三國覇皇記   作:沙耶王

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第二話 覇道の始まり

 

 

 

 黄巾の乱が始まってから、しばらく。

 

 凌天は千の精鋭を率い、各地を転戦していた。

 

 黄巾が現れれば討つ。

 

 賊が村を襲えば救う。

 

 官軍が間に合わぬ場所へ駆けつけ、敵を打ち破る。

 

 戦場に立つたび、凌天は自ら軍の先頭へ出た。

 

 黒馬の蹄が大地を蹴るたび、乾いた土が爆ぜるように跳ね上がる。

 

 風を裂くような速度で、凌天はただ一直線に敵陣へ突き進む。

 

 その姿を見た黄巾兵たちは、次第に凌天を恐れるようになった。

 

 「凌天だ!」

 

 その名が響いた瞬間、敵陣の空気が一変する。

 

 怒号が途切れ、代わりにざわめきが広がる。

 

 盾を構える手がわずかに揺れ、列が乱れる。

 

 恐怖が“音”になって戦場を走った。

 

 だが、凌天は敵の反応など気にも留めない。

 

 「進め!」

 

 その一声で、千の兵が一斉に動く。

 

 地面が揺れた。

 

 鉄靴が踏み鳴らす音が重なり、まるで大地そのものが唸るように響く。

 

 そして――凌天が敵陣へ突入した瞬間、戦場の“音”が変わった。

 

 金属がぶつかる甲高い衝突音。

 

 骨が砕ける鈍い音。

 

 短い悲鳴が風に切り裂かれ、すぐに途切れる。

 

 凌天の剣が振るわれるたび、視界の中で黄巾兵が弾かれるように崩れ落ちる。

 

 黒馬が駆け抜ける軌跡に沿って、敵の隊列が紙のように裂けていく。

 

 前線が崩れる。

 

 次の瞬間には後方が崩れる。

 

 崩壊は連鎖し、戦場そのものが“割れていく”ようだった。

 

 黄巾の陣形は、もはや陣形ではなかった。

 

 ただの群れが、恐怖に押し流されるように散っていく。

 

 戦いが終われば、また勝利。

 

 それを繰り返すうち、凌天の名は徐々に広がっていった。

 

 同時に、凌天のもとへ集まる者も増えていく。

 

 黄巾によって家族を奪われた者。

 

 故郷を守るため武器を取った者。

 

 戦乱の中で行き場を失った者。

 

 そして――敗れた黄巾兵の中にも、凌天に従うことを望む者が現れ始めた。

 

 陳玄は投降者を一人ずつ見極めた。

 

 略奪や殺戮を好む者は受け入れない。

 

 だが、貧しさや強制によって黄巾に加わった者には、もう一度生きる道を与えた。

 

 こうして凌天の軍は、少しずつ大きくなっていった。

 

 千の精鋭を核として、義勇兵が加わる。

 

 さらに投降した黄巾兵も加わる。

 

 千五百。

 

 二千。

 

 三千。

 

 戦いを重ねるたび、その数は増えていった。

 

 そして凌天が勝ち続けるほど、噂も広がった。

 

 ――黄巾を恐れぬ若き豪傑がいる。

 

 ――僅かな兵で大軍を破る将がいる。

 

 ――あの男のもとへ行けば、勝てる。

 

 そんな噂が、戦乱の地を駆け巡っていった。

 

 ある日の夜。

 

 野営地に戻った凌天の前で、陳玄が地図を広げた。

 

 「凌天様」

 

 「何だ」

 

 陳玄は冀州の一角を指した。

 

 「安平郡にございます」

 

 凌天は地図へ目を落とす。

 

 「黄巾か」

 

 「はい」

 

 陳玄は頷いた。

 

 「安平郡では黄巾による混乱が続いております。官府も十分に機能しておらず、各地で賊が好き放題に動いているとのこと」

 

 「それで?」

 

 「ここを取るべきかと存じます」

 

 凌天が顔を上げた。

 

 「理由は」

 

 陳玄は地図を指でなぞった。

 

 「黄巾の勢力を削れるだけではございません」

 

 「官府の力が弱まっている今なら、我らの手で治安を立て直せます」

 

 陳玄は凌天を見据える。

 

 「ここを平定すれば、兵を休める場所も、今後の戦いの拠点も得られます」

 

 「地盤にするわけか」

 

 「その通りにございます」

 

 凌天はしばらく地図を眺めた。

 

 そして、口元を吊り上げる。

 

 「面白い」

 

 凌天は安平郡を指で叩いた。

 

 「ならば、ここを取る」

 

 「はっ」

 

 陳玄は深く頭を下げた。

 

 「では、すぐに軍を動かしましょう」

 

 翌朝。

 

 数千に膨れ上がった凌天の軍は、安平郡へ向けて進軍を開始した。

 

 朝霧が残る街道を、凌天の軍が進んでいた。

 

 先頭を行くのは凌天。

 

 その後ろには高雷、陳玄、韓蒼が続いている。

 

 千の精鋭を核として膨れ上がった軍勢は、今や数千に達していた。

 

 安平郡へ近づくにつれ、戦乱の痕跡が増えていく。

 

 焼け落ちた家。

 

 荒らされた田畑。

 

 人の姿が消えた村。

 

 韓蒼が前方へ目を向けた。

 

 「前方に敵影」

 

 凌天が視線を向ける。

 

 「数は」

 

 「およそ三千」

 

 陳玄が地図を確認する。

 

 「この先には村がございます。黄巾軍は、そこへ向かっているようです」

 

 凌天は前方を見つめた。

 

 「ならば、先に着くぞ」

 

 黒馬が駆け出す。

 

 その後ろを、高雷たちと兵が続いた。

 

 やがて――

 

 遠くに黄色い旗が見え始める。

 

 そして、その反対側から一つの旗が現れた。

 

 黒地。

 

 そこに描かれた、黄金の龍。

 

 そして、金の刺繍で書かれた凌の字

 

 その旗を見た瞬間。

 

 黄巾軍の動きが止まった。

 

 「……あの旗は」

 

 誰かが呟いた。

 

 別の兵が顔を青ざめさせる。

 

 「黒地金龍旗……」

 

 その名が、兵たちの間を走った。

 

 「凌天だ!」

 

 「凌天が来たぞ!」

 

 ざわめきが広がる。

 

 その名は、黄巾の間でも知られていた。

 

 戦場に現れれば、敵陣を正面から打ち破る男。

 

 何倍もの敵を前にしても退かず、常に軍の先頭を駆ける豪傑。

 

 そして――

 

 黒地金龍旗が翻った戦場で、凌天に勝った者はいない。

 

 黄巾兵たちの顔から、勢いが消えていく。

 

 「何故、ここに……」

 

 「逃げた方がいいんじゃないか」

 

 そんな声まで聞こえ始める。

 

 敵将は歯を食いしばった。

 

 「黙れ!」

 

 怯える兵たちを睨みつける。

 

 「奴が凌天だから何だ!」

 

 敵将は槍を掲げた。

 

 「我らも三千いる!」

 

 兵たちを鼓舞しようと声を張り上げる。

 

 だが、その声には僅かな震えがあった。

 

 凌天はそれを遠くから見ていた。

 

 そして、ゆっくりと馬を進める。

 

 黒地金龍旗が風を受け、大きく翻った。

 

 その姿を見ただけで、黄巾兵たちは再び息を呑む。

 

 凌天は敵軍を見渡した。

 

 怒りもない。

 

 焦りもない。

 

 ただ、絶対的な余裕だけがあった。

 

 「来るがいい」

 

 低い声が戦場へ響く。

 

 凌天が剣を抜く。

 

 黄金の龍が描かれた旗が、背後で大きく翻った。

 

 「進め」

 

 その一言と共に、凌天の軍が動き出した。

 

 凌天の軍が、一斉に駆け出した。

 

 地面を踏み鳴らす無数の足音が響く。

 

 対する黄巾軍も、迎え撃つように前へ出た。

 

 だが――

 

 黄巾兵たちの顔には、明らかな恐怖が浮かんでいた。

 

 黒地金龍旗。

 

 その旗の下にいるのが、ただの義勇軍ではないことを、黄巾兵たちは知っている。

 

 これまで何度も黄巾を打ち破り、その名を轟かせてきた凌天。

 

 その男が、今まさに自分たちへ向かっている。

 

 「来るぞ!」

 

 黄巾兵の一人が叫ぶ。

 

 次の瞬間、両軍が激突した。

 

 槍と剣がぶつかり、怒号が戦場を満たす。

 

 しかし、凌天は止まらない。

 

 黒馬が敵陣へ突っ込む。

 

 振り下ろされた剣が敵兵の武器を弾き飛ばし、そのまま一気に前へ進む。

 

 「う、うわぁっ!」

 

 間近にいた黄巾兵たちが、まとめて吹き飛ばされる。

 

 凌天は構わず前へ進んだ。

 

 ただ前へ進む。

 

 その背後から、精鋭たちが続いた。

 

 「高雷、右だ!」

 

 陳玄の声が飛ぶ。

 

 「任せろ!」

 

 高雷が大斧を振り抜く。

 

 その一撃で黄巾兵がまとめて吹き飛ばされた。

 

 韓蒼は戦場全体を見渡していた。

 

 「左翼、崩れ始めています!」

 

 陳玄が即座に答える。

 

 「追撃は不要です。中央を崩してください!」

 

 「承知!」

 

 各所で凌天の兵が動く。

 

 黄巾軍は数で上回ることができても、統率では凌天の軍に及ばなかった。

 

 そして何より――

 

 先頭を進む凌天が、あまりにも強かった。

 

 敵兵を倒す。

 

 また一人。

 

 さらに一人。

 

 そのたびに凌天との距離が縮まり、敵将のいる場所へ近づいていく。

 

 敵将の顔から、血の気が引いていった。

 

 「止めろ!」

 

 声を張り上げる。

 

 「奴を止めろ!」

 

 だが、誰も凌天の前へ出ようとはしなかった。

 

 その時。

 

 凌天と敵将の視線が交わった。

 

 ほんの一瞬。

 

 それだけで、敵将の身体が強張った。

 

 ◇

 

 戦いが終わった。

 

 村を襲おうとしていた黄巾軍三千は壊滅し、生き残った者たちは散り散りになって逃げていた。

 

 戦場には、凌天軍の兵たちが残っている。

 

 高雷が大斧を担ぎ直した。

 

 「終わったな」

 

 陳玄は周囲を見渡す。

 

 「はい。こちらの損害も軽微です」

 

 韓蒼が馬を寄せる。

 

 「周囲に敵影はありません」

 

 凌天は安平郡の方角へ目を向けた。

 

 陳玄が地図を広げる。

 

 「この先に安平郡の郡治、信都県城がございます」

 

 凌天が地図へ視線を落とす。

 

 「信都県城か」

 

 「はい」

 

 陳玄は静かに続けた。

 

 「黄巾が安平郡を制圧したとの報せも入っております。郡の統治も、すでに大きく乱れているようです」

 

 凌天は少し考えた。

 

 そして、安平郡の方角へ視線を戻す。

 

 「ならば、そこへ行く」

 

 「承知しました」

 

 凌天が馬首を向ける。

 

 黒地金龍旗が風を受けて翻った。

 

 「全軍、進め」

 

 凌天軍は安平郡へ向けて進軍を開始した。

 

 ◇

 

安平郡へ入った。

 

 やがて遠くに、巨大な城壁が見えてきた。

 

 信都県城。

 

 その周囲には、無数の黄色い旗が翻っていた。

 

 陳玄が目を細める。

 

 「……かなりの数です」

 

 韓蒼が周囲を見渡した。

 

 「城外にも大軍が展開しています」

 

 高雷が笑う。

 

 「2万以上はいるな」

 

 凌天は城を見据えた。

 

 安平郡を制圧した黄巾軍が、この城を中心に集結していた。

 

 その数、約四万。

 

 信都県城の前には、約二万五千の黄巾軍が布陣していた。

 

 凌天軍が近づく。

 

 黒地金龍旗が視界に入った瞬間、黄巾兵たちの間にざわめきが走った。

 

 「黒地金龍旗……」

 

 「凌天だ!」

 

 「奴が来たぞ!」

 

 だが、黄巾軍は退かなかった。

 

 数千の兵が凌天軍の前に立ちはだかる。

 

 凌天は剣を抜いた。

 

 次の瞬間、敵陣へ飛び込む。

 

 一閃。

 

 黄巾兵が吹き飛び、血煙が舞った。

 

 凌天は止まらない。

 

 横薙ぎの一撃。

 

 さらに数人が弾き飛ばされ、再び血煙が上がる。

 

 「止めろ!」

 

 「囲め!」

 

 黄巾兵が殺到する。

 

 しかし、凌天の剣が振るわれるたびに、その包囲は瞬く間に崩れていった。

 

 斬り開かれた道を、凌天軍が続く。

 

 高雷が大斧を担ぎながら笑う。

 

 「ははっ! 兄貴、相変わらず無茶苦茶だな!」

 

 陳玄が兵たちへ叫ぶ。

 

 「凌天様に続け!」

 

 凌天は敵兵を退けながら、城門へ迫る。

 

 そして、巨大な城門の前に立った。

 

 剣を収める。

 

 右手を引く。

 

 「――邪魔だ」

 

 掌底が城門へ叩き込まれた。

 

 轟音。

 

 巨大な城門が城壁から吹き飛んだ。

 

 一直線に飛んだ城門が、進路上の黄巾兵を巻き込みながら突き進む。

 

 舞い上がる土煙。

 

 崩れ落ちる兵たち。

 

 城門前の陣形が、一瞬で崩壊した。

 

 凌天は原型を保っていない城門を見据える。

 

 「行くぞ」

 

 凌天軍が、一斉に城内へ突入した。

 

 ◇

 

 凌天は城内へ入った。

 

 その後ろから、黒地金龍旗を掲げた凌天軍が一気に雪崩れ込む。

 

 城門を守っていた黄巾兵たちは、完全に混乱していた。

 

 「凌天軍が城内へ入ったぞ!」

 

 「止めろ! これ以上進ませるな!」

 

 「迎え撃て!」

 

 怒号が飛び交う。

 

 だが、凌天軍の進撃は止まらない。

 

 城内に展開していた黄巾兵たちが次々と押し寄せる。

 

 凌天は剣を振るい、その群れを切り崩していく。

 

 高雷が大斧を振り回しながら続いた。

 

 「邪魔だぁ!」

 

 陳玄は周囲の状況を見ながら指示を飛ばす。

 

 「左右へ兵を分けろ! 城内の要所を押さえろ!」

 

 「はっ!」

 

 韓蒼も兵を率いて走る。

 

 城内の各所で戦いが始まった。

 

 だが、凌天はその中を迷うことなく進んでいく。

 

 目的は一つ。

 

 この城を支配する黄巾軍の総大将。

 

 その本陣だった。

 

 やがて、凌天の前に大きな建物が見えてきた。

 

 「凌天様、あれが本陣です!」

 

 韓蒼が叫ぶ。

 

 凌天は足を止めた。

 

 建物の周囲には、まだ多くの黄巾兵が残っている。

 

 凌天は剣を握り直した。

 

 「ならば、行くぞ」

 

 凌天が本陣へ向かって歩き出した。

 

 ◇

 

 信都県城・黄巾軍本営。

 

 そこにいるのは、安平郡を制圧した黄巾軍四万を率いる総大将だった。

 

 名は張烈。

 

 張角の遠縁にあたり、黄巾軍の中では張角一族の血を引く者として知られている。

 

 そのため、張烈の率いる軍勢には、張角を信奉する者も多かった。

 

 だが今、その張烈のもとへ次々と報告が届いていた。

 

 「凌天軍が城内へ侵入しました!」

 

 「どこまで来ている!」

 

 「すでに城門を突破し、城内の各所で戦闘が始まっています!」

 

 張烈の顔が強張る。

 

 「四万もいるのだぞ! 何故、止められん!」

 

 「それが……凌天自身が先頭に立ち、こちらの兵を次々と突破しております!」

 

 「凌天……」

 

 張烈が拳を握る。

 

 その時だった。

 

 部屋の外から、激しい怒号が聞こえてきた。

 

 「何だ!」

 

 返事はない。

 

 「外の兵は何をしている!」

 

 直後――

 

 扉が開いた。

 

 そこに凌天が立っていた。

 

 片手には、一人の黄巾兵が掴まれている。

 

 部屋にいた者たちが、一斉に息を呑んだ。

 

 凌天は何も言わず、部屋の中を見渡す。

 

 その姿を見た瞬間、張烈の身体が震えた。

 

 目の前にいる男から放たれる圧力に、足が動かない。

 

 張烈は本能的に理解した。

 

 ――これが凌天。

 

 黄巾軍の間で恐れられていた男。

 

 黒地金龍旗と共に戦場へ現れ、敵を正面から打ち破ってきた豪傑。

 

 「な……」

 

 凌天が一歩踏み出す。

 

 張烈は後退した。

 

 凌天は掴んでいた黄巾兵を振り回す。

 

 周囲にいた者たちが次々と吹き飛ばされ、部屋は一瞬で混乱に包まれた。

 

 武器を抜く暇すらない。

 

 凌天はそのまま敵を蹴散らしていく。

 

 やがて、部屋に立っている者は総大将だけになった。

 

 凌天が黄巾兵を放り捨てる。

 

 張烈は震えながら後退する。

 

 「来るな……」

 

 凌天は無言で近づいてくる。

 

 張烈は背を向けた。

 

 逃げるしかない。

 

 部屋の奥にある窓へ走る。

 

 だが、足がもつれた。

 

 「うわっ――!」

 

 身体が窓の外へ投げ出される。

 

 高所から落下した張烈は、そのまま地面へ落ちた。

 

 凌天は窓から外を見下ろした。

 

 そして近くにいた兵へ命じる。

 

 「遺体を回収しろ」

 

 「はっ!」

 

 兵が慌てて駆け出す。

 

 凌天は続けた。

 

 「朝廷へ送る」

 

 そこへ陳玄がやって来た。

 

 「四万の黄巾軍を率いていた総大将。その戦功を示す証となりますな」

 

 「そういうことだ」

 

 凌天はそれだけ言うと、城内へ視線を戻した。

 

 信都県城は、すでに凌天軍の手中にあった。

 

 その後、遺体を確認した兵から報告が届いた。

 

 「凌天様、遺体について分かったことがございます」

 

 「何だ」

 

 「この男、黄巾軍の中では張角の遠縁にあたる者として知られていたようです」

 

 陳玄が目を細める。

 

 「張角の血縁……」

 

 「はい」

 

 凌天は遺体へ視線を向けた。

 

 「ならば、なおさら朝廷へ送れ」

 

 「承知しました」

 

 四万の黄巾軍を率いていた総大将。

 

 その遺体は、朝廷へ送る戦功の証となる。

 

 そして、信都県城を制したこともまた、凌天にとって大きな意味を持っていた。

 

 この勝利は、ただ一つの城を落としただけではない。

 

 乱世の中で勢力を広げ、やがて天下を目指す。

 

 その覇業へ向けた、確かな足がかりとなった。

 

 

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