神を信じていなかった転生者は、最弱教団から世界を変える   作:むちゃうまご飯

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ゴーレム

教団へ戻ると、ゴルドがまだ鍛冶場で作業していた。

「おう、新入り。」

「その防具、少し改造しといた。」

「改造?」

胸当てを見る。

昨日までは黒一色だったはずなのに、中央へ紫色の小さな宝石が埋め込まれていた。

「聖石だ。」

「昨日お前が持ち帰ったブックの聖石を加工した。」

「そんなことできるのか?」

「鍛冶師を舐めんな。」

ゴルドは笑う。

「その聖石のおかげで魔力伝導率と聖法の威力がが少し上がる。」

「すげぇ。」

異世界らしい装備だ。

さらに籠手には小さな魔法陣まで刻まれている。

「これは?」

「神力と魔力の暴走防止。」

「お前は珍しく全部の属性を持ってる。」

「下手すると体の中で暴発する。」

「だから保険だ。」

なるほど。

俺専用装備というわけか。

「ありがとう。」

「礼なら強くなって返せ。」

ゴルドは照れ臭そうに炉へ向き直った。

 

夕方。

教団裏の訓練場。

石畳でできた広場には木人や的が並んでいる。

「今日からここがお前の訓練場だ。新入り、励めよ!」

「はい!」

レオンが木剣を肩へ担ぐ。

「魔法だけじゃ生き残れねぇ。」

「体も鍛えていけ。」

フィーナは弓を構えながら笑う。

「みんな最初はここで特訓したんだよ!」

ガイルは巨大な岩を軽々と持ち上げている。

セリスは槍の素振りを繰り返していた。

アイリは一人で無詠唱魔法を練習している。

誰一人遊んでいる者はいない。

街最弱の教団。

しかし努力だけは、どこの教団にも負けていなかった。

俺は新しい防具を身に着け、右手へ魔力、左手へ神力を集める。

赤い炎。

黄金の光。

二つの力が同時に掌で揺らめいた。

「面白い。」

思わず笑みがこぼれる。

魔法と聖法。

両方を極められる人間は、この世界でもそう多くはない。

ならば俺は――。

その両方を極めてみせる。

そう心に誓いながら、俺は再び詠唱を始めた。

 

翌朝。

俺はいつものように教団裏の訓練場で魔法と聖法の練習をしていた。

「ファイアボール!」

燃え盛る火球が木人へ命中する。

続けて左手へ神力を集める。

「ホーリーボルト!」

金色の光弾が飛び、隣の的を正確に撃ち抜いた。

魔力と神力。

以前よりも切り替えが滑らかになっている。

上達してきたぞ!

「筋がいいね。」

ノクスが満足そうに頷く。

「あと数日もすれば初級は完全に使いこなせるよ。」

その時だった。

ガランッ!!

礼拝堂の扉が勢いよく開かれる。

「た、大変だ!」

一人の冒険者が血だらけで飛び込んできた。

革鎧は砕け、右腕から血が流れている。

「助けてくれ!」

「どうした!」

レオンが駆け寄る。

「西の岩山で……ゴーレムが現れた!」

礼拝堂の空気が一瞬で凍りつく。

「レベルは!?」

「三十……!」

その数字を聞いた瞬間、誰もが顔色を変えた。

レベル三十。

今の俺の三倍だ。

「しかも冒険者パーティーが取り残されてる!」

「何人だ?」

「四人!」

「リーダーは重傷だ!」

ガイルが舌打ちする。

「最悪だな。」

ノクスは立ち上がった。

「行こう。」

「え?」

マジかよ。挑むのか….。

「絶対に助ける。」

「でも相手はレベル三十だぞ。」

「だから?」

ノクスは当然のように言う。

レベルなど彼女には関係ないようだ。

「見捨てる理由にはならない。」

その言葉に誰も反対しなかった。

「アステル。」

レオンが俺を見る。

「初任務だ。」

俺は深く息を吸う。

 

街を飛び出し、西の岩山へ向かう。

岩肌がむき出しになった山道には魔物の足跡がいくつも残っていた。

十分ほど走ると、爆発音が聞こえてくる。

ドォォン!!

「まだ戦ってる!」

フィーナが叫ぶ。

俺たちは速度を上げた。

そして視界が開けた瞬間――。

「なんだ……あれ。」

思わず立ち尽くく。

高さ五メートルはある岩の巨人。

全身が巨大な岩でできており、胸には赤黒く光る魔石が埋め込まれている。

ーーーーーーーーーーーーーー

ゴーレム

Lv30

危険度★ ★ ★ ☆ ☆

とても力が強く、HPが半分になると強化魔法を使い、

攻撃力が2倍になる。

ーーーーーーーーーーーーーー

レベル30。

レベルが3倍あるということは、

あのゴーレムのステータスはは俺のステータスの3倍ということだ。

その拳が振り下ろされるたび、大地が揺れ、岩が砕け散る。

「ぐあぁぁぁ!!」

冒険者の一人が吹き飛ばされた。

木へ激突し、そのまま動かなくなる。

「まずい!」

セリスが槍を構える。

「レオン!救助!」

「ガイル!時間を稼げ!」

「アイリ!援護!」

全員が一斉に飛び出した。

「うおおおお!!」

ガイルの拳がゴーレムの脚へ叩き込まれる。

しかし。

ゴォン!!

「硬ぇ!!」

岩が少し欠けただけだった。

レオンの剣も弾かれる。

「斬れねぇ!」

アイリの氷魔法も表面を凍らせるだけ。

「レベル差が大きすぎる!」

俺は倒れている冒険者たちへ駆け寄る。

一人は腹部から大量出血。

もう一人は足が折れていた。

俺は練習した聖法を使xつた。

「ヒール!」

黄金の光が傷口を包み込む。

血が止まり、苦しそうだった表情が少しだけ和らぐ。

「ありがとう……。」

冒険者が小さく呟く。

「まだ終わってない!」

レオンの叫びが響く。

ゴーレムが巨大な腕を振り上げていた。

狙いはフィーナ。

「危ない!」

考えるより先に身体が動く。

「ファイアボール!」

火球がゴーレムの顔面へ直撃する。

爆発。

しかし――。

「効いてない!」

ゴーレムはこちらへ向きを変えた。

赤い魔石が怪しく光る。

ズシン。

ズシン。

俺へ向かって歩いてくる。

「アステル!」

ノクスの声が聞こえる。

「胸の魔石を狙え!!」

「あれが核だ!!」

「壊せば倒せる!」

核。

あそこか。

だが高すぎる。

その時、ガイルが叫ぶ。

「新入り!」

「飛べ!!」

次の瞬間。

ガイルが俺を思い切り投げ飛ばした。

「うわぁぁぁ!!」

身体が空高く舞い上がる。

ゴーレムの胸が目の前まで近付く。

今しかない!

右手へ魔力。

左手へ神力。

二つの力を同時に集める。

「ファイアボール!」

「ホーリーボルト!」

炎と光。

二つの攻撃が同時に魔石へ命中する。

ドガァァァァン!!

激しい爆発が岩山全体を揺らした。

魔石に亀裂が入る。

「まだだ!」

その瞬間、ゴーレムが光った。

魔法を使ったようだ。

すると、ゴーレムの攻撃力が増加した。

それを見て、ノクスの顔色が変わる。

「急いで!」

それを聞いたガイルが何も言わずに

俺をゴーレムに向けて投げる。

俺は最後の魔力と神力を振り絞る。

「もう一発!!」

三発目のファイアボールとホーリーボルトが亀裂へ吸い込まれる。

パリンッ――。

魔石が砕け散った。

次の瞬間。

ゴーレムの動きが止まる。

巨体がゆっくりと崩れ始めた。

ズズズズズ……

轟音と共に岩の身体が崩壊し、山のような瓦礫へ変わる。

静寂が訪れた。

 

『レベルが15上昇しました。』

 

『レベル25になりました。』

 

『レベル20以上になったため、職業を一つ選択できます。』

頭の中へ光る文字が浮かぶ。

周囲の冒険者たちは呆然と崩れ落ちたゴーレムを見つめていた。

「レベル10の新人が……。」

「レベル30のゴーレムを……。」

誰も信じられないという表情だった。

俺自身もまだ信じられなかった。

だが確かなことが一つある。

ノクス教団で過ごした数日が、俺を確実に強くしていた。

俺はそのまま倒れた。

魔力と神力切れだ。

俺はそのまま意識を手放した。

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