「おっ、君可愛いね、俺たちと遊ばねぇ?」
声をかけて来たのは見知らぬ男子生徒。多分上級生かな?
「結構です。人を待っているので」
「そんなに時間は取らないからさぁ。なんならその子も一緒にどう?」
何故こういう輩は待ち人が女だと思い込むのだろう。男を待っているとは微塵も思わないのだろうか。
「この後は予定があるので」
「じゃあ俺達も混ぜてよ。多い方が楽しいでしょ?」
「知らない人と遊ぶ趣味はありません」
「じゃあ自己紹介しようか?俺は...」
「貴方の名前なんて聞いていません。そろそろどこかに行ってください。はっきり言って邪魔だし迷惑です」
しつこい男は嫌われるって知らないのかな?というかなんでこの人達はこんな堂々ナンパ出来るのか...
「...てめぇ、調子に乗らねぇ方がいいぞ?こちとらAクラスだぞ?」
「そうですか、私もAクラスですが、見た事ないので上級生なのでしょうね。しかし不思議ですね。先輩のあなた方はとてもAクラスの人間には思えません。恐らくクラス入れ替えでAクラスになったのでしょう」
「ああそうだ、俺達は実力でAクラスにのし上がったんだ。すげぇだろ」
「だとしたら2年Aクラス以外の2年生のみなさんは可愛そうですね。こんなチンピラみたいなのがAクラスにいるなんて」
2年の先輩方はどんな気持ちなんだろ、こんな人がAクラスに居て。そういえばうちのクラスにもSシステムが公表dされてクラスに優劣があると知ると急に偉そうにしている人がいたっけ。同じタイプの人間なんだろうね。
「こんなチンピラみたいなのがいるクラスに負けた3クラスが雑魚だっただけだ。ここは実力至上主義なんだからよ」
「なるほど、だから調子に乗っているというわけですか」
「お前、そろそろ黙らねぇと...」
「黙らねぇと、どうなるんだ?先輩」
あっ♪来たっ♪
集合場所から近くのベンチに愛衣がいた。知らない男どもに絡まれながら。
「悪い愛衣、遅くなったか?」
「んーん全然。私が早く終わって連絡するの忘れてただけ」
「時間過ぎたらって言ってたから忘れた訳でもないだろ?で、何してたんだ?」
「んー?Aクラス自慢ついでのナンパ?」
「なんだそりゃ」
「おい、お前こいつのなんなんだ?」
なんか偉そうな男子生徒に声をかけられる。会って一晴目が『おい、お前』って...この人ホントにAクラスか?
「何って...彼氏だけど」
こういう時血が繋がってないし顔も似てないしで彼氏面すると案外穏便に済む可能性が高い。
「はっ、見え透いた嘘だな。だったら一緒にいないとおかしいだろ?別々に買い物なんかするかよ」
「どうやら先輩は視野が狭い上に考えも甘いですね。そういうカップルだっていますよ」
「だったらホントにお前が彼氏か証拠を見せて貰おうか?」
「はぁ...何を見せれば?」
「ここでキスしろ」
えっ?そんなのでいいの?それが証拠になるの?
「じゃ、ちゅー」
「はいはい、ちゅ。ん、これでいいか?」
「おい、ホントに付き合ってるみたいだぞ、どうすんだ?」
「俺そろそろトイレ行きたくなってきたんだけど」
「トイレくらいさっさと行けよ...わかったよ、認めてやるよ」
1人乗り気じゃなかったのかよ...さっさとトイレ行けよ...
「なんだ、やけにあっさりだな」
「はっ、精々恋人ごっこを満喫してるんだな」
謝罪も無しに3人組は去っていった。ごっこって、兄妹だってバレてたか?
「残念だったな。ナンパ失敗で」
「もういい。どうせあの女も南雲の女になるだろうぜ」
「南雲の場合、どんな手を使っても気に入った女を手に入れようとするもんなぁ...」
「南雲が気に入るか分からないが、もしそうなったとしたらあいつらが破局するのを楽しめそうだな」
「さて、帰るか」
「あ、途中コンビニ寄っていい?無料品もらっておこーよ」
「そういえば今月殆ど行ってなかったっけ。じゃあ寄ってくか」
2人並んでケヤキモールを後にする。寮までの道中にあるコンビニに立ち寄る。そういえばここに来るのも4月に1回来て以来だな。だいたいスーパーで買い物するし、コンビニはほとんどがスーパーより割高になっている。節約するならまず来ない場所だ。たまに半額弁当とか売ってるらしいけど。
「なんかいいものあるっかなー」
愛衣は早速無料品コーナーに向かった。俺は目的は無いのでカップ麺やパンのコーナーを眺める。こうしてみるとつい買いたくなってしまう。でもカップ麺なんて1個で200~300ポイントとなっているのを見ると手を出しづらい。まあ1食と考えると安いんだけど。
「カップスープとか歯ブラシくらいしか無かったよ」
「いいじゃないか、歯ブラシは月1で交換するのがいいって聞いた事ある」
「じゃあ歯ブラシ2個にカップスープにしよ。お兄ちゃんもどれか選んだら?」
「じゃあ豚汁にするか。具たくさんだし」
「よし、じゃあお会計しよっか」
この時俺は気付けなかった。愛衣の持つカゴの中にカップスープや歯ブラシに隠れていつの間にか入っていた『アレ』に...無料品があるから会計も別にしなければならないので、気付く事が出来なかった。
帰ってきてからはほぼずっとダラダラしていた。昼食を食べ、軽く部屋の掃除をし、スマホで漫画を読んでいたが、いつの間にか眠ってしまっていた。目が覚めると既に夜中の1時くらいになっていた。隣では愛衣が頭を肩に乗せて眠っていた。ベッドを背もたれにして座っているのでこのまま寝かせると身体に悪いので、愛衣を起こさないように抱き抱えてベッドに寝かせる。そういえば風呂入ってないな...朝シャンさせるか。
「全く、幸せそうに眠りやがって...」
その隣で横になり、愛衣を抱きしめてもう一眠りしようとする。風呂に入って無いとはいえ、愛衣から漂う女子特有なのか甘いような香りを感じながら眠気に意識を落としていく。
「おやすみ、愛衣...」
兄妹の秘密3
恋愛観は一般レベルに持ち合わせているが、人前でキスとかをすることに抵抗がない。本人達からすればただのスキンシップだからである。