かった。
そうして空中飛行を楽しんでいると、飛行機の離陸前のアナウンス音のような、連続した2回の電子音が鳴った後、勢いが弱まり先程のブーストモード程の速さになった。ジェネレーターの容量の限界が来たのだろう。推進力が弱まった機体が、ブースターの微弱な推進力でふわりと地面に着地した。
大体の操作法を覚えたところで、そろそろここから離れようと思い、どこへ向かうべきかと思考を切り替える。
(何か目安があると良いんだけど……さっき見えたあの塔、あれを目指してみるか。 )
そうして、塔の見える方向に機体を進め始めた。
────塔に向かう途中────
「あいむしんかーとぅーとぅーとぅーとぅとぅー♪」
愉快に鼻歌を歌っていた時だった。
ズガガガガガガガ
バン
ズガガガガガ
ドォン
バンバン
突如、何処かで戦っている音が外から聞こえてきた。戦争を想起させるような、激しい銃撃戦の音だ。急停止してそちらの方向を向いてみると、学校のような建物が建っていた。
(学校?銃声が……学校から???)
訳の分からない状況に戸惑ったが、この世界のことを知りたかった俺はひとまず学校のような建物の方に向かうことにした。
────────
学校らしき建物から少し離れた場所に辿り着いた。戦いはまだ続いていて、銃声が鳴り響き、途中には手榴弾のような爆発音も。そこには、銃撃戦を繰り広げる人達の姿があった。
(この世界で初めての人間だ!でもなんで戦ってるんだ……俺は本当にアーマードコアの世界に来てしまったのか……?)
考えても仕方ないので、とりあえず様子を見ることにした。
(あそこにいるのは……ゴーグルをつけて黒や赤のヘルメットを被った人達と、ピンク髪の……少年?少女?どっちだ?……まあ良いか、とりあえずなんか争ってるなぁ。)
いろんな見た目の人がいるなぁ。と、何も考えずに見ていたが、よくよく考えればおかしな光景であることに気が付いた。背筋は凍り、全身の鳥肌がこれでもかと言うほど立ち上がる。それほど、目の前のモニターにはありえない光景が映っていた。
(…………あれ銃で戦ってるんだよな?当たってるよな?倒れてるよな???何で血が出ていない?!なんで銃弾に当たっても死なない?!?!)
(この世界は何かがおかしい……いやACがある時点でおかしいんだが?!)
アーマードコアの世界では、しっかりと死ぬ描写がある。つまりこの世界はアーマードコアの世界ではないということになる。じゃあここはどういう世界なんだ……?
やはり、ここは友達の言っていた、ブルー………なんだっけ?ブルー…ブルー……トゥース?それは違うな。確かあいつは、ブルアカと略していたな……ブルー…赤……アーカイブ!そうだ!ブルーアーカイブだ!
………いやまあ、だからなんだって話ではある。結局この世界もかなりやばいのは変わりない。銃で撃たれて死なない身体ってなんだよ……化け物すぎる。
身体能力もかなり高いらしく、多人数を相手にしているピンク髪の人は銃弾をも避けているようだ。
(………これACがあってもこの世界生きれるのか?俺)
これからどうなるのか。と絶望していたが、モニター越しに見ていた戦闘が終わりを迎えたので思考を止めざるを得なくなった。
(どうする……俺はこの状況の中でどうすれば良いんだ……?!)
が、そんな事を考える暇も無かったようだ。ピンク髪の人が走ってこっちに来ている。しかも、普通の人が出せるような速度を超えた速さで走ってきた。
(やべえってこっち来てるじゃん?!っていうか速っ?!)
あっという間に足元に辿り着き、不審がりながらACを観察している。
「なんでしょうか、この巨大な人型の……兵器らしき物は……誰か入ってるんですかー!!入っているのなら出てきてください!もし怪しい動きをしたなら即刻破壊します!!!」
ピンク髪の人は、ACに向けてショットガンを向けた。普通なら無謀な行為だが、あの戦闘を見た後だとこいつで戦っても勝てない気がする。勝てたとしても、多大な被害を被るだろう。ACの組み立て方を知らない状態でそんなことになってしまったら、それを学ぶまでの間、生身で生きていかないといけないことになる。この世界を何も知らないのにそんなことになってしまうなんて、そっちのほうが危険だ。
(やべえ。もうこれ出るしかないよな……?頼むから撃たないでくれよ……)
意を決してコックピットから出ることにした。少なくとも、このACが壊れて無くなるよりはマシだ。もしかしたらこの人に助けてもらえる可能性もある。
「?!誰ですか!?貴方は!?」
「待って!?撃たないで?!悪い人じゃないから!!」
出てきた途端、ピンクの髪の人がこちらにショットガンを向けてきた。咄嗟に両手を挙げ、弁明の言葉を並べる。
「私はそんな簡単に騙されるような人間ではありません!!貴方は誰なんですか!何をしに来たんですか!答えなさい!」
「ちょ、ちょっと待って?!急にそんなこと言われても……」
「良いから黙って答えなさい!!」
「いや黙ったら何も答えれn「良いから答えろ!!!!」えぇー…」
何だよこいつ。理不尽すぎるだろ……せめて喋らせてくれ……。
「お、俺は、渡曾アスカ。目的……なんてものはない。っていうか、俺はここがどこかすら知らないんだ。だから、何もわからないし、君に何かする訳でもない!俺は記憶がないんだ!」
咄嗟に記憶がないと嘘をついてしまった。だが、今は生き残る事だけを考えたほうがいい。ある程度信頼されてから嘘だったと伝えれば何とかなるだろう。
「ここがどこかわからない?記憶が無い?そんな嘘が通用するわけじゃないでしょう。こんな人型兵器に乗って来ているのに何もしないだなんて戯言を抜かさないでください。」
「ほ、本当なんだって!!マジで俺はここがどこか知らないし、君に何かしようとしてここに来た訳じゃないんだ!!俺は君の事を何も知らない!だから……信じてくれ!!」
「信じてくれ?そんなの無理に決まっているじゃないですか。急に現れて、こんな兵器と共に現れるなんて、『アビドス高等学校』を奪いに来た、『カイザー』の手下なのでしょう?」
言っていることはごもっともである。そして、知らない単語が出てきた。横文字感あふれる単語ばかりだ。この世界の何かである事しかわからないが、「カイザー」はおそらくこの人からした敵対組織なのだろう。つまり「アビドス高等学校」は、この人が所属している学校の名前ということになる。よく見ると、ピンク髪の人の服装は学校の制服のようなものになっていて、学生がショットガンとかいう物騒なものをこちらに向けているという奇妙な構図が完成していた。
やはりここはブルーアーカイブの世界で間違いはないようだ。プレイ画面を見せてもらったが、出てくるキャラは皆制服のようなものを着ていた。制服かどうか怪しいものもあったが今は気にしなくてもいい。
「は?アビドス高等学校?カイザー?何ですかそれ、俺知らないんですけど……」
「嘘をつかないでください!貴方はカイザーの手下なのでしょう?!さっきの『カタカタヘルメット団』だって………もしや、貴方があの『砂嵐』を起こしている犯人なのですか?!」
さらに単語が出てきた……もはや他言語の言葉を聞いている気分だ。唯一分かるのは砂嵐という言葉だけ。おそらくこの砂漠の景色は、その砂嵐とやらが関係しているようだ。
「待って?話が飲み込めないんですけど……カタカタヘルメット団?砂嵐??何を言っているかがさっぱり分からないんですけど??」
「白々しいですね!!もう良いです!今ここで貴方を制圧しm「ホシノちゃん!何してるの!」
(ん?ホシノちゃん??)
「ユメ先輩?!どうしてここに?!」
(???ユメ先輩??もう話がよくわからないんだが)
どうやら、ピンク髪の人の名前はホシノ。青緑色の髪の色々大きい人がユメ先輩と言うらしい。
「どうして……って、ヘルメット団をやっつけたのにホシノちゃんが戻ってこないから。私、心配したんだよ!」
「私なら大丈夫です!それよりも、今すぐこいつから離れてください!!」
「離れる?……この人から?なんで?」
「そうです!今すぐ離れてください!こいつはカイザーの手下です!!」
「いや待て待て待て、何勝手に決めつけt「黙ってください!!!」ヒェ……」
この人怖い……ていうか、やっぱ勝手に知らない組織の人にさせられてる……。カイザーとかいうあからさまな名前の敵の組織に勝手に入れられてる……。
「カイザーの……手下?この子が?」
「そうです!こいつはカタカタヘルメット団との戦いで消耗した時を狙って、アビドスを奪おうとしたんです!!」
「そうなの?そうは見えないけどなぁ……」
「そうだそうだ!俺は君達を襲う気なんて微塵もなかったんだぞ!」
「そんな事、信じられる訳無いでしょう!大体、こんなロボット兵器に乗って来ている時点で、怪しすぎるんですよ!」
うーん……やはりこいつに乗ってきたの間違えだったかもしれないなぁ……。そんな怪しまれるとは。やっぱり、こんなでっけえの乗ってきた人が何も知らないとか言ってたらそりゃ怪しまれるよなぁ……。頑張って砂漠歩いたほうが良かったのかもしれないな。
「ロボット兵器……ってこのおっきいの?すごい!これ、貴方が乗って来たの?」
「え?まあ……はい。そうですけど……」
「そうなの?!すごいね!!」
「え??……あ、ありがとう……ございます……?」
謎に褒められてしまった。このユメ先輩と呼ばれている人は、かなり優しい朗らかな性格ということが会話からひしひしと感じられる。
「褒めてる場合ですか?!いつこいつが攻撃してくるかわからないn「ホシノちゃん」……なんですか。」
「その人は、本当にアビドスを襲おうとしたのかな?」
「わかりません!ですが…「わからないんでしょ?」……。」
「わからないなら、勝手に決めつけちゃ、めっ!だよ。ホシノちゃん!」
「そんな事言ったって、この人が急に襲ってきたりしたらどうするんですか?!」
「その時は……ホシノちゃんに助けて貰おう!」
「貴方はいつも呑気な事を言って……どうなっても知りませんよ?!」
疑われている本人が思うことではないが、こればっかりはホシノさんに賛成だ。流石に不用心すぎないか……?この人。
というか、流石にそろそろ腕が死ぬ……。脅されて腕をずっと上げてたが、流石にもうやばい。めちゃくちゃプルプルしてる。
「はははは……所で……俺はどうすれば……?そろそろ腕がキツいんですけど……」
「ホシノちゃん!銃を下ろしてあげて?」
「……どうなっても、知りませんよ」
「ひぃん!!ホシノちゃん酷い!」
「もー!五月蝿いですね!!」
この人達は姉妹か??恐らく違うだろうが、それぐらい仲良しであることは伝わってくる。
「…………えっとぉ……初め……まして??」
「あ、ごめんね?話が盛り上がっちゃって。」
「いえ…大丈夫ですけど……」
「初めまして!私は梔子ユメ!こっちのピンクの髪の子は、小鳥遊ホシノちゃん!私の可愛い後輩だよ!」
「可愛いって言わないでください!!//」
……ハハ、目の前でイチャイチャされてもこちらが困るのだが。
「……俺は、渡曾アスカって言います。よろしくお願いします」
「よろしくね!アスカ君!」
「ほら!ホシノちゃんも挨拶!!」
「はぁ……もしユメ先輩に何か危害を加えたり、怪しい言動をしたら、何も見れないぐらいボコボコにして適当に砂漠のどこかに捨てますから」
「あははは……」
とても刺激的な挨拶だな……。
「もう!それ挨拶じゃなくて脅迫じゃん!!」
「私は絶対こいつの事を信じません。何があろうとも」
「もう……ごめんね?アスカ君、ホシノちゃんはいつもこんな感じで…」
「いや、大丈夫です。確かに、こんなでっけえの連れて来たら怪しみますもんね、普通」
「ごめんねー……って、もうお日様が沈みかけてる?!」
「え、本当ですか?!」
「はぁ……やっと気が付きましたか……私もう帰りますy「え、俺家無いんだけどどうすれば……」………は?」
「家が無いってなんですか??」
「なんですかって言われても……そのままの意味ですけど?」
「家が無いの?!なんで?!」
「なんでって言われても……気が付いたら砂漠に居て、近くにこいつがあったから乗って塔の方向に向かおうとしたら、偶然この学校があって……それで今の状況になっているので……」
「……どうしますか?こいつ。放って帰りますか?」
うーん……この人はとても辛辣な人間なんだなぁ。
「そんな事できる訳無いじゃん?!ホシノちゃん!人に優しく!」
対してこの人はやはり優しい……真逆の性格だな。
「だったらどうするんですか……私、家に泊めたくありませんよ、こんな怪しい奴。」
「そうだなぁ…………あ!学校があるじゃん!!」
「はあ?!学校に泊めろって言うんですか?!絶対に嫌ですよ!!こんな怪しい奴を学校に入れたら何をされるかわかりませんし!」
「そんな事言われても…………じゃあ、ホシノちゃんと私でアスカ君を見張る。っていうのはどうかな?」
「はい?」「はあ?!」
「いやいやいや!なんでそうなるんですか?!私嫌です!!こんな怪しい変態みたいな奴と一緒に学校で泊まるの!!」
「シンプルに傷つくこと言うのやめてくれませんか?ホシノさん。あと、勝手に変態って決めつけないでくださいよ……」
「馴れ馴れしく呼ばないでください!!」
……さん付けは馴れ馴れしくないだろ。
「まあまあ……でも、それ以外に方法がないんだよね……私の家も広くないから、寝るスペースがないし………ホシノちゃん、お願い!」
「…………分かりました。ユメ先輩がそこまで言うなら……」
「ほんと?!やったー!!ホシノちゃん大好き!!」
「っ/////?!わ、分かりましたから!抱きつかないでください!!」
「あ、ごめんね……」
もう付き合っちゃえよ!!イチャイチャ見せつけてくるんじゃねえ!前世人に恵まれなかった俺を侮辱してんのか?!ああん?!
「ふう………分かりました。貴方をアビドスに案内します。ただし、もしその兵器で何かをしようものなら………分かってますよね?」
「はい。分かってます。マジで何もしません。ハイ」
「………はぁ……分かりました。ついて来てください」
「わーい!お泊まり会だー!!」
「あくまでも監視ですからね?!」
「ひぃん、分かってるよぉ……」
「あははは……」
斯くして、俺はアビドス高等学校に泊まる事になった。これからどうなっていくのだろうか……