世界を救う魔法少女より、あなたへ   作:朱莉131

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1 魔法少女の魔法とは、優しさだと思うのです。

 

 いつものように、誰かの悪意を祓いつつ、街を探索しているときに雑貨屋さんを見つけました。

 

「シロン、ちょっとだけ見てもいい?」

「いいよ。けど、無駄遣いをしないようにね。」

「分かってるよ。少しだけまっててね。」

 

 何かを買わないといけないわけではなかったのですが、雑貨屋を目にしたら買う予定がないけど見て回るのは定番ではないだろうか。

 店内に入ると、外の蒸し暑さもなく、涼しい空間が私の体を癒してくれます。最近は4月なのに、暑いので嫌な気持ちになってしまいます。悪意の塊もなんだかやる気なく、ふわふわしていることも多いので、色んな人が暑さに参ってできた悪意だったのでしょう。悪意だって、暑さに嫌気をさすのなら、私たちも苦しい気持ちになって当然なのでしょう。シロン、外で待たせてごめんね。

 さて、文房具を見ながら店内を歩いていると、日記に目が止まりました。

 「この日記帳かわいいな。」

 茶色の表紙に、水色とピンクの模様が入った日記帳が私の心を打ち抜きました。

 私が好きな色である水色、きれいな蝶の模様、ピンク色のライン。この日記帳を買いたい。お小遣いが残りわずかになってしまうけど、私とシロンのおやつ代を削れば何とか買えます。シロンには申し訳ありませんが、日ごろの仕事代として、おやつは諦めてもらいましょう。

 「いいわけ、あるか!」ぺシッ

 「イタッ、ちょっと何するのシロン!」

 「僕のおやつを削っていいわけあるか!」

 「私のお小遣いなんですけど!!ていうか、心読まないで!」

 「僕と未来は、契約で心が繋がっている状態だと前にも言っただろ!君が考えることは僕に筒抜けなのだ!」

 「プライバシーは!?」

 「妖精社会にはありません!」

 「そんなぁ~!」

 「本題だよ。僕はおやつがないといやだよ!魔力を使った後はすごく疲れるんだ!らむねがないと僕の魔力も回復しないだろう!」

 「そうだけどさ、この日記帳の蝶々かわいくない?特に、水色のこの柄がね…」

 「君は水色だったら、何でも買ってしまうだろう!しゃーぺんも水色、服も水色、シュシュも水色!」

 「しょうがないでしょ。好きな色なんだし…」

 「それに、ラムネだってまだストックがあるし、私の分をあげるからさ、お願い!!」

 「う~ん、それならいいよ。だけど、君って真面目な性格なようで、大雑把だろ。その日記帳は使うのかい?部屋のいんてりあにならないか?」

 「しないように、ちゃんと書くよ!」

 「ほんとうに~?」

 「ほんとうに!!」

 

 そんなやり取りをしながら、私たちはレジをすませ、外にでました。

 外は変わらずの暑さ。周りを見渡せば、小さな悪意が力尽きて道路に這った状態で移動をしています。いつもは、ぷかぷかと目つきを悪くして浮かんでいますが、今日は目が下がり悲しそうな顔をしています。

 

「シロン、変身してもいい?」

「もちろん。小さな悪意をコツコツ浄化することが魔法少女のお仕事だからね。」

「いくよ!」

「うん!」

 

 私がシロンに声をかけると、シロンの体が白色のペンライトに変わる。白色のペンライトを3回振って光らせる。白い光がでたら、ハートのマークを書きなら…

 

「変身!」

 

 掛け声を言えば、私の体が光に包まれる。足から順番に服が魔法少女の物に変わっていく。紺色のズボンは、ピンク色のスカートへと変わり、光に触れるとフリルや装飾品が現れる。次に腕、上半身、靴と変身が続いていく。最後に髪をなびかせれば、黒色のショートヘアが、ピンクと水色のメッシュが入った髪へと変わっていく。全身がピンク色を基調として、水色のラインが入った魔法少女の服へと変わる。最後は決めポーズをして…

 

「優しい思いで、悪意を変える!!魔法少女カイン!!」

(変身するたびに、名乗るけど…それって必要なのかい?)

「ひっつようだよ!!シロン!!魔法少女と言えば名乗りと変身は絶対必須だよ!!」

(えー、怪物相手だと攻撃されてしまいそうだよ…)

「気持ちは重要だよ!!」

(そうだね、気持ちは大事だね!)

「それじゃあいつも通り、浄化の魔法だね。」

 

 魔法少女の姿は一般人には見ることができません。なので、本当にポーズも変身のセリフも必要なかったりします。でも、憧れは止められないので仕方ありません。カワイイは正義です。

 妖精の力を借りるときは、私が妖精側に存在が傾いているそうです。霊感が強い人は見ることができるそうですけど、そんな人はまれにしかいないそうです。いたとしても、妖精がマークをして魔法少女になるようにお願いをするそうです。

 

 さて、悪意の塊を浄化するためには魔法が必要です。シロン曰く、感情から出る力の源が魔力で、それらを扱うための技術が魔法と呼ばれるそうです。魔力だけでも倒すことは可能です。しかし、悪意の塊にもなった悲しい魂が、痛い思いをさせて祓うというのは何だかこちらも嫌な気持ちになってしまうので…シロンに教わった浄化の魔法がここで出てきます。

 浄化の魔法。効果は悪意の塊を浄化する。悪意の塊が痛みなく、温かい気持ちになって祓うことができます。手を広げて、手のひらから光の塊を出して、悪意の塊に当てる。すると、少しずつ黒い塊から白く透明になっていきます。完全に消えたら祓い達成です。

 (本来は、悪意に汚染された味方や自身を癒すための魔法なんだけどね。)

 「いいじゃん!悪意も幸せになれるし、私も罪悪感なく祓えるし!ウィンウィンウィンだね!」

 (まぁ、新しい使い方が見つかるのはとても素晴らしいことだからね。)

 「この使い方って、そんなに知られてないの?」

 (そもそも、君がするまで僕は浄化の魔法で悪意を祓えるとは知らなかったからね。)

 (僕の魔法で、ちょいっだったし。)

 「あ~、あの氷を出す魔法!」

 (正確には、氷結の魔法ね。)

 (触れた相手の体を氷で覆って砕く魔法だよ。僕の契約者なら、一番最初に覚える魔法なはずなんだけど…)

 「あの魔法、飲み物冷やすのに便利なんだよね~」

 (氷結をさせずに、冷やすだけに使うって器用なことしてるんだよね~。この子)

 

 妖精は、1妖精につき1つ固有の魔法を持っているのだとか。その魔法以外を使うには、魔法をもっている妖精が作った本を読むことでしか、覚える方法がないらしい。妖精が覚えていない魔法は私たち魔法少女も使うことができない。シロンが覚えていた魔法は三つ。氷結の魔法、浄化の魔法、やすらぎの魔法の三種類。ちなみに、私は浄化を一番初めに覚えました。氷結はあんまり使えない。やすらぎは二番目に覚えています。

 

 「契約者をないがしろにすると、怒っちゃうからね」

 

 そんなことを言いながら、ペンライトからいつもの白い毛並みの猫の姿に戻ったシロンが不貞腐れた顔をしながら見つめてきた。

 

 「分かってるよ。帰ったら、ラムネ食べようね!」

 「はぁ~本当に分かっているのかい」

 「分かってる!分かってる!」

 

 そんな会話をしながら、私たちは家に帰るのだった。

 日記には、今日の戦いで倒した数や魔法について書いてみよう。妖精が本を作れば、伝授ができたということは、私もいつか後輩ができたときに魔法書を作っていれば魔法を教えられるかも知れない。便利な浄化や冷やす魔法は教えてあげないとね。

 

 「未来、氷結の魔法だ!!」

 「ごめんって!」

 私は、後ろから怒った表情で追いかけてくるシロンから逃げるように、走って帰ることにした。シロンも笑いながら追いかけている。そんな毎日が明日も過ごせれたらいいな。




本日の成果
悪意の塊 15体
日記内容と感想欄
冷やしの魔法をノリで書いてみて、シロンに見せたら、シロンが冷やしの魔法を使えるようになりました。日記でも魔法書判定になるんだ!
僕の魔法が、家庭用の魔法になった…でも、冷凍ミカンがおいしかったから、不問とします。
ありがとう、シロン!私にもちょーだい!あっ本当においしいね!
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