三國覇皇記   作:沙耶王

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第六話 黄巾瓦解

 

 

 

 

 

 広宗を制した官軍は、勝利の余韻に浸る間もなく戦後の処理に追われていた。

 

 逃げた黄巾兵の追跡。

 

 捕虜の確保。

 

 武器や兵糧の回収。

 

 そして、張角の行方を探すこと。

 

 張梁は皇甫嵩の手によって討ち取られた。

 

 その張梁から、皇甫嵩は張角がすでに病死していることを聞いていた。

 

 だが、張角がどこに葬られたのかまでは分からない。

 

 そこで、捕らえた黄巾兵への尋問が始まった。

 

 凌天が陳玄と共に自軍の陣へ戻ろうとしていた時だった。

 

 天幕の方から、鈍い音が響いた。

 

 続いて、苦痛に耐えるような呻き声が漏れる。

 

 風が吹くたび、炙った鉄のような臭いが流れてくる。

 

 天幕の外に立つ兵たちも、誰一人として中を覗こうとはしなかった。

 

 しばらくして、再び鈍い音が響く。

 

 その後も尋問は続いた。

 

 夜になっても終わらず、天幕から明かりが消えることはなかった。

 

 やがて、捕虜の一人が張角の墓の場所を明かした。

 

 広宗の外れにある丘の裏。

 

 案内役の兵が決められ、すぐに墓を探す準備が始まった。

 

 ◇

 

 その日の夕刻。

 

 張角の墓を探すため、皇甫嵩の軍勢が広宗を出た。

 

 凌天は同行しなかった。

 

 自軍の兵糧や捕虜の整理、負傷兵の処置など、まだ片付けるべきことが残っていたからだ。

 

 皇甫嵩が戻ってきたのは、それから二日後のことだった。

 

 ◇

 

 皇甫嵩の陣を訪れた凌天は、戻ったばかりの皇甫嵩と顔を合わせた。

 

 「皇甫嵩将軍」

 

 「おお、凌天か」

 

 「張角の墓は?」

 

 「あった」

 

 皇甫嵩は淡々と答えた。

 

 「遺体も確認した。張梁の言った通り、病死だった」

 

 「そうですか」

 

 「ああ」

 

 皇甫嵩は腰を下ろした。

 

 「反乱を起こした首魁だ。死んでいたとしても、そのままにはできぬ」

 

 「首級を洛陽へ?」

 

 「うむ」

 

 皇甫嵩は短く答えた。

 

 「朝廷へ、張角が死んだことを知らせる」

 

 そして部下へ命じた。

 

 「張角の首を洛陽へ送れ」

 

 「はっ!」

 

 ◇

 

 翌日。

 

 張角の首級を載せた使者が、洛陽へ向けて出発した。

 

 広宗では、なお戦後の処理が続いていた。

 

 しかし――黄巾の戦いは、まだ終わっていなかった。

 

 同じ頃。

 

 荊州南陽郡、宛城。

 

 ここでも黄巾との戦いが続いていた。

 

 宛城はすでに官軍の手に落ちている。

 

 その際、孫堅と義勇軍の劉備は趙弘、韓忠を討ち取っていた。

 

 だが、孫夏と共に行動しなかった黄巾の残党が、なお各地に残っていた。

 

 そこで朱儁は、孫堅と劉備に残敵の掃討を命じていた。

 

 二人が残敵を追っている間に、自らは孫夏の籠もる精山を攻略する。

 

 孫夏を討ち取れば、自身も大きな戦功を立てられる。

 

 朱儁はそう考えていた。

 

 だが――

 

 あと少しで山を攻略できるというところで、状況が変わった。

 

 冀州から張宝が三万の兵を率いて現れたのである。

 

 張宝は孫夏の軍と合流すると、精山の峡谷を利用して防衛線を築いた。

 

 朱儁はすぐに攻撃を仕掛けた。

 

 張宝を討てばいい。

 

 そうすれば、張宝と孫夏の両方を倒した大功になる。

 

 だが、現実は甘くなかった。

 

 峡谷は狭く、大軍を送り込めない。

 

 兵を進めれば、両側から攻撃される。

 

 何度攻めても、黄巾軍の防衛線を崩すことができなかった。

 

 今日も宛城では軍議が開かれていた。

 

 朱儁は地図を睨みつける。

 

 「……どうしたものか」

 

 このまま張宝を倒せなければ、戦功を立てるどころか、自らの立場まで危うくなる。

 

 その時だった。

 

 「申し上げます!」

 

 一人の兵が軍議の場へ駆け込んできた。

 

 「只今、黄巾党の残敵掃討を終えた孫文台様並びに、義勇軍の劉玄徳殿が戻られました!」

 

 「なにっ!」

 

 朱儁が立ち上がる。

 

 「孫堅と劉備が来たと!」

 

 その顔に、喜びが広がった。

 

 「はっはっは! 良いところに来てくれた!」

 

 朱儁は大きく笑った。

 

 「孫堅とあの義勇軍が来てくれれば、勝機はある!」

 

 すぐに兵へ命じる。

 

 「良し。直ちに二人を通せ」

 

 「はっ!」

 

 「丁重にな」

 

 「はっ!」

 

 「それから、酒と肉を大量に用意しろ。孫堅の軍にも、義勇軍にも振る舞うのだ」

 

 「はっ!」

 

 ほどなくして、孫堅率いる軍と劉備の義勇軍が宛城へ入った。

 

 用意された酒と肉を見た張飛は、明らかに目の色を変えた。

 

 「おお……!」

 

 張飛の視線が、並べられた肉から離れない。

 

 関羽は周囲を見渡した。

 

 これまでとは明らかに違う扱いだった。

 

 何かある。

 

 そう感じたのは、劉備も同じだった。

 

 だが、劉備は孫堅と共に軍議へ来るよう命じられている。

 

 「翼徳、雲長。ここは任せる」

 

 「おう」

 

 「承知しました」

 

 劉備は孫堅と共に軍議の場へ向かった。

 

 ◇

 

 「よく来てくれた、孫堅」

 

 朱儁は孫堅の手を取り、労うように振った。

 

 「君の活躍は、私の耳にも届いているぞ」

 

 「ありがとうございます」

 

 孫堅は頭を下げた。

 

 「残敵の掃討も一段落しましたので、朱儁殿のお手伝いに参りました」

 

 「おお、そうか!」

 

 朱儁は満足そうに頷いた。

 

 「実に良いところへ来てくれた。ちょうど君に任せたい仕事がある」

 

 「何なりと」

 

 「それは後ほど説明しよう」

 

 朱儁は劉備へ目を向けた。

 

 「劉備殿」

 

 「は、はい!」

 

 思いがけず声を掛けられ、劉備が姿勢を正す。

 

 「貴殿も幾度もの戦で功を立てている。今や一廉の武人と言ってよい」

 

 「恐れ入ります」

 

 「どうか、その力を貸していただきたい」

 

 「私でよろしければ、喜んで」

 

 「そうか!」

 

 朱儁の顔に笑みが浮かぶ。

 

 「ありがたい。では、これより任せるところを説明しよう」

 

 朱儁は二人へ席を示した。

 

 劉備と孫堅が座る。

 

 朱儁は地図を広げた。

 

 「この先にある精山に、張宝と孫夏が籠もっている」

 

 「張宝ですか」

 

 孫堅が地図を見る。

 

 「そうだ」

 

 朱儁は峡谷を指した。

 

 「奴はここに兵を置き、我らの攻撃を何度も退けている」

 

 「そこで、貴殿らに先鋒を任せたい」

 

 「承知しました」

 

 孫堅が答える。

 

 劉備も頷いた。

 

 「私も従います」

 

 「頼んだぞ」

 

 朱儁は二人を見た。

 

 「此度の戦で張宝を討てば、大きな戦功になる」

 

 その言葉を聞き、劉備の表情が僅かに変わった。

 

 そして朱儁は、もう一つの話を切り出した。

 

 「それと、劉備殿」

 

 「はい」

 

 「貴殿の師、盧植殿のことだ」

 

 劉備の目が見開かれる。

 

 「盧植殿は罪人として捕らえられていると聞いた」

 

 「……はい」

 

 「此度の戦で功を立てれば、皇甫嵩殿とも話を通し、朝廷へ釈放を取り計らおう」

 

 「本当ですか!」

 

 「無論だ」

 

 「それだけではない。相応の官職についても取り計らおう」

 

 劉備は深く頭を下げた。

 

 「ありがとうございます」

 

 朱儁は満足そうに頷いた。

 

 「では、頼むぞ」

 

 「はっ!」

 

 こうして、張宝討伐の軍議が決まった。

 

 翌朝。

 

 官軍は宛城を出発した。

 

 先鋒は孫堅率いる三千。

 

 その後ろに劉備率いる義勇軍千。

 

 さらに朱儁から預かった五千が続く。

 

 総勢九千。

 

 後詰として、朱儁率いる二万の官軍も続いていた。

 

 整然と並ぶ軍旗を振り返り、劉備は小さく息を吐いた。

 

 「玄徳殿。どうされた?」

 

 隣を進む孫堅が尋ねる。

 

 「いえ……」

 

 劉備は苦笑した。

 

 「義勇軍の将となったものの、借りた兵とはいえ、これほどの兵を率いるのは初めてでして」

 

 「そうか」

 

 孫堅が笑う。

 

 「だが、お主も天下に名を轟かせている豪傑だ。一万ほどの兵で感慨に耽っていてはいかん」

 

 「そうでしょうか?」

 

 「うむ」

 

 孫堅は前を向いた。

 

 「悲しいかな。この先も戦乱がなくなるとは思えん」

 

 「いつの日か、お主も数十万の兵を率いることになるかもしれん」

 

 「そういう時こそ、感慨に耽ればよい」

 

 劉備は苦笑する。

 

 「はぁ……出来ることなら、そうなってみたいものですな」

 

 「その意気だ」

 

 孫堅は劉備の背中を叩いた。

 

 「お主は孟徳殿と同じく見込みがある」

 

 「お主なら、我が娘を任せてもよいと思うぞ」

 

 「……は?」

 

 劉備が目を丸くする。

 

 孫堅は豪快に笑った。

 

 「はっはっは!」

 

 劉備は何とも言えない顔をした。

 

 ひとしきり笑った後、孫堅は真面目な顔に戻る。

 

 「それに、此度の戦で勝てば、朱儁殿が貴殿の師を釈放するよう取り計らってくださるのだろう」

 

 「はい」

 

 劉備の表情が引き締まった。

 

 「師匠を助けるためにも、何としても戦功を立てねばなりません」

 

 「その心意気だ」

 

 孫堅は頷いた。

 

 「この孫文台も、及ばずながら力添え致す」

 

 「ありがとうございます、文台殿」

 

 劉備は前を向いた。

 

 その先にあるのは、張宝が籠もる精山だった。

 

 ◇

 

 宛城を出て二日。

 

 劉備たちは精山へ到着した。

 

 「ここが精山か」

 

 劉備が山を見上げる。

 

 「思ったより小さいな」

 

 孫堅も目を細めた。

 

 だが、山へ続く道の先には峡谷があった。

 

 そこへ入った瞬間、戦場の跡が目に入る。

 

 地面には黒く固まった血。

 

 無数の矢。

 

 折れた槍。

 

 破れた旗。

 

 石にまで血が付着している。

 

 道の脇では、烏が何かを啄んでいた。

 

 劉備は峡谷の奥を見た。

 

 「……ここを正面から攻めたのですか」

 

 「ああ」

 

 孫堅が答える。

 

 「そして、何度も退けられた」

 

 劉備は峡谷を見渡した。

 

 「これでは大軍を展開できませんな」

 

 「うむ」

 

 「ならば、別の道を探すしかありません」

 

 その時だった。

 

 「兄者!」

 

 張飛が声を上げた。

 

 「俺に考えがある!」

 

 劉備と関羽が顔を見合わせる。

 

 張飛がこういうことを言い出すのは珍しかった。

 

 「何だ?」

 

 「この峡谷を通れば攻撃されるんだろ?」

 

 「ああ」

 

 「だったら、通らなきゃいい!」

 

 関羽が眉を寄せる。

 

 「……どういう意味だ?」

 

 張飛は峡谷脇の崖を指差した。

 

 「ここを登るんだ!」

 

 「崖を?」

 

 「ああ!」

 

 張飛は胸を張る。

 

 「敵は峡谷から来ると思っている。なら、崖を越えて後ろから攻めればいい!」

 

 孫堅が崖を見上げた。

 

 ほぼ垂直の絶壁だった。

 

 「なるほど」

 

 孫堅は笑う。

 

 「確かに正面よりは勝機がある」

 

 「では、この策で参りましょう」

 

 劉備も頷いた。

 

 孫堅はすぐに兵を分けた。

 

 「大栄」

 

 「はっ」

 

 「千の兵を率いて玄徳殿に従え」

 

 「承知しました」

 

 こうして劉備たちは崖を登ることになった。

 

 ◇

 

 官軍五千を峡谷の入口に残し、時折、鬨の声を上げさせる。

 

 その間に、劉備たちは崖へ取り付いた。

 

 だが――

 

 「う、うわああああっ!」

 

 一人の兵が足を滑らせた。

 

 身体が崖から離れ、そのまま落下する。

 

 ドサッ。

 

 地面に叩きつけられ、動かなくなった。

 

 登っていた兵たちの顔が強張る。

 

 「気を抜くな!」

 

 劉備が声を掛ける。

 

 「足場を確かめろ!」

 

 それでも、犠牲は続いた。

 

 足を滑らせる者。

 

 崩れた岩に巻き込まれる者。

 

 途中で動けなくなる者。

 

 それでも劉備たちは登り続けた。

 

 そして、ようやく崖の上へ辿り着く。

 

 張飛が息を切らしながら笑った。

 

 「どうだ、兄者! 俺の策も捨てたもんじゃねえだろ!」

 

 関羽が呆れたように見る。

 

 「たまにはな」

 

 「たまにはって何だよ!」

 

 周囲から小さな笑いが起きた。

 

 その時、祖茂が姿を現した。

 

 「玄徳殿」

 

 「大栄殿!」

 

 「無事で何より」

 

 祖茂は劉備たちを見渡した。

 

 「さて、ここからだ」

 

 劉備が頷く。

 

 「敵陣を挟撃するのですな」

 

 「その通り」

 

 祖茂は前方を指した。

 

 「我らが後方を攻める。玄徳殿は正面へ回り、張宝を狙われよ」

 

 「分かりました」

 

 「では、火を上げる」

 

 祖茂は兵を率いて離れていった。

 

 ◇

 

 数刻後。

 

 劉備たちは林の中に身を潜めていた。

 

 目の前には黄巾軍の陣地がある。

 

 張飛が矛を握りしめる。

 

 「まだか……」

 

 「落ち着け、翼徳」

 

 関羽が制する。

 

 「合図を待て」

 

 その時だった。

 

 遠くで火の手が上がった。

 

 続いて、怒号が響く。

 

 「今だ!」

 

 劉備が立ち上がる。

 

 「全軍、攻撃!」

 

 「おおおおおおお!」

 

 張飛が真っ先に飛び出した。

 

 「義勇軍の張飛翼徳、ここにあり!」

 

 矛を振るい、黄巾兵を次々と打ち倒していく。

 

 劉備たちも続く。

 

 後方からは祖茂の軍が襲いかかっている。

 

 挟撃された黄巾軍はたちまち混乱した。

 

 「敵はどこから来た!」

 

 「後ろだ!」

 

 「正面にも敵がいるぞ!」

 

 指揮系統が乱れ、兵たちが右往左往する。

 

 その中を、張宝が馬上から見渡していた。

 

 「くっ……!」

 

 張宝が歯を食いしばる。

 

 「何故、ここまで入り込まれた!」

 

 その時。

 

 ヒュッ!

 

 一筋の矢が飛んだ。

 

 馬の首に突き刺さる。

 

 「ヒヒィィン!」

 

 馬が倒れ、張宝は地面へ投げ出された。

 

 「ぐっ!」

 

 腰を強く打つ。

 

 それでも張宝は立ち上がり、剣を抜いた。

 

 その前に、劉備が立つ。

 

 「黄巾の将か!」

 

 「如何にも!」

 

 張宝が叫ぶ。

 

 「我こそは地公将軍、張宝!」

 

 「ならば名乗ろう」

 

 劉備は剣を構えた。

 

 「義勇軍の将、劉備玄徳!」

 

 「義勇軍だと?」

 

 張宝が睨む。

 

 「何故、我らと戦う!」

 

 「貴様らが民を巻き込み、村を焼き、田畑を荒らしたからだ!」

 

 「何を!」

 

 張宝が斬りかかる。

 

 劉備も剣を合わせた。

 

 剣戟が響く。

 

 幾度も刃が交わる。

 

 だが、張宝は腰を打った痛みに顔を歪めた。

 

 一瞬。

 

 動きが止まる。

 

 劉備はその隙を逃さなかった。

 

 「そこだ!」

 

 剣を突き出す。

 

 刃が張宝の身体を貫いた。

 

 「ぐっ……!」

 

 張宝は血を吐いた。

 

 劉備が剣を引き抜く。

 

 張宝は数歩よろめいた。

 

 そして、そのまま地面へ倒れた。

 

 動かない。

 

 関羽と張飛が駆け寄る。

 

 「やったな、兄者!」

 

 「兄者、勝ち名乗りを!」

 

 劉備は血の付いた剣を見つめた。

 

 そして、顔を上げる。

 

 「敵将、張宝!」

 

 剣を掲げる。

 

 「劉備玄徳が討ち取った!」

 

 「おおおおおおお!」

 

 義勇軍から歓声が上がった。

 

 ほどなくして黄巾軍の掃討も終わった。

 

 張宝。

 

 そして、その配下で精山を守っていた孫夏。

 

 二人の首級が取られ、残った黄巾兵も多数が捕虜となった。

 

 ◇

 

 宛城。

 

 朱儁のもとへ、戦場からの報告が届いた。

 

 「申し上げます!」

 

 「張宝は討ち取られました!」

 

 朱儁が立ち上がる。

 

 「何だと!」

 

 「討ち取ったのは劉備玄徳殿!」

 

 朱儁の顔に笑みが広がった。

 

 「そうか……!」

 

 張宝の首級を確認すると、朱儁はすぐに使者を呼んだ。

 

 「これを洛陽へ届けよ」

 

 「張宝の首級を?」

 

 「そうだ」

 

 朱儁は頷いた。

 

 「我らが南陽を平定し、張宝を討ち取ったと報告せよ」

 

 「はっ!」

 

 使者は張宝の首級を携え、洛陽へ向かった。

 

 ◇

 

 その報告が届いたのは、それから間もなくのことだった。

 

 「張宝討伐の報告が入りました!」

 

 広宗の皇甫嵩の陣にも、その知らせが届く。

 

 皇甫嵩は報告を聞き、短く頷いた。

 

 「そうか」

 

 陳玄もその場にいた。

 

 「これで張氏三兄弟は、すべて倒れましたな」

 

 皇甫嵩は頷く。

 

 「だが、黄巾の残党が消えたわけではない」

 

 「各地の掃討には、まだ時間がかかろう」

 

 陳玄は頷いた。

 

 広宗の戦いはすでに終わっている。

 

 あとは戦後の処理と、各地に散った黄巾の残党への対応が残されていた。

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