姫騎士学園の下剋上性活 ~最弱スキルで異世界のプライド高め美少女たちを堕としたら、毎晩ご奉仕に来る日々が始まった~ 作:東雲(しののめ)
で、本来の目的だった保健室に来たわけだが。
「――このわたくしがお願いしているんですのよ!?」
今回も先客、というか、例のお嬢様の怒鳴り声が聞こえる。
「――融通の利かない教師ですわね!」
部屋の中で何やら揉めているらしい。
「……失礼します」
扉を開けると、ゼゼ先生と、やはりジャスティーヌ・ダルクが対峙していた。
「おや。カゲルヤさん。保健室に何か御用ですか?」
「また愚民!? お帰りなさい! 絶賛取り込み中ですのよ!」
ジャスティーヌ・ダルク戦のことを相談しに来た。
――と、本人を目の前では言えない。
それにゼゼ先生はあくまで影の協力者。
僕と内通しているという疑いをかけられてはいけないのだ。
「……頭痛がするので、薬をもらいに」
色んなことで頭を痛いほど悩まされるので、嘘ではない。
「なるほど。しかしその前に服を乾かした方が――」
「わたくしを無視して話を進めないでくださる!?」
間に割り込んで来る金髪ドリル。
彼女は引くつもりがまったくないようなので――
「……ジャスティーヌ先輩は、ここで何を?」
前にも保健室に来ていたし、来訪の理由は気になるところだ。
帰れと言われたが居座ると決め、直球で尋ねることに。
「わたくしは……その、年貢! 年貢の取り立てで来たんですの!」
「……年貢?」
状況が分からなすぎる僕に、ゼゼ先生が淡々と説明する。
「保健室に備蓄している、非常食や生理用品、その他諸々を寄越せと言うのです」
ようはタダで備品をもらいにきた、と。
このお嬢様は、カツアゲを年貢と称して絡んでるらしい。
「先輩はお嬢様なんですよね? 自分で買えばいいのでは?」
「そ、それは……こちらにも事情があって……」
あ。そういえばカグヤ先輩に資産押収されたんだっけ。
初めて出会った時も、バイトがどうこう言ってたし。
よくそんな状況で、こうも偉そうにできるもので……。
「でも二つ星なんですから、日用品は普通に買えるはずですよね?」
「わ、わたくしには従者がいますの。彼女たちの分まで賄うのを考えると……」
ごにょごにょとバツが悪い顔で呟く。
六つ星の頃は何とでもなった。
しかし降格した現在は、手下の面倒まで見るのは難しいようだ。
なかなか引かない彼女に、ゼゼ先生が今一度告げる。
「前回お渡した分が最後です。これ以上は学則にも反しますので」
「で、ですから! いずれ出世払いで返すと言っているでしょう!」
「少なくとも前回で食糧は足りているはずです。節約すればしばらくは保って――」
「節約!? なんて陳腐な言葉! あんなもの一晩でペロリですのよ!」
その言葉に、先生と一緒に呆れるしかない。
僕を貧乏人と呼んで、自分が高貴だなんだと言うだけある。
この人は典型的なお嬢様気質で、節制なんかせずワガママ暮らしなのだ。
「わ、わたくしはダルク家の人間です! 一つ二つ融通しても――」
「ここでは家柄よりも実力。よくご存じでしょう?」
真っ当に叱られて、ジャスティーヌ先輩は顔を真っ赤に。
先生は話は終わりだと、彼女を置いて僕に近づいてくる。
「ではカゲルヤさん。まずはタオルを渡すので頭を乾かして――」
「ちょっと! ですから無視しないでいただける!?」
ジャスティーヌ先輩が、ゼゼ先生の左腕を摑んで引っ張る。
諦め悪いことこの上ないな。
ただ先生が摑まれた場所は、かつての女王戦で負傷を負っている所で――
「っ……」
古傷に響いたのだろう、痛みに顔を僅かにしかめる。
――流石に、もう見過ごせない。
僕は先生を助けるべく、先輩が伸ばしていた腕を摑む。
「……それぐらいにしときましょう」
やんわり注意を促すと、彼女はカッと目を見開いて。
「び、貧乏人がこのわたくしに触れて――っ!」
バシンッッ! いきなり強烈な平手打ちもらう。
「っ! カゲルヤさん!?」
先生が思わず声を上げるが、問題はない。
ビンタが直撃する寸前で首を逸らしたのだ。
派手な音が鳴ったし、咥内が切れて血も流れるが、ダメージはほぼゼロだ。
「わたくしに触れた上に説教!? 身の程を弁えなさい愚民!」
僕が接触した場所を、せっせと手で払って叫ぶ。
「あなたも大概ですのよ冷酷教師! わたしくを無下に扱い、こんな劣等種ばかり優遇して……ロクでもない養護教諭ですわ!」
ダメな教師だと罵られても、ゼゼ先生は平然だ。
でも世話になっている僕からしてみれば、良い気持ちはしない。
彼女の感情は見えにくいが、優しくて、ちゃんと強い想い持つ人物だ。
「――召使いが無礼なのは、主人がこんなだからか」
僕がボソリと呟くと、先輩はさらに激高する。
「こ、この愚民はわたくしの従者を馬鹿に……!」
怒りに任せ、再び平手打ちが走った。
がしかし、二回目ともなれば完全に読み切れる。
寸前で彼女の手首を掴み、その攻撃を不発させた。
「単調な行動パターン。これでよく六つ星になれましたね」
「なっ!」
「いや、元六つ星でしたか。カグヤ先輩に負けるのも納得です」
「~~~っっっ!」
恩人たるゼゼ先生のことを揶揄されたせいだろうか。
自分でも意外と思うくらい、挑発口調になってしまった。
ジャスティーヌ先輩と、超至近距離でにらみ合う。
「……愚民、あなたのお名前、なんでしたっけ?」
「……カゲルヤ・ノア。何度言わせるんですか」
ジャスティーヌ先輩は鼻を鳴らし、腕を振りほどいて去って行く。
「明日は完膚なきまでに叩きのめして、わたくしに喧嘩を売ったことを後悔させてあげます――覚悟なさいな、カゲルヤ・ノア!」